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【連載第6回】あなたとわたしのPCゲーミングライフ!!

佐藤カフジの「PCゲーミングデバイス道場」

【年末特集】PCゲーマーのためのゲームパッド講座 2008
ロジクールに学ぶ“良いパッドの見分け方”、最強のゲームパッドはどれか!?

色々な意味で業界の「最先端」を走る、PCゲーミングの世界。当連載では、「PCゲームをもっと楽しく!」をコンセプトに、古今東西のPC用ゲーミングデバイスに注目して、単なる新製品の紹介にとどまらず、競合製品との性能比較や、新たな活用法の提案、果ては改造まで、様々なアプローチで有益な情報をご提供していきたい。


■ ゲームパッドひとつで爆発的に広がる楽しみ

PCで使えるゲームパッドはとてもたくさんある。好みに合わせて選べるが、「これが鉄板」という1個を見つけるのはなかなか難しい。どういう基準で選べばよいか?
 PCには必ずキーボードとマウスが接続されており、テキストを入力したり、カーソルで対象をポイントして操作する、というのが当たり前である。そういった入力スタイルを前提にゲームプラットフォームとして発展してきた“生粋のPCゲーム”には、ストラテジーゲームやFPSなど、キーボードとマウスによる操作を前提としたタイトルが数多く生まれ、Apple IIの頃から無数の傑作を生み出してきた。

 しかし、ここ数年で情勢は大きく変わった。オンラインゲームの多様化や、最新世代コンシューマ機とPCとのマルチプラットフォームタイトルが増えてきたことで、ゲームパッド操作を前提としたタイトルが猛烈な勢いで主流になりつつあるのだ。

 コンシューマ機の土壌から生まれた各種ゲームの多くは、当然ながらゲームパッドでの操作を前提としたゲーム性になっている。その好例としては、PS3/Xbox 360/PC向けのマルチプラットフォームタイトルである「デビル メイ クライ 4」(カプコン)や、同じくマルチプラットフォームの「Pro Evolution Soccer(『ウイニングイレブン』の海外版)」(コナミ)、「FIFA ONLINE 2」(ゲームオン/エレクトロニック・アーツ)などが挙げられるだろう。

 それに、PCベースの各種オンラインゲームも、コンシューマ機の文化を継承して、ゲームパッド向けの操作性に仕上げられたモノが多くなってきた。その手のオンラインゲームで最大勢力を誇るのが、格闘ゲーム系の文化を継承している「アラド戦記」(NHN Japan)だ。「真・三國無双 Online」(コーエー)や「モンスターハンター フロンティア オンライン」(カプコン)あたりもまた、キーボード&マウスで操作できなくもないが、やはりプレイステーション 2由来のタイトルだけあって、ゲームパッド操作が最も効率的で快適だ。

 このように、PCでゲームを遊ぶ上で、ゲームパッドの存在はますます重要になってきている。逆に言えば、ゲームパッドをPCに接続するだけで、その瞬間、遊べるゲームの選択の幅が、文字通り倍増するという状況になりつつあるのだ。それではマルチプラットフォームタイトルを、敢えてPCで、ゲームパッドを繋いでまでしてプレイするメリットは何だろうか。

 最大の利点は「PCは最高のオンライン端末である」ということだが、筆者の場合は、「日頃PCを常時起動しているので、ゲーム機にメディアを挿入して電源ボタンを入れるより、アイコンをクリックしてゲームを起動したほうがラク」という事情もある。

 何にせよ、PCがあって、それにゲームパッドを接続していないのは、甚だもったいないことだ。既にPC本体に投資を済ませているのならば、高々数千円の追加投資で、それをゲーム機化できるのだから。

 というわけで連載第6回となる今回は、PCとゲームパッドの関係に着目して、「今時のゲームパッドに求められる機能とは?」というテーマで製品の評価軸を設定したい。また、その上でメーカー各社から発売されているゲームパッド製品から気になるものをピックアップしてご紹介する。

