注目のシューティングタイトルが目白押し

 2015年12月26日、東京・秋葉原の廣瀬無線電機イベントホールにて、PC向けシューティングゲームイベント"トランジション"が開催された。縦および横スクロールシューティングゲームがその活躍の場をPCへ移行しようとしている……という現状をもっと知ってもらうために開催されたイベントだ。この日は総入場者数1319名(再入場含む)ほど集まり、シューティングゲームシーンはまだまだ熱いことを再確認できた催しとなった。

シューティングイベント“トランジション”開催 まじめな話題から暴走トークまで飛び交ったトークショーは大盛り上がり!?_01
シューティングイベント“トランジション”開催 まじめな話題から暴走トークまで飛び交ったトークショーは大盛り上がり!?_02
▲縦画面対応ゲームは、その環境で試遊PCを設置。モニタを縦にすると画面が大きくなるね!
▲『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』は2画面モードも設置。これはPC版のみの機能だ。

 イベントとしては、Steamで配信中および配信予定のシューティンゲーム13本の試遊、スコアアタック大会、グッズ物販、そしてトークショーが行われた。
 まず試遊コーナーから見てみよう。設置されていたのは以下のタイトル。

・ダライアスバースト クロニクルセイバーズ(キャラアニ/2016年1月14日配信予定)
・デススマイルズ(ケイブ/2016年春発売予定) 
・Mushihimesama(ケイブ/配信中)
・Strania - The Stella Machina -(グレフ/配信中)
・ESCHATOS(キュート/配信中)
・Ikaruga(トレジャー/配信中)
・DELTAZEAL(トライアングルサービス/配信中)
・XIIZEAL(トライアングルサービス/配信中)
・Raiden IV: OverKill(モス/配信中)
・Raiden III Digital Edition(モス/配信中)
・Crimzon Clover(四つ羽根/配信中)
・Astebreed(えーでるわいす/配信中)
・REVOLVER360 RE:ACTOR(クロスイーグレット/配信中)

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▲ケイブは本イベント会場でSteam版『デススマイルズ』を発表。2016年春リリースに向けて開発中だそう。ベースはXbox 360版だが、インターフェイスなど細かい部分を調整中だという。この発表後、試遊スペースでプレイできるようになっていた。

 物販はタイトーとケイブが出店。この日初売・限定となる商品などもあり、大行列となっていた。とくにケイブの缶バッジガチャはビルの階段まで長く伸びる大行列となり、午後もしばらく途切れることがなかった。

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▲物販はとくに午前中に大賑わい。イベントスペース内だけでは行列の処理ができず、ビルの階段まで行列が続いていた。

『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』開発秘話

 シューティングファンお目当てのクリエイタートークショーは、全部で5つほど行われた。
 最初に行われたのは、発売間近の『ダライアスバースト』だ。「光と音のバーストリンク! ダライアスバーストシリーズの歩みを振り返る」と題し、シリーズの開発秘話を語るというものだ。

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▲左からサウンドチームZUNTATAの石川勝久氏と土屋昇平氏、タイトーの針谷真氏、開発会社ピラミッドの柏木准一氏とジェームス・ラグ氏。

 まずは『ダライイアスバースト』シリーズの歴史解説から。2009年にPSP版からシリーズはスタート。そこから2010年にアーケード版『~アナザークロニクル』として移植、2012年にスマートフォンで『~セカンドプロローグ』をリリース、そして今回の家庭用『~クロニクルセイバーズ』と続いている。
 最初のPSP版は、元タイトーのアオキヒロシ氏が企画書を2~3年出し続けてようやく実現したもの。承認が降りたところでピラミッドとともに開発がスタートしたものの、最初は処理速度やメモリなど技術的な部分でかなり難航したという。
 アーケード版は、ピラミッド側で4人同時プレイバージョンをPCで試作していたところ、これをアーケードでできないかということでリリースが決まった。ところがタイトーからのリクエストは「5000ステージ作ってくれ」と言われて途方に暮れたという。どうにか3000面で勘弁してもらえたとのことだが、それでも3000って……!
 スマートフォン版は、ピラミッド社内で「これからはAndroidの時代だ!」というプログラマーがいて、いきなり移植してタイトーに見せに行き、リリースが決まったという。タイトー針谷氏曰く、「ピラミッドさんはいつも試作を見せてくれるんです。まだやると決まってないうちから作ったものを見せてくれるという、やる気の塊で(笑)。でもこれだとすごく説得力があるんですよ」とのことで、開発者の熱意がそのまま形になったケースだ。
 そしてついにプレイステーション4、プレイステーションVita、PC(Steam)でのリリースが決まる。PSP版『ダライアスバースト』が画面比率16:9、つぎのアーケード版が32:9(2画面)だったので、今回また家庭用に戻ってくるなら……と、16:9で開発スタート。ある程度できあがった段階でタイトーへ持って行くと、20:9への変更指示。針谷氏は「私も開発者なのでこの段階でそれ言うのは……とわかっていたんですが、できあがったものを見るとやはりこのままでは厳しいかな、って」と断腸の思いでダメ出し。開発側のピラミッド柏木氏は「もちろん16:9でも十分おもしろいんですよ。でも商品性が足らなかったというか……。そこはみんなで真剣に『ダライアス』シリーズとしてのおもしろさを追求した結果なんです」と、よりよいものを作るべく敵配置やモーションなどはほとんど作り直したそう。

