STG未経験者もESP者になれるのか!? 『エスプレイドΨ』ディレクター久保田氏に初心者の質問をぶつけてみた

ゲーム情報番組「ゲーねす!」のVtuber桃川めておとあぐにゃんの感想付き!

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昨年、12月19日に発売されたM2 Shot Triggersの『エスプレイドΨ』は、1998年に稼働したアーケードゲームのリメイク作品。他のM2 Shot Triggersシリーズと同様、アーケードの完全再現を目指したモードの他、各種データがリアルタイムで表示されるおなじみの「M2ガジェット」、ビジュアルやボイスを追加した「アーケードプラス」、初心者でもクリア可能な「スーパーイージーモード」など、ただのリメイクを超えたコンテンツが収録されている。

なかでも決められた課題をクリアしながら、キャラクターのアバターや部屋をカスタマイズできる「いろりの部屋」は、シューティングゲーム(以下、STG)としては前代未聞のハウジングゲームとの融合が行われ、SNSでも話題だ(いろりの部屋 お部屋コンテストも行われていた)。

以上のようにエムツーは本作をプレイする敷居を可能な限り取り払い、初心者向けの入り口を多数準備していることが伺える。『エスプレイド』は、現在、漫画家やイラストレーターとして活躍している井上淳哉氏がキャラクターデザインや世界観などに大きく関わった作品であるため、STGをプレイしたことがないファンが興味を持つ可能性が極めて高い作品だ。SFとオカルトが混ざった世界観、超能力を使う少年少女、耽美かつリアルなデザインといった井上漫画に見られる要素は、『エスプレイド』にも色濃く感じられ、ビジュアルや世界観から本作に興味を持つ人は少なくないだろう。

しかし、それでもSTGに苦手意識や抵抗感を持つ人がいるのもまたしかり……。そこで今回、本作のディレクターをつとめたエムツーの久保田和樹氏にあえて初心者目線の質問(読者投稿を模した方式)をぶつけてみた。 エムツーはSTG未経験者をESP者へと導くことができるのか? エムツーのこだわりとともに「STGの楽しさ」それ自体にも踏み込んだインタビューとなった。またゲーム情報番組「ゲーねす!」で初心者ながらも『エスプレイドΨ』に挑戦した、Vtuberの桃川めておとあぐにゃんにも感想を聞いたので、最後までチェックしてほしい。

世界観や推しキャラから入っても大丈夫

「ゲーねす!」にて桃川めておとあぐにゃん(左)に『エスプレイドψ』の指南を行う久保田氏(右上)。

今井:まずは改めて自己紹介をよろしくおねがいします。

久保田:エムツーの久保田と申します。『エスプレイドΨ』のディレクターで、M2 Shot Triggersでは『弾銃フィーバロン』から4作品ディレクターを担当しています。

今井:本作は『エスプレイド』の待望のコンシューマ版ですが、版権の問題があって、ファンの中でもまさか出ると思っていませんでした。ファン的にはもうリリースされるだけでめでたい。私も焦って限定版を購入したんですが、限定版の設定資料集が面白すぎですね。インタビュー記事での池田さんと井上さんのコンビは本当に最高でした。

久保田:あそこはなんとしても入れたかったんですね。当時の話ってそれなりに残ってはいたんですが、こういう形に残せることができたのは良かった。『ケツイ』のときも似たようなインタビューは作ったんですが、今回は井上先生が軸となったことで、いろんな話が出てきましたね。

限定版の内容(公式サイトより)。

今井:なんか豪華な限定版を買っただけで満足してしまって、「お前プレイしろよ」って思われるかもしれませんが、本当にこのインタビューや資料だけでも貴重ですよね。池田さんや井上さんの証言が読めただけでも買った意味があった! しかしながら、実際プレイするとやっぱり『エスプレイド』ってケイブの弾幕STGの中でも異彩を放っていますね。システム的にも世界観的にも。あとやっぱりムズい(笑)。

