恒例のシューティングゲームピックアップ【デジゲー博2021】

今年は以外にもSTGの展示数は少なかった気がする

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11月14日に開催されたデジゲー博2021はひさしぶりのインディーゲームのオフラインイベントということもあり、出展数も参加者も盛況であった。毎回恒例となる筆者の趣味全開のシューティングゲーム(以下、STG)ピックアップを行いたい。とは言うものの、全体の数からすると例年よりSTGの数は少なかったように思える。日頃Twitterなどを覗いているとかなりの数のSTGが作られているようだが、イベント出展されるのはその一部であるということだ。当然ながら都内に出て展示を行うのはそれ相応の体力と金銭的余裕と時間的余裕が必要であるため、それもやむなしだができれば直接、展示しているところも見たいのが筆者の勝手な要望だ。

『精霊機 エレクファルター』

元ケイブの小泉大輔氏が中心となった『ローリングガンナー』は「ド本格派横スクロールシューティング」と名付けられただけあって、爽快感と難易度を併せ持ったアーケードライクのSTGであった。今回のデジゲー博ではそのPS4版とともに、新作である『精霊機 エレクファルター』と第された作品が展示されていた。

本作は横画面の縦スクロール弾幕STG。縦スクロールSTGは基本的にはブラウン管を縦置きしたサイズが黄金率であったが、これまでにも4:3の横画面をそのまま利用した縦スクロールSTGがなかったわけではない。だが本作は16:9の画面で縦スクロールSTGを遊ばせるというやや変わった趣向の作品となっている。

何しろ端から端までが遠い!いわゆるボムにあたる武装がゲージ制で何度も使えるのはカジュアルだが、左右から出てくる敵をテンポ良く潰していかないと押し負けしてしまう。そこでポイントとなるのはストックを利用するパワーアップという要素。この手の作品では珍しく一定時間自機スピードが速くなるという地味なシステムだが、スピードこそ本作の攻略の要であるかもしれない。

ほかにもブースにはパブリッシャーのメビウスが販売する『イルベロスウォンプ+ラジルギスワッグ』などが展示されていた。かつてのマイルストーンのSTGの系譜にあるSTGで、『ラジルギ』から数えるともはや17年くらいの長期シリーズと言えよう。アーケードゲーム自体は極めて危機的な状況であるが、STGの灯火は未だ衰えずともいうべき濃いブースとなっていた。

『鈴守に徹す』

Rakugaki Gamesは昨年に引き続き、ケモノ系主人公の和風STG『鈴守に徹す』を展示していた。毎回、システムが少しずつ変わっているようであったが、本作の一番の特徴はリソース管理の部分であろう。画面下に生命力と妖力のゲージが存在し、生命力は名の通り、ライフや体力にあたる。妖力は通常ショットを含むすべての攻撃手段に必要となるため、適当に敵に打ち込んでいるとすぐに攻撃が尽きてしまう。

この妖力を回復するには敵が出す鈴のアイテムを回収する必要があるが、なるべく敵に接近して倒すとより多くの鈴がゲットできる。そのため、敵の出現に合わせて近接して撃破していくのが基本的な立ち回りとなるだろう。また妖力の最大のときには強力な近接攻撃も可能。全体的に攻撃力はかなり強いが、息切れがしやすいのが本作の自機の特徴だ。

敵の編成やボスの動きや演出などは非常にこなれている。これまでにSTGの実績があるサークルならではの安定した出来が伺えた。

『東方覚醒珠玉』

同人ゲームにも東方Projectの二次創作は数多存在するが、当然ながらSTGも多い。そんな中で本作はSTGとスマホのRPGを混ぜたような変わった作品である。すでにSteamでリリースされている『東方覚醒珠』が『東方覚醒珠玉』となってPlay,Doujin!からSwitchでリリースされるようだ。

