Studio MDHRより、プレイステーション4版『Cuphead』が配信中だ。同作は、2017年にXbox OneとPC向けに配信されるや、1930年代のカートゥーンに着想を得た全編手描きのセルアニメ(!)と、骨太なゲーム性が人気を集めた2Dアクション。2019年4月18日にはNintendo Switch版も発売され、現時点での世界累計販売本数が600万本を超える大ヒット作となっている。

 そんな同作が満を持してプレイステーション4にてリリースということで、ここではStudio MDHR 共同ディレクターであるチャド・モルデンハウアー氏とCOOのマヤ・モルデンハウアー氏にお話をうかがった。プレイステーション4版にあわせて、2020年に配信予定の追加ダウンロードコンテンツ“The Delicious Last Course”や、Netflixのオリジナルアニメ『The Cuphead Show!』のことなども聞いているので、『Cuphead』ファンはご注目を!

『カップヘッド』PS4版配信記念・チャド&マヤ・モルデンハウアー氏に聞く。追加DLCやアニメの進捗など、今後の展開も直撃_01
『Cuphead』PS Storeサイト

いまは追加DLCの“The Delicious Last Course”に注力

チャド・モルデンハウアー氏

Studio MDHR 共同ディレクター


マヤ・モルデンハウアー氏

Studio MDHR COO

――プレイステーション4版発売の経緯をお教えください。プレイステーション4版は当初からプランしていたことなのですか?

マヤ多くのゲーム開発者と同様、私たちの第一の目標は、自分たちが遊びたいと思うような、誇りに思えるものを創り上げることです。このゲームが2017年にまずXbox OneとPC向けに発売されたときは、とにかく今後もゲーム作りを続け、自分たちの好きなことを続けられる程のファンに恵まれるよう願うばかりでした。その時点では、将来の他機種への発売予定なんて考えてもいませんでしたし、発売以降に寄せられた世間からの反応なども夢にも思いませんでした。PS4向けに発売できることに興奮していますし、新たなプレイヤーの皆さんに早くカップヘッドとマグマンの冒険を体験していただきたいです。

――Nintendo Switch版への移植はStudio MDHRが担当されたとのことですが、プレイステーション4版に関してはいかがでしょうか?

マヤNintendo Switch版と同様、プレイステーション4版『Cuphead』も、すべてStudio MDHR内で開発しています。

 もちろん、プレイステーション4のプレイヤーの皆さんがこれまで他機種向けに発売されたものと同様のハイクオリティなゲームを楽しんでいただけるよう、細心の注意を払っています。

――PS4版開発にあたって、こだわったポイントをお教えください。

マヤ『Cuphead』のような、ステージやボス戦での微妙なタイミングと動きが重要なゲームでは、ゲームの処理具合がプレイヤーのゲーム体験にとても重要です。そこで、他機種版と同様に、プレイステーション4版についても『Cuphead』がスムーズに読み込まれ、もっともせわしくてカオスなバトルの最中にもしっかりと処理されるよう念を入れました。プレイステーション4のプレイヤーの皆さんからの反応を伺うのがとても楽しみです。

――プレイステーション4版では、ゲームファンにとくにどのへんを楽しんでもらいたいですか?

チャドプレイステーション4のプレイヤーの皆さんが、難しいチャレンジに挑み、そのゲーム上の勝利を他の人たちとシェアすることにどれほど打ち込んでいるか、私たちはよく知っています。ですから、『Cuphead』にはしっかりとプラチナトロフィーが含まれています! 私たちは、最初のプラチナトロフィーのスクリーンショットが送られてくるのを、わくわくしながら見守っていますよ。

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――Nintendo Switch版『Cuphead』はXbox Live対応でしたが、プレイステーション4版はいかがでしょうか?

マヤプレイステーション4版の『Cuphead』については、外部アカウントやログイン機能はありません。他機種版がそうであるように、(プレイステーション4版では)プレイヤーの皆さんはPS Network IDを使ってトロフィーを獲得できます。

――『Cuphead』はパッケージ版についても予定しているとの話も伝わってきますが、リリースの予定はありますでしょうか?