久保田:ムズいんだけど、その方向性が他のSTGと微妙に違うんですよね。あの時代に自機が人として出てくるのも珍しく、ほぼ最初期のゲームです。

今井:人が自機の結果、弾が避けにくい。これに関しては池田さんと井上さんの間でかなりドンパチやったらしいですからね。実際に確かに当たり判定感がちょっと違うかなと思いますね。そのせいか事故って死ぬことがやっぱり多い。

久保田:多いですね。

今井:ここからは「STG初心者の悩み相談室」と題して、STGを始めるのにあたってありがちな疑問に久保田さんに答えてもらいたいと思います。私自身はSTGが大好きで普通にプレイするので、ファン目線で聞きたいことはいろいろあるんですが、本作のインタビューはすでに結構出ているんですよね。あとはSTGのファン目線の話をしても、まだまだ届かない人が多いのではないかと思い、あえて初心者目線の質問を読者投稿風にぶつけてみたいと思います。さっそくですが……。

『エスプレイドψ』ってそもそもどこが面白いの?――10代 男子大学生

今井:いきなり直球のが来ましたが……。

久保田:そうですね、まずキャラクターに興味を持ってもらえるかどうかだと思うんですよ。本作のキャラクターの存在はそれほどにまで大きいと思います。自機が人であるという点を含めて、今までのケイブさんのSTGの中でも、かなりキャラクター性が強い。まずはそこに惹かれる人にプレイして欲しいです。

 
オープニング画面も都市を背景にしてキャラクターが全面に推されている。

今井:確かにそうですね。最初に使えるキャラクターの相模祐介、J-B 5th、美作いろりは個性も強いし、当時のアートワークは今見てもカッコいい。本作用の新しいビジュアルもいかにも井上先生の世界観が強い。では、そんな井上先生のファンの方からの質問。

当方、井上先生の漫画のファンです。STG未経験ですが、キャラクターから入っても大丈夫ですか?――30代 J-B好き主婦

久保田:大丈夫です。自信を持って言えます。というのも、今回は初心者からでも出来るものをいつも以上に用意しております。

今井:実際に井上先生のファンで興味があるっていう人はいっぱいいると思いますね。井上先生はケイブのあとのキャリアも華々しくて、漫画家としても人気があります。『BTOOOM!』なんかはアニメ化されたし、『おとぎ奉り』や『La Vie en Doll』といったケイブのシューティングを彷彿させる世界観の作品もあります。そういう人が興味を持っても、十分に楽しめますか?

久保田:大丈夫だと思います。今回の放送でもとりあげた「いろりの部屋」を含めて、ゼロからゲームを始めた人でもSTGが楽しめるように多数のモードを用意しました。だから、アーケードクリアまで根気強くやれば、いつかはクリアできるような作りにしています。

今井:では実際にクリアするとなると、このような質問がありますが……。

アーケードモードをクリアするのは実際のところどれくらい時間がかかるんですか?――20代 アクションゲームは大好き

久保田:これは正直、プレイヤーによるんですよね。言い方が悪いですが、素質があるかどうかでも変わってくる。あえてプレイヤーを分けると、①ゼロから全く触ったことがなくて、最近遊んでるのもスマートフォンのゲームだけですって人、②コンシューマ機で色々とアクションゲームをやっているよっていう人、③STGやったことがある人。この3段階ぐらいあると思うんです。

これによってかかる期間は違うかな。一番やっぱり辛いのは、①のほとんどコントローラーを握ったことのない人ですが、そういう人たちでもこのボタン押すとこうなるんだよみたいな丁寧なチュートリアルを「いろりの部屋」でやっています。それである程度、ゲームのいろはがわかってくるかな。そうすると、スーパーイージーはクリアできると思います。

今井:アーケードモードはどうですか?

