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名作「ゼビウス」の最強プレーヤー決定戦「ゼビウスチャンピオンシップ」を開催!

接戦に次ぐ接戦! 若い選手が大活躍!?

1月21日 開催

会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム

「ゼビウス」のゲーム画面(※Wiiバーチャルコンソール版にて撮影)

 埼玉県とデジタルSKIPステーションは、昨年10月から行なっている懐かしのゲームを多数展示したイベント「遊ぶ!ゲーム展-ステージ2」の企画の一環として、ゲーム大会「ゼビウスチャンピオンシップ」を埼玉県川口市にあるSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザにて1月21日に開催した。

 GAME Watchの読者であれば、おそらくほとんどの方がご存じかと思うが、「ゼビウス」は1983年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)が発売し全国のゲームセンターで一大ブームを巻き起こしたシューティングゲーム。広大なマップに多彩なキャラクター、美しいグラフィックスや独創的なサウンド、さらには壮大なストーリーと隠しフィーチャーをも盛り込んだ、ゲーム史上に残る傑作である。

 すでに発売から30年以上が経過した古い作品だが、本大会は「遊ぶ!ゲーム展 -ステージ2」と同じく、主催は埼玉県で企画・運営はデジタルSKIPステーションが手掛け、バンダイナムコエンターテインメントの特別協力によって実現した。

 司会進行役は、昨年に引き続きゲームライターのローリング内沢氏が担当し、ゲストには本ゲーム展を監修した元東京大学大学院情報学環教授の馬場章氏が登場。さらにスペシャルゲストとして、ゲーム好きとしても有名なスチャダラパーのBoseさん、そして「ゼビウス」と言えば忘れてはいけないこの方、ナムコ在職中に「ゼビウス」を開発したゲームデザイナーの遠藤雅伸氏も出演した。

司会はゲームライターのローリング内沢氏(右)。左はゲストで「遊ぶ!ゲーム展 -ステージ2」を監修した元東京大学大学院の馬場章氏
スペシャルゲストはスチャダラパーのBoseさん(左)と、「ゼビウス」を作ったゲームデザイナーの遠藤雅伸さん(右)
「あそぶ!ゲーム展」の展示コーナーでは、広いスペースを割いて「ゼビウス」の貴重な資料が多数展示されている

隠れキャラの出現・破壊は当たり前! 僅差の勝負の連続に場内は大盛り上がり

大会開始に先駆け、遠藤氏自らが「ゼビウス」の敵を倒したときの得点について解説

 大会のルールは、当日の午前中に実施した予選を勝ち抜いた8名によるトーナメント方式。お互いに別の筐体を使用して2人同時にプレイし、1回戦は3分、準決勝は5分、決勝戦は7分の間に獲得したスコアが高いプレーヤーを勝者とする方式で行なわれた。

 やはりと言うべきか、本戦に勝ち残ったプレーヤーのほとんどが40歳代で、いずれも少年時代に「ゼビウス」に熱中した方々ばかり。しかも、全盛期にはカンスト(カウンターストップの略。「ゼビウス」は9,999,990点でスコアの計算がストップする)を達成して、ゲームセンターのハイスコアボード(懐かしい!)にその名を連ねた、まさに猛者中の猛者が集まった。高得点となる隠れキャラクター、ソルの出現場所は今でもすべて記憶しており、またレーダーに反応しないため発見が難しいスペシャルフラッグもきっちり出現させるなど、その腕はまだまださび付いていないところを来場者に見せつけた。

 そんなオジサンたちの同窓会状態と化したステージにあって、開幕戦でいきなり場を盛り上げたのが出場最年少となる19歳のよくでる選手だった。隠れキャラによる得点稼ぎをノーミスで決め、「ゼビウス」のプレイ歴でははるかに勝るであろう、親子ほどの年齢差がある相手のP.G選手を見事に撃破した。第2試合以降も接戦の連続で、タイムアップまでどちらが勝ったのかがわからない白熱の好勝負が展開され、これには観戦に訪れた「ゼビウス」世代のみなさんも大喜び。特に、1回戦は短期決戦ということもあり、ソル1本分の出現または破壊による得点を取れたかどうかが、勝敗を分ける大きなポイントとなったようだ。

2台の筐体を使用して同時にプレイする選手たち。試合前と終了後には、お互いをリスペクトして握手を交わした

 また、1回戦終了後にはBoseさん・馬場元教授チームと親子の参加者3組による、タッグマッチ形式でのエキシビションマッチも開催された。2分間によるタイムアタックで、1分経過時にパートナーに交代するというルールで行なわれた。ゲストチームは、「ファミコン本体とセットで、最初に買ったソフトが『ゼビウス』でした」と語るほど、「ゼビウス」好きのBoseさんがほぼノーミスで得点を稼いだ一方、2番手を務めた馬場氏が大ブレーキに……。ミスを連発して3試合ともゲームオーバーとなり即負けとなったため、ゲストチームに勝利した場合のみプレゼントされる予定だった、「あそぶ!ゲーム展-STAGE2」のカタログ配給係となってしまった。

