INDIE GAME WEEK:王道ながらも挑戦的な姿勢に敬礼!『Panzer Knights』台湾のアニメ風戦車ゲーム

「ガルパンおじさん」たちにも触ってほしい

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください

IGN JAPANでは10月26日から31日の1週間を「INDIE GAME WEEK」と題し、ライターがピックアップした作品のプレビューをお届けする。エントリー作品のトレーラーはこちらで公開されているのでチェックしてほしい。


台湾の放縱遊戲が製作した『Panzer Knights』は、シングルプレイの戦車アクションゲーム。これまでいくつかの作品が存在する戦車アクションゲームだけど、このゲームはインディーらしい新しい試みやシステムを提唱している挑戦的な作品だと感じた。

まず、戦車アクションゲームというジャンルは、戦車という兵器の要素から役割までアクションゲームとしては最適な題材で、ATARIの『コンバット』やファミコンの『バトルシティー』など古くからあるジャンルである。ゲームに適しているものであるであると言っても、ポピュラーなジャンルかと聞かれたら、残念なことに「そうではない」と答えざるを得ない。

戦車をメインで操作して、戦車同士で戦い合うというゲームは『パンツァーフロント』などがあったが、戦車そのものがなかなか大衆受けしないニッチなジャンルという事もあってか話題になりづらかった。そんな空気がここ10年でようやく『ガールズ&パンツァー』の人気から一変し、一気に戦車そのものへの人気が高まることに繋がり、これに関連した戦車アクションゲームが発売されたり、オンライン対戦のある『World of Tanks』などで戦車アクションゲームの地位が高まった。

そこでこの『Panzer Knights』を見ていくと、こうした『World of Tanks』や『ガールズ&パンツアー』のゲームから影響を受けている部分が所々に見受けられる。

特に戦闘中の画面構成からフィールドや戦車のビジュアル、砲撃を始めとした操作周りは『World of Tanks』。搭乗者を始めとした登場人物の女性比率が多い点や、戦闘中のカットイン描写なんかは『ガールズ&パンツアー 戦車道、極めます!』からの影響を感じられた。そこに加えてこのゲームはシングルプレイ故の独自のシステムがあり、ここからこのゲームが志す挑戦的な部分が垣間見えた。

ゲームを開始すると司令官から戦車の操縦方法から砲撃方法、ゲームの進め方のレクチャーを受ける。これが一通り終わったらストーリーとなるメインミッションをこなしていく。メインミッションは指定された場所に向かい、その場に居る敵軍を排除するといったごく普通の内容になっているので、英語や中国語がわからなくてもプレイすることができるはず。

操作周りも戦車の旋回と砲塔の旋回が別々に分かれており、砲塔はカメラの動きに同期して旋回する。標準が対象に向けられていても、砲塔が標準方向まで旋回しきらないと狙った場所に正しく砲撃できない。この辺の基本的な操作は昨今発売されている戦車アクションゲームに準拠しているので、慣れている人なら迷うことはないだろう。

特徴的なところを上げていくとこのゲームでは煙幕を張ることができる。煙幕を張ると敵の命中率が大幅に下る効果が期待できるということになっているが、今回このゲームをプレイしている時に、体感として敵戦車の命中率が下がっているように思えなかった。

他にもこのゲームで驚いたのが任意のタイミングで指定した場所に友軍からの空爆または補給物資の支援を要請できるというシステム。これを行うことで、自分を囮にして敵戦車を空爆ポイントに誘導するといった作戦を組み立てることができる。そのため、本作は戦車アクションゲームとしてかなり画期的で、マルチプレイのないシングルプレイのゲームだからこそ採用されているオリジナル色の強い部分だと言えるだろう。

履帯(キャタピラ)が破損したときに行われる修理は、『World of Tanks』や『ガールズ&パンツアー』のようなゲームでは自動で行われるが、このゲームではボタンの長押しで修理するといった少し面倒な仕様になっている。というのも、このゲームでは履帯の修理キットが消耗品として設定されているため、所持数分履帯を修理したら補給品を受け取るまで履帯の修復ができない。ここも斬新なポイントだと思った。

また、履帯が左右でどの程度ダメージを受けているのかと分かりやすく表示されているのもこのゲームならではのポイント。戦闘中の画面の右下には現在履帯がどの程度ダメージを受けているのか色で表示されており、「白→黃→赤」の順に破損レベルが把握できる。『Panzer Knights』では先程も書いたように履帯修理の回数に一応制限が設けられているため、慎重なゲームプレイが求められるのはシビアでありながら面白いと感じた。