久保田:1日何時間プレイするかとかにもよりますが、例えば1時間やったとして、アーケードモード でガラ婦人まで到達するのに1年。

今井:1年。やっぱりかかりますね(笑)。

久保田:いろはも知らない人なら、そうでしょうね。さらにガラ婦人を倒すのは結構難しいので、そこからはちょっと読めないな。

今井:やっぱり難しいゲームってことはやはり否めないですよね。

アーケード版の再現だけではなく、数多くのモードを収録。

久保田:否めないですね。だから目標をどこに置くかによります。さっきの話ですが、やっぱりキャラクターが大きいですよね。なので、井上先生の世界観とストーリーを味わいたいというのであれば、「いろりの部屋」をプレイするだけでも、ストーリーは理解できます。今回はキャラクターのボイスも収録して増やしているんで、セリフでストーリーを理解できる。それを目的にするんであれば、スーパーイージーモードやいろりの部屋で十分です。逆にアーケードモードはオリジナルに忠実なので、ボイスは少ない。アーケードプラスには新録ボイスが入っていますが。

今井:なるほど。あとこれは初心者向けでの話じゃないけど、アーケードモードとアーケードプラスって難易度的にはほぼ同じぐらいなんですか?

久保田:まったく同じですね。違うところは、稼ぎ方が少しだけ変わっているのと、ボイスが増えている、キャラクターのグラフィックがリッチになった感じです。2019年の新しい『エスプレイド』という感じなので、弾幕なんかには変化もないし、スコアのパターンも16倍を狙う部分は一緒です。

今井:実際にアーケードプラスをプレイすると、声優さんの影響は大きいですよね。それだけで楽しさが出てきます。

久保田:なので、とりあえずアーケードとアーケードプラスを迷ったら、アーケードプラスをやればいいかなと思っています。

今井:では次の質問。

自機キャラクターってどうやって選べばいいですか?おすすめキャラとかいますか?――20代 MOBA好き

久保田:本作は最初は3キャラで、ある条件を満たすと隠しキャラが登場し、4キャラで遊ぶことができます。ただぶっちゃけると、自分の好きなキャラ、推しキャラみたいなのでプレイしてもらえれば良いと思う。推しキャラです!

今井:やはり、キャラクター性の強い『エスプレイド』ならでは?

久保田:そうですね。キャラクターは男が2、女2でバランスもいい。例えば、女性の方だったらJ-B 5thが好きな方がとても多いんですよね。今回のプロモーションでわかったんですが、プレイしたことないのにJ-B 5thのファンだという人もいます。そういう人達もいるんで、井上先生が作ったどのキャラクターに惹かれるのかというので良いと思います。

今井:J-B 5thは一般的に使いやすいキャラとも言われていますね。

ケイブのキャラクターでもトップレベルの人気をもつJ-B 5th。今井のお気に入りでもある。

久保田:3キャラではJ-B 5thですね。でも4キャラだと新キャラとして追加されたALICE MASTER 小野亜莉水(以降亜莉水)ですね。亜莉水はJ-B 5thの良いところと他のキャラの良いところを全部入れてるんで使いやすいです。パワーショットが直線でJ-B 5thと同じですが、通常ショットがちょっと特殊でどんどん拡散していく。だからボス戦とかで、ボタンを同時押しすると、ショットが拡散する前にまとまって当たる。J-B 5thだと拡散ショットの一番端っこが当たらないんですが、それすらも当たる。改良版J-B 5thみたいな性能です。

今井:なるほど、亜莉水だと至近距離で張り付く必要がないんですね。

久保田:難易度的には亜莉水が簡単ですが、亜莉水を出すには他のキャラでクリアしなきゃいけない。まあそこはなんとかスーパーイージーでクリアしてください(笑)。

今井:まあボイスも増えたことだし、とりあえずは見かけや設定が好きなキャラを使えばいいですよね。

久保田:そうですね。セリフは全部、井上先生が書き下ろしています。井上先生も改めて『エスプレイド』に向き合って、全部セリフを構築したんですよ。だからやっぱり、ストーリーやキャラクターから入ってもいいと思います。

今井:では次の質問です。

チュートリアルも山ほどいろいろありますが、とりあえず何を一番最初にやるべきですか?――40代 いろりが大好き

久保田:まったくやったことがないんだったら、いろりの部屋からやった方が本当の意味でのチュートリアルかなと思います。ボタン操作や細かいルールなど、マニュアルだけでは説明が足りていない所をいろりの部屋でわかりやすく説明しています。

弾が見えない!敵の配置が覚えられない!STGの苦手克服法

今井:次からは具体的なゲーム内容や攻略の質問が多くなっています。

弾が多すぎてアイテムと勘違いする。まず何をすればいいんでしょうか ?――20代 スマホゲーマー

久保田:普通にアーケードモードをやると弾が多すぎて、アイテムと勘違いしますね。ここもまずはいろりの部屋からプレイすれば、弾も少ない。あとわりと『エスプレイド』は弾幕STGの中でも癖のある弾幕がいくつかあります。

今井:そういったところはやっぱり覚える必要がありますか?

