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CD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」体験記。よみがえる青春の1ページ,あの頃の日々をもう一度
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印刷2021/12/29 00:40

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CD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」体験記。よみがえる青春の1ページ,あの頃の日々をもう一度

 初代PlayStationやセガサターンなどのCD-ROMゲームにも対応するレトロゲーム互換機として話題となった「Polymega」。当初の発売予定からは3年近く遅れたものの,2021年末になって初期の予約者への発送が完了しつつあるようだ。来年以降には,本格的な一般販売が行われるかもしれない。

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 光学ドライブを標準搭載し,広範なプラットフォームへの対応を謳うレトロゲーム互換機「Polymega」。仕様の前提がハードコアなうえ,2年以上の延期を経てリリースされたという経緯には不安が否めませんが,実際のところどんなマシンに仕上がったのでしょうか?

[2021/11/20 02:00]

 「互換機」と聞くと,あまり良い印象がない人もいるだろう。実機とは異なる動作をしたり,再現性がイマイチだったりすることも多い。
 だが,当時の実機もいつかは寿命を迎えることになる。ゲーム機をよほど大切に使用,保管してきたマニアだったり,自力でメンテナンスできる技能を持った人でもなければ,当時のゲームを遊べなくなる日が来てしまうはずだ。各機が製造終了を迎えて相応の年月が経った今は,需要もあるだろうし,さらにPolymegaの本体機能を使うことで,当時より快適にプレイすることもできる。

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 では,Polymegaでは具体的に何ができるのか。「懐かしいゲームを快適に遊べる」と言われても,ピンと来ない人もいると思う。そこで,Polymegaが我が家に届いた10月下旬から,ひとしきり触ってみた筆者の体験記を綴ってみたい。
 なお,筆者が所持しているのはPolymegaのベースユニットのみ。ロムカセットのゲームが遊べるようになる拡張モジュールは持っていないため,CDゲーム機の話題が中心になることはあらかじめご了承いただきたい。

※記載内容は記事執筆時点(2021年12月23日)のものです。アップデートにより,仕様が変更になる可能性があります


Polymegaの価値とメリット


 Polymegaの各種互換はエミュレータによって実現されている。そのため,「Polymegaを買わなくても,PCでエミュレータを動かせばいいのでは?」という意見はあるだろう。しかし,Polymegaの価値は「手持ちのソフトを一元管理できる」点にある。

 Polymegaには国内外のゲームソフトの膨大なデータベースが搭載されており,手持ちのソフトをインストールすると「コレクション」の欄にジャケット画像付きで表示される。視覚的に分かりやすいうえ,データベースでは未所有ソフトのデータも閲覧することができる。一種のカタログとしても有用だ。

データベースにはファミリーコンピュータ(NES含む),スーパーファミコン(SNES含む),PCエンジン(CD-ROM2,SUPER CD-ROM2,TurboGrafx-16,スーパーグラフィックス含む),メガドライブ(メガCD,スーパー32X,Genesis含む),PlayStation,セガサターン,メガCD(32X含む),NEO・GEO CD向けにリリースされたゲームソフトの情報が収録されている。その数,1万以上。さすがに膨大だからか,細かいミスや未収録のソフトも散見される
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 広い家に住み,壁面すべてが棚になっている部屋に所持するゲームをズラリと仕分けて管理できるようならいいのだが,残念ながら筆者はそうではない。それなりにはある所有ソフトが部屋の棚や押し入れのあちこちに散らばっていて,持っていたかどうかの記憶も定かではない……。となると,リスト化するだけでもけっこうな労力だ。押し入れの奥にしまい込んでいたりしたら,引っ張り出してくるのも年末の大掃除並の重労働である。

 しかし,とりあえずPolymegaにインストールしておけば,あとはまとめて段ボール箱に詰め込んでおけばいい。複数のCDに収録されているゲームの場合,メニュー画面でディスクの入れ替えができるのでお手軽だ。インストールすることで,読み込み速度も高速化できる。

