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  • 発売日:2018/01/22
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「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた
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印刷2022/03/01 16:00

インタビュー

「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた

 コロプラが配信している,スマホ向け3Dアクションシューティングゲーム「アリス・ギア・アイギス」iOS / Android。以下,アリスギア)が,2022年1月22日にサービス4周年を迎えた。

 ゲーム内では4周年アップデートも行われ,アクトレスが新たなスキルを習得できるシステム“エニグマ”や,日常の新たな一面を垣間見られる“おでかけモード”といった,多数の新機能も実装されている。

 そこで今回,たびたび縁があるアリスギアの開発会社「ピラミッド」に突撃し,企画部の部長を務める牟田貞治氏らを中心とした計6名の企画部スタッフに,4周年アップデートの新要素や今だから言える裏話,さらに2022年の今後の展開などを語ってもらった。

「アリス・ギア・アイギス」企画部 部長の牟田貞治氏。以降,顔出し撮影は牟田氏のみ
画像集#001のサムネイル/「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた

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エニグマは“遊びの横幅”を広げる機能に
毎月2桁キャラクターの実装を目指す


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。皆さんはゲームプランナーに相当する企画部の方々とのことで,人数も多めですし,まずはそれぞれの自己紹介を兼ねて担当業務や役割などを教えてください。

牟田貞治氏(以下,牟田氏):
 バトル全般を統括する,バトルディレクターの牟田です。
 僕はアリスギアのリリース前からバトルシステム全般の設計を担当していて,運営に入ってからもその取りまとめをやってきました。今も企画のみならず,自ら新コンテンツを作る側に回ることがあります。

リードバトルプランナー:
 エネミーやクエスト周りを企画しています。ザコ敵については企画内で完結させることも多いですが,ボス敵はプログラマーやデザイナーと動きの根っこから相談して一緒に作ってきました。そのほか,エネミーAIの作成やステージの監修なども担当しています。

バトルプランナーH:
 牟田の下で,バトル部分のプレイヤーキャラクターを作っているHです。アクトレスたちがどんな弾を飛ばすのか,そこでどんな飛び方をするのか,そういった設計部分を担当しています。

バトルプランナーS:
 同じく,バトルチームのキャラクター制作を担当しているSです。
 基本的にはHとともにアクトレスのスキルを作っていて,ときにはバトルプランナーIの手伝いなど,手が足りないチームメンバーのサポートに回ることがあります。

バトルプランナーI:
 名前が挙がったIです。キャラクターのパラメータや各種ギア,スキル全般の調整などを担当しています。ビジュアルやアクションではなく,それらに付随する数値面を決めるのが主な役割です。

バトルプランナーT:
 皆さんのサポートや,制作面のスケジュール管理などを行っています。どのコンテンツ制作がどのくらい進捗しているのかなど,社内での情報共有や調整が主な業務です。

牟田氏:
 バトル関連はざっくりと「プレイヤー部分」と「エネミー部分」に分かれていて,僕がプレイヤー部分を,リードバトルプランナーがエネミー部分を束ねています。そのうえで,各自が別のコンテンツを作る側に回ることもあるんです。

4Gamer:
 一般的な企画職というと,枠組みや仕組みを提案する人のイメージが強いですが,皆さんは手ずから作る立場でもあるんですか?

牟田氏:
 一般的なのは「プログラム班が大まかな動きを作り,企画班がパラメータを調整する」というスタイルですが,うちの企画班はプログラム班と肩を並べてやり取りしながらゲームを作ってきました。
 ちょっと専門的な話になると,まずはプログラマーが命令(データ/スクリプト)を用意してくれるので,それを使って動きを組み立てる段階から企画班も手を入れはじめます。このへんはスタッフによりますが,バトルプランナーHやSはより根幹部分からいじったりもしていますね。

4Gamer:
 大きなタイトルでは,内部でタイトル専用の開発ツールをプログラマーが制作し,それをプランナーが制御・調整するという話はよく聞きます。そしてアリスギアにおいては,企画班の調整の自由度が高く,であるから制作物もより当初の構想に近いものを作れる環境になっている。
 ……といった理解で大丈夫でしょうか?