【ゲームパッドで遊びたいPCゲームタイトルの例】
横スクロール格闘RPG
「アラド戦記」
(nhn Japan)

オンラインアクションRPG
「真・三國無双 Online」
(コーエー)
スタイリッシュアクション
「デビル メイ クライ 4」
(カプコン)


サッカーゲーム
「FIFA ONLINE 2」
(ゲームオン/EA)

フライトシム
「IL-2 Sturmovik」
(UBISoft)
オンラインカーレース
「Test Drive Unlimited」
(Atari)



【今回のラインナップ】
Xbox 360タイトルと究極の親和性
Microsoft Xbox 360 Controller

発売元:マイクロソフト
1台2役の高機能
Saitek Cyborg Rumble

発売元:MSY
正確性、耐久性に絶対の自信
Logicool PC Game Controller
発売元:ロジクール

連射機能、ボタン再配置機能搭載
JC-U2312F

発売元:エレコム
モーションセンサー搭載
BGCMUCF1206

発売元:バッファローコクヨサプライ
スタイリッシュでPS3互換BSCPCP1202
発売元:バッファローコクヨサプライ

※PC用ゲームパッドは各種各様のものが多数販売されているが、今回のラインナップチョイスとしては、以下のような機能を備えた製品に限定した。

・デジタル方向パッド
・表面4ボタン、ショルダー部4ボタン、中央2ボタン
・2つのアナログスティック
・振動機能

 ゲーム機とのマルチプラットフォームタイトルなどを含め、沢山のタイトルを選択肢に入れる上では、上記のような最新ゲーム機用コントローラに相当する機能性が必要である。

 さらに、プレイステーション 3やXbox 360用のゲームコントローラに搭載されている、アナログ入力のトリガーボタンも備えていれば、コントローラを使ってレースゲームやフライトシムもプレイが可能になり、さらに選択の幅が広がる。こういった機能性は選択基準として重要だ。


■ ある意味これが鉄板か!? ゲーム機用コントローラをPCで使う

「ゲーム機のを使えばいいじゃない」。ごもっともなのである
 PCで遊ぶためのゲームパッドは各社から大量の製品が発売されている故に、選択肢が多すぎて「どれにすればいいかわからない!」というのが悩みの種になりがち。だが、既にゲーム機を所有しているなら話は早い。いつもゲーム機で慣れ親しんでいるコントローラをPCに繋げてしまえばいいのだ。

 マルチプラットフォームタイトルをプレイしない場合でも、各ゲーム機用のコントローラが、左右のトリガーボタンにアナログ入力を採用している点に大きなアドバンテージがある。

 というのも、2つのトリガーがアナログ入力になっていることで、レースゲームのアクセル・ブレーキに割り当てたり、フライトシムの左右ヨー操作に割り当てて、デジタル2値では不可能な、繊細なコントロールが可能になるからだ。PCには車や飛行機など乗り物系のゲームが数多い。それをゲームパッドで満足に操作できる利点は非常に大きいのである。


・ プレイステーション2、プレイステーション 3の場合

プレイステーション 3純正、DUALSHOCK3コントローラ。USB端子からPCに接続すると、4軸12ボタンのゲームパッドとして認識される
 ゲーム機用のコントローラを活用する方法において、かなり長らく主流だったのが、プレイステーション 2用のコントローラをコンバータ経由で接続するという方法だ。この場合、PCデバイスメーカー各社から発売されているコンバータが必要になる。コントローラとは別に1,000~2,000円程度の追加出費で、PS2のコントローラがPCで使えるようになる。

 現在はどうなっているのかというと、新世代ゲーム機のプレイステーション 3やXbox 360は、もっとPCとの親和性が高くなっている。例えば、プレイステーション 3用コントローラのDUALSHOCK 3は、ワイヤレスのBlootoothインターフェイスのほかに、USB端子を備えているため、PCに繋ぐだけで、アナログ4軸12ボタン、8方向ハットスイッチ搭載のゲームコントローラとして検出される。