ディスクチェンジは,メニュー画面からこんな感じで行える
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 セーブの容量に関する心配がなくなるのも利点だ。たとえば,初代PSにおいてメモリーカードを何枚も買い足した経験がある人は多いだろうが,Polymegaは“1つのゲームにつき2枚のメモリーカードが本体に挿さった状態”を仮想化しているため,残りの容量を心配しなくていい。PCエンジン,メガCD,セガサターンであれば,1つのゲームに本体RAMが丸ごと用意される。

続編にセーブデータが引き継げたり,特定のタイトルのセーブデータがメモリーカード内にあることで何らかの追加要素が開放されたりするゲームが存在する。こうしたタイトルではメモリーカードが共有される
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コーエーテクモゲームスが誇るトラップアクションシリーズ,その記念すべき1作目である「刻命館」はメモリーカード(全15ブロック)の9ブロックを使う。15ブロックを使用するゲームもあったが……
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 「スクリーンショット機能」の存在も嬉しい。単純に,お気に入りの場面を気軽に撮って残しておけるのもいいが,あとで見返したい情報が表示されたときに撮っておくとメモ代わりになる。

昔は手元のメモ用紙に書いておくしかなかったようなことも,カンタンに画像で保存。スマホのカメラもあるし,いい時代になった……
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 ただし,ちょっとだけ注意が必要。Polymegaで撮ったスクショは画像サイズが小さいのだ。スクショはmicroSDカード経由でPCに転送できるのだが,昔のゲームは解像度が低く,等倍での撮影になっている。Polymegaはそれを拡大して表示しているというわけだ。

左は撮影したスクショ,右はそれをPolymega上で表示しているところ。ただ拡大しただけではなく,Polymega上で表示する際に補正がかかっているらしく,元画像とは微妙に横幅が異なっている
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 また,一部のゲームのスクショは,なぜかひしゃげた形で保存されている。推測ではあるが,元の映像がこういう形で出力されていて,画面上では縦に引き伸ばして表示されているのではないだろうか……。

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上段が「鉄拳」,下段が「クロックタワー2」
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 また,これは少々特殊な需要だと思うが,Polymegaでは海外リージョンのディスクを読み込める。初代PSやセガサターンにはリージョンロックがかけられており,日本で購入できるゲーム機では海外で発売されるソフトを動かせなかった。海外のソフトを持っているような人であれば,それが動く海外版のゲーム機を持っているかもしれないが,やはりハードには寿命がある。互換機とはいえ,とりあえず動かせる手段が増えることはありがたいはずだ。

海外版の「ファイナルファンタジータクティクス」。「海外版はエルムドア侯爵から源氏装備が盗めるらしい」と聞いて確保しておいた一品
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セガサターンのセーブデータが消えない幸せ


 セガサターンのセーブデータを保持することは難しい。当時を知る人であれば,共感してもらえると思う。セガサターンのゲームをセーブするには,本体RAM,パワーメモリー(セーブ領域拡張のカートリッジRAM),フロッピーディスクドライブという3つの手段があった。
 まず,本体RAMは本体の電池が切れたらアウト。データは消失してしまう。電池の残量を確認する方法がないのもツラい。

 次にパワーメモリーだが,当時は接触不良が多発したものだ。素人目にも接触が甘い造りなのがよく分かる感じで,「ボール紙などを一緒に挟むと安定する」といった話がよく聞かれた。接触不良が原因でセーブデータ名がバグッてしまい,泣く泣くデータを消すしかないこともあった。

 最後のフロッピーディスクドライブは,RAMでなく磁気メディアを使用するため,当然ではあるが安定していた。そのため,セガサターン愛好家の必須アイテムとなったが,今となってはフロッピーディスク自体が希少な存在だ。そもそもセーブデータを保存するために,別売り(約1万円)の周辺機器を買う必要があるのもどうかと思うわけで……。

