2019年11月13日、新宿フラックス SF Dining&Barにて、アーケード向け縦スクロール型シューティングゲーム『アカとブルータイプレボリューション』のプレスカンファレンスが行なわれた。本記事では会場で発表された同作の情報と、アーケード用新基板“exA-Arcadia”について紹介する。

 今回のプレスカンファレンスはゲームメディアに加えて、一般のファンも入場可能な形式で開催。タノシマス代表取締役の木村浩之氏、Show Me Holdingsの社長、エリック・チャング氏が登壇、それぞれが手掛けた『アカとブルータイプレボリューション』ということで、同作が稼動するアーケード用新基板“exA-Arcadia”の魅力をアピール……するかと思いきや、イベント開始とともにまずスクリーンに映ったのは、“謝罪”の2文字。当初予定していたという2019年6月に稼動をスタートさせられなかったことについて両氏が、ファン&導入予定のゲームセンター店舗に謝罪してから、本格的にプレスカンファレンスはスタートした。

『アカとブルー タイプレボリューション』プレスカンファレンス詳細リポート。数々のブラッシュアップを経て「ほぼ新作に近い形になった」(木村氏)_01
木村浩之氏(写真左)、エリック・チャング氏(写真右)の謝罪から入った今回のイベント。とはいえ重苦しい雰囲気ではなく、終始和やかな雰囲気で進行していった。

 まず最初に話題にのぼったのは、『アカとブルー タイプレボリューション』以外のタイトルの稼動も決定しているアーケード向け基板、exA-Arcadiaについて。exA-Arcadiaが発表された当初から話題を集めていたスペック面の話(従量課金なし、基板1枚で対戦プレイ可能、対応ソフトを4本まで同時稼働させられるなど)から、近日ロケテストが予定されている3タイトル、新たに発売が決定した『魔界と闘姫マデリン』、『カオスコード(仮)』の2タイトルが紹介された。

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近年のアーケードゲームでは主流となっているネットワーク対応を廃し、購入後の店舗への負担軽減を図っているexA-Arcadia。
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exA-Arcadiaの基板と『アカとブルー タイプレボリューション』のカートリッジ。
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12月にロケテストが予定されている『ギミック!』。「16ビットのテイストを大事にした」(エリック氏)というアクションゲーム。音楽は並木学氏が担当。
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世界中の偉人が殴りあうというコンセプト&絵面のインパクトで話題となった対戦格闘、『FIGHT OF GODS』のアーケード版。移植されるにあたってキャラクターの追加やバランスの再調整も行なわれる予定。
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PCや各種家庭用ハードで発売されたオリジナル版から漢字混じりのタイトルになり、よりリスペクト元の『魂斗羅』に近づいた(?)アクションゲーム、『ブレイジング孔炉武AC』。
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この日が情報初解禁となった『魔界と闘姫マデリン』。難易度をふくめ全編に『魔界村』テイストが漂うアクションゲームだ。
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exA-Arcadiaに台湾のゲームメーカー、FK DIGITALの参入も発表された。参入第1弾となるタイトルは、現在NESICAや家庭用ハードリリースされている対戦格闘をexA-Arcadia用にブラッシュアップした『カオスコード(仮)』になる予定。

 exA-Arcadiaの新情報がすべて発表されると、ステージの話題は2019年11月27日に稼動を迎える『アカとブルー タイプレボリューション』へと移行。ここからは木村氏がマイクを持ち、スマートフォンアプリとしてスタートした『アカとブルー』の歴史、「移植ではなくほぼ作り直しになった」(木村氏)といった経緯が語られ、『アカとブルー タイプレボリューション』のおもだったアップグレード項目が解説された。会場で触れられたアップグレード項目は以下の通り。

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・操作方法の刷新

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Aボタンでショット、Bボタンでボムという、ジョイスティックで遊ぶシューティングゲームとしてスタンダードな形の操作方法に変化。デフォルトでフルオート連射(Cボタン)が用意されているのもうれしいポイントか。