 ただ、DUALSHOCK 3は、PCでの利用を前提としたハードウェアではなく、当然のことながらドライバも提供されていないため、6軸センサー(SIXAXIS)や振動といった独自機能については使用できないので注意したい。


・ Xbox 360コントローラの場合

Xbox 360コントローラ。有線タイプはそのままPCに繋いで使える
ワイヤレスコントローラをPCで使うには別売の「Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプター」が必要だ
 一方のXbox 360コントローラについては、マイクロソフトから正式にPC用のものが発売されている。ひとつは、Xbox 360 ワイヤレスコントローラをWindowsで使うための「Xbox 360 ワイヤレス ゲーム アダプター」というUSB接続の無線受信機、もうひとつは有線でそのままPCに繋ぐことができる「Xbox 360 Controller for Windows」というパッケージも発売されている。

 ちなみに、有線の「Xbox 360 Controller for Windows」に含まれている有線コントローラは、Xbox 360用として販売されている同じく有線の「Xbox 360 コントローラ」と同じもののようだ。こちらもPCに接続すればそのまま「Xbox 360 Game Contoller」としてWindowsに検出され、使用が可能になる。筆者はこちらのコンフィギュレーションを日常的に使っている。

 ただ、標準でインストールされるマイクロソフト純正のドライバでXbox 360コントローラを使う場合、振動機能が使えない、スティックの感度調整ができないなどの問題がある。そこで便利なのが、フリー配布されている有志制作のドライバだ。

 添付のインストラクションに従ってドライバをインストールすると、コントローラのプロパティページが大幅に拡張され、スティックやトリガー、各ボタンの挙動について様々な設定が可能になるほか、振動機能(フォースフィードバック機能)も有効になる。筆者は長らくこのドライバを使っているが、トラブルは全くなかった。

 なお、このドライバは有志の制作による非営利のソフトウェアなので、導入についてはあくまで各自の自己責任となるので注意したい。

有志制作のドライバによる、Xbox 360 コントローラのコントロールパネル。トリガーやスティック、ボタンの機能設定などを細かく調整でき、非常に便利だ。なお、このソフトウェアはデバイスメーカーとは全く関係がなく、設置・使用は自己責任となる


■ PC用ゲームパッドはこうして作られる! 多国籍デバイスメーカー・ロジクールの取り組み

ロジクールの製品ラインナップ
ゲームパッドの市場傾向。PCオンラインゲームやマルチプラットフォームタイトルの増加などが好材料になっている
 さて、各社各種のPC用ゲームパッド製品をご紹介する前に、もっとゲームパッドについて知っておきたい。そもそも、良いゲームパッドとは何だろうか? ゲーマーとしての経験から簡単に想像してみると、まず、操作性が良いこと、手になじむこと、ということが考えられるが、果たしてそういった曖昧な基準だけでゲームパッド製品を正しく評価できるのだろうか? もっとわかりやすい絶対的な指標でゲームパッドを評価できないものだろうか?

 この疑問を少しでも解決するため、今回、大手ペリフェラルメーカーの日本支社であるロジクール株式会社にご協力を頂いた。ロジクールは、マウスやキーボードといった一般用途の製品だけでなく、ジョイスティックやゲームパッドといったゲーマー向けのラインナップも豊富だ。この分野では業界随一の老舗でもある。

 国内のPCゲームパッド市場においての近年の動向は、ロジクールにとってうまく推移しているようだ。というのも、オンラインゲームの一般化と多様化、マルチプラットフォームタイトルの増加といった傾向がPC用ゲームパッドの需要を良く刺激しており、市場自体が拡大しているためだ。

