いまから36年前の1984年(昭和59年)11月8日は、ファミリーコンピュータ用ソフト『ゼビウス』が発売された日。

 『ゼビウス』はナムコ(当時)から発売された縦スクロールシューティングゲーム。1983年にアーケードゲームとして登場し、爆発的なヒットを記録した作品で、まだまだ人気の続く最中にファミコンに移植された。そのため売り切れ店が続出し、『ゼビウス』がなかなか手に入らない状況がしばらく続いたほどだった。毎日おもちゃ屋に足を運んでいた筆者が運よく手に入れられたのはかなり年末に近い時期だった記憶がある。

 本作では自機である“ソルバルウ”を操作して、対空兵器のザッパーと対地兵器のブラスターを使い分けながら超知性体“ガンプ”が率いるゼビウス軍と戦うことになる。シューティングゲームながら非常に緻密なバックストーリーがあり、謎が謎を呼ぶ世界設定に当時のゲームファンたちはすっかり夢中になったものだった。ファミコン版では容量の都合でカットされたが有名なナスカの地上絵がステージ中に象徴的に登場するのも有名な話だ。“ゼビ語”なんていう独自の言語まで作られていたのだから驚いてしまう。

 多種多様な敵機も魅力的で、『ゼビウス』を代表する敵機と言えばやはり機動浮遊要塞“アンドアジェネシス”。画面のスクロールに合わせて移動してくる巨大要塞のインパクトは凄まじく、初めて相対した際は4つの砲台からめくるめく撃ち出される砲弾の餌食になってしまったプレイヤーも多かったのではないだろうか。じつはコアにブラスターを1発撃ち込むだけで撃破できるので、慣れてしまうとけっこう呆気ない。

ファミコン版『ゼビウス』が発売された日。緻密な世界設定に多くのゲームファンが魅せられた名作シューティング。“SPフラッグ”などの隠し要素も有名

 回転しながら空を飛んでくる鉄板“バキュラ”は「ザッパーを256発当てると破壊できる」という噂が流れたりしたので、果敢に挑んだチャレンジーも多かったはず。けっきょくのところ破壊は不可能だったのだが、続編である『スーパーゼビウス ガンプの謎』ではバキュラが破壊できるようになっていてちょっぴりうれしかった思い出もある。筆者は一瞬だけ現れて無数の弾をばら撒いて去る“テラジ”という敵機が大好きで、初めて見たときは衝撃のあまりイラストに描き起こして、家族に見せて回った記憶もある(笑)。

 『ゼビウス』と言えば“隠しキャラクター”の存在も忘れられない。川など特定の一帯にブラスターを撃ち込むことで出現させられる“スペシャルフラッグ”は、入手できれば残機が1機追加されるおいしいボーナス。また同様に、特定の場所にブラスターを撃ち込むと“ソル”と呼ばれる塔がニョキニョキと地面から生えてくる場合もある。こちらはいくつも並んで配置されていることもあるので全部破壊できれば大量得点のチャンスとなっている。

ファミコン版『ゼビウス』が発売された日。緻密な世界設定に多くのゲームファンが魅せられた名作シューティング。“SPフラッグ”などの隠し要素も有名

 どちらも大抵のプレイヤーは偶然発見することになるのだが、筆者はいまでも初めて発見した際の驚きと興奮をけっこうしっかり覚えている。当時こうしたイースターエッグ的な隠し要素はあまりなかったため、神秘的な世界設定と相まって『ゼビウス』は人気を獲得したのかもしれない。隠し場所を知っているだけでも、ちょっとしたヒーロー気分が味わえたのもゲームキッズだった筆者にはうれしいものだった。

 現在『ゼビウス』で遊ぶなら、Nintendo Switch版『ナムコットコレクション』がいいかもしれない。ダウンロードコンテンツの第3弾として、300円[税抜]で配信されている。また、PCがあるならレトロゲーム配信サイト“プロジェクトEGG”を利用するのがおすすめ。こちらは単体の『ゼビウス』が2020年10月9日に配信開始されたばかりだ。

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