さあにん@山本直人の「ナムコットコレクション オールカタログ」第一回

  • 記事タイトル
    さあにん@山本直人の「ナムコットコレクション オールカタログ」第一回
  • 公開日
    2020年08月28日
  • 記事番号
    3417
  • ライター
    さあにん@山本直人

ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)がファミコンに参入して36年。
数多くのアーケードからの移植作、オリジナル作、ファミコン向けアレンジ作が発売されましたが、その中から選ばれた30作が『ナムコットコレクション』としてNintendo Switchに登場しました。
当時、私はそのほとんどに『ファミリーコンピュータMagazine』(以下『ファミマガ』)のスタッフとして触れておりました。さらにナムコ担当でもあった私は、多くのタイトルを取材、紹介するという体験もしております。もちろん「我が青春のテレビゲーム」にもありますとおり、古くからアーケードゲームを愛する人間でもあります。
そこで! このタイトル群のために一肌脱ぎましょう!
ということで、三回に渡ってコレクションの全タイトルをご紹介させていただくことになりました。
まずは第一弾の10作+1作を、当時のファミマガ記事なども併せてご覧ください。

02 パックマン

オリジナルは1980年のアーケードゲーム。プレイヤーキャラである「パックマン」と4匹のモンスターとの固定画面の迷路内での追っかけっこゲーム。
登場以来、「ナムコといえば」の代表作。キャラクター、ゲームともに現在に至るまで、周知されているのはご存じの通り。4方向移動だけの操作(ファミコンだと十字ボタン)なので、未就学児でも遊べるのがいいところでしょうか。
追う側と追いかける側が「パワーエサ」で逆転するのが『パックマン』の一番の醍醐味でありますが、それ以上にゲームスタート時やコーヒーブレイクの音楽が推せるタイトルであります。フルーツ(一定量、ドットを食べると出現)を食べたときの音など「ナムコのゲーム、音スゲー!」って、アーケードで遊んだときと同様に感じたタイトルでもあります。
発売当時『ファミマガ』は創刊しておりませんので、記事はないのですが、「ミニファミコン」の本での記事をお見せいたします。

ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazineより

05 ギャラガ

オリジナルは1981年のアーケードゲーム。『ギャラクシアン』の流れを汲むスペースシューティングゲーム。
こちらも『パックマン』同様に「ナムコといえば」の代表作の1つ。
ボスギャラガに捕らえられた自機(ファイター)を取り返すことで、2つ連なったデュアルファイターになり、攻撃力が倍増するのが醍醐味だが、行動範囲が狭くなるので、慣れないうちはミスもしやすくなるというのがポイント。
ナムコのタイトルは、こういった「有利」「不利」の駆け引きがおもしろいんですよ。
『パックマン』と順に遊んでもらうと、そういった楽しさがより感じられるかなと思います。
あと、『ギャラガ』は記憶ゲーの側面もありまして、やりこめばやりこむほど攻略が楽になるというのもありました。編隊を組むまでのギャラガの軌跡と数、チャレンジングステージの動きなどなど。このあたりをじっくりと学んで遊んでほしいタイトルであります。
こちらも発売当時『ファミマガ』は創刊しておりませんので、「ミニファミコン」の本での記事をお見せいたします。

ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazineより

07 ドルアーガの塔

オリジナルは1984年のアーケードゲーム。全60フロアからなる塔を、各フロアの謎を解きながら進んでいくアクションRPG。ファミコン版は1985年発売と、アーケード版から間隔が開いてないのも、ファミコンユーザーを喜ばせた点でしたな。
『ゼビウス』の遠藤雅信さんの名をゲームマニアの間に轟かせた作品でありますが、いかんせん各フロアの謎解きが難しい(ノーヒントですし)。プレイキャラの剣と盾の位置関係を体で覚えるまでが大変。先に紹介した2タイトルと違い「初心者おことわり」のタイトルといえるでしょう。
逆にやり応えはハンパないタイトルでもあります。ネットで攻略方法を調べつつ、プレイするのが基本スタイル。60フロアクリアには時間がかかるので、ファミコンの電源を落とさないというのが当時は必須だったんですが『ナムコットコレクション』なら途中セーブが可能なので、安心してプレイできるというものであります。
隠しコマンド入力で遊べる「裏ドルアーガ」は、アーケード版を超えるユーザーサービスとして評判になったものであります。
『ファミマガ』では創刊3号の1985年10月号で紹介。アスキーから攻略本が発売されていたり、アーケード版の攻略を『マイコンBASICマガジン』で細かくやっていたりで、攻略情報のページを取ることはありませんでしたが、要望が多く、後日欄外を使って全フロア攻略を掲載したりもしました。

