東方ProjectのWindows向け1作目『東方紅魔郷』Steam版はリリースが難しい。ソースコードがないため


上海アリス幻樂団のZUN氏が手がけた東方Projectの1作『東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.(以下、東方紅魔郷)』のSteam版リリースは、ソースコードがないため難しいようだ。ZUN氏がメインパーソナリティを務め、酔っ払い同士が交わすような益体もないトークが繰り広げられるWeb番組「2軒目から始まるラジオ」第117回目にて、上記を含む内容が語られた。

本題に入る前に、『東方紅魔郷』のおさらいをしておこう。『東方紅魔郷』は東方Projectの第6弾として、2002年開催のコミックマーケット62で頒布されたWindows向け弾幕STGだ。紅色の霧に包まれた幻想郷を舞台に、博霊霊夢と霧雨魔理沙が窓の少ない洋館へ乗り込み、異変解決へ挑む。吸血鬼のレミリア・スカーレットや十六夜咲夜といった紅魔館の面々を含め、東方ではお馴染みのキャラクターたちが登場。Windows用東方Projectとしては、6月6日に配信予定の『東方風神録 〜 Mountain of Faith.』『東方地霊殿 〜 Subterranean Animism.』『東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.』を除くと、Steamで配信されていない5作品のうちの1本でもある。なお古い作品ではあるのだが、Googleで東方紅魔郷と検索してみると、関連キーワードにはSteam、スマホ、PS4、発売日などが並んでおり、入手手段を求めている新しいファンの存在が確認できる。

そんな『東方紅魔郷』には、他のWindows版東方Projectにはない問題点として、Windows 10環境でまともに動作しないという悩みがある。具体的には、フルスクリーンで起動するとフレームレートが4桁に達し、超高速で動作する。そのまま強引にゲームを開始すると、1秒未満でルーミアに遭遇し、残機がなくなっていた。何が起こっていたのかまったくわからない。フルスクリーンではなくウィンドウモードで起動させようとすると、今度はタイトル画面への偏移に失敗してBGMが流れ続けたので、少なくとも筆者の環境では動作しなかった。Windows 10どころかWindows XPがリリースされた翌年の作品なので、致し方ないことだが、もしSteamなどでダウンロード版を販売するのなら、こうした問題へ対応する必要があるわけだ。なお『東方紅魔郷』をWindows 10でプレイしたい場合には、有志によってパッチが作成されていたり、さまざまな手順が公開されているので、それらを参考にしてほしい。

5月28日に放送された「2軒目から始まるラジオ」第117回目では、メインパーソナリティのZUN氏にくわえて、編集者の小此木哲朗氏など同氏と親しいメンバーがミーティングアプリZOOMを通じて登場。お酒を片手にトークが展開されていた中、ビートまりお氏の「紅魔郷なんとかしてくださいよ」という発言をきっかけに、Steamでリリースされていない作品について話が及んだ。

まず出演していたメンバーの1人であるルー氏が、『東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom.』『東方永夜抄 〜 Imperishable Night.』は、Windows 10でも動作するためSteamのテストチームが許してくれるならそのまま出せるが、『東方紅魔郷』だけはWindows 10で動作しないため出せないと発言。『東方紅魔郷』は、exeを作り直すほうが早いと語ったところで、ZUN氏から「ソースコードがないためそれも出来ない」と語られた。『東方紅魔郷』がSteamでそのままリリースされる可能性は少なそうだ。

また、オリジナルを再現する方法について会話が弾んでいる中で、ZUN氏は「再現できないものは軽々しくリメイクして金を稼げばいい」と冗談めかしてコメント。「リメイクするぐらいなら新しいものを作ったほうが需要あると思っているので、今はやらないけれど―――」と語っていたため、リメイク版『東方紅魔郷』がいつの日かリリースされるのかもしれない。そのほか、3作品のリリースが6月6日になったことは偶然だった事実や、対戦モードもある『東方花映塚 〜 Phantasmagoria of Flower View.』をSteamに出してマルチプレイに対応させたいという話もあったが、ZUN氏は技術的に厳しそうだという見解を示している。なお、上記の内容は放送されていたとはいえ、お酒が入った上での会話であったことには留意してほしい。

また上記の放送はYouTubeで行われていたが、丁度Mildomでプロゲーマーの梅原大吾氏が『東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature.』のExtraへ挑戦していたため、梅原大吾氏のプレイを鑑賞する流れに。「東方に慣れれば慣れるほど文句が増える。」といった発言を含め、開発者による実況や解説が繰り広げられた。同作の設計や狙いについても触れられていたため、興味のある方は梅原氏の放送もあわせて見てみるといいかもしれない。