「ゼビウス」経験者ということもあり、Boseさんはほぼノーミスの見事な腕前。「私の本当の名前は馬場章でななくバキュラ。実はゼビウス軍にいたんです」と壮大なネタを披露した馬場元教授だったが、いいところをまるで見せられず……
エキシビジョンマッチに勝利した親子には、Boseさん提供のスチャダラパーTシャツとフィギュア、カタログがプレゼントされた

わずか50点差で決着がつく名勝負も誕生。接戦の果て、優勝は誰の手に?

 初戦でベテランを下したよくでる選手は、準決勝でも名勝負を演じてみせた。エリア4に出現する巨大要塞、アンドアジェネシスでもきっちり高得点を稼いだうえで破壊に成功するなど、自身がまだ生まれる前に発売されたゲームを見事に攻略。対戦相手の小山選手も、序盤で出遅れた分を取り返そうと終盤に凄まじい追い上げを見せたが、わずか50点の差でまたもベテランを振り切ったよくでる選手が制勝。これには「ゼビウス」の生みの親である遠藤氏も、「作ってよかった~!」などと思わず叫び、場内はますますヒートアップした。

わずか50点差での決着となった、よくでる選手VS小山選手の準決勝第1試合。写真をよく見ると、エリア4突入以降も両者のスコアがほとんど同じであることがわかる
準決勝第2試合ふーなやん選手VSY'-GTO選手は、終盤に約5千点のリードを奪ったY'-GTO選手が、4人のうちで最高となる93,190点を獲得して勝利した

 そして迎えた決勝戦は、よくでる選手と3回のカンスト経験を持つという、40歳代のY'-GTO選手という顔合わせに。序盤で敵弾に当たるミスが出てしまったY'-GTO選手に対し、ここでも落ち着き払ったプレイを見せたよくでる選手が大きなリードを奪うことに成功した。

 しかし優勝を意識し過ぎたのか、よくでる選手は終了間際のエリア5~6にかけてミスが出てしまい、またもベテランプレーヤーの追い上げを受ける展開に。試合終盤に到達エリアで並び、タイムアップ寸前には高得点が入る敵のグロブダーを破壊して猛追したY'-GTO選手だったが、最終スコアは122,360点で、125,040点を獲得したよくでる選手に惜しくも一歩及ばず。この瞬間、優勝は最年少のよくでる選手に決定した。

文句なしの成績で大会を制したのは19歳のよくでる選手。終盤で連続ミスをするピンチも見事に乗り切ってみせた

 優勝者インタビューを受けたよくでる選手は、まさか自分が勝てるとは思っていなかったようで、思わず感極まって目から熱い涙が……。表彰式を終え、大会を総括するコメントを求められた遠藤氏は、「こんな昔のゲームで大会やっても人が来るのかなあと思いましたが、、みんなやっぱり来ますね(笑)。若いプレーヤーが勝ってくれたのはすごく嬉しいです。もしボクが死んじゃっても、また彼が多分プレイしてくれるから……」と、ほっとしたご様子。Boseさんにもお話を伺ったところ、「いやあ、ドラマチックで実によかったです! かつて地元で伝説となったプレーヤーたちが30年越しで集まったけど、反射神経がちょっと衰えていたりして若手に勝てなくて、何だかベテランになった格闘家が若手に倒される姿に似ていましたね」と感慨深げなご様子だった。

思わず感極まってしまったよくでる選手には、優勝賞品としてオリジナルの盾とTシャツ、遠藤氏サイン入りの小説「ゼビウスファードラウトサーガ」が、準優勝のY'-GTO選手には「ゼビウス」のプラモデルと賞状がそれぞれ贈呈された
Boseさんよりコメント:「ゼビウス」のファミコン版は、ブームだった頃に本体とセットで買いました。ゲームセンターでも遊んでいましたが、自宅でずっと遊べるようになったのが嬉しかったですね。今でもデザインやサウンドは古さを感じないですし、本当にカッコイイなと思います
「だってオッサンばっかじゃん……」などと終始自虐的なコメントを連発していた遠藤氏(右)だったが、若者の大健闘には終始ご満悦。表彰式では感涙にむせぶよくでる選手を優しく抱擁
大会終了後に出場者とゲスト全員で記念撮影。ゼビウス軍との激闘おつかれさまでした!