牟田氏:
 そのとおりです。当然,プログラマー主導で着地点を決めることもありますが,そこは柔軟に対応してきました。
 アリスギアはとくに“バトルが重要な要素”ですので,プログラム班と企画班との境界線をできるだけ引かずに,より細かな調整ができる枠組みを開発全体で整えている,といった感じですね。

画像集#002のサムネイル/「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた

4Gamer:
 なるほど。では,ここから4周年の話をうかがっていきます。
 まずはアクトレスの新バージョン「ファクター」ですが,こちらは個性が強く出ているアナザーとも雰囲気が異なりますよね。

牟田氏:
 そうですね。アリスギアではアクトレスを1人ずつリリースしながら,それぞれ「アナザー」という,異なるタイプの同キャラクターも提供してきました。そしてさらにバージョン違いの「ファクター」は,ゲーム初期にリリースしたキャラクターの更新という意味合いがあります。

4Gamer:
 同じアクトレスでもスキンの種類が増えると,新要素の「エニグマ」で取得できるスキルの幅も増えますよね。
 このように密接に関わり合う2つの要素を同時に実装したのには,どのような意図があったのでしょう。

牟田氏:
 「エニグマ」は“別タイプの同じアクトレス同士をつなげる役割”を果たす要素です。オリジナルとアナザーのスキルはこれまで独立していましたが,エニグマを介せばスキルの共有が可能となります。
 これにより,過去にリリースしたキャラクターを強化しつつ,1人のアクトレスが持つオリジナル,アナザー,ファクターの間をつなぎ合わせ,よりカスタマイズ性を高めるのが最大の狙いです。

4Gamer:
 しかし,少なくないキャラクター数ごとにそれらを用意するとなると,相当な手間では? 生放送では「半袖になる時期には……」と話されていましたが,実際のところ,どの程度のペースになるのでしょう。

牟田氏:
 いま,神妙な顔をしてるのは,Iですね……(笑)。

バトルプランナーI
 ……もともとエニグマに配置されるスキルって,ある程度は共通性を持たせて「このキャラで使ったスキルが強かったから,こっちでも取ってみよう」といった感触にする予定だったんですよ。
 とはいえ,特性や性能はキャラによって異なるので,一つ一つを調整する必要があって,ボリュームはそれなりに膨大ですね。そのうえでできる限り早く,皆さんの推しキャラの新たなステージをお届けできればと。

4Gamer:
 現状,宣言していた時期には間に合いそうですか。

牟田氏:
 鋭意製作中となります……(笑)
 一応,今後は毎月リリースを予定しているので,そのペースでかけ算していただければ,最終的な時期は推測できるかもしれません。

4Gamer:
 個人的に気になっていましたが,各アクトレスの数値面はどう決めているのでしょう。最終的に到達していいパワーラインはあると思うのですが,アクションゲームの場合,その計算も難しそうだなと。

バトルプランナーI
 実を言うと,リリース当初の4年前から上限となるパワーラインは変えていません。しかし,運営を続けているとどうしても古くなってしまうものってあるんですよね。ですから,現在はそこに新たな基準を設けるための再調整に向けて,動きはじめているところです。

4Gamer:
 エニグマによって,パワーラインも明らかに変化するでしょうし。

牟田氏:
 今後も上限を変えなければ,アリスギアはこのままのゲームバランスを保てるとは思います。ですが,変えないことで「ダメなものをダメなままにしておく」という側面が出てきてしまいますので,エニグマを介して,基幹部にメスを入れていきたいんですよ。
 さらにぶっちゃけた話をすると,単にパワーラインを変えたいだけなら“星5”を出すのが僕的には一番ラクなんです。けれど,上(のレアリティ)はなるべくなら作らないように現在は進めているので,システム面の変化でゲームの遊びの幅を広げていく必要がありました。

4Gamer:
 プレイヤーとしてはうれしい限りかと。普通なら「やっぱり星5を出そう」と考えるのも,いろいろな意味で責められないことですし。
 開発として,そこに譲れない一線があるということですしね。

牟田氏:
 こういう言い方が適切かは分かりませんが,アリスギアはやっぱり「俺の嫁と一緒に戦う!」というゲームなので,そのような単純なスケールアップは誰も望んでいないだろうと思っています。
 もちろん,スケールアップ自体は徐々にしてきたのですが,好きなアクトレスが環境にどんどん置いていかれてしまうと,どうしてもモチベーションは下がってしまう。かといって,同じ積み重ねをするわけにもいかない。といったところで今回の施策につながったわけです。

