10tonsがにリリースしたiOS向けシューティング「Tesla vs Lovecraft」。ニコラ・テスラがクトゥルフ神話の異形たちと戦うというオカルト全開な本作の魅力をお伝えする。
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「Tesla vs Lovecraft(テスラVSラヴクラフト)」は、 10tonsから10月にリリースされたiOS向け全方位シューティング。タイトルに「ラヴクラフト」とあるので分かる人は分かると思うがクトゥルフ神話もので、マッドサイエンティストとして知られる発明家、ニコラ・テスラがクトゥルフ神話の異形どもを銃で撃ちまくるという内容だ。
iOS向けに作られた新作と言うわけではなく、Steamで販売されているPC向け同名タイトルのiOS移植版。1,480円というSteamでの価格に対し、iOS版は1,080円(2018年11月現在)という価格設定がされている。無料体験版も無料体験機能もない買い切りアプリということで、興味はあるけど手を出しづらい…という人もいるだろう。そこで本作の内容をこの記事で詳しく紹介したい!
ニコラ・テスラVSクトゥルフ!オカルト満載の世界観
本作の世界観を紹介するため、まずはタイトルにある2人の人物「テスラ」と「ラヴクラフト」から紹介しよう。「テスラ」とは、先に記した通り実在の発明家であるニコラ・テスラのこと。交流電流の仕組みを発明した人物で、直流電流を研究していた、かのトーマス・エジソンのライバルだ。
エジソンのライバルと言うと歴史上の偉人という風格があるが、ニコラ・テスラは性格や晩年オカルトに傾倒したことからマッド・サイエンティストとして認知されており、映画やコミックといったフィクションでも、マッド・サイエンティストとして描かれることが多い。なので、歴史上の人物の中ではクトゥルフ神話の異形どもと戦う資格を十分すぎるほど持った人物と言えるだろう。
2人目の「ラヴクラフト」というのは、「クトゥルフ神話」を生み出した小説家、H・P・ラヴクラフトのこと。この地球も宇宙も、人間を超える超越的な存在によって支配されている…という設定の下、超越的な存在と遭遇してしまった人間達が味わう恐怖を描いたホラー小説シリーズが「クトゥルフ神話」。
近年、ライトノベル「這いよれニャル子さん」が流行ったり、動画サイトでTRPG「クトゥルフの呼び声」の配信が流行ったりしたことでご存知の人も多いだろう。この「クトゥルフ神話」の生みの親がラヴクラフト。ラヴクラフトが生み出し、その友人の作家たちが作品世界を共有し、広げていくことで作り上げられたシリーズなのだ。
そんなテスラとラブクラフトが激突するというのが本作。ラブクラフトはもちろん、クトゥルフ神話の異形のものどもを呼び出して戦い、テスラは自身のマッドな発明品の数々で戦う。いわばこれはオカルト界を代表する二大巨匠の戦い。少年マンガでいうなら、ドラゴンボールの悟空とワンピースのルフィが激突するようなもの。オカルト・ホラーファンならこれに興奮しないわけがない設定なのだ!
360°全方位から圧倒的物量で押し寄せる異形のものども!
基本的なゲームシステムは、全方位シューティングゲームとしてお馴染みのツインスティック形式。画面左のバーチャルパッドを使って主人公を移動し、画面右のバーチャルパッドを使って方向転換(回転)と射撃を行う。
全方位シューティングと言えば、その名の通り360°全方位から圧倒的な数で敵が押し寄せてくるゲームだが、もちろん本作の敵の数も圧倒的。360°全方位から深き者ども(ディープ・ワンズ)が! ダゴンの使いが! ショゴスが! ワラワラワラワラと押し寄せてくる。大量の敵に囲まれ、身動きが取れずゲームオーバーになってしまう瞬間は、いかにもホラーといった絶望感を味わうことができるだろう。
ちなみに主人公は、ニコラ・テスラ固定で、ラヴクラフトは敵として登場する。ファンとしてはラヴクラフトを使ってみたい気もするので、ちょっとだけ残念だ。
パワードスーツに核爆発!オカルトセンス前回のゲームギミック
ホラーファン、オカルトファンとしてはやはり、ワラワラと襲い来るクトゥルー神話の異形たちの姿を見どころ感じるだろうが、本作の見どころはそれだけじゃない。本作のもう一つの見どころであり、ゲーム的なおもしろさにもつながっているのが、テスラの発明品たちだ。
ゲーム冒頭、テスラは自身の発明を異形によって奪われてしまう。奪われた発明品は、ゲーム進行に伴い段階的に使用可能になっていく。その中で一番初めから使うことができ、かつプレイ中多用することになるのがテレポートだ。その名の通り、一定距離をテレポーテーションできるという発明で、これを使えば障害物を通り抜けることができる。なので、敵に囲まれた場合、緊急回避的に使い、囲いの外へと脱出することが可能だ。無線によって離れた場所へ電力を送ろうとしていたテスラらしい発明。その上、ゲーム的に心強い。
また、見た目のインパクトが大きいのがテスラメカだ。テスラメカはパワードスーツ型のロボット。パーツをすべて集めることで搭乗し、テスラメカが装備する強力な兵器を使用可能になる。一定時間しか搭乗することができないものの、時間終了時に爆発。周囲の敵に大ダメージを与えることが可能だ。色んな意味でデタラメ(誉め言葉)なギミック。本作においてオカルトのだいご味を顕現した存在といえるだろう。
インパクトでいったら「核」のインパクトも大きい。その名の通り、「核」だ。ゲットすると、核爆発を引き起こす。人類を超越した存在であるクトゥルフ神話の異形のものどもも、核爆発にはたまらず大量死してしまう。そんな中一人元気に活躍するニコラ・テスラ。このデタラメ(褒め言葉)なオカルト的センスがなんともシビれる!
舞台はもちろんクトゥルフ神話の舞台・アーカム!
最後に、ゲームの流れについて触れておこう。全方位シューティングといえば、主人公が倒されるまでひとつのステージをプレイし続けるというサバイバルモード的スタイルの作品も多いが、本作はステージクリア型になっている。サバイバルモードも用意されているのだが、マップ上からステージを選んでチャレンジしていくモードがメイン。マップはもちろん、アーカム。クトゥルフ神話でおなじみのあの街だ。
ステージをプレイすることでエーテルクリスタルを獲得でき、エーテルクリスタルを消費することで新たな発明をアンロックしていくことができる。つまり、若干ながら育成要素を備えているわけだ。
これに加えて、ステージ内においてもレベルアップが存在している。テスラは敵を倒すことでレベルアップし、攻撃力や弾速、移動スピードやHPの最大値などをアップしていくことが可能だ。ステージ内でアップしたレベルが有効なのはそのステージ内のみ。なので、次のステージではまた1からレベルアップしなければならない。レベルアップ時に行う強化は、ランダムに出現する2つの強化から選択する方式。なので、必ずしも思い通りに強化できるわけじゃない。ただ、どの強化を優先的に取得していくか、自分の中にある程度の方針を固めておいた方が、攻略はしやすいだろう。
筆者はホラーやオカルトが大好きで、しかも「スマッシュT.V」以来の全方位シューティングファン。そんな筆者からすると本作は「買い」一択だ。というか「ラブクラフトが呼び出したクトゥルフ神話の異形たちとニコラ・テスラが戦う」というコンセプトを聞いただけで、「お!?」と思っちゃった人は「買い」で間違いない。是非この、デタラメで魅力的な世界を堪能してほしい。