インディーズゲームの小部屋：Room＃285「Futuridium」

　気付けば今月末で連載開始から7年めを迎えようとしている「インディーズゲームの小部屋」の第285回は，イタリアを拠点に活動する独立系デベロッパ，Mixed Bagが開発した「Futuridium」を紹介する。本作は，敵の巨大宇宙戦艦との戦いに特化した3Dシューティングだ。うへえ，もう7年めか……。最初は3か月で終了する予定だったのに。


　ゲームタイトルを見て，すぐにピンと来た人は相当なレトロゲームマニアだと思われるが，本作は1986年にCommodore 64で発売された横スクロールシューティング「Uridium」を，3Dグラフィックスで現代に蘇らせたような作品だ。Uridiumは，敵戦艦の真上で次々と現れる敵戦闘機と戦いつつ，戦艦の防御機構を破壊し，その撃沈を目指すという内容。日本国内では発売されていないが，巨大戦艦の頭上を舞台にした斬新なステージ構成や，当時としては先進的なグラフィックスで多くのファンを獲得したゲームなのだ。


　本作の主人公は迫り来る敵との戦いのため，ヴァイパーVと呼ばれる宙域へ向かっていた。しかし，今まさに戦いが始まろうとした時，突然何かが起こり，気付くとあたりに味方の姿はなく，代わりに敵の巨大戦艦にすっかり取り囲まれていた。何が起こったのかはまったく分からないが，とにかくこの謎の空間（？）から脱出する望みをかけて，すべての戦艦の殲滅を目指す……。


　ということで，本作でも全ステージで異星人の巨大戦艦との戦いが待っている。自機の操作方法は，方向キー（もしくはW/A/S/D）で移動，Qキーで攻撃というもので，特別なパワーアップなどは用意されていない。また，Uridiumでは左右双方向へのスクロールが特徴の一つだったが，3Dシューティングになった本作では，Spaceバーで自機の180度ターンが可能になっている。これは文字どおり，自機の進行方向を瞬時にぐるりと反転させるもので，これを駆使して戦艦の頭上を往復しつつ戦うのだ。


　ゲームを開始すると，画面右上のエネルギーゲージがどんどん減少していく。これを止める手立てはないが，ありがたいことに戦艦の表面にある青いキューブを破壊すると，自機のエネルギーが一定量回復する。もたもたしていると，あっという間にエネルギーが尽きてしまうので，素早くキューブを壊していこう。すべてのキューブを破壊すると最後に戦艦のコアが出現し，これを撃破すれば一丁上がり。戦艦は爆発四散し，ステージクリアだ。


　こんな風に文章にしてしまうと簡単そうに思われるかもしれないが，実のところ，これがなかなか一筋縄ではいかない。自機がノンストップで飛び続けているのに加え，ターゲットのキューブが構造物の陰など，非常に狙いにくい場所に配置されているのだ。そのため，入り組んだ地形のあいだを縫うように自機を操作しなければならず，まるでデススターに突入したXウイングを操縦する，ルーク・スカイウォーカーのような気分が味わえる。


　さらに，最初のうちは単純な形状で反撃すらしてこない敵戦艦も，ステージが進むにつれて複雑な形になり，攻撃も激しさを増してくる。自機はただ飛んでいるだけでみるみるうちにエネルギーを消耗していくので，戦いが長引くほど状況が不利になるのは言うまでもないだろう。最小限の動きで敵の攻撃をかわし，最短ルートを飛んでキューブを破壊していくという職人芸のような指さばきが，勝負のカギを握っているのだ。これは難しい！

　初代「スターフォックス」のような，シンプルながらセンスのある色づかいのグラフィックスも魅力的な本作は，公式サイトでフリーソフトとして公開されているので，興味を持った人はさっそくダウンロードしてみよう。

■「Futuridium」公式サイト

http://futuridium.com/