このゲームで特に驚かされたのが建物のオブジェクトを使った効果だ。『World of Tanks』では木を始めとした軽微なオブジェクトや建物にぶつかると破壊、倒壊させることができ、このゲームも同様の作りとなっている。ところが、このゲームで特徴的なのは家を破壊した際、場所によってはモクモクと大きな煙が上がるエフェクトが発生する。

この辺は要確認だが、先程紹介した消費アイテムの煙幕弾を使ったときとおなじエフェクトとなっているので、もしかしたら敵の砲撃を撹乱させる効果があるかもしれない。だとしたらこのゲームは高い戦略性を秘めたゲームになっていると思われる。また、敵CPUも積極的に建物の向こう側から貫通し、突如として現れるので思わぬ不意を突かれることも度々あった。

このように本作は『World of Tanks』や『ガールズ&パンツアー』のような作品の良い部分を取り入れて、よりシビアなゲーム体験を提供する作品として作られていて完成が非常に楽しみな作品として戦車ゲームマニアにオススメの作品だと思う。

難点を上げるなら、インディー作品なので仕方がない部分ではあるが戦車のアニメーションや挙動、砲撃後の弾道の作り込みに物足りなさがあることだろう。

例を上げると戦車は最初の駆動時こそキャラピラが回転するアニメーションが存在するのだが、走り続けるとものの1秒で静止時とおなじようにキャタピラの回転が止まり、そのままの状態で走行(?)する。そのため戦車がホバリングしているように見え、少々シュールな絵面になってしまっている。

また、戦車の車体の旋回スピードが遅いのがもったいない。このゲームは『ガールズ&パンツアー ドリームタンクマッチ』や『World of Tanks』などと比べると旋回スピードが1/3くらいしかなく、その場での旋回を試みようものならその遅さにじれったい印象を抱く。逆に砲塔の旋回スピードはそこまで変わらないため、少し厄介。

どういうこというと、戦車の後方や側面には燃料タンクが設置されており、ここに砲撃を受けると大ダメージを受ける。仮に後方に燃料タンクのある戦車を使用しているときに敵戦車とすれ違い、後方部分を隠すために一度止まってその場で旋回したとする。すると敵の砲塔が回転して、瞬く間に後方にある燃料タンクを撃たれてしまい、運が悪いと自機を破壊されることになる。そのためすれ違ったあとにはこちらが弱点を露わにしていることを承知の上で砲塔を回転させて敵を先に倒すか、すれ違った後に大きくカーブして弱点部位を保護するという2つの選択肢を取ることになる。

これは結局の所プレイヤーの戦略性を狭める事に繋がるので、戦車の旋回スピードはもっと上げて欲しいと思う。

砲撃後の弾道の問題とはどういうことかというと、遠距離から砲撃した際に、重力による落下という概念がなく、そのまま直線で飛んでいってしまうことを指している。スナイピングゲームや他の戦車ゲームの通例では砲撃後の弾は重力が加味されるため、遠距離から狙撃する場合には多少上に標準を合わせる必要があるがこのゲームではそれをしなくても合わせさえすれば当たってしまう。逆にこのゲームがスナイピング初心者を対象にしているのであるなら納得できる。

キャラクターのビジュアルも『ガールズ&パンツアー』を意識しているのか、ジャパニメーションテイストなキャラクターデザインとなっているため、日本人のゲーマーはかなりとっつきやすいのではないかと思う。

個人的に、司令官が東条英機とアドルフ・ヒトラーを足して2で割ったようなデザインに加えて、やたらキラキラとした目をしている事がちょっとギャグっぽくてツボに嵌ってしまった。

ミッション最後のターゲットをスナイプ視点に切り替えて砲撃したらこのおっさんがど真ん中に出てきて笑ってしまった。

搭乗キャラクターもちゃんと役割ごとにデザインが作り分けられており、戦闘中でも会話時や、戦車の損傷報告の際にキャラクターの立ち絵やカットインが表示される。ただ、当たり前といえばそれまでだが、会話がどれも事務的な内容になっているため、せっかくキャラクターが個性的に描かれているにも関わらず愛着が湧きにくくなっているのは残念。

このゲームはまだアーリーアクセスの開発中というところだが、昨今大きく成長をしている戦車アクションゲームとして新しい試みを行っているので、最終的な完成が楽しみだ。また早急に「ガルパンおじさん」たちにも触ってほしいと思っているので、日本語化が待たれる。

※INDIE GAME WEEKの他のプレビュー記事はこちらでチェック

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください
More Like This
コメント