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▲ピラミッドのジェームス・ラグ氏(写真右)は、「日本語の"大丈夫ですか?"という言葉の意味は、"それを直せ"という指示なんだと今回学びました」とぶっちゃけた。

 『ダライアスバースト』といえば、やはりその音楽も注目ポイントのひとつだ。今回は『~クロニクルセイバーズ』用新曲や歴代『ダライアス』の曲やらいろいろ入って100曲以上になる。その圧倒的な音楽の世界観はどのように作られているのか。
 サウンドチームZUNTATAの土屋氏は、「仕事人としてあるまじき行為ですが、今回は誰の意見も聞かずに自分が作りたいものを作らせてもらう、という条件でやりました」と告白。もちろんシリーズを担当してきたからこその信頼関係もあるが、以下のように語る理由もあって無理を言ったという。
「世界のゲーム音楽って、いますごくかっこいいのがあるんですよ。めちゃくちゃかっこいい。そんな中、日本のゲーム音楽シーンは"あの人はいま"状態で、昔はよかったけどねと思われているフシがあるんです。それがすごく悔しかった。日本のゲーム音楽界にもおもしろい楽曲を作る人がココにいるよって知らしめたかった。今回、Steamで全世界配信になるので、そこに挑戦できるモチベーションはすごく高かったです」
 そして、その結果はすでに出ている。いくつかの海外ゲームメディアではその楽曲について「アヴァンギャルドである」と明記されており、前衛的なサウンドが海外にもしっかり伝わっていた。日本のゲームミュージックファンとしても、これはうれしいことだ。

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▲『ダライアスバースト』シリーズのサウンドを熱く語る土屋氏(写真中央)。トークショー序盤は「場内が暑くてちょっと疲れてました……。だいぶ涼しくなってきたので、いまからいっぱいしゃべっていいですか?」と、本シリーズへの想いを語った。

 『ダライアスバースト』シリーズの歴史を感じとることのできたトークショー、最後は登壇者からのメッセージをまとめておこう。
 
石井氏 「従来のファンも初心者の方にも楽しめる内容になっております!」
土屋氏 「こういう音楽でこういうジャンルのゲームなのに、こんな世界観を表現できるのか、っていう面白さを味わってもらえれるとうれしいです」
針谷氏 「来年はたまたま『ダライアス』30周年なんです。それにあわせたわけではないのですが、我々の思いが詰まったゲームになってますので、よろしくお願いいたします」
柏木氏 「コンシューマー版『ダライアス』の中で最高の出来はPCエンジン版『スーパーダライアス』だったと思うんですが、それ以上のものを作れたんじゃないかなと思っています。ぜひ遊んでください」
ジェームス氏 「初代『ダライアス』をいま遊ぶと1面でゲームオーバーになっちゃう僕ですが、そんな僕でも『~クロニクルセイバーズ』はすごく楽しめます! ひとりでも複数人でも遊べますので、ぜひ楽しんでください」

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▲トークショーの司会進行はMAGES.盛政樹プロデューサーが担当。Steamではすでにアクションゲーム『ファントムブレイカー:バトルグラウンド』を配信している盛氏だが、今回、新作シューティングゲームは発表していない。今後もしかしたら……!?