セガサターン愛好家の“最終兵器”,フロッピーディスクドライブ。結局,筆者も買ってしまったわけで……
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 前置きが長くなったが,そんなセガサターンのセーブデータを,Polymegaなら安定して保持することができる。現状,Polymegaにおけるセガサターンの仮想環境は“「拡張ラムカートリッジ4MB」が常時挿してある状態”であるため,本体RAMへのセーブしかできない。パワーメモリーが必須のゲームの場合,通常のセーブができないという問題はあるものの,ほとんどのゲームには支障がない。ゲームによって「拡張ラムカートリッジ4MB」か「パワーメモリー」を選択できれば良かったのだが。

たとえば,「ザ・コンビニ2 〜全国チェーン展開だ!〜」のセーブにはパワーメモリーが必須だ。そのため,現状ではステートセーブを使うしかない
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 セガサターンには,いわゆる“セガ派”なファンが好むゲームだけでなく,「他機種にもリリースされているけれど,セガサターン版の独自要素が魅力のタイトル」が存在する。「悪魔城ドラキュラX 〜月下の夜想曲〜」「ウィザードリィ リルガミンサーガ」「リンダキューブ 完全版」など,他機種版にはない要素を持つがゆえに手放せないゲームが多い。

 しかし,前述のセーブ問題により,どっしりと腰を据えて遊ぶタイプのゲームほど,「長時間を費やしてセーブデータが消えたらどうしよう……」という恐怖がちらつき,“積みゲー”になりがちだった。Polymegaは,それらを崩すキッカケになり得る。

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「悪魔城ドラキュラX 〜月下の夜想曲〜」。初代PSで生まれたタイトルだが,「悪魔城ドラキュラX セレクション」としてPS4に移植され,スマホ版も存在する。セガサターン版には,他機種版にはない独自のエリアやアイテムが登場。なかでも,特定のモードでプレイアブルキャラクターとなるマリアの性能が,他機種版とは段違いだ
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「ウィザードリィ リルガミンサーガ」は初代PSでも発売されたが,セガサターン版にはボーナスダンジョンが追加されている。リルガミン3部作はさまざまなハードで遊べるが,セガサターン版は3作セットになっていて,移動速度が速く,ボタン1つでマップが確認できて,アイテムやモンスターの図鑑まである。とても遊びやすく,やり応えのある作りになっている
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「リンダキューブ 完全版」。元はPCエンジンのRPG。初代PSで「リンダキューブ アゲイン」として復活を遂げた後,「完全版」としてセガサターンに移植された。「リンダキューブ アゲイン」とは動物の生息域が変化していたり,「国分名人と競争!!」というセガサターン版独自のモードもある
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「タクティクスオウガ」のセガサターン版はボイス付き。キャラがしゃべっているときは,画面右上に音声の再生中を示すマークが表示される
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「グランディア」。セガサターンのRPGといえば,これを真っ先に挙げる人も多いだろう。のちに初代PSに移殖され,近年ではSteamやNintendo Switchにもリマスター版が登場している
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本編のセーブデータと連動するファンディスク「グランディア デジタルミュージアム」。これが遊べるのはセガサターンだけ
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 セーブデータへの安心感だけでなく,インストール機能によって読み込み時間も短縮される。一部の表示がおかしくなるソフトが確認されており,「実機と変わらぬ動作」とまでは言えないが,正直なところ,ここまで動くなら互換機として十分だと思う。

現在,手持ちのソフトで異常が確認できたのは,「グランディア」の戦闘画面とリザルト画面。表示されるべきものが欠けているのだが,お分かりいただけるだろうか。この点を除けば普通に遊べている
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Polymegaは複数のコントローラに対応しているが,retrobitが販売しているUSB接続のセガサターンパッドを使えば,実機の操作感覚で遊べる。当然,Polymegaに付属するコントローラでも遊べるが,こちらは“4ボタン”(セガサターン標準は6ボタン)。4ボタン+L/Rボタンとなっており,どうしても混乱しがちだ。なお,Polymegaのシステムメニューは「上とスタートボタンの同時押し」で呼び出せる
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ステートセーブ/ロード機能で快適なゲームプレイを