・アーケードの環境に合わせた映像面の強化

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『画面解像度が720Pから1080P(フルHD化)したことにともない、グラフィックは全面的に描き直されている。しかもシンプルに画面が大きくなっているだけではなく……。
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自機や敵機は「スマホの画面をそのまま大きするとカッコ悪く」なるため、写真右のような「隙間を持たせたデザイン」に変更。
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スマートフォン版と今回木村氏が自ら描き直した自機の比較。前者は「スマホの画面は白が多いと見やすいので、中央に白色を多く使った」デザインから、シャープな姿に生まれ変わっている。
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プレイヤーの印象に残るシンボリックなボス敵も、自機と同様に大幅なリファインが施されている。写真は1面のボス。こちらに関しては「カラーリングからフルスクラッチで作り直しました」とのこと。
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ザコ敵に関しては描きこみすぎるよりも「目視しやすい方がいい」ため、見た目はほぼそのままの形を維持。ただしアニメーションパターンは倍増している。
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背景もアーケード筐体の大画面に映ることを考えてフルリニューアル。写真(2枚目)同じステージの同じ場所の背景を切り取ったもの。こうして比べると草や岩肌の描きこみの違いが一目瞭然。

・キャラクターデザインのブラッシュアップ&ボイスの音質向上

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グラフィック全般がシャープになったことにあわせてか(?)、キャラクターの頭身も「少しだけ」上がっている。また、ブルーをのぞいて新録ボイスはないものの、音質を向上させるため、「ほぼ作り直し」に近い労力がかかっているという。

・ロケテストで寄せられた意見のフィードバック

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ロケテスト中に寄せられたプレイヤーの意見から、追加、ないし変更になった部分もいくつか紹介された。
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チュートリアルの追加にあわせ、ブルーのみオペレーションボイスが増加。その数は70ワード以上。
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スコアラーにとってはかなり大きな変更点になりそうなのがこちら。チェインボーナスの仕様が変わり、時間をかけて敵機を破壊するよりも、接近して素早く撃破した方が見返りが大きくなっている。
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ロケテストで問題として挙がった“動画の撮影問題”に関しても、木村氏から公式な見解が示された。動画撮影に関しては法律の観点、プレイヤー&導入した店舗に配慮することもあって当面のあいだは禁止。ただしスコアアタックモードの配信に関しては申請すれば「可能になるかも」とのこと。

・16:9、4:3の画面に両対応

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16:9と4:3の画面に両対応することにより、ビュウリックスをはじめとした近年のアーケード筐体、ブラストシティのような旧来のブラウン管筐体、どちらで出力しても過不足なくプレイを楽しめるようになっている。

・“ライブ感”を重視したサウンドのリニューアル&新曲追加

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スマートフォン版でコンポーザーとしてサウンド全般を担当していたWASi303氏は、今回はプロデューサーとして関与。アレンジャー&演奏者として、上記のバンドがアーケード版での楽曲を制作している。
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『アカとブルー タイプレボリューション』のために作られた新曲も用意されており、今回公開されたV・Vのほか、全4曲が追加収録。また、効果音は佐藤豪氏がすべて作り直しており、その量もスマートフォン版から3倍近い300種類以上に達している。

 9割におよぶ作り直しを行い、「僕らとしては新作といってもいい」(木村氏)『アカとブルー タイプレボリューション』の変更点、新要素の紹介が滞りなく終わると、木村氏は、スマートフォン版から数えると約7年に渡って携わった『アカとブルー』への想いを吐露。「もうシューティングゲームは作れない」と思い悩んでいた時期(2012年~)からスマートフォン版『アカとブルー』の完成(2017年)、そしてハード(基板)作りから始まったアーケード版『アカとブルー タイプレボリューション』までに関わることになったスタッフ、関係者に感謝の意を伝え、アーケード稼動開始に向けて作ったPVを披露。そして「最近はアーケードなんて、斜陽だなんだって言われてますけど、やってみないとわからないよね。exA-Arcadiaで新しい扉を開きたいと思っています。ゲームセンターに行って応援してくれれば」と意気込みを語った。

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木村氏の熱のこもったトークでプレスカンファレンスは終了……と思いきや、イベントのトリを飾ったのは“ダサいチラシ選手権”の優勝デザイン発表。みごと(?)優勝の座に輝いたのは壁@ラクガキモードさん。

 なお、今回のプレスカンファレンスの模様は、(冒頭の数分間が欠損しているものの)You Tubeで動画が配信されている。発表された情報だけでなく、木村氏やチャング氏のやりとり、細かいニュアンスまで知りたい人は、配信アーカイブの方に目を通してほしい。