HOME> ゲーム> 『ダライアスバースト』発売記念前夜祭が開催、ZUNTATAの感動秘話も
●スーパープレイは後日配信
タイトーから2009年12月24日発売予定のPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『ダライアスバースト』。このソフトの発売を記念して、抽選で選ばれた約80名のファンが集まり、エンターブレイン社屋で発売記念前夜祭が開催された。『ダライアス』シリーズ作品のスーパープレイの実演にはじまり、『バースト』の開発者を招いてのトークショウ、そしてタイトーのサウンドチームZUNTATAによるミニライブありと文字通りスペシャルな内容に。会場には、いまや貴重な『ダライアス』の3画面筐体、『ダライアス2』の2画面大型筐体のほか、家庭用ゲーム機を含む歴代シリーズ作品のほとんどが試遊ができ、まさに“ダライアス一色”といった雰囲気となった。
▲歴代の『ダライアス』が勢ぞろいしたイベント空間。ファンにとっては夢心地の空間に。 |
イベントは3部構成で、1部ではシューティングゲームイベント“わっしょい”の番外編が実施された。わっしょいは不定期ながらお台場で行われているイベントで、お酒を飲みながらさまざまなシューティングゲームのスーパープレイを見物するというもの。プレイヤーと解説者が登場する形で、『ダライアス外伝』と『Gダライアス』の超絶プレイがお披露目された。やはりプレイヤー、解説者ともに全国トッププレイヤーだけあり、その腕前はプロ級。とくに得点を稼ぎ出す理論は規格外で、来場者たちの耳は解説者の声に、視線は終始モニターに釘付けに。既報のとおり、生放送も同時に行われていて、サイト上のチャットでは、「あそこが安全地帯か」、「非常に参考になる」、「ハラハラして、みてるだけで疲れる」、「こんな神プレイできるわけない」などとこちらも大盛り上がり。この様子は後日映像とともにお伝えするのでお楽しみに。
▲『ダライアス外伝』のプレイはIMOさん、解説はひろりんさん。『Gダライアス』のプレイは大明神さん、解説はででおが行った。食い入るようにモニターを見つめる参加者たち。 |
続いては企画&プロデューサーのアオキヒロシ氏を招いてのトークショウが。同氏の話術は素人とは思えぬ軽妙さで、会場が一気にアオキワールドに。だが、話題が「なぜいま『ダライアス』なのか?」というテーマになると、「このご時勢、シューティングゲームを作るのは難しいんです」と前置きし、その経緯を熱く語り出した。同氏が『ダライアス』最新作を開発しようと考えだしたのは4年前。そのまえから自社の作品ながら発売を期待していたのに、誰も作る気配がない。それなら自分がと一念発起したものの、開発許可を得ようと会社を駆けずり回るが、どうしても企画がとおらない。しかもシューティングゲーム事業自体、タイトー社内でもニッチなものになってしまい、開発内部でも作れる人が少なくなってきたという背景もあるという。
本業の『スペースインベーダー エクストリーム』シリーズなどを開発しながらもその情熱が冷めることなく、「理論武装というよりも、熱意だけで通しました(笑)」と、昨年2008年にやっとの思いで会社の稟議が通った。でも『ダライアス』シリーズの開発には悩みもあったようで……。
「『ダライアス』ってシリーズ第1作目からゾーン分岐という“悪しき歴史”(!)があるじゃないですか(笑)。ステージ数が膨大で単純に作業量的にやりたくない、という開発者もいるんです。だいたい最初に聞かれるのが「ゾーンはいくつですか?」という質問で、ゾーンあたりいくら? っていう、まさに“ゾーン単価”を決めないといけない勢いだった(笑)」(アオキ)
生々しい発言が飛び出したが、このアオキ氏以上の熱意で開発を引き受けたのが、ピラミッドという開発会社だ。ディレクターを務めた同社柏木氏も檀上に招かれ、開発秘話をおしみなく披露。やはり名作シューティングの最新作を作るということは、喜びととに相当なプレッシャーを感じたようで、まずふたりは“『ダライアス』って何だ?”というところから密にディスカッションを重ねていったという。さらには、タイトーメンバーとピラミッドのメンバー、ZUNTATA3者の親睦をより深めるためにと合宿も実施。毎日ゲームについて夢を語り合い、そして夜も夜通しで『ダライアス』について語り合った……と思いきや、「何しに合宿したというと、正直『モンハン』のためでしたね(笑)」とほとんど『モンハン』漬けだったことをアオキ氏が暴露すると、会場からは割れんばかりの笑いと拍手が沸き起こった。