久保田:そうですね。でもスーパーイージーはSTGやったことのある人だったら、初見クリアでもいけるくらいの難易度です。

今井:確かに私もスーパーイージーは初見でクリアしました。では次にちょっとむずかしい質問です。

STGは強制的に進んでいくのが苦手です。ターン制ならできるんですが……――40代 JRPG好き

久保田:ちょっとこれは難しいですね。そういうゲームですからね(笑)。

今井:でも私が人にSTGを勧めるとよく言われるんですよ。アクションゲームはプレイする人は比較的、多いじゃないですか。でもシューティングになると、強制スクロールが苦手とか言われるんですよ。

久保田:でもアクションもたまに強制的に進むステージありますよね。逆にSTGにも、自分の好きなほうに動いていくSTGもあるんですよ。『ファンタジーゾーン』とか。でもそっちのほうが逆に難しいですよね。スクロールを自分で制御するのはすごく難しくて、敵の位置とかが自分のスピードに依存するんですよ。だから強制の方が楽だと自分は思っています。

今井:久保田さんらしい見方ですね。でも確かに強制スクロールってパターン化しやすいのに対して、任意スクロールは難しいですよね。

久保田:縦スクロールSTGはほとんど強制スクロールで、敵の出てくる順番さえ覚えればどうにかなるっていう部分があります。それが嫌ならば『ファンタジーゾーン』を是非プレイして欲しいですね(笑)。

今井:なるほど。では続けて、ゲーム内容に関わる質問です。

パターンつくったりするときにミスした場所や苦手な場所の覚え方が分からない。どうやって覚えればいいの?――20代 初心者シューター

久保田:そうですね。基本的には道中の方が難しいと思うんですよ。ボスはどの攻撃で避けられないのかすぐに分かる。形態や弾幕の種類がはっきりしているから楽なんです。弾幕は記号みたいなもので、こういう攻撃が来ると避けられないというのは、分かりやすい。だからこの攻撃で死んだ、こういう状況で死んだというのを頭の片隅に置いて欲しいかな。

今井:道中はどうでしょう?

久保田:道中の方が難しいんですけど、これは僕らの中では解決策を作っています。それがアーケードモードのミス地点を記録し、ミスした箇所の5秒前からスタートできる「アーケードおさらい」モード。文字通りアーケードをやらないといけないですが、苦手なところを練習することができます。

今井:あとはマップガジェットにも死んだ位置が表示されますよね。

久保田:マップガジェットにあるデンジャーラインってやつですね。マップガジェット見ながらプレイするのは、ちょっと大変かなと思うんですが、なんども死ぬと目立ってくるので参考にしてもらえれば。

今井:あとSTGならではの部分ですが、やっぱり背景自体豪華じゃないですか。だからこの建物が来たらヤバいぞみたいなのがある。背景を利用しながら攻略するのは結構楽しみのひとつかなと。

久保田:建物が目印になるのは結構ありますね。マップガジェットにも表示されているんで、そういう形で覚えるのも良いと思います。

今井:次はより踏み込んだ話です。

攻略ってパターンをつくれって言われますが、パターン作るのもそのパターンにそってプレイするのもつまらなくないですか?――30代 ローグライクゲーマー

久保田:これも様々な人がいて、パターンを作ること自体が面白い人はかなり上級者ですね。逆に一番楽なのは、初心者向けやクリア優先のパターンを動画で見てしまうこと。M2 Shot Triggersシリーズではリプレイのアップロード機能があるんで、リプレイで他の人のプレイをみながら、避け方を参考にできるんじゃないかな。ハイスコアのプレイ見ると結構きわどいことをやっていますが。

今井:『エスプレイド』自体はそこまでガチガチのパターンを組まなくてもクリアはいける感じですか?