 その中でもロジクールの業績は、右の写真にあるように、他社に比べてダントツの成長を見せているという。取材に答えてくれたロジクールの担当者によれば、その強さの理由は、形状、使いやすさ、機能性、そして耐久性という、製品クオリティが高く評価されたためだという。


・モックアップ、金型作成、生産まで、一貫して自社内で行える強み

ロジクールの製品開発段階では、このような設備を使っての徹底的な耐久試験が行なわれるという
 耐久性というとあまり指標としてはぴんと来ないかもしれないが、顕著な例をひとつ挙げよう。一時期、カプコンのオンラインゲーム「モンスターハンター フロンティア オンライン(MHF)」の推奨ゲームパッドとして、ロジクールを含む3社の製品がピックアップされていたことがあった。ところが、「MHF」は非常に激しい操作が連続するゲームであり、ゲームパッドの耐久性が試されるタイトルだったのだ。

 結果、3社の製品が推奨ゲームパッドとなってから1カ月、2カ月ほどで、ゲームパッドの故障に由来する問い合わせがカプコンに殺到するようになった。この対応に苦慮したカプコンは、結果的に、故障報告の特に少なかったロジクールのゲームパッドを“特にイチオシ”することにしたという。そして現在「MHF」公式サイト上の推奨ゲームパッド情報を見てみると、ロジクールの製品が上位にリストアップされている。

 このエピソードが伝えるように、ゲームパッドの重要な指標のひとつは「耐久性が高いこと」である。激しい操作を続けて数カ月でボタンがおかしくなったりするようでは、1年に何個も買い換える必要が出てしまい、とても快適とは言えないのだ。この点において、満足いくクオリティを提供できているハードメーカーは実は非常に少ないという。

 ロジクールの製品が高耐久性を実現している背景には、製品設計から生産までのプロセスを、全て自社内で行なうという開発体制がある。万全のクオリティコントロールが可能になっているのだ。ロジクールでは製品開発の最終段階で徹底した耐久試験を行なっており、その結果を基に実際の製品が完成する。

 しかし、モックアップ(木型)の作成、様々な試験、そして大量生産のための金型作成というのは、実はものすごくお金がかかる。全てを自社内で完結するためにはそれなりのビジネススケールと企業姿勢が必要であるが、国内ベンダーでそれが出来ている企業はほとんどないという。その点ロジクールは全世界で商売しており、毎年のように莫大な研究開発費を計上している。このため全製品で一貫して自社開発が可能になっているわけだ。


・製品デザインに日本ユーザーの声が反映

ロジクールの特許技術のひとつ「Floating D-PAD」。ロジクールはこの技術の採用により、方向パッドの正確性、反応性に自信を持っている
 その開発プロセスには、日本市場の反応も重要視されている。新しいゲームパッドをデザインするとき、まず米国本社で開発企画が立ち上がり、基本形状となるモックアップが作成されるのだが、これが日本に持ち込まれ、一般の人々を対象に調査が行なわれるのだ。

 具体的には、秋葉原などの街頭で一般の人にモックアップを触ってもらったり、国内ゲームスタジオの開発者に評価してもらう。ここが良い、ここがダメというユーザーの意見を本社にフィードバックし、最終的な製品デザインに反映されるわけだ。それを元に、アイルランドにあるデザイン部門で最終的な製品設計が行なわれ、金型作成および大量生産に入るというプロセスである。

 ロジクールの担当者によれば、日本ユーザーのフィードバックには「もっと小さい方がいい」というものが多かったようで、それが結果的に、米国本社にとっても良いインパクトを与えたそうだ。大ざっぱになりがちな米国型の製品デザインが、日本人の意見でより繊細なものに変わっていたというのは非常に面白い。

 このほかにも、日本ゲーム業界のお家芸である格闘ゲームでの仕様を念頭に入れた特許技術も開発している。近年のロジクール製コントローラの方向パッド部に採用されている「Floating D-Pad」というものがそれだ。コマンド入力を速く、正確にするため、方向パッドを特殊な構造の支柱で支えるという構造だ。