ここでもっとも注目を集めた話を紹介しよう。そもそも最新作『ダライアスバースト』がなぜPSPソフトなのか? という部分に引っ掛かっていたユーザーは少なくないはず。これについてアオキ氏は「『ダライアスバースト』は最初からPSPと決めていた作品」ときっぱり。昔はシューティングがゲームセンターの花形筐体だったことを振り返りつつ、こう思い入れを語った。
「シューティングは(ゲームセンターに)行ってすぐできる、説明なしでプレイできる非常にカジュアルなものだったと思うんです。寄り道気分で遊べて、その寄り道という言葉がシューティングにぴったり合う。それならどこでも遊べる携帯ゲーム機がベストだと考えました。実際、(『ダライアスバースト』を)電車の中でプレイしたり、寝る前にベッドでプレイしてみて、これだって思いましたね」(同)
懸念されたボタン操作もまったく問題なく、PSPで作って正解だったと語気を強めたアオキ氏。「作りもアーケードっぽいんですよ。スタートボタンを押したらすぐゲーム。デモがいっさい入らないんです。……あ、これは時間がなかったのではなくこだわりですよ」。
『ダライアスバースト』のテーマのひとつは、シューティングゲームの原点回帰。古き良き時代のシューティングの雰囲気を保ちながらも、新システム“バースト”などで新しい一面を見せようとしている、シューターへの熱いメッセージがこもった作品になっている。最後に、まだ発売もされていないのに早くも次回作についてMCに突っ込まれたアオキ氏は、「やっぱりアーケードを作りたい。でもこの『ダライアスバースト』の売れ行き次第かな……みなさんも今日のことをブログにどんどん書いてください」と抜け目なく宣伝もし、最後の最後まで笑いを誘っていた。
●サウンド制作時、ZUNTATAが怪奇現象を経験!?
▲ZUNTATAの生ライブは鳥肌もの。「生放送で小倉さんも見ているのに、少し間違えたりしちゃいました」と苦笑いの石川氏。 |
タイトーの作品というとやはりサウンドが際立つ。そして注目されるのが同社サウンドチームZUNTATAの存在だ。もちろん今作も手掛けていて、ディレクターの石川勝久氏、メインコンポーサーの土屋昇平氏、小塩広和氏がステージに登場。シリーズ作品すべてを手掛けてきた小倉久佳氏はフリーの立場で、コンポーザーとして参加している。
名作シリーズゆえ、さらにはネットなどで神と崇められている小倉氏の後継ということで相当なプレッシャーを感じていたというメンバー。「アオキさんに斬新だけど『ダライアス』の音であってほしい。ほかのゲームに入れて違和感があっても、『ダライアス』だけにはぴったりのような……と、一休さんのようなことを言われた(笑)」と石川氏は当時を振り返える。手探り状態ゆえに何度もボツを食らいながらも、作曲活動に渾身の力を込めたという。ここで来場者たちの感動をさそったのが、土屋氏の話。
小倉氏のことを非常に尊敬しているが、同氏の楽曲をほとんど聞いたことはなかったという土屋氏。「僕は『ダライアス』信者、小倉信者でもない」。土屋氏はシリーズファンの気持ちを考えながらも、これまでの小倉氏の曲を聴くことなく作曲活動を行っていたという。ところがいざ楽曲の数々が完成して、過去の作品と比較してみると、その流れが非常に似ていることが発覚。小倉氏の手ほどきを受けたわけではないのに、だ。『ダライアス』という作品が持つ存在感ゆえか、不思議な現象である。
ZUNTATAのこだわりは効果音にもきちんと反映されていて、“WARNING!”の音が第1作目を意識して野太い音になっていたり、爆音などの効果音も「全体的にシンプルながらも、非常にシューティングゲームっぽくなっている」(石川)という。
この後、ZUNTATAによるミニライブも実施され、会場のボルテージはマックスに。『ダライアスバースト』からメインBGM“Good-bye
my earth”、『スペースインベーダーインフィニティージーン』や『エクストリーム』(DS版)などの曲をミックスした“新旧対決メドレー”、そしてトリを飾ったのは「ZUNTATAの名曲の古いものから古いものまで、とにかくおっさんホイホイ的なスペシャルメドレー」を披露。チャット上では「うおおおおおおおおおおおおおおお!」、「鳥肌がとまらない」、「ZTT!ZTT!」という歓喜の言葉が躍り、イベントは熱狂的なファンに見守れながら大盛況のうちに幕を閉じた。会場の熱気を見る限り、久し振りにシューティングというジャンルが盛り上がりそうだが……はたして!?
※『ダライアスバースト』のサイトはこちら
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