『ダライアス』愛全開の興味深いトークが披露

 2016年3月26日、東京・新宿のロフトプラスワンにて、“WARNING!! ダライアスバーストCS DLC発売記念トークショー”が開催された。イベント名にあるように、これは1月14日にキャラアニよる発売された『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』(以下、『ダライアスバーストCS』)のダウンロードコンテンツ発売を記念しての、開発者やサウンドアレンジャーたちによるトークショー。大勢の人が詰めかける中、ダライアス愛にあふれる濃密なトークがくり広げられていったその模様をリポートしていこう。なお、イベントはニコニコ生放送での配信もなされたので、プレミアム会員でタイムシフト視聴が可能な人はそちらもチェックしよう。

※ニコニコ生放送“WARNING!! ダライアスバーストCS DLC発売記念トークショー”

“WARNING!! ダライアスバーストCS DLC発売記念トークショー”をリポート 貴重な開発秘話や爆笑の脱線トークで大いに盛り上がった_01
▲場内はダライアスファンで満席になるほどの混雑ぶり。開演前にはプレイステーション4版を使ってACモードの4人プレイが体験できた。息のあったバーストリンクなどのテクニックが見られると場内からは「おおー」という賞賛の声があがっていた。
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▲イベントオリジナルTシャツ(リアルZUNTATAナイトで発売したTシャツ、別カラーVer.)や、出演者関連CDが販売された物販コーナーもたいへん賑わった。
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▲グッドスマイルカンパニーのFigmaシリーズとして発売されるダライアスバースト“アイアンフォスル”のフィギュア試作原型を展示。メカニックデザイナー・海老川兼武氏による立体用追加設定の一部はこの日が初公開であった。
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▲まずはステージ上と来場者がいっしょになって乾杯! ファミ通のクロスレビュー・ゴールド殿堂獲得で贈呈されたシャンパンが来場者にも披露された。
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▲ゲーム中の用語やキャラクターの名前が付けられたイベント限定のコラボメニューが用意された。

DLCごとの名珍エピソードが披露された第一部

 2部構成にて行われたイベントの前半は、ダウンロードコンテンツ“タイトー編”、“セガ編”の解説からスタート。“ダライアス以外のシューティングゲームとのコラボ”として、各ゲームの自機、装備、ステージ、効果音や音楽が配信されるという一風変わった企画ということで話題を呼んだ本DLCだが、この日は開発陣がステージに登壇して、それぞれのDLCの映像を見ながら開発中のエピソードを披露していく趣向が取られた。

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▲左から、この日MCを務めたタイトーのサウンドディレクター・石川勝久氏、制作を担当したピラミッドのディレクター・柏木准一氏、同じくマネージャーのジェームス・ラグ氏、タイトー側のディレクター・針谷 真氏(ディレクター/タイトー)。

 すでにリリース中の“タイトー編”のエピソードとしては、『ナイトストライカー』DLCでは「自機インターグレイが発射するミサイルのデザインは敵が撃つモノを転用した」、「パシフィスト以外のボーナスがないことにリリース後に気づいた」、『メタルブラック』DLCについては、「ショットやニューロンの表現のためグラフィックやプログラムを新規で作成した」、「自機ブラックフライのモデルは本来の担当者でないスタッフが“どうしてもやりたい”と頼み込んで作成した」、『レイフォース』DLCでは「自機X-LAYのモデルはメインノズルの大きさの解釈(ポスターでは大きくドット絵では小さい)をめぐって一悶着あった」といった秘話を披露。そのたびに客席からは「おおー!」という驚きの声があがっていた。

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 続いては、4月7日にリリースされる“セガ編”のDLCについての解説がなされたわけだが、他社との珍しいコラボについて針谷氏は「まさかセガさんとコラボできるとは思っていなかった。フリーダムすぎでしょ(笑)」と、笑顔で語っていたのが印象的であった。

 気になるDLCについては、『スペースハリアー』DLCは、「ハリアーの武器は手持ちのキャノンだけなのでバースト攻撃をどうするはすごく悩んだ」、「ビームの音はFM音源で新たに作成した」と解説。敵を倒すと出現するコインで武器のパワーアップができることで「まったく違ったゲームになってますね(笑)と語る『ファンタジーゾーン』DLCは、「敵の大群にスマートボムを使われると(処理落ちが)心配」「“あの曲”はちゃんと最終面で使っている」、『ギャラクシーフォース』DLCについては、「自機TRY-Zの資料が少なくて苦労したが、シューティングとしては正統派な機体となった」といったエピソードが語られた。

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▲“セガ編”DLCの解説では、タイトーのゲームを作っている人たちがセガのゲームを解説するという不思議な光景に。しかし、「(この時代のゲームは)どれも工芸品」(柏木氏)、「『スペハリ』はスペクトラム版で遊んでいた」(ラグ氏)など、言葉の端々からたっぷりのセガ愛が垣間見えた。

