デビルエンジン - レビュー

STGオタクによるSTGオタクのためのゲーム

STGオタク向け横スクロール『デビルエンジン』レビュー
※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください

世の中には2つの種類の人間がいる。STGが好きな人間と別にそうでもない人間だ(当たり前?)。

破滅の未来を避けるために、人類に背いた救済者を破壊する最終ミッション。唯一の希望、アンドラステは敵と化した地球の全軍事力とぶつかりながら、デビルエンジン打倒を目指す。

このストーリー設定を読んで「ウォー!」と興奮するあなたは生粋のSTG好きであり、おそらく本作も気に入るだろう。まったくピンとこないあなたは無理にやる必要がないかもしれない。Protoculture Games開発、DANGEN Entertainmentよりリリースされた本作はそんなSTGオタクによるSTGオタクのためのゲームだ。

オーソドックスな横スクロールSTGで、シンプルで入りやすい雰囲気を持つ一方、いくつか癖の強い要素を持っている。自機は合計2機用意されているが、1機は途中でアンロックされるため、事実上隠し機体とも言える。実際、アンロックされるスカサハは全く異なる性能を持っており、デフォルト機体のアンドラステで途中まで構築したパターンを崩してまで、新しい機体に挑戦する人は少ないだろうし、

アンドラステは3種類のアイテムを取得することでショットが切り替わるタイプ。ショットは同じ種類のアイテムを取得することで3段階までレベルアップするというクラシカルな仕様だ。敵機を倒すことでゲージを溜めると、3種類のショットに応じたボムを使用可能。ボムといっても無敵時間や弾消しは発生せず、純粋な攻撃手段と言える。周辺の敵弾を消すことができるバーストはアンドラステの最大の特徴だ。このシステムのおかげで大量の弾幕で画面端に追い詰められてもバーストで切り返すことができる。逆に言えば、このバーストがないと初心者はステージ2を超えるのもやっとであろう。

 
弾幕をバーストで切り返す!

本作の敵弾は速くて濃い。一般的に横スクロールSTGは弾幕よりも嫌らしい地形や初見殺しが壁となる。だが本作は横スクロールながらも弾幕あり、地形あり、初見殺しありの三重苦だ。この困難な状況をバーストという強力な機能で凌いでいくのが本作のわかりやすい特徴と言えるだろう。そのため、慣れないうちは非常に難しく感じる。難易度は全部で3段階あるが、一番下の(屈辱的なキャッチフレーズとともに選択する)Very Easyでもかなり難しく感じるだろう。

だが、バースト以外にも救いはある。まずボムのゲージは敵を倒していくだけでもりもり溜まる。もちろん、先述したとおり、ボムには防御的な機能はなく、単なる強化攻撃だ。ただしボス戦やなどの状況において、本作は速攻撃破が安定パターンであるため、積極的に撃っていけるのは嬉しい。また本作では5000点ごとに残機が増えるエブリエクステンドを採用し、なおかつ1UPアイテムも豊富に存在するため、特別に意識せずともクリアまでに10回程度のエクステンドが可能だ。ぶっちゃけ言ってしまえば、ボムと残機でゴリ押すのが前提となっている。そのため、難易度調整の観点ではそこまで肯定的に評価できない。スコアシステムも連続して敵を倒すことで倍率が上がるだけの単純なシステムで、特徴のあるバーストをスコア要素に絡めきれてないのは残念だ。だが、最初は狂ったように感じる難易度がクリア可能になっていくのは、悪くない体験であろう。

<body>画像はDANGEN Entertainmentの<a  data-cke-saved-href=

とはいえ、そこに気づくかどうかである。敵の弾は速いし、初見殺しが初心者の気持ちを萎えさせる。また機体の移動速度は3段階で調整可能だが、「低>中>高>低」といったトグル操作しかできない。敵の攻撃に合わせてスピードを調整しようと思っても、慣れるまでは思うようにコントロールできない。そもそも一番低速でも密度の高い弾幕をくぐるにはやや速く感じる。このあたりはバーストの仕様とともに慣れるほかないだろう。

後半の難所、サーチライト。

しかしながら、一度、機体やエクステンドのシステムに慣れてしまえば、本作のアグレッシブなステージは非常にエキサイティングなものだ。ザコ敵を殲滅する爽快な道中にクラシカルなボス戦が味のあるドット絵、STGらしい熱いサウンドトラック(あの九十九百太郎も参加)とともに展開し、王道ともいえる展開が待っている。個人的に一番、感銘を受けたのはステージ5のサーチライト地帯。サーチライトに発見されると上下にあるビットから高速の自機狙い弾が放たれるステージだ。最初は「こんなもん、できるかー」と絶叫したものだが、慣れるとこれが不思議とノーミスで通過できる。自機による弾の誘導とビットの場所の把握が重要な地帯であり、ギミックとしては新鮮でやりがいがあった。

12種類のミニゲームのようなチャレンジモード。これはブロック崩しのようなステージ。

3種類の難易度の他、エクストラステージ、ボスラッシュ、ミニゲームのようなステージが12種類詰まったチャレンジモードと内容は盛りだくさんだ。また上述のとおり、2体目の機体のスカサハはまったく異なる挙動であるため、さらに2倍のボリュームと言える。とはいえ、これらのモードはあくまでも「おかわり!」したいユーザーのものであり、STGフリーク以外にはそれほどアピールしないだろう。

その他、状況に応じたショット選択の妙味や細かいアニメ演出など、見るところを見ればニヤリとさせる場面はある。ただし、それはあなたがSTGファンであるからこその魅力であり、本作をより広いゲーマーからの視点で見ると、ウェルメイドだが革新性やこれといったインパクトに欠けるのは否めない。その点、やはりSTGオタクによるSTGオタクのためのゲームと言える。

長所

  • 緊張感のゲームプレイ
  • 王道の演出
  • 多様なゲームモード

短所

  • やや大味な難易度の調整
  • ウェルメイドだがやや保守的

総評

横スクロールながらも弾幕が濃く、初見殺しも多い、初心者お断りゲームと思いきや、システムを理解すればVery Easyならクリアは誰でも可能なウェルメイドな作品。音楽や演出、バックストーリーはSTGの王道を行くスタイルで、ゲームプレイもSTGファンなら満足いくできだが、やや内容が保守的で驚きに欠ける。多様なゲームモードもSTGファン以外にはアピールしにくいため、通好みのSTGと言えるだろう。

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください
In This Article

デビルエンジン

2019年2月21日
  • Platform / Topic
  • NintendoSwitch
  • PC
  • PS4

STGオタク向け横スクロール『デビルエンジン』レビュー

7.9
Good
横スクロールながらも弾幕が濃く、初見殺しも多い、初心者お断りゲームと思いきや、システムを理解すればVery Easyならクリアは誰でも可能なウェルメイドな作品。STGファンなら満足いくできだが、やや内容が保守的で驚きに欠ける。多様なゲームモードもSTGファン以外にはアピールしにくいため、通好みのSTGと言えるだろう。
デビルエンジン
More Like This
コメント