久保田:わりとアドリブが効きます。というかパターンを作るのが難しいと思います。というのは、ランダム要素が結構あるんですよね。スコアラーでも苦手なのは夜叉エスパーと呼ばれるザコ敵です。あいつらはランダムに動くので、不意打ちされることもある。そういったランダムの要素があるので無理にパターンを作ろうと思わなくてもいいです。

序盤から登場する夜叉のおじさん(画面中央の赤い敵)。

今井:こだわらないほうがいい ?

久保田:こだわらないほうがいいですね。何か上手いパターンを見て学んでも良いんですが、このゲームはあんまりそれを求められてない感じです。だから自分が駄目だなと思ったらガードバリアーを使うのもありだと思う。わりとアドリブで自分なりにプレイしていければいいかなって思います。僕が大学生の時に初めてクリアした時は、ほとんどアドリブで何も覚えてなかったです。このゲームが好きなのはその部分で、逆に『ケツイ』はかなりパターンを作らなきゃクリアできない。

今井:確かにパズルみたいな弾幕を解かされる『ケツイ』に比べると、『エスプレイド』はアドリブで避ける楽しみが強いですね。井上先生も限定版のインタビューの中でサラリーマンでも楽しめるぐらいにしなきゃいけないと言ってますからね。

久保田:井上先生は3面までをいかに気持ちよく遊ばせるかを強調していました。5面中の3面なので、3面まで行けるというのはアーケードでは大きなことです。まあ5面がかなり長くて難しいですが……。

攻略に伸び悩んだらいろんなモードをプレイしよう

今井:クリアに関しては次の質問があります。

アーケードゲームはクレジットを使ってコンティニューができますが、するべきかどうか結構悩みます。――30代 家ゲーマー

久保田:同じことを何度も言ってしまいますが、やはり目的次第ですね。ワンコインクリアを目指した場合は、とりあえずコンテニューしてでもいいから通しでやった方がいいと思います。あとアーケードモードをワンコインクリアしたい場合でもスーパーイージーをクリアしたほうが良いと思う。簡単なんですが、アーケードモードと変えてないとこもいっぱいある。敵の硬さとかはそのままなんで、16倍の練習ができるんですよ。

今井:稼ぎにも練習にもなると。

久保田:そうですね。このゲームはある程度稼いでもらわないとダメなんです。スコアでエクステンドがあるので。なので、ワンコインクリアを目指す場合も、とりあえずスーパーイージーでもクリアする。またコンティニューしてクリアしてもいいと思います。

今井:世界観やストーリーも理解できますからね。では次も似た観点ですが……

ついつい上手くいかないと捨てゲーしてしまいます。――20代 ぬるま湯シューター

久保田:捨てゲーした理由によりますね。

今井:良い捨てゲーと悪い捨てゲーがある?

久保田:基本的に捨てゲーは悪いと思っていますよ(笑)。ただ限定版のスコアラー座談会でも出ていましたが、Clover-TACさんはミスっても最後までやるんですよ。ミスった後に得られる何かがあるから必ず最後までやる。さすが上級者、ミスったからこの機会に新しいパターンを作ろうと思う人なんですよ。

今井:よく格ゲーで1本2本取られて、勝てない状況でわざと変な動きをする人はいますよね。相手の出方を見て研究するとか。プラス思考に考えたらそれが一番強い人かもしれんね。

久保田:プラス思考なのは、やっぱり全一だなっていう感じがする。だから捨てゲーの理由によるんです。これ以上進めるのが絶望的だから捨てゲーすることはわりとありますが、やっぱり得られる何かがあるからあんまり捨てゲーするのは良くないかな。