アレンジサウンドを担当した作曲家を招いての第二部

 休憩を挟んで行われた第二部では、DLC用のアレンジサウンドを担当した作曲者たちによる“特濃!サウンドトーク”が行われた。真面目な雰囲気だった第一部とは打って変わって、第二部はなんとも自由な空気でスタート。笑いあり脱線ありの、ハイテンションなトークがくり広げられていった。

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▲左から、MC担当の石川氏、セガのHiro氏、渡部恭久氏、DETUNE佐野電磁氏、タイトーの土屋昇平氏、小塩広和氏、という濃ゆいメンツ。作曲家らしいグルーヴィーでフリーダムなトークがくり広げられた。
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 『スペースハリアー』DLCのアレンジを担当したのは、『アフターバーナー』や『アウトラン』などセガの人気タイトルの楽曲を多数手がけてきたHiro師匠。最初は「曲だけを貸してほしい」とのことだったが、意外にも自身が作曲した楽曲のアレンジを手掛ける機会が少なかったとのことで「やらせて」ということでセルフアレンジとなった経緯を説明。アレンジ手法は、メインテーマをベースに各ボスのテーマをカットアップ(拍子を合わせてつなぐ)して仕上げたという。また、曲の合間にはシューティングゲームとしては珍しいピアノソロをフィーチャーしているとのことだ。

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 続いてマイクを取ったのは、『リッジレーサー』や『ドラッグオンドラグーン』の楽曲制作、そして軽妙すぎるトークで知られる佐野電磁氏。担当した『ナイトストライカー』DLCの楽曲について、まずは「譜面もMIDIデータもないので、耳コピがたいへんだった」と身も蓋もないトークで来場者を笑わせる。アレンジのテーマは、ズバリEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)。聞き所はサビがダブステップっぽく展開するところと語り、「ちょっと盛り上がってきたのでベースだけ聴いて!」と、持ち芸のトークDJパフォーマンスで盛り上げていった。

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 『サイバリオン』や『旋光の輪舞』などの楽曲で知られ、男女問わずファンの多い渡部恭久氏は、こちらも自身が作曲した『メタルブラック』の楽曲をDLC用にセルフアレンジ。ただ、「自分で8回くらいアレンジしているのでネタ切れになった」と困り顔。元よりこだわりが強く、より同じことをくり返したくない性分なので、「結果、いままででいちばん長いアレンジになった」と苦笑いを見せていた。「曲発注のときに絵(イメージ画)がほしい」と語る小塩氏に「それは甘え!」と、ベテランの凄みを感じさせるひと幕もあった。

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 『ファンタジーゾーン』を担当したのは、『スペースインベーダー インフィニティジーン』や『グルーヴコースター』の楽曲を担当した、元タイトーの小塩広和氏。『グルーヴコースター』でのコラボ企画“ゲームミュージックトライアングル”に続いて2度目となるアレンジとのことで、マッシュアップであった前回とは趣向を変えて「エレクトロックにしました」とコメント。ちなみに楽曲を選んだ理由については「僕が2面までしか行けなかったから」という衝撃の事実(!?)をカミングアウトしていた。

 こうした制作秘話の合間にも、90年代の開発環境やシーケンサーの話題といった(多分に居酒屋的な)トークもくり広げられたが、あまりにもフリーダムな内容なためにここでは割愛。どうしても気になる人はニコ生アーカイブをチェックしよう。

終演後のZUNTATA石川氏に話を訊く

――イベントを終えた感想をお聞かせください。

石川 第一部はDLCの魅力を十二分にお伝えできたし、第二部は僕の想像しない方向に話が飛んでいって、このまま永久に続いてもおもしろいんじゃないかなというノリでよかったですね。なにしろ皆さん個性的な方ばかりで、全員が全員違うことを言っていただいてね(笑)。ぜひまたやりたいです。あえて気になる点があるなら、第二部は『ダライアスバーストCS』のプロモーションになっていたのだろうかという点かな(笑)。ただキャラアニさんからは「自由にやってください」と言われていたので、そのミッションはこなせたのかなと。

――たいへん大勢のお客さんが来場されました。

石川 皆さんどんな話にも付いてきてくださって、ありがたかったです。つぎもぜひサウンドトークはやりたいですね。これはもう一種の“サウンド芸”ですよ。ゲストの皆さんは、これまでにありそうでなかった顔ぶれでしたしね。メーカーでサウンドを作ってきたメンバーが揃ったのでそれぞれの色合いが出てよかったのではないかと。とにかくいまは、第2回をはやくやりたいですね!

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