システムを簡単に説明すると、本作は一見すると普通の弾幕STGというか、かなりの部分、東方Projectの原作STGに似ている。道中で妖精さんたちを蹴散らし、中ボスが登場(ないしはボスが途中でチラ見せ)し、ボスとよくわからない会話をして弾幕をやりとりする。本作が変わっているのは、それぞれのシーンの最後に自分のカードと敵のカードのターン制バトルのようなものが発生し、それに勝たねば先に進めないことだ。ではどうやってこのターン制バトルに勝利するのかというと、道中やボス戦で発生するアイテムを集めて、自軍のカードを強化する必要がある。

なかなか言葉で説明するのが難しいが、本作のSTG部分はある意味でカード強化の手段であって目的ではない。そのため被弾してもゲームオーバーにならない代わりに、ターン制バトルでの敵の攻撃が1回増えてしまう。とはいえ、自分のカードさえ強化できればバトルには勝利できるため、アイテム収集を積極的に狙う立ち回りが重要になってくる。

変わったシステムながらもゲームとして十分に成立する内容にまとまっているのは感心する。また絵柄(極めてよく出来たZUN絵)を含めて東方Projectのオリジナルの雰囲気をかなり忠実に模倣しているのもファンには嬉しいだろう。また自機キャラとして宇佐見菫子が登場するというのもちょっと珍しい。とはいえ、変わったSTGを遊びたい人にはぜひ触れてほしい作品であるので、Switch版は極めて朗報だ。

『NeverAwake』

先に断っておくが、筆者はiGiと呼ばれるインディーゲームのインキュベーションプログラムで本作のメンタリングを担当している関係者であることを留意していただきたい。

本作は伝統的なSTGではなく、ショットの方向もコントロールできるツインスティックシューターだ。スマートフォンやPC、アーケードで人気を博した「VRITRA」の開発者による新作だが、本作はダークでゴシックな世界観ながらもSTGとしてはカジュアルな方向を目指している。

ゲームは通しプレイではなく、ステージごとの攻略。ステージのクリア条件も特殊で、敵を倒してゲットできるソウルを一定量あつめれば終了。逆にソウルを集めないと同じステージが悪夢のようにループして、どんどん難易度が高くなっていく。スコアラーとしてはわざとループさせるというプレイが可能となっている。

STGでありながらも、ダークな世界観と美しいライティングで結構なお客さんをひきつけていた。STGプレイヤーをいかに増やすかは、コミュニティ最大の課題とはいえ、コアファンとカジュアルなプレイヤーを一挙に納得させるのは至難の業だ。今後のステージやボスなどに期待しておこう。

『∀stralbringer』

最後に紹介するのはこれまで変態的(褒め言葉)なゲームを数多く生み出してきたエンドレスシラフの新作『∀stralbringer』だ。本作はマウスとキーボードで操作する極めて異色なSTGで、過去作の『∀kashicverse』の雰囲気を残しつつも全く違ったゲームになっている。

自機は上述の通りマウスで操作する。例に違わず、自機には様々な強力なスキル(メソッドと呼ばれる)があり、マウスの左と右クリックとキーボードにアサインされている。今回使用できたスキルは範囲内を自動ロックオンするレーザーや近接のブレード、無敵時間と攻撃判定のある小範囲のボムなど。これらのスキルは使用するとエネルギーを消費するが、防御兵装を兼ねているウイング部分を敵弾にかすらせると回復する。スキルで敵をさばきつつ、敵弾で回復するのが基本的な立ち回りだ。

しかしなによりもスキルの数が多く、すべて癖がある。また近接よりのスキルが多いため、基本的に自機の体当たりで敵を倒すような動きが中心となっていた。そもそもなぜマウス操作で自機を動かすのかと聞いたところ、「ゴ魔乙のようなSTGを作りたかった」と答えていたが、その斜め上方向の出来上がりには脱帽する。しかしながら、プロジェクトは始まったばかりでまだまだ仕様の段階での構想がまとまっていなかったようだ。音楽は相変わらず激しいテクノチューンでエンドレスシラフらしい雰囲気に仕上がっていた。

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