当時のゲームキッズたちの憧れのハード

 いまから33年前の1987年(昭和62年)10月30日は、PCエンジンが発売された日。

 PCエンジンは、NECホームエレクトロニクスが発売した据え置き型ゲーム機。同社とハドソンによる共同開発によって誕生したマシンだ。1987年時点では驚異的な高性能で、とりわけグラフィックの美しさは凄まじく、当時のゲームキッズたちには憧れのハードと言っても過言ではなかったように思う。画面いっぱいに大きく映し出された美麗なキャラクターが動く『THE 功夫』を見てしまったら、欲しくならない人はいないはず。少なくとも筆者は欲しくてたまらず、貯金をすべて使い果たし、援助もしてもらって何とか購入までこぎ着けた記憶がある。

 特徴的なのはコンパクトな本体サイズ。幅と奥行だけならCDケースほどの大きさしかなく、現代基準で比較してもかなり小さい。ゲームソフトもHuCARD(ヒューカード)と呼ばれるカード型になっていて、まとめて持っていても嵩張らなかったのがありがたかった。実際、高校の時分には旅行の際に本体ごと持っていき、友だちと夜中までゲームで遊んだ思い出もある。

PCエンジンが発売された日。コンパクトながら高性能なマシンで5人同時プレイも実現。世界初のCD-ROMを採用したゲーム機としても有名【今日は何の日?】

 『ビックリマンワールド』や『R-TYPE』、『ドラゴンスピリット』、『ネクタリス』など、ひとり用の名作もたくさんあるが、PCエンジンと言えばマルチプレイというゲームファンも多いのではないだろうか。“マルチタップ”と呼ばれるコントローラー用のハブを取り付けることで、最大5つのコントローラーで5人同時プレイが楽しめたのは当時はPCエンジンだけだった。前述の旅行の話も当然コレのことで『プロテニス ワールドコート』、『スーパー桃太郎電鉄』、『ボンバーマン』、『フォーメーションサッカー』などのタイトルを取っ替え引っ替え遊ぶのが仲間内の定番で、なかでもレースゲームの『モトローダー』には夢中になったことを覚えている。

 PCエンジンは多数の派生バージョンの本体が発売されているのもユニーク。拡張バスを削除した廉価版的な存在で宇宙船のような一風変わった形の“PCエンジンシャトル”を始め、モデルチェンジ版の“PCエンジンコアグラフィックス”、グラフィックチップをふたつ搭載した“PCエンジンスーパーグラフィックス”など多種多様。とくにSGことスーパーグラフィックスは、当時としても異彩を放っていて相当なインパクトがあったし、何よりデカかった。

PCエンジンが発売された日。コンパクトながら高性能なマシンで5人同時プレイも実現。世界初のCD-ROMを採用したゲーム機としても有名【今日は何の日?】
PCエンジンシャトル。
PCエンジンが発売された日。コンパクトながら高性能なマシンで5人同時プレイも実現。世界初のCD-ROMを採用したゲーム機としても有名【今日は何の日?】
PCエンジンコアグラフィックス。
PCエンジンが発売された日。コンパクトながら高性能なマシンで5人同時プレイも実現。世界初のCD-ROMを採用したゲーム機としても有名【今日は何の日?】
PCエンジンスーパーグラフィックス。

 また、家庭用ゲーム機としては世界初となるCD-ROMを採用したゲーム機として有名で、『天外魔境』シリーズや『ときめきメモリアル』、『イースI・II』などの数々の名作ゲームを世に送り出し、後世にも多大な影響を与えている。初めてCD-ROMのゲームを体験したときは、誇張ではなくゲームに革命が起きたと思ったもの。これは多くのゲームファンが同様の感想を持ったんじゃないかな。

 2020年3月19日には、本機の復刻版である“PCエンジン mini”がKONAMIから発売されたばかり。別売りのマルチタップもしっかり存在するので、セットでゲットして『ダンジョンエクスプローラー』や『スーパー桃鉄II』といったタイトルをやり込むのもいいかもしれない。

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