 Polymegaは膨大な数のレトロゲームの互換機であるだけでなく,ステートセーブ/ロード機能も搭載されている。これは通常のセーブとは異なり,任意のタイミングでセーブ/ロードが可能になるもの。昨今,さまざまなゲームが復刻される機会が多くなっているが,同機能が搭載されているタイトルやサービスもよく見られる。

 昔のRPGはセーブポイントが少ないものが多かった。「そろそろ眠いし,次のセーブポイントに着いたら中断しよう」と思っていたらボス戦が始まってしまい,「ちょっ,ここで死んだら,かなり前まで戻されるッ!」なんて記憶はないだろうか。ここで負けてしまうと,一気に眠気が吹っ飛ぶわ,でもやる気は削がれるわ……。ステートセーブ/ロード機能があれば,いつでもやめられるし,こまめにセーブしておけば,何か失敗したときに少し前から再開できる。「ああ,また同じことをしないといけないのか……」と,何十分もの時間をムダにしなくて済む。

 また,ズルい活用法ではあるが,“一つのミスがすべてを台無しにする”系のゲームでは,ステートセーブが無類の存在感を発揮する。一撃必殺がウリの「ブシドーブレード」,1打の差が致命的となる「みんなのGOLF」,ノーコンティニュークリアで隠しキャラが登場する「GUILTY GEAR」など,当時は苦戦したゲームの攻略も捗るはずだ。
 こうしたやり方は,邪道と言えば邪道だろう。ただ,今も昔もゲーム内で何かを達成することで要素が開放されることは多い。それらを開放してから,ジックリとやり込みたいという人には便利な機能でもある。

「みんなのGOLF」。とくにグリーンに乗ってからのパターは微調整が難しい。これくらいの芝目の場合,これくらいの強さで打てば,ここにいく……というのを体に叩き込むためには,ステートセーブ/ロードを活用するといい
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「ブシドーブレード」。100人斬りを目指す「チャンバラ・モード」は,どれだけ斬っても一瞬の油断ですべてが無に帰す。当時,93人目に敗れたときのショックと言ったら……。ステートセーブ/ロードの力を借りて,約20年越しのリベンジを果たせた
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「ドラゴンクエストIV」のカジノに挑戦。ポーカーのダブルアップで青天井,これぞまさに邪道の極み……と思ったら,さすがに勝ち続けられないようになっている模様。ある程度のところから,勝率がグンと下がる
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 昔は難しすぎて手も足も出なかったゲームに再び挑戦したり,「あの選択肢を選んでいたら,どういう結果になったんだろう?」と気になる分岐を確認したり,何度でも見たい名シーンを保存したりと,ステートセーブ/ロードの使いみちはさまざま。レトロゲームをさらに深く,より楽しむことができる機能だ。


Polymegaでよみがえる,我が青春のゲームたち


 Polymegaによって,懐かしいゲームを快適に遊べることがお分かりいただけただろうか。青春の日々を彩り,今も心に残る“懐かしいゲーム”は人それぞれだろうが,ここからは「筆者はこれを遊ぶ!」という極私的セレクションを駆け足で紹介したい。当時を知る人は「あー,あったなぁ」と思い出しながら,読んでいただければ幸いだ。なお,セガサターンのゲームは先に触れているため,ここでは割愛している。

■PCエンジン SUPER CD-ROM2「ブランディッシュ」


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 昨年末に掲載した「ダンジョン」特集記事リンク)でも強く推しているが,「ブランディッシュ」は筆者の人生におけるフェイバリットゲームの一つ。PCエンジン版には,他機種版にはないイベント絵があったり,独自にアレンジされたBGMが味わい深かったり,十字キーと2つのボタンしかないPCエンジンの標準コントローラに対応させた(すごく頑張っている)操作方法だったりと,「ブランディッシュ」をよく知る人にも見どころになるものが多い。