今井:あとこれも似たような観点で、個人的にも共感する質問です。初心者の質問ではないですが……

1面で完璧なプレイができないと、すぐにやり直してしまいます。――40代 一面番長

今井:いわゆる一面番長ですね。一面のスコアや完璧なプレイにこだわるあまり、全体のプレイがおろそかになるという。私はとても気持ちがわかります……。

久保田:僕も一面番長ですね(笑)。確かに家庭用は100円入れるわけじゃないから、いくらでもやりなおしできるんです。なので結局、家庭用は捨てゲーしてもいいと思います。M2 Shot Triggersはリスタート機能を用意しているのでいつでもゲーム開始時に戻ることが出来ます。 更にコントローラーのアサインでリスタートボタンを作れて、死んだと思った瞬間そのボタンを押しっぱなしにするとすぐリスタートすることもできます。これが便利って言ってくれる人はいっぱいいます。

今井:ただ最近、私の中で感じているのは、STGが本当に難しいのは3、4面にたどり着くくらいの腕前になったあと、どうやってモチベーションを保つかですよね。どうしても中だるみしてしまいますし、簡単な1面2面をクリアするのがめんどくさくなる。1面でミスったら捨てゲーしてしまう。そういう上達が見えなくなったとき、どうしたらいいのかなと。

久保田:闇雲にプレイするのは良くないかなと思います。だから僕らは様々なモードを用意したんですよ。例えば、自分や人のリプレイを見る。アーケードの4面がうまくできないなら、アーケードチャレンジモードでひたすら4面をやる。

今井:確かにそれは家庭用ならではの方法ですね。でも様々な練習モードがあるんですが、この辺りで停滞してしまうプレイヤーはどうしても通しプレイばっかやっちゃうんですよ。

いろりの部屋でのチュートリアルメニュー

久保田:そこは家庭用なんで、アーケードにない機能を楽しんでほしい。アーケードではぜったい無理じゃないですか。格ゲーはトレーニングモードみたいなのがありますが、アーケードチャレンジやアーケードおさらいはそれのSTG版だと思ってください。100円でやる以上、アーケードにはそういう機能は作れない。だからこそ家庭用にはアーケードチャレンジ、アーケードおさらい、いろりの部屋といった多様な練習要素を入れています。

今井:通しプレイだけではなく、飽きずにプレイできるってことですよね。少し上達したプレイヤーにもいろりの部屋はおすすめですか?

久保田:おすすめです。万人に受け入れられるように作っていますので、初心者におすすめと言いながら、それだけじゃない。いろりの部屋は1ミスで即ゲームオーバーで、ある意味アーケードより難しい。ガードバリアーがない縛りプレイみたいなモードもありますし、部屋の飾り付けを楽しむことができます。初心者向けでもあり、上級者にも色々と楽しめるように作っています。

今井:なるほど、次は少しSTGを知っている人の質問です。

ボム(ガードバリアー)がもったいなくて使えません。結果として、いつも抱え落ちしてしまします。――40代 ヘタレシューター

久保田:基本的には緊急回避の時に使ってください。ただどのタイミングで使ったらいいのか最初はわからない。苦手なとこをいろりの部屋やアーケードチャレンジで練習して、バリアを使うタイミングを掴んで、自分なりのパターンを作ってほしいですね。

今井:ガードバリアー自体は他のSTGのボムよりも比較的多く使えるし、回復もしやすいですよね。

久保田:だから積極的に使ってほしいですね。ケイブさんのSTGってスコアとボムが密接に関わるものが多いんですよね。『怒首領蜂』なんかは、ボムるとスコア的に損をする。損をすると思ってしまうから使いづらいんですが、『エスプレイド』に関してはあんまり損することはないんです。だからガードバリアーはどんどん使ってほしい。 

STGの楽しみとは何だろう?

