2019年を振り返る個人GOTY:IGN JAPAN 今井晋、踊りながら世界を読む

ゲームライターも踊る時代

2019年を振り返る個人GOTY:IGN JAPAN 今井晋、踊りながら考える世界 - 2019年版個人GOTY
※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください

今年も残すところわずかになったが、IGN JAPAN編集部では常連ライターも含めて、今年、印象に残ったゲーム(たまに映画とかドラマもあり)を最大10本まで発表してもらい、今年を振り返ってもらう。トップバッターは企画主であり、IGN JAPAN副編集長の今井による個人GOTY。


ビデオゲームが多様化した現在、1年を振り返ろうにも何を中心にすべきかわからなくなることもあるだろう。IGN JAPANでは2019年のGOTYを発表したが、なんだか自分が思う2019年とは異なるという人もいるだろう。でもとりあえずはあなたが今年、楽しんだゲームのことを思い出してほしい。それは偏った歪なリストになるかもしれないが、あなたが2019年に楽しんだことは事実なのだ。

ということで、今年もIGN JAPANの編集部とライターによる個人GOTYの季節がやってきた。ここではそれぞれが2019年に出会った作品を最大10本挙げ、1年を振り返ってもらう。取り上げる作品は過去のものでも良いし、ゲーム以外もOKとした。いずれにせよ、この企画を通して、IGN JAPANの編集部やライターが過ごした月日とその人となりが伝わることを祈っている。

2019年は仕事上の都合もあり、あまり熱心にインディーゲームのシーンが追えなかった。その一方で『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『DEATH STRANDING』、『Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー』といった素晴らしい大作に触れることはできたが、いつもなら絶対プレイしたはずの『Disco Elysium』を(英語面の問題もあるが)スルーしたのは残念至極だ。とはいえ、『還願 DEVOTION』の発売と騒動、『Hellsinker.』のSteam販売など、個人的にもインディーゲームにとっても印象的な出来事には事欠かない年ではあった。

そんな2019年の個人的なGOTYは以下の通りだ。

  1. 『Hellsinker.』
  2. 『DANCERUSH STARDOM』
  3. 『Cytus II』
  4. 『還願 DEVOTION』
  5. 『十三機兵防衛圏』
  6. 『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』
  7. 『MO:Astray』
  8. 『Spin Rhythm XD』
  9. 『The Red Strings Club』
  10. 『ファイアーエムブレム 風花雪月』


個人的なオールタイム・ベストである『Hellsinker.』がトップなのはともかく、かなり偏ったランキングだ。それでも自分なりに分析してみると、私が一貫して「断片的なストーリーテリング」と「音楽のプレイアビリティ」ということにこだわっていることがわかる。インディーゲームである『還願 DEVOTION』や『MO:Astray』にはゲームプレイの進行とともに過去の記録の形式で物語が展開する。『十三機兵防衛圏』はそのようなインディーゲームでよく用いられる形式を大胆にも全面的に起用するタイトルであったし、部分的に『ファイアーエムブレム 風花雪月』にも似た要素がある。いずれにせよ、小説や映画などの伝統的な物語メディアにはないゲーム独自の「断片的なストーリーテリング」に私は心が惹かれるのだ。

他方、「音楽のプレイアビリティ」はざっくり言ってしまえば、音楽をテーマにしたゲームの可能性のことだ。自分でも「いまさらそれ?」と思わなくもないが、2019年は改めてその無限とも言える可能性に気付かされた年だ。なんと言っても『DANCERUSH STARDOM』の衝撃は大きく、ゲーマーが突如フロアで踊り出し、ゲームセンターがクラブとなるシーンを目撃し、私も参加することになった。ノーツに合わせてステップすることが、ゲームプレイとダンスを等価にする『DANCERUSH STARDOM』は、どんなVR/ARゲームも実現しなかった「ゲーム」と「現実」のあり方を作っているように感じる。

最後に『Cytus II』に触れると、本作はまさに「断片的なストーリーテリング」と「音楽のプレイアビリティ」を併せ持つタイトルであることがわかる。2018年にリリースしたこのスマートフォン向けリズムゲームの魅力に気づくのは遅かったが、2019年を通して一番プレイしたタイトルであった。プレイしながらも、本作はアップデートされ、追加されたシナリオも素晴らしく、音楽をそれ自体をテーマにしながら、極めて巧みな形で物語を描いていく。時には画像、時には音声、時には楽曲のリミックスという様々な断片でネットワーク社会の感情のあり方を伝える本作はS級のエンターテインメントであり、社会派SFであり、ラブロマンスと言える。先日の12月21日のイベントでキャラクターボイスの追加が発表され、2020年の展開も期待している。

他に2020年の期待作といえば、当然ながら『サイバーパンク2077』があるが、来年はもっとたくさんインディーゲームをプレイし、踊り、歌い、世界について考えたい。

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください
More Like This
コメント