 これにより、方向入力時の安定性と適度なクリック感が得られ、誤入力の可能性が低くなっている。また、右、左といった逆方向に素早く入力する際、逆側の支柱が完全に押し込まれる前に反応するという特性があり、物理的な部分で高速応答性が実現している。

 ロジクールでは十字パッドの入力正確性を実証するために、専用の統計ソフトと人力を使って、何万回もの入力テストを行なっているという。その結果、80%~90%という高い正確性を確保しているという。例として挙げられた他社製のコントローラでは、これが60%くらいのものもあるようで、非常に高いアドバンテージを自負しているようだ。

 こうした取り組みが功を奏して、ロジクールのゲームパッド製品は「モンスターハンター フロンティア オンライン」のようなPC用オンラインゲームとの良好なコラボレーションを実現している。ロジクールはこの結果に自信を深めており、今後さらに多数のオンラインゲームとの協力的なキャンペーンを実施していきたいとしている。

ロジクールの代表的ラインナップ。日本市場の特性に合わせ、プレイステーション 2タイプを中心に各価格帯の製品を展開している



■ 最新マルチプラットフォームタイトルもどんと来い! アナログトリガー搭載型PCゲームパッド

 それでは順番にゲームパッドをレビューしていきたい。まず、念頭に置いておきたいのは、リファレンスとなるプレイステーション 3及びXbox 360のコントローラで共通しているのは、2本のアナログスティックに加えて、ショルダー部に2つのアナログトリガーを搭載していることだ。

 アナログトリガーは、レースゲームなど細かい入力が必要なゲームの操作に適しており、コンシューマゲームでは欠かせないキーのひとつと言っていい。ところが、今回PC用ゲームパッド市場を調査した結果、アナログトリガーを搭載したゲームパッドは、意外にもまだ少ないことがわかった。ここで紹介する2つのゲームパッドは、その希少な中での代表的な製品だ。


【Xbox 360 Controller for Windows】
開発/発売元:マイクロソフト
価格:3,700円
発売日:2005年12月22日(発売中)
タイプ:Xbox 360コントローラ完全準拠
備考:Xbox 360完全互換

PCに繋ぐ場合、ガイドボタンが機能しないが、それ以外は普通に使える
 「これはXbox 360のコントローラそのものじゃないか」と思ったかもしれないが、これはWindows PC用ゲームパッドとして販売されているバージョンのXbox 360 ワイヤードコントローラだ。コントローラ本体はXbox 360用として売られている「Xbox 360 コントローラ」(価格3,500円)とハードウェア的にはまったく同じもので、Windows用のドライバCDが添付されている点だけが異なる。

 前述したように、Xbox 360とのマルチプラットフォームタイトルをプレイするには、このコントローラが間違いなく最適だ。その他のタイトルをプレイする上でも、両肩に装備されたアナログトリガーの存在が嬉しい。レースゲームで、フライトシムで、手軽にアナログ操作ができる。

 製品自体のクオリティについては、Xbox 360公式のコントローラであることもあり、うるさい批評は必要ないだろう。よく手になじみ、耐久性も抜群で、ゲームパッドを前提とするあらゆるゲームに適合する。Xbox 360ユーザーならば、PCでゲームをするときも本製品で決まりといっていいかもしれない。

本製品については「Xbox 360の有線版コントローラはPCで問題なく使える」、という説明だけで十分だろう。アナログトリガーを活用して様々なゲームを楽しみたい


【Cyborg Rumble】
開発元:Saitek
発売元:MSY
価格:4,780円
発売日:2008年5月3日(発売中)
タイプ:PS3/Xbox 360タイプ
備考:方向パッドとアナログスティックの位置交換可能