ファミリーコンピュータMagazine 1985年9月号より

09 バトルシティー

オリジナルは1980年のアーケードゲーム『タンクバタリアン』。このタイトルをファミコン向けにアレンジしたもの。このあたりから、ファミコン用タイトルにアレンジ版やオリジナルタイトルが登場します。
2人同時プレイができるのが一番の魅力。『マリオブラザーズ』のように邪魔しあったり(同士討ちはないが、一定時間操作不能になる)もできます。
スタート時に、ステージセレクトができるので、同じステージを何度も繰り返す羽目にならないところもストレスフリーなところ。スコアシステムはありますが、1ステージ1ステージをしっかり遊んでいただくのが良いかなと思います。
発売が創刊直後の1985年9月ということで『ファミマガ』での記事の扱いはほとんどなかったですかね。

ファミリーコンピュータMagazine 1985年9月号より

12 スターラスター

1985年12月発売の3Dシューティングアドベンチャー。ファミコン向けのオリジナルタイトル。レーダー上に表示されている敵編隊の場所へワープし、遭遇した敵と3Dシューティングを繰り広げるというもの。
実はナムコットタイトルの中で、個人的にいちばんやり込んだタイトルで、最も好きなもの。当時「ファミコンでパソコン並み、いや、それ以上のことができる!」と感動したタイトルです。古いパソコンユーザーであれば、映画『スタートレック』をモチーフにしたPCゲームを知っているはず。「あのゲームのシステムが3Dシューティングで遊べる!」と、萌えに萌えたタイトルでした。
3つのモードがありますが、やはり遊んでほしいのは「ADVENTURE」モード。敵を倒しながら基地を巡り、7つのキーを集めるという流れなのですが、その先にラスボスが現れる!
この「ラスボス」の位置にカーソルを合わせるというのが大変でした。今ならスクショで簡単なのでしょうが、14か17型のブラウン管テレビで、滲みまくりの表示。ドット単位で場所が一致しないといけないというのが、逆に燃える要素でしたな。
敵などの配置がランダムなため、やりやすいマップになるまでリセマラ(リセット・マラソン)をするというのも当時の思い出であります。
『ファミマガ』の記事は私自身が担当。基本、ゲーム画面に大きな変化のあるわけではないのと(動いているところを見ないとわかりにくい)、3Dのため動きが速いので、画面撮影に非常に苦労しました。

ファミリーコンピュータMagazine 1986年1月号より

25 ファミリージョッキー

1987年4月発売で「ファミリー」シリーズの第2弾。ファミコンオリジナル作品です。競馬のジョッキーになり、トップを目指すというタイトルであります。
競馬自体は、武豊の登場で若い女性たちを含めての大ブームとなりましたが、この頃はまだ「競馬」というと大人のやる「ギャンブル」というイメージ。そんな中、なぜ「ファミリー?」と当時は思ったものでありました。
しかしこの『ファミリージョッキー』、レースゲームとしてのできが抜群なんですな。画面もコミカルで、老若男女問わず親しみやすい。さらに2人同時プレイ(対戦)が可能という珍しいタイトルでありました。
『ファミマガ』の編集部では、泊まり込み作業の休憩中に対戦プレイをして遊ぶスタッフが多かったですね。ぜひ「対戦」で楽しんでほしいと思います。
『ファミマガ』の記事を見ると「パワーアップアイテム」があることがわかりますな。このあたりも当時としては珍しいシステムです。

ファミリーコンピュータMagazine 1987年8号より

40 妖怪道中記

オリジナルは1987年のアーケードゲーム。横スクロールタイプのアクションゲーム。
「妖怪」って聞くと怖い感じのイメージなんですが、『妖怪道中記』はキャラクター、BGMも含めてコミカルな出来。ジャンルとしては、アクションゲームなのに「スコア」「残り人数」といった概念がなく、「体力制」で、「所持金」の概念がある。
どちらかというと「アクションアドベンチャー」的なゲーム性であります。家でやり込むにはもってこいのタイトルでしたね。
単純な「ジャンプ」「攻撃」「移動」といった操作でなく、「ジャンプ」+「上」=高くジャンプ、「下」+「移動」=溜め歩きといった複合操作や、アイテムの使用などでプレイの幅が広がるところがポイント。
マップも単調なものでなく、複数のルートがあったりと、かなりやりごたえのある作りになっております。
ゲームの本番は「よろず屋」でアイテムを買えるようになるステージ2以降なので、まずは「地獄入口」のクリアを楽しんで行きましょう。
『ファミマガ』の記事で、アイテムを細かく紹介していました。そういえば「すずめのお宿」のウル技もありましたねぇ……。

ファミリーコンピュータMagazine 1988年11号より

55 ドラゴンスピリット 新たなる伝説

オリジナルは1987年のアーケードゲーム。自機がドラゴンの縦スクロールシューティング。『ゼビウス』と同じく、空中・地上の攻撃を使い分ける必要があります。
アーケード版をやり込んだ人にとっても、うれしい存在だったのがこのタイトルであります。ストーリーがアーケードの続きになっているのはもちろん、パワーアップの種類が豊富になっているのも楽しいところでした。
特におもしろかったのは「スモールオプション」。
超強力なパワーアップなんですが、これを維持してボスを倒すというのにハマりました。ただ、これ、起動スタート時に展開される特殊ステージをクリアできなかった場合に遊べる「GOLD DRAGON」でのみ出現するアイテムなんですが。
とにかく豊富なパワーアップを楽しんでほしいタイトルであります。
『ファミマガ』の記事。自機を追いかけてくる「パワーダウン」アイテムは「意地悪だなぁ…」と思ったものであります。