今井:ということで、STG未経験者や初心者は他にもいろんな疑問があると思うんです。でも、そもそもSTGを楽しむことは、何もクリアを目指すことだけじゃないですよね。

久保田:音楽やグラフィックス、キャラクターなどいろいろありますよね。特に『エスプレイド』に関してはストーリーだと思います。16倍がモリモリでてきて楽しいっていうプレイヤーもいるんですが、それが全然楽しくないという人もいる。だから楽しみ方を押し付けることはないかな。そして楽しむ要素としては他のSTGよりも多いと思うんですよ。それこそキャラクターが立っています。背景となる舞台もバリエーション豊富です。

今井:STGの背景に学校とか普通、あまり出てこないですしね。

久保田:他のSTGとかと比べるとちょっと変わってるかな。あとはファンタジーじゃなくて現代劇なんですよね。

今井:2018年が舞台なんですよね。現代劇で超能力バトルっていうのは、アトラスからパブリッシングされているのが妙にマッチしますよ。あと限定版のインタビューで触れられていましたが、クリア後の1枚絵が連続して表示されるカットシーンがありますよね。あれを初めたのは『エスプレイド』からだったんですね。あの演出はいかにもケイブシューというイメージがあって、他の作品にも採用されています。私はこの演出が本当に大好きで、これがないと落ち着かないっていうレベル。

久保田:そうでしたね。『エスプレイド』ではその部分が成功したと判断されたんでしょう。このやり方でストーリーを演出すれば、キャラが立ってくる。デザインとしてもとてもかっこいい。だから、そこをオマージュしているSTGもたくさんありますよね。

今井:そうそう。STGの定番演出のひとつとして。

久保田:演出のバリエーションという意味では『エスプレイド』はパイオニアです。だからそういった部分を楽しむっていうのも全然アリかな。

スコアラーを引きつける16倍のラッシュ。

今井:個人的にはSTGってデザイン主導なところがあって、16倍が何で気持ちいいのかっていうとあのフォントが気持ちいい(笑)。

久保田:そうそう。どばぁーって!

今井:でもこのあたりはなかなか伝わりにくいですよね。

久保田:シューターは結構そういうの好きなんですけどね。

今井:最後に聞きたいのは、やっぱりワンコインクリアは魅力だと思いますか?

久保田:魅力だと思います。やっぱり。最終的にゲームセンターで遊んで欲しいなと思っているので、ゲームセンターでも寸分違わないものを作っています。いつかゲーセンデビューしてほしいなと思っています。でもあまりとらわれないでやってほしいです。特にSTGのプレイヤーはみんな結構強い信念持ってやってるじゃないですか。それに影響されてしまう人は多いですから。

今井:確かにSTG好き誰しもがすべてのゲームをクリアできるわけでもないし、スコアラーは一握りですからね。その点、『エスプレイド』は入りやすくてサクッと遊べるところがいいですね。

いろりの部屋の一例(公式サイトより)。

久保田:自分にとって何が楽しいかを考えて、そこを目的にしてプレイしてほしいですね。これに限った話ではないですが、流行に流されるのは良くないなと思いますし、他人の意見に左右されず、自分のやりたいことをやってほしい。その意味で、推しキャラを存分にいろりの部屋で愛でてほしいし、井上先生の世界観を堪能してほしい。『エスプレイドΨ』は井上先生が主導となって開発したので、かなり世界観が表れています。いろりの部屋が必要だと主張したのも井上先生なので、かなり目的が叶えられたのではないかと。

今井:確かに非常に豪華版というか、普通のSTGにはないコンテンツ量ですよね。あとは井上先生の世界観って80年代から90年代のSFや風俗を感じさせるのですが、それが一回転して今カッコいいですね。限定版の池田井上インタビューを読むと、その当時のケイブのクリエイターが80年代から90年代のカルチャーの影響をかなり受けていたことが知れて興味深かったです。特にファッションの話は爆笑させてもらいました。

久保田:個人的に池田さんがいつもスーツを着ている理由が解明されたのは大きいですね。あれだけはどうしてもインタビュー記事に収録させたかった。

ほぼ未経験で『エスプレイドψ』に挑戦!桃川めておとあぐにゃん

 
「ゲーねす!」のパーソナリティをつとめる桃川めてお(下)とマスコットのあぐにゃん(上)

久保田氏のインタビューは、IGN JAPANがニュース提供を行っているゲーム情報番組「ゲーねす!」の収録と同タイミングで行われた。「ゲーねす!」では毎週、Vtuberの桃川めておとあぐにゃんの2人がゲームニュースなどとともに実況プレイをお届けしているが、今回の収録では初『エスプレイドΨ』に挑戦。せっかくなのでほぼ初心者の2人に本作やSTGの感想を聞いてみた。

今井:まずはおふたりにこれまでのSTG歴みたいなものを聞きたいのですが、プレイしたことってありました?