アナログトリガーを搭載。さらに方向パッドとアナログスティックの物理的な配置換えが可能
 PCゲーミングデバイスの老舗である米Saitekから今年5月に発売された最新ゲームパッド「Cyborg Rumble」は、Xbox 360コントローラによく似た形状を持つゲームパッドだ。ショルダー部にはXbox 360と同じスタイルのアナログトリガーを装備し、もちろん振動機能も搭載。それだけでなく、「方向パッドとアナログスティックの位置を交換可能」というPCデバイスらしい特徴がある。

 位置を交換するのはとても簡単。コントローラ背面にあるボタンを押すと、十字パッドと左アナログスティック部のユニットが外れる。これを回転させてはめ込めば完了だ。これにより、本製品では、Xbox 360タイプ、プレイステーション 3タイプの両方の操作スタイルが可能になっている。さらに付属ソフトウェアにより、カスタマイズ性、マクロ機能とも大充実である。

 ボタンやスティックの感触は柔らかめで、少ない力で操作できるのが特徴だ。価格は5,000円近くと、やや高い部類に属するが、これひとつあればPCであらゆるゲームパッド向けタイトルが快適にプレイできてしまうことを考えればコストパフォーマンスは高い。この製品については弊誌でレビュー記事をご紹介しているので、そちらも参考にしていただきたい。

十字パッドとスティックの位置を交換できるので、プレイステーション3タイプの配置と、Xbox 360タイプの配置を両方使える。様々なシチュエーションで快適に使えるというメリットがあるので、少々高めの価格設定も納得だ


■ 汎用性抜群! プレイステーション 2タイプのPCゲームパッド

 こちらのカテゴリの製品群は、アナログトリガーを装備せず、ショルダー部に4つのデジタル式ボタンを搭載するもので、プレイステーション 2 タイプと呼べるものだ。遊びのあるアナログ式のトリガーより素早く入力できるというメリットがあり、格闘ゲームやスポーツゲームなど、高速レスポンスが重要になるゲームに最適だ。現在でも多くのユーザーが進んでこちらを選択している。

 今回ラインナップした製品はいずれも、方向パッドに加えて2本のアナログスティックと、10以上のボタンを供えている。安価な製品にはアナログスティックを備えてなかったり、ボタンがもっと少ないものも存在するのだが、現実問題として、最近のPCタイトルを幅広くプレイする上では、プレイステーション2水準のコントローラ機能が必要であり、その水準にないものは選択から除外した。


【Logicool PC Game Controller】
発売元:ロジクール
価格:4,980円
発売日:2008年12月17日(発売中)
タイプ:プレイステーション2タイプ
備考:モンスターハンター フロンティア オンライン スターターパッケージ

ロジクールのプレイステーション2タイプPCゲームパッド。「モンスターハンター フロンティア オンライン」推奨パッケージで、各種特典付きの内容となっている
 Xbox 360タイプに対する存在となるプレイステーション 2タイプのゲームパッドとしてまずご紹介したいのは、ロジクールから12月17日に発売された最新製品「Logicool PC Game Controller」だ。モノとしては、高耐久性で好評を受けた従来モデル「GPX-500BK」のバリエーションである、「GPX-450BK」というモデルの製品が使われている。今回装い新たに「モンスターハンター フロンティア オンライン」推奨ゲームパッドとして特典付きで発売されるという形だ。

 本製品は、PC用ゲームパッドとして必要な特性をほぼ全て備えている。まずはその形状だが、プレイステーション 2用のDUALSHOCK コントローラに極めて近いレイアウトを持っており、すぐに手になじむ。方向パッド部にはロジクールの「Floating D-PAD」技術が採用されており、軽快な操作感が得られるのが特徴だ。耐久性についても、過去モデルの実績から推測して、満足行く水準にあると期待できる。