■PCエンジン SUPER CD-ROM2「エメラルドドラゴン」


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 PCからの移植作だが,木村明広氏の絵柄を忠実に再現したグラフィックスと豪華声優陣によるボイスによって,大きく印象を変えたRPG。PC版のころから「相談」コマンドで仲間と会話ができ,現在の目的を見失わないようになっていたり,仲間キャラの存在感が強く感じられたりする。

 戦闘シーンは1画面固定のシミュレーションRPG風。キャラクターに表示されている行動力の分だけ,移動と攻撃が可能になるため,近くにいる敵に対しては攻撃の回数を多くできる。斜めにも移動ができて,シミュレーションRPGのような敵の思考時間もなく,行動力が尽きた時点ですぐに次のキャラが行動し始めるため,進行がスピーディでストレスがない。
 ただ,Polymegaの現バージョンのBIOSで動かすと,序盤でフリーズしてしまうのが難点だ。

このように謎の文字列が表示され,フリーズしてしまう
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■メガCD「アイ・オブ・ザ・ビホルダー」


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 PC-98やスーパーファミコンでも発売されたリアルタイム・ダンジョンRPG。「アイ・オブ・ザ・ビホルダー」は機種ごとにBGMがすべて異なるのだが,メガCD版はとくにBGMがカッコいい。楽曲を手がけたのは古代祐三氏と川島基宏氏だ。
 メガCD版はセガマウスに対応していたが,あいにくPolymegaはマウス未対応。マウスを使うと操作性が劇的に向上するのだが……。


■メガCD「タイムギャル」


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 タイムマシン強奪犯を追って,主人公レイカがさまざまな時代をワープしながら危機を切り抜けていくゲーム。アニメを眺めている途中でキー入力を求められる,今で言う「QTEシステム」を採り入れているのだが,タイミングが超シビアなため,並の反射神経では反応できない。次に何のキーが来るかを暗記していたとしても難しい。ステートセーブ/ロードが絶大な威力を発揮するが,それでもセーブのタイミングが難しく,操作が忙しい。

 アーケード版はレーザーディスクを使ってセルアニメを流していたが,メガCD版はアニメからドット絵に描き起こしており,それを何枚も使ってアニメーションさせている。ものすごい手間がかかっているのだろう。キー入力を失敗したときのレイカのリアクションがコミカルで可愛いため,失敗シーンもひととおり見たくなる。


■PS「リッジレーサー」


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 アーケードからの移植作だが,初代PSのローンチタイトルにして,初代PSを象徴するレースゲーム。ゲーム開始時にすべてのデータを読み込んでいるらしく,実機でもゲーム中にロード時間が発生せず,プレイは快適そのもの。ゲーム機のフタを開けて,ほかの音楽CDと入れ替えると,その曲をBGMにしてレースを楽しめた(Polymegaではできない)。

 ドリフト時にアスファルトを切りつける「キキキキ……」という音をなるべく発生させないようにして曲がることで,ドリフト後になぜか加速するという小技,通称「サイレント・ドリフト」が流行した。ドリフトをしなくていいカーブでもあえてタイヤを滑らせたり,カーブ方向とは逆回転のドリフトをしてみたりと,友人同士でおかしな遊びに興じた日々を覚えている。また,初級コースはシンプルな作りながら,走っていてとても楽しいコースで,タイムアタックも熱かった。

 「リッジレーサー」シリーズは初代PSだけでも4タイトルあり,どれも面白い。ただ,1作目はシンプルさと楽しさが両立していて,同シリーズの原点にして頂点なのではないかと感じている。


