連載
インディーズゲームの小部屋:Room#279「Strike Suit Infinity」
仕事柄……というか,ほとんど趣味で海外のゲームを購入することが多いため,近頃の円安傾向に思わず涙目の筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第279回は,Born Ready Gamesの「Strike Suit Infinity」を紹介する。本作は,ロボット形態に変形可能な可変戦闘機“Strike Suit”を操って次々と敵を撃破していく,スコアアタックに特化したスペースコンバットシューティングだ。おのれ,アベノミクスめ……。
タイトルからお分かりのとおり,本作は「鉄騎」や「無限航路」で知られる大久保淳二氏によるメカデザインや,シンガーソングライターのKOKIAとのコラボによるメインテーマなどで注目を集め,Kickstarterでの資金調達に成功して2013年1月に発売された「Strike Suit Zero」のスピンオフ作品だ。
Zeroは西暦2299年の宇宙を舞台に,地球の存亡をかけた戦いを描いたキャンペーンモードがメインの作品だったが,本作では正直あまり評判の良くなかったストーリー要素をばっさり削除。Strike Suitを思う存分操作して敵との戦いだけに集中できる,かなり割り切った作りのゲームに生まれ変わっている。
そのため,前作をプレイしていなくても,まったく問題なく本作を楽しめるうえ,価格も一気に半分以下になっており,これから手を出してみようと思っている人には間違いなく本作をお勧めしたいが,前作を購入した人にとっては複雑な気持ちかもしれない。ぐぬぬ。
それはさておき,本作の目的は全18ラウンドを戦いながら,ハイスコアを目指すこと。1ラウンドにつき,複数回のウェーブ(敵の出現)があり,画面左上のウェーブタイマーが0になるごとに新たな敵の一群が出現する。ラウンドとラウンドのあいだにあるインターミッションでは,次のラウンドで出現する敵の組み合わせが確認できる。本作で特徴的なのは,この時,敵の大型艦を撃破したときなどにスコアとは別に入手できる“クレジット”を使って,味方の援軍を要請できることだ。
例えば,次のラウンドで敵の駆逐艦や巡洋艦が出現することがあらかじめ分かっていれば,これらに対して有効な攻撃ができる爆撃機を援軍として呼ぶことで,戦闘を有利に進められるというわけ。また,クレジットを使って味方パイロットのレベルを上げることもできる。
援軍要請はそのラウンド中のみ有効だが,味方パイロットのレベルはゲームオーバーにならない限り次のラウンド以降にも引き継がれる。援軍を大量に呼べばそのラウンドでは大勝できるかもしれないが,パイロットのレベルを上げなければ結局は撃墜されるだけということにもなりかねず,限りあるクレジットをいかに使うかが腕の見せどころだ。
そして,本作の一番の見どころは,やはり何と言っても可変戦闘機Strike Suitを使った,豪快でスピード感あふれる戦闘だ。飛行形態の追撃モードから人型形態のストライクモードへの変形には,敵機を撃墜したときに得られる“Flux”と呼ばれるエネルギーが必要で,ストライクモードで敵を攻撃するとFluxゲージが徐々に減少していく。ストライクモードになるとミサイルのマルチロックオンや自動照準による全周攻撃が可能になり,その爽快感はかなりのもの。もちろん,大久保氏のデザインによるメカは文句なしにかっこいい。
機体操作に使用するキーが多く,飛行形態と人型形態とで操作方法が若干変化したりと,慣れるまでに多少の時間を要するものの,メカ好きならばぜひプレイしてほしい一本だ。初めてプレイする人は,まずトレーニングシミュレーターで一通りの操作方法を学んでおこう。そんな本作は,SteamやGamersGateにて6.99ドルで発売中なので,可変メカを自由自在に操りたい人はぜひどうぞ。
■「Strike Suit Infinity」公式サイト
http://www.strikesuitzero.com/infinity/- この記事のURL:
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