ファミリーコンピュータMagazine 1989年6号より

60 クインティ

1989年6月発売のファミコンオリジナルタイトル。開発はゲームフリークで、1画面固定のステージクリア型アクションゲーム。
杉森建さんによる個性的なキャラクターと、1画面のアクションゲームと見せながら、巧妙に仕掛けられた床の「パネル」の重なりに圧倒されるタイトルでありました。
プレイし始めは、各キャラクターの動きに笑って、みとれてしまうかと思うのですが、実は各ステージのパネルの重なり方を上手に使わないと、ひたすら敵から逃げ回るハメに……。
逆にパネルの重なり方を利用することで、楽にクリアできたりもします。最初は気軽に楽しんで、ある程度慣れてきたなら、ステージの造りを調べながら攻略して楽しむというのがいいと思います。
発売当時はゲームフリークさんと「ゲーセン天国」などの仕事をさせていただいておりました。『クインティ』の記事は自分で担当しましたが、杉森さんにがっつりイラストをお願いしております。

ファミリーコンピュータMagazine 1989年10号より

64 スプラッターハウス わんぱくグラフィティ

オリジナルは1988年のアーケードゲーム。横スクロールのアクションゲームだが、グロテスク、残虐な演出が多かったタイトルであります。
アーケード版はPCエンジンやPCに雰囲気そのままに移植されましたが、このファミコン版はタイトルが示すように「コミカル」なアクションゲームであります。
最初のボスが「スリラー」っぽく登場したりといった、ボスのパロディ演出が見もの。
当時ホラー映画(私もレンタルビデオでB級含め、ガンガン借りておりました)にハマっていた人なら、楽しめるはずであります。
アーケード版は結構難易度が高かった印象がありますが(個人の印象です)、このタイトルは私でも普通に遊べる難易度。斧での攻撃はなかなかに爽快なので、ちょっとしたストレス解消に持ってこいであります。
当時、編集部では人気のタイトルでしたウル技も結構多く、お世話になったタイトルであります。

ファミリーコンピュータMagazine 1989年15号より

50 ワギャンランド

1989年2月発売のファミコンオリジナルタイトル。「ワギャナイザー」という玩具のキャラクター、ワギャンが主人公のアクションゲーム。
当時の『ファミマガ』を見ると『ファイナルファンタジーII』『ウィザードリィII』といった渋めのRPG、野球ゲーム(年末発売が多かった)など、だんだんと年長向けのソフトが増える中で、このタイトルを取材して「へぇ……。ちょっと変わった方向だな」と思ったものであります。
極彩色なキャラクターデザイン、大き目のキャラクター。そして何より「敵を倒さない」というのが最大の特徴。こうして並べると、年少者向け?という感じでありますが、どっこい、なかなかにやり込みがいのあるタイトルでした。
「声を当てて、敵をシビれさせて、足場にして進む」というゲーム性で、アクションパズル的な要素もあり、「正確な解法をどれだけ早くできるか」のようなやり込みもできました。
とはいえ時間制限などはないので、うまくいくまでやり直しもできます。
『パックマン』など、ゲーム参入初期の「キャラクター性」はナムコの真骨頂でありましたが、このタイトルはまさにそんな、ナムコの「王道」を楽しめるタイトルであります。
『ファミマガ』には、多分、自分で書いたんじゃないかなという記事(違ったら当時のスタッフ、申し訳ない)。ワギャナイザーを買ってきたスタッフがいたな……。

ファミリーコンピュータMagazine 1989年1号より

第一回まとめ

ナムコットコレクションを遊ぶ際に、観察してほしいのが「タイトル表示」のしかた。ナムコットに限らずですが、当時は下からスクロールしてタイトルが現れるっていうものが多かったですよねぇ。ROMの容量が増えるにつれ、だんだんとカラフルになり、『妖怪道中記』のようにアーケード版にもあったアニメーションを入れられるようになったりと、このあたりの変遷を観察していくのも、シリーズ通して購入する際の楽しさであります。
次回は第2弾配信作+『パックマン チャンピオンシップエディション』となります。

※掲載の『ファミリーコンピュータMagazine』一覧
02 パックマン/ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazine
05 ギャラガ/ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータMagazine
07 ドルアーガの塔/1985年9月号
09 バトルシティー/1985年9月号
12 スターラスター/1986年1月号
25 ファミリージョッキー/1987年8号
40 妖怪道中記/1988年11号
50 ワギャンランド/1989年1号
55 ドラゴンスピリット 新たなる伝説/1989年6号
60 クインティ/1989年10号
64 スプラッターハウス わんぱくグラフィティ/1989年15号
※写真は保管用にまとめている合本を簡易撮影したものです。開いた際の歪みや照明の反射があります。ご了承ください。

  
ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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