■PS「アーマード・コア」


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 「ソウル」シリーズで世界にその名を馳せるフロム・ソフトウェアの初期作。プレイヤーは主人公の傭兵となり,アーマード・コア(AC)と呼ばれるロボットに乗り込み,数々のミッションに挑む。

 ミッションをクリアして得る資金でパーツを購入し,自分好みのロボットをカスタマイズしていく……という流れのゲームだが,各ミッションには“隠しパーツ”が配置されていることがあり,「3D空間の探索」がとても楽しい。ACのカスタマイズも通常の二足歩行型をはじめ,逆関節型,タンク型など幅が広い。

 視点を上下させる操作と言えば,現代は右スティックが定番だが,本作はアナログスティックではない時代のゲームであり,視点の上下は[R2/L2]に割り当てられている。もしこれから遊ぶ人がいるならば,最も違和感を覚え,この部分に慣れるのに苦労するところだろう。だが,ゲーム自体は今でもまったく遜色ない,不朽の名作だ。


■PS「クールボーダーズ2 〜キリングセッション〜」


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 スノーボードがブームになりつつあった1996年,どこよりも早くスノボをゲーム化したウエップシステムは,翌年(1997年)にも2作目を送り出している。当時を知らない人には「そんなにブームだったの?」と思われるかもしれないが,あの「ファイナルファンタジーVII」(1997年1月発売)にもスノボのミニゲームが用意されていたくらいにはブームだった。

 「クールボーダーズ」シリーズは以降も続いてくのだが,筆者は2作目の完成度が極めて高いと思っている。登場キャラクターにはそれぞれ,ゲーム内では一切語られないバックストーリーが設定されていて,作品の世界に深みを与えている。
 また,メディアファクトリーから刊行された攻略本は同作に対する愛に溢れていた。各コースの解説,各キャラの相関図などが詳細に紹介されているうえ,前作の攻略まで入っている。ぜひ,攻略本も探して読んでみてほしい。

カバーを外すと,フルカラーのアメコミ調コミックが載っている。当時の広告などに使われていたものだが,こういう形で残してくれるのはありがたい
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 ひたすら「トリック」と呼ばれる技を決めていくモードがあるのだが,夢中になりすぎて気付いたときには1時間近く経過していたことが思い出される。昔は全トリックの入力コマンドを暗記したものの,さすがに忘れてしまった……。
 BGMも名曲揃いで,レースを盛り上げてくれる。サントラは廃盤になっているが,ゲームディスクがそのままサントラとして聴けて,iTunesで取り込むと曲名まで表示される。


■PS「トバル No.1」


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 「トバル No.1」は,おまけの「クエストモード」がとにかくアツい。3D格闘ゲームの操作のまま,3Dアクションゲームのような動きもできるようになっており,ダンジョンの地下30階を目指していく。最初こそちょっと戸惑うかもしれないが,操作に慣れるとメチャクチャ面白くなってくる。食べ物や薬品を拾ったり,ダンジョンの構造が毎回異なっていたりするローグライクの側面もあり,地下30階に到達するのはなかなか困難だ。最深部にはボスも待ち構えているため,最後まで緊張感は凄まじかった。
 もしプレイしたことがなければ,続編の「トバル2」と合わせて体験してみてほしい作品だ。


■PS「人魚の烙印」


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 飛行機の墜落事故によって奇妙な島に漂着した主人公が,生存者と共に島を探索して脱出を目指すシミュレーションRPG。このストーリーをシミュレーションRPGにしたことがスゴい。
 ホラーの雰囲気も漂うストーリーには,島の原住民との対立,呪術めいたオカルト要素も入ってきて,とにかく先が気になる。ストーリーの分岐や,2周目限定の強力な武器などもあり,リプレイ性も高い傑作だ。