めてお:私は過去に1回だけプレイさせていただいたことがあります。だけど、ほとんどSTGはやったことない初心者です。今回のゲーねす!であぐにゃんと2人ではじめてプレイしたくらいです。

あぐにゃん:あぐにゃんは『エスプレイド』は初めてだったけど、昔、ちょっとだけSTGをやったことあるんだぞ。

今井:今回の放送ではアーケードモードでしたね。なんというスパルタ(笑)。今回は「いろりの部屋」も含めていろんなモードに触れたと思いますが。

めてお:すごい楽しかったです! 弾幕とかはとにかく避けられないし、アイテムも種類がわからなかったけど、今日はチュートリアルをやったおかげで、ショット打ちながらで細かく避けるといった動きもできるようになりました。本当の本当の初心者でも「いろりの部屋」は分かりやすくて良かったです。

今井:STGというジャンルは知っていたと思うんですが、どういうイメージでした?

めてお:ちょっと敷居が高いイメージがありました。すごい上手い人じゃないと100円を溶かしてしまうイメージ?

今井:まあアーケードゲームとしてはそれで間違ってないんですけど(笑)。

あぐにゃん:あぐにゃんは最近はプレイしていなかったけど、今回はすごい楽しくて本当にすぐ買うぞっていう気持ち! 弾幕を避けながら攻撃するのが楽しいし、細かく避けるプレイが好きなんだ~! 「いろりの部屋」もすごく興味があるけど、アーケードモードをガンガン進めていきたいぞ!

今井:お互いのプレイみてどうでした?どっちがうまいと思いましたか?

あぐにゃん:あぐにゃんの方が圧倒的にうまいと思うぞ!

めてお:うー、確かに中ボス戦のときなんかは弾が凄い多いのに、ガードバリアーを使わず避けていて、「あぐにゃん、絶対これ買って練習したんじゃん!」って思っちゃったからな~。

今井:確かにあぐにゃんはスーパーイージーモードなら、クリアできるかもしれませんね。おふたりは普段はどういうゲームをやっているんですか?

めてお:私はFPSが好きです! プレイスキルはないですけど、「Fallout」シリーズとかが大好きです。そのほかはホラーゲームも大好きです。

あぐにゃん:あぐにゃんは2Dのドット絵のゲームが大好きだぞ。特にアクションゲームが好きで、クリアしても繰り返してプレイしちゃうやり込み派かな。

今井:これはSTG適性ありですね。STGはアクションゲームに比べると覚えることは少ないですから。ただ操作に求められる水準は高いので、とりあえずスーパーイージーモードから挑戦するといいですね。

あぐにゃん:クリアできなくても挑戦するのだ!

めてお:私は「いろりの部屋」のコンクールに投稿します!

今井:ありがとうございます。STGおじさんとしては新しいプレイヤーが来ることは大歓迎です!『エスプレイド』の次は『ケツイ』とかにも挑戦してほしいですね。

久保田:『ケツイ』も難しいけど、簡単なモードで入りやすいようにしています。『エスプレイドψ』はその究極系として「いろりの部屋」を作りました。今回はこれまで以上に作り込んでいるんで、女性のプレイヤーにもアピールすることも目的でした。とりわけ井上先生は女性にも受けるものを要求されたので、「いろりの部屋」の家具などをデザインするアーティストは女性の方にやってもらっています。

めてお:本当にかわいかった。かわいいだけじゃなくて、ちょっと何に使うんだっていうのもあったりして、面白かったです。


『エスプレイドψ』はNintendo SwitchとPlayStation 4で好評発売中。価格は通常パッケージ版が6800円(税抜)、ダウンロード版が4500円(税抜)となっている。

(C) ATLUS (C) SEGA 
(C) 2019 M2 Co., Ltd.
Original Game:(C) ATLUS/CAVE 1998

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