【特別企画】

「有翼のフロイライン Wing of Darkness」先行プレイレポート

戦いに赴く少女達を描くフライトシューティング

6月3日 発売予定

【価格】

ダウンロード版:3,278円(税込)

パッケージ版:3,828円(税込)

特別限定版:9,878円(税込)

 「有翼のフロイライン Wing of Darkness」(以下、有翼のフロイライン)は、プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC向けに6月3日に発売されるフライトシューティングゲームだ。

 開発したのはProduction Exabilities。数々のタイトルを手掛けてきた実力派スタッフにより構成される開発チームで、本作が処女作となる。本作がリリースされるまでに要した時間は約5年間だという。当初は2019年の発売を目指していたが、ブラッシュアップのために発売日を探りながら、じっくり時間を取って開発されたタイトルだ。

 「有翼のフロイライン」は空を縦横無尽に駆け回り、尽きることのない弾薬で敵を倒していくゲーム。戦場の中で出会った2人の少女が、未知の敵との戦いに身を投じていくストーリーが描かれている。

 今回は、PS4版を用いてストーリー上大きな転機を迎えるチャプター4までをプレイできた。早速その手触りをお伝えしたい。

【「有翼のフロイライン Wing of Darkness」ローンチトレイラー】

未知の敵と戦う少女達の物語

 本作はとある世界で人類同士の戦争が起きていたところ、正体不明の「ブランカー」という敵が出現。人類同士の戦争は終結を向かえたものの、人類自体の生存の危機が訪れてしまった時代を描いている。そこにヒロインとして登場するのがクラーラ・エルンストだ。クラーラは、仕事を探すために家の近くの基地の求人に応募し、掃除担当として合格したはずが、なぜか首都に行くように命ぜられる。

 首都に着いてみると、出迎えとして連邦共和国空軍のルドルフ・デッドマン中佐が待っていた。中佐が話すには、クラーラは対ブランカー用に開発された兵器を身にまとって戦う兵士「フロイライン」への適性が高いという。そしてクラーラはフロイラインとなることを選び、ブランカーとの戦いに臨むこととなる。

汽車にゆられて首都を目指すクラーラ
連邦共和国軍中佐のルドルフ・デッドマンから、フロイラインにならないかと聞かれる
人類に攻撃をしてくるブランカー
クラーラはフロイラインとして戦うことを決意する

 デッドマンによると、フロイライン部隊「アーベント・フリューゲル」は”家族のような部隊”を目指しているという。基地には何でもそろっており、過ごしやすそうな環境での生活が始まるが、ここでもう一人のヒロイン、エーリカ・レールツァーに会うことになる。エーリカはクラーラをフロイラインにすべきではないと主張。クラーラと衝突する。そんな中で、初めての作戦がはじまる――。

居心地のよさそうな基地
そしてエーリカと出会う。エーリカはクラーラを戦闘に行かせるべきではないという
それに対して反発し、対抗心を燃やすクラーラ
そんな2人に出撃命令が下される

 これらのストーリーパートは、各チャプターごとにシューティングパートの前後に挿入される。その映像は止め絵ながらも昔の映画のような雰囲気を漂わせており、情感たっぷりに展開される。クラーラとエーリカのモノローグで場面は展開するのだが、クラーラを演じる声優の安野希世乃さん、エーリカを演じる持田千妃来さんの演技が素晴らしい。朗読劇を聞いているようで、シーンの映像演出とともにその声がすっ、と頭に入ってきて、「有翼のフロイライン」の世界に引き込まれてしまう。ストーリーパートだけを集めても1つの物語として読めるほど、その内容は充実している。

 また、こうしたSFライクなミリタリーストーリーでは、ドイツ軍系の設定をもとに話を作るのはよくあるパターンではあるが、本作ではそうしたことも踏まえて慎重にストーリーが練られており、かっこよい。特に名前の響きがとてもよいのだ。ここは「クララ」ではなく「クラーラ」だし、「エリカ」ではなく「エーリカ」なのだ。細かい点ではあるが、このあたりのこだわりは好きだ。

スピード感あふれるフィールドで敵にぶっ放す

 ストーリーパートが終了したら、次はブランカーとの戦闘、シューティングパートだ。ミッションには作戦目標があり、戦闘に入る前にブリーフィング画面が表示される。戦闘には難易度が選べるが、ストーリーを進めるのが目的で、戦闘に困難を求めない人は「予定調和」、気軽に戦闘をしたい場合は「イージー」、普通に戦闘を楽しみたいなら「ノーマル」、敵とのガチバトルをしたいならば「ハード」を選ぼう。筆者は予定調和を選んだが、苦労しなくても敵を倒せるので、気持ちよくゲームを進めることができた。クリアしたミッションは再チャレンジできるので、とりあえず1周目は予定調和で進めておき、戦闘に慣れたら難易度を上げていくのもよいだろう。

 シューティングパートは、「ヘルトシステム」を装備したクラーラを操って戦う。エーリカは僚機として一緒に戦闘に参加しているが、操作することはできない。クラーラが使える兵装は「プライマリ」、「セカンダリ」、「ターシャリ」の3種類。それぞれに武器の種類を設定することができ、例えばプライマリであれば、オーバーヒートしにくいマシンガンの「ステープラー」、ショットガンとして近接戦闘に威力を発揮する「ドラケン」、遠距離に攻撃ができるバトルライフルの「ジャベリン」、プラズマブラスターの「ミストラル」といった具合に用意されている。これらは戦闘前のブリーフィング画面に「ロードアウト」とある項目から設定できる。