 気になるのは、表面の4つのボタンのクリックがやや硬く、かちかち音が耳に付くところ。その他のボタンやアナログスティックの作りはしっかりしている。また同梱ドライバソフトウェアにより、各ボタンのカスタマイズやマクロ設定が可能になっているので、幅広いシチュエーションで満足いく結果を得られるだろう。明確な弱点としては、振動機能がないことと、価格がやや高めに設定されていることだ。

プレイステーション2純正コントローラに近い形状で、全体的にザラつきのあるマテリアルで作られている。耐久性に定評のある製品シリーズに属し、長く愛用するにはうってつけと言える


【JC-U2312F】
発売元:エレコム
価格:3,045円
発売日:2006年5月12日(発売中)
タイプ:プレイステーション2タイプ
備考:シルバーの他、ゴールド、ブルーの各色バリエーションあり

連射機能、ボタン再配置機能をハードウェア的に搭載するゲームパッド
 国内PCデバイスベンダーのエレコムからは、メーカーイチオシの「JC-U2312F」をご紹介。同社のゲームパッド製品の中では一番のヒット作だという。レイアウトとしてはプレイステーション 2タイプで、デジタル方向パッド、2本のアナログスティック、10ボタンを装備。振動機能も備えている。

 付加的な機能としては、コントローラ中央にある各コントロールボタンで、各ボタンの連射機能、ボタンの配置替えなどのカスタマイズが可能だ。こうした機能性は悪くないが、ボタンの感触はあまり良好とは言えない。表面の4ボタンはかなり硬く、高速操作に不向き。また、方向パッドは感触が曖昧で、斜め方向に誤入力しやすい。

 また、発売されて2年以上が経過する製品ということもあり、耐久性について不満の声もちらほらと聞かれる。PCゲームコーナーのある量販店では必ず置いてあるという、入手性に優れた製品であるだけに、各種の弱点を補ったマイナーバージョンアップ版の投入が欲しいところだ。

量販店では必ずといっていいほど見かけるメジャーな製品。連射機能、ボタンの再配置機能などをハードウェア的に搭載しており、各種PCゲームでの利用を念頭においた基本スペックとなっている


【BGCMUCF1606】
発売元:バッファローコクヨサプライ
価格:5,350円
発売日:2007年8月(発売中)
タイプ:プレイステーション2タイプ
備考:モーションセンサー搭載

前後左右の傾斜角を検出する2軸自由度のモーションセンサーを搭載
 国内PCサプライベンダーのバッファローコクヨサプライから発売されている「BGGCMUCF1606」は、コントローラ本体の傾きを軸入力に変換するというモーションセンサーを搭載する変わり種の製品だ。こういうチャレンジングなコンセプトが大好きな筆者は、店頭で本製品を見つけるなり真っ先に手に取った。

 モーションセンサー搭載と言われてまず想像するのは、プレイステーション 3用コントローラのSIXAXIS機能だろう。本製品では縦軸、横軸の2軸自由度が確保されており、コントローラの傾きがアナログ入力としてPCに伝わる仕組みで、反応性はまずまず。

 しかし、モーションセンサーを使うモードは独立しており、その状態にすると左アナログスティックが使用不可となってしまうという謎仕様で、これでは実用性が乏しい。仕様としては10年程前にマイクロソフトから発売されていた「Microsoft Sidewinder Freestyle Pro」相当で、SIXAXISのような高機能は実現されていない模様だ。

 その他の作りとしては、本体寸法がやや小型で、小さい手の女性などによくマッチするサイズになっているといえるだろう。逆に言うと、筆者を含め、男性の手のサイズでは、ボタンや方向パッドが手の平に近すぎて、窮屈な感じを受ける。前述の「Microsoft Sidewinder Freestyle Pro」ライクな製品をピンポイントで探しているユーザーにはオススメできる。

全体的には寸法が小さめで、子供や女性にぴったりのサイズ。ボタンの感触は非常に軽く、ゆるい力で操作が可能だ。傾きセンサーについては、使用時に左アナログスティックが無効になることもあり、使い処があまりなさそうだった


