家庭用ゲーム機で初めてCD-ROMドライブを採用

 いまから33年前の1988年(昭和63年)12月4日は、CD-ROM2(シーディーロムロム)が発売された日。

 CD-ROM2は、NECホームエレクトロニクス(当時)から発売されたPCエンジン用の周辺機器。正しくはCD-ROMを2乗する形で右上に小さく数字を表記する。家庭用ゲーム機という括りで言えば、世界で初めて採用されたCD-ROMドライブとなる。

 当時主流だったロムカセットと比較して圧倒的な大容量を誇り、CDプレスによって量産するのも容易でコストを少なく抑えられるというメリットがあった。ユーザー的にもソフトの定価が安くなるうえ、売り切れても比較的早い段階で再販される可能性があっていいこと尽くめ。ただし、CD-ROM2のマシン自体の値段は、最先端の技術ということもあってトータルで60000円弱も掛かってしまうのだから、かなりお高い。当時は欲しくても買えなかったゲームファンも多かったのではないだろうか。

CD-ROM2が発売35周年。家庭用ゲーム機として世界初のCD-ROMドライブを搭載したPCエンジン用の周辺機器。『天外魔境 ZIRIA』や『イースI・II』などが人気に【今日は何の日?】

 メディアがCD-ROMになって驚かされたのは、ゲーム中でふんだんにアニメーションが取り入れられたこと。当時の流行だったのかもしれないが、TVアニメのような滑らかなアニメーションが演出として随所で挿入されるようになり、筆者などは画面に釘付けになるほど夢中になって見ていた記憶がある。感動のあまりオープニングだけを何度も繰り返し見ていたなんてこともあった。そのうえキャラクターのセリフはボイス入り。ゲームキャラが掛け声などのひと言だけでなく、ふつうのセリフまでしゃべりまくっているのを聴いたときは、ゲームに大きな変革が起きたことを感じたものだった。

 もちろん、CDなのでサウンド面の強化も著しかった。メインテーマなどの一部の楽曲はCD音源で収録されていたため、音質のよさが半端ではない。音楽用のCDプレーヤーで再生すれば音楽を聴くことも可能で、筆者などはサウンドトラック代わりにしていたこともあった。まあ、2曲目にプログラムが入っているし、「再生するな!」とアナウンスで言われるのだが……。

 本機の登場に合わせて発売となったタイトルは、ハドソンが発売した『ファイティング・ストリート』と『No・Ri・Ko』。前者は初代『ストリートファイター』の移植版でタイトルが変更されたもの。後者は女優の小川範子さんがヒロインとして実写で登場するアドベンチャーゲームとなっている。CD-ROMを代表するタイトルとして有名な『天外魔境 ZIRIA』が登場したのは翌年1989年6月30日で、『イースI・II』は同年12月21日だった。

CD-ROM2が発売35周年。家庭用ゲーム機として世界初のCD-ROMドライブを搭載したPCエンジン用の周辺機器。『天外魔境 ZIRIA』や『イースI・II』などが人気に【今日は何の日?】
『ファイティング・ストリート』
CD-ROM2が発売35周年。家庭用ゲーム機として世界初のCD-ROMドライブを搭載したPCエンジン用の周辺機器。『天外魔境 ZIRIA』や『イースI・II』などが人気に【今日は何の日?】
『No・Ri・Ko』

 1991年12月13日には、SUPER CD-ROM2(スーパーシーディーロムロム)が発売。これはCD-ROM2よりもメモリを4倍に増強した後継機種で、頻繁に行われていた読み込みをある程度軽減させることが可能だった。すでに既存のCD-ROM2を所持していたユーザーは、別途システムカードを購入することでバージョンアップに対応。『天外魔境II 卍丸』や『ときめきメモリアル』といった作品はSUPER CD-ROM2専用ソフトとして発売された。

これまでの今日は何の日?

※本記事は、2020年12月4日にアップした記事を再編集したものです。