チャド80年代、90年代のクラシックなアクションやアーケードゲームのファンとして、パッケージ版を手に入れたり、収集することの楽しみを分かっています。『Cuphead』のパッケージ版について検討したいとは思いますが、私たちのスタジオではすべてにおいてそうであるように、しっかりと時間をかけて自分たちが求めるクオリティーに適ったものにしたいんです。ですので、『Cuphead』のパッケージ版に関して、いま何か発表できることはありませんが、私たちが今後考えていくことは間違いありません。

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――追加DLCの“The Delicious Last Course”が2020年に配信予定です。本DLCの進捗をお教えいただけますでしょうか。また、注目ポイントなど、可能な範囲でお教えいただけるとうれしいです。

マヤ“The Delicious Last Course”の進行具合についてはとてもわくわくしています。チームの皆は元々のゲームを意味のある形でより拡げて、記憶に残る体験となるよう、DLCに一生懸命取り組んでいます。私たちは、『Cuphead』に取り組むことで、開発とアニメーションについてたくさんのことを学びました。その学んだことを“The Delicious Last Course”の開発に活かしています。ファンの皆さんはボスたちやキャラのアニメーション、それにイラストの精細さやクオリティーがさらに高いレベルに達していることに驚くことと思います。いよいよ準備ができ、配信が近づいたときには、さらに詳しくお知らせしますので、どうぞお楽しみに!

――今年(2020年)は、Xbox Series Xやプレイステーション5といった次世代機も発売されます。『Cuphead』が次世代機で展開される可能性はありますか?

マヤXbox Series Xとプレイステーション5の互換性について、いま発表することは何もありませんが、私たちが積極的に調査していることではあります。今後、それらのプラットフォームの詳細が明らかになったときには、もう少しお話しできると思います。

――ちなみに、現時点におけるワールドワイドでの『Cuphead』の販売本数はどれくらいになりますでしょうか?

チャド驚くことに、『Cuphead』はこれまでに600万本以上も売上げました。世界中のファンが、私たちのこのアニメーションアドベンチャーを受け入れてくれたさまには、とにかくあっけにとられるばかりです。マヤが先に申しました通り、ゲームを作っている最中に考えられたのは、「うまく行けばゲーム作りを続けられるくらいの売上げになるな」、という程度でした。ですので、『Cuphead』が皆さんの心にこのように共鳴するとは、恐縮するばかりです。とにかく言葉には表せません!

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――Netflix配信によるオリジナルアニメ『The Cuphead Show!』が発表されました。『Cuphead』のアニメ化は、待ちに待ったという感じですが、アニメ化にあたっての率直な感想を聞かせてください。Studio MDHRはどの程度アニメに関わっているのですか?

チャド皆さんご存じのように、『Cuphead』は1930年代のアニメーション映画や短編のカートゥーンにインスパイアされています。そうした、古典作品に対する私たちのおかしくって歪んだ愛こそが、このゲームを作ろうと思ったことの大きな理由のひとつです。ですので、『Cuphead』がそのもとになったメディアに“里帰り”するのは、とても不思議な気持ちです。「夢が叶う」という言葉に一切誇張はありません。

 私たちは、Netflix Animationのチームとコラボする機会に恵まれて、とても幸運です。彼らが、脚本とアニメーションを担当します。私たちは、近いところから『Cuphead』の世界観やキャラクターについての見識を提供しますが、『The Cuphead Show!』はNetflixの才能ある監督、アニメーター、アーティストたちによって進行するオリジナル作品です。ここまでの出来には、私たちもとても誇りに思っています。

――『The Cuphead Show!』はどのような内容になるのでしょうか。

チャド『The Cuphead Show!』は暖かさとユーモアがうまくミックスされたものに仕上がって来ています。お話しは、若い視聴者にアピールするであろうと思われる内容ですが、同時に『Cuphead』を遊んだ大人や、若い視聴者といっしょに初めて『Cuphead』の世界を体験するような大人も共感するような内容です。Netflixのチームは労力をいとわずに、ゲームがインスパイアされた古典的カートゥーンのビジュアルスタイルやユーモアにオマージュを捧げつつ、私たちのキャラにいまの時代にうまくフィットすると思われる深みを与えています。

――プレイステーション4版やアニメ化など、2017年にXbox One版がリリースされてから話題が尽きることのない『Cuphead』ですが、今後の進む道を教えてください。『Cuphead』というIPで目指すものは?

マヤいまのところ、私たちは『Cuphead』プレイヤーの皆さんが驚き、かつ喜んでいただけるよう、すべての力を“The Delicious Last Course”に注いでいます。それ以外には、いま何か発表できることはありませんが、そのときが来たら必ずお知らせします。

――最後に、プレイステーション4版で『Cuphead』を楽しんでみようかしらと思っている、日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

チャド今日の多くのプレイステーションファンの皆さん同様、私たちは『バイオハザード』や『ヴァンダルハーツ~失われた古代文明~』のような古典的名作の世界を探検してきました。プレイヤーの皆さんがプレイステーション コントローラーを手にインクウェル島を冒険すると考えると、不思議な気持ちです(トリビア:プレイステーション2版『スーパーパズルボブル2』には、『Cuphead』のボス道化師ベッピのビジュアルデザインに影響を与えたキャラがいます)。 これまでに心のこもったメッセージを送ってくれた熱狂的プレイステーションファンの皆さんへ、本当にありがとう。そして楽しんでください!

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