【BSCPCP1202】
発売元:バッファローコクヨサプライ
価格:5,350円
発売日:2008年6月10日(発売中)
タイプ:プレイステーション2タイプ
備考:カプコン「デビル メイ クライ 4」公認モデル

「デビル メイ クライ 4」公認のモデル。愛称は「ヘルフェンサー」
 「BSCPCP1202」はバッファローコクヨサプライから販売されている、「デビル メイ クライ 4」公認のゲームパッドだ。特徴的なデザインはスタイリッシュな雰囲気があり、カッコいい。機能的にはプレイステーション 2のDUALSHOCKコントローラ相当の内容で、十字パッド、アナログスティック2本、11ボタンを備える。ショルダー部分のボタンはトリガー風の形状になっているが、アナログではなくあくまでデジタルボタンなので注意。

 本製品はPC用ゲームパッドであると同時に、プレイステーション 3にそのまま繋げて仕様できるという互換性を備えているがある。PCで使う場合は、中央に位置する「PS」ボタンは通常の「11番目のボタン」として機能するが、プレイステーション3モードではこれがシステムボタンとなる。

 各ボタンの感触は非常に柔らかく、ごく小さな力でサクサクと押すことができ、操作感覚は非常に良好だ。方向パッドも柔らかめで軽く操作できるが、ストロークが浅いため、誤入力が起きないよう少々の慣れが必要だった。反面、アナログスティックの感触も良好で、全体的な作りは高水準だ。標準で5,000円を超える価格は、このデザインを気に入るかどうかで評価がわかれるだろう。

高級感のあるデザインがなかなか素敵な「デビル メイ クライ 4」公認ゲームパッド。同作のファンに限らず、独特のデザインが気に入れば価値のある一品となるだろう


■ 好みに応じて選択できるのがPCゲーミングデバイスの良さ。
 同時に、選択肢が多すぎることの難しさも痛感

PCゲームパッドには標準規格がないかわりに、色々な外部ソフトウェアで動作カスタマイズが可能という特性もある。こちらはフリーソフトウェアの「JoyToKey」。パッドの入力を任意のキーストロークに変更できる
 今回はゲームパッドについて掘り下げてみた。取材、執筆にあたってこれほど沢山のゲームパッドに触れたのは筆者としても初めての経験だったが、そこで痛感したのが、ゲームパッド製品はあまりにも多くのラインナップが各社から販売されているが故に、それが逆に不便さを生じている部分もあるのではないか、という事だ。

 特にPCゲームの世界では、ゲームパッドについての標準規格が存在していないため、各社各製品でボタンの番号配置がバラバラだったりする。その結果、新しいゲームパッドを繋ぐたびにゲーム側の設定を変更しなければならない。こういった手間は、ゲーム専用機では考えられない話だ。この点では、やはり皆が同じコンフィギュレーションでゲームをプレイできるコンシューマ機の世界のほうが数歩先を進んでいるという印象だ。

 結論から言うと、完全無欠なベストゲームパッドは“存在しない”というのが正直なところで、PC向けゲームパッド業界はまだまだ伸びしろがあるように感じられた。また、今回紹介したラインナップも、現在市場で流通しているゲームパッド製品のほんのごく一部であり、評価に値するゲームパッドはまだまだ存在することは付け加えておきたい。

 強いてお勧めを言えば、プレイステーション3/Xbox 360のマルチプラットフォームタイトルやレースゲームをプレイするならば「Xbox 360 Controller for Windows」が鉄板だろう。PCでしか使えないが、DUALSHOCKタイプのスティック配置にできる「Cyborg Rumble」も悪くない。耐久性なら「Logicool PC Game Controller」だろうか。最終的にいずれを選ぶにしても、まずはゲームパッドでのプレイに適したお好みのゲームを選び、ゲームパッドでのゲームプレイを楽しむところから始めると良いだろう。


(2008年12月24日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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