 プライマリとセカンダリはR2ボタンで発射する。切り替えは△ボタンだ。弾を打ちまくる通常攻撃なので、右アナログステックを押し込んで敵をロックオンしたら、狙いを定めて撃つ。武器の威力に応じて敵にダメージを与えられるが、ステージを追うごとに敵は強固になっていくので、うまく狙いを定めて攻撃していこう。

フロイラインとして戦いに赴くクラーラ
戦闘前にはミッションの概要が紹介される。左の「ロードアウト」から武器の設定が可能
ロードアウト画面で武器を設定する
武器には特徴があるので、攻撃内容を考えつつ設定しよう

 兵装だが、個人的にはプライマリのミストラルは歯ごたえがなさ過ぎたのでほぼステープラーに固定。そしてセカンダリにストライカーを設定し、こちらをメインに使い、オーバーヒート対策としてステープラーを使う、といった戦い方を選んだ。

 武器の中で個人的に楽しかったのはターシャリによる攻撃だ。その中でも「グラビア」が素晴らしい。正面に敵を捕らえてR1ボタンを長押しすると、数多くのターゲットにロックオンしてミサイルをぶっ放せる。まさに“キラ・ヤマト”状態。敵の大型飛行機を攻撃したり、敵プランカーがいっぱいいる場合は効果がある。威力は低いのですぐに敵は倒れないのだが、逆に敵を倒すために何回も多重ロックオンできるので、いつまでもロックオンしていたいほど気持ちがよかった。

 こうした戦い方を選んだので、基本的にはグラビアを使って敵を無力化しつつ、まだ生き残っている固いヤツにはステープラーをたたきつけて倒す、といったスタイルになった。なお、どの武器を選んだらよいのか分からない場合は「推奨ロードアウト」とある項目を選べば、自動的にセットされる。ただしそれほど武器を頻繁に変えなくても敵を倒せるので、自分が気に入った武器を設定して力押しするのもよいだろう。

 戦闘中の動きだが、一定速度で進んでいくので、L2を長押ししてブーストしたり、○×ボタンで上下移動しつつ、左スティックで回り込み、右スティックで視点を移動して戦うことになる。そこで右スティックを押すと敵にロックオンができる。またそれぞれの武器には「オーバーヒート」が設定されていて、一定以上連射するとしばらく撃てなくなる(一定時間経過すると回復する)。

 また、戦闘中に重要なのが上下移動だ。ミッションには地上の敵を攻撃するシーンもあるのだが、いろいろな高さに配置されている砲台を攻撃しようとしても、機体の移動スピードが速く、それに付いていけなくなるからだ。これは敵の大型船にも言え、何もしないと下に回り込んでしまったりして攻撃ができなくなるので、左スティックを下に倒して敵から離れつつ、うまく上下移動を使って戦っていこう。また敵にロックオンできると言っても、相手の速度が速いと、ロックオン状態のまま横を通り過ぎてしまうので、その時は右スティックを回して視点移動で対抗する必要があるのだ。

戦闘中の操作。○×ボタンでの上下移動が重要
複数のターゲットにロックオンする
ミサイルの発射痕や当たったときの爆発エフェクトがすごい
バリアーがあるので攻撃は防げるが、それにも耐久度が設定されており、正面上のゲージが0になったあとに攻撃されると撃墜されてしまう。ただしゲージは自然回復するので、ダメージを受けたら敵の攻撃をよけてしのごう

この世界観にグッと来たならばプレイするべし

 「有翼のフロイライン」は映画を見ているようなストーリーパート、スピード感もあって楽しめるシューティングパートともによい出来だ。「エースコンバット」シリーズを思わせるようなストーリーパートは展開もよく、戦うことを選んだ少女達の運命を描ききっている。戦闘パートもスピード感がよく、空中戦で次々と敵を倒していく爽快感がある。

 ただし多少首をかしげる所もある。例えば、最初は反目しあっていたクラーラとエーリカがお互いを認め合って共闘していくところはかなりあっさりとした感じ。協力してこなす戦闘パートを1つ入れ込むなど、もう少し物語を膨らませてもよかったのではないか。またミッションによってはストーリーパートが少し長い箇所もあり、短くすればテンポよく進められるのではと思ったところもあった。また途中で3人の新人が入ってくるシーンがあるのだが、文章だけで描かれるので、その存在の意味について考えてしまった。

 戦闘パートも空中戦はそれなりに楽しめるのだが、地上の目標をたたいていくところがつらい。攻撃に集中しているといつの間にか壁が目の前に立ちはだかって自機がオブジェクトにぶつかって入り込み、どうやったらそこから回避できるのか分からなくなるところもあった。このあたりは上下移動とバックを組み合わせて事前に予測しながらプレイしなければならないのだと思うが、初見プレイではかなり厳しかった。

 そして何と言っても一番残念なのは、クラーラが乗っているところを前から見られないこと。出撃時に正面からパンをして機体の動きに合わせてカメラが後ろに回り込むという演出はよくあるパターンだが、こうしたものがあればフロイラインの戦闘に、よりのめり込めたのではないだろうか。

 しかし何にしても、メインビジュアルに引かれ、ピンと来た人であればプレイしてみることをオススメする。何を隠そう筆者もその口だ。クラーラとエーリカの物語を最後まで読み切れば、ああなるほどと納得がいくに違いない。