■PS「立体忍者活劇 天誅」


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 説明不要の有名時代劇アクション「天誅」シリーズは,1作目から完成度が高かった。いかに敵に見つからずに進むかが大事なゲームなので,高ランクを目指しているときに1回でもミスをしたら,ステージの最初からやり直しになってしまう。その点,ステートセーブがあれば,失敗を恐れずにいろいろな攻略ルートが試せるのが嬉しい。思い切って突っ込んでみたら,意外にも敵に見つからなかったり,水場に飛び込んでみたら追手が溺れたりといった,通常のプレイでは気づけなかったような発見も得られる。


問題がないわけではないが,それ以上に余りある魅力


 ここまではPolymegaの良い点を中心に紹介してきたが,まったく問題がないというわけではない。
 まず前述のとおり,セガサターンのゲームは常に拡張ラムカートリッジ4MBが挿さっている状態のため,パワーメモリーが必須のゲームは通常のセーブができない。また,マウスに対応していないため,セガサターンのシャトルマウス等が使えるゲームもコントローラで遊ぶしかない。

 初代PSのゲームの一部では,ステートロードしたときにメモリーカードのデータが消えるという不具合が確認されている。この不具合が修正されるまでは,「ゲームを中断するときは,必ずメモリーカードにセーブ。再開するときもステートロードではなく,メモリーカードからロード」を徹底したほうがいい。

 また,ゲームソフトのインストールに関しても少々問題がある。ソフトのバージョン違いや廉価版など,データベースに登録されていないゲームがいくつかあり,それらはインストールすることができない。ディスク起動であれば遊べるのだが,その場合はステートセーブ/ロード機能が使えない。

※インストールできないソフトについては,PST(太平洋標準時)12月29日午前8時(日本時間の12月30日午前1時)に予定されているシステムソフトウェアアップデートにより,ほとんどがインストール可能になるとアナウンスされている(公式エントリー


データベースにないソフトは現状,「ゲームメディア」と表示されてインストールできない
画像集#063のサムネイル/CD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」体験記。よみがえる青春の1ページ,あの頃の日々をもう一度

 また,互換機やエミュレータでは「遅延」の話題を避けられない。格闘ゲームやシューティングゲームなどのジャンルでは致命的であり,支障がない程度の遅延だったとしても,当時の記憶と微妙にテンポがズレると気になるものだ。
 Polymegaの遅延について,あるかないかで言えば「わずかにあるのではないか」と思う。かつて何百回プレイした初代「リッジレーサー」をPolymegaとPS3本体で遊んでみたのだが,車体を操作するときの左右キーの反応がPS3のほうが若干キビキビしている……気がする。曖昧な表現になってしまうが,はっきりと断定できるような遅延ではなく,あるとしても本当にわずか,ということだ。



 昔のゲームはセーブポイントまで進めなければ中断できなかったし,ゲームを変更するにはディスクやカセットを取り出してケースにしまい,新しいゲームをセットしていたし,大容量のゲームは読み込み時間も結構かかっていた。Polymegaはこうしたスタイルを一変させ,複数のハードのゲームであっても,テレビのチャンネルをザッピングするように遊べてしまう。

 昨今,過去作品の復刻やリマスターが増えてきているが,今も遊ぶことができないゲームはままある。すでに消滅したメーカーのゲームや,権利関係が複雑なゲームだったりすると,どうしても望みは薄い。遊びたければ,自力でゲームを手に入れ,環境を用意するしかない。個人的には,そういうときの心強い手段の一つとして歓迎したい。

 貴方の部屋には,「いつかやろう」と思ったまま眠らせてしまった昔のゲームはないだろうか。筆者はそういうゲームが山ほどある。日々の忙しさに揉まれているうちに,「いつか」はさらに遠のいていく。
 もし,年末の大掃除で,しまっておいた昔のゲームを見つけたら,取り出しやすい位置に移動しておいてあげてほしい。「いつか」はほんの少しだけ,近づいたのだから。

画像集#001のサムネイル/CD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」体験記。よみがえる青春の1ページ,あの頃の日々をもう一度

「Polymega」公式サイト


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