画像集#003のサムネイル/「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた

4Gamer:
 単に拡大するだけでなく,新鮮さを保つためにと。ちなみに,新コンテンツを作るにあたり意識していることはなんでしょう。

牟田氏:
 新システムとまで言うと大袈裟ですが,できるだけ“動き”で新鮮さを表現できるよう心がけてきました。
 リリース当初は,単にアニメーションが流れて攻撃するものが大半でしたが,現在は特殊なSPスキルも増えて,ゲームとしての横幅が広がっています。これらはHとSががんばってくれている部分ですね。

バトルプランナーH:
 前提としてクロス,ショット,トップス,ボトムスというベースは維持しつつ,体験を変えていこうと考えています。そしてキャラクター性はしっかりと残しながら「楓だけど,今までの楓とは違う」というラインに触れられるよう,期待を外さないように注意してきました。
 僕らは作り手であると同時に,アリスギアのプレイヤーです。となれば,自分たちが遊んでいても飽きないものを作りたいじゃないですか? 新しいものを入手しても「ほかとあんま変わらないじゃん」と思いたくないし,思われたくない。そういう気持ちを忘れずに制作しています。

バトルプランナーS:
 私も同じ考えで,なかでもSPスキルはキャラの特徴が強く出るので,より魅力的になるように演出などをこだわっています。

4Gamer:
 バトルだけでなく,新要素には「おでかけモード」もありました。
 こちらはこれまでバトル系とは毛色の違うコンテンツでしたね。

牟田氏:
 アリスギアはアクションシューティングゲームであると同時に,好きなキャラクターをめでるのも大切な体験としています。
 そこに焦点をより当てるのなら,常にアクション部分に触れていなくてもキャラクターとの交流を楽しめるコンテンツを追加したい。そういう発想で生まれたコンテンツですね。

4Gamer:
 アリスギアはこれまでも期間限定イベントで,バトルに無関係な部分で,すさまじい労力がかけられていることがありましたよね?

牟田氏:
 それらの前例はおっしゃるとおり,期間限定コンテンツなんです。
 ですから,今までのものとは別にキャラクターコンテンツとして長期的な遊び方を求めてくれる人たちのために,恒常的に遊べるような新たなコンテンツプラットフォームを用意したかったんです。

4Gamer:
 たしかに,期間限定イベントは毎回作り込まれているぶん,終わってしまうのが寂しく感じることも多かったです。
 どうせならずっと実装してくれれば的な感情もあったり。

牟田氏:
 正直,イベント用に作ったミニゲームって,もったいないながらも「ゲーム内に置くところがない」のが実情だったんです。ホーム画面にずっとミニゲームを置いておくわけにもいきませんしねぇ……。

バトルプランナーH:
 過去のミニゲームを全部入れたら,事務所が埋まっちゃいますね。

4Gamer:
 おでかけモードで,過去の限定コンテンツを楽しめたりは?

牟田氏:
 なるかもしれない,という感じです。
 なにを実装するかはこれから検討することでして,最終的にどんな形に発展させるのかも,現状では具体的にお答えするのが難しいです。

バトルプランナーT:
 担当者からは「どんどん要素を追加していきたい」という旨は聞いていますね。それが過去に公開されたイベントになるかは未定ですが,なにかしらのコンテンツが実装されるのは間違いありません。
 今後とも,ぜひ楽しみにしていただければと。

牟田氏:
 仕様に関しても,βテスト時にいただいた意見を参考にしています。けれど,こちらも現状は内容を噛み砕いている最中です。
 正直に言うと,かなりギリギリで作ってきた部分もあるので,今は計画していた仕様をきちんと成立させることに注力している段階です。

4Gamer:
 テスト時は実験的な運用だった,という感じでしょうか。

牟田氏:
 それに加えてですが,横幅を広げたい僕らの方向性とは裏腹に,アリスギア自体はバトルものとして受け入れられてきた作品ですので,この機能がポジティブに受け入れられるかが不明でした。なので,βテストは仕様以前に“皆さんに受け入れられるかどうか”を確認するためでした。
 実際,意見や賛否は分かれましたが,全体的に好評をいただけたので,こちらとしても正式な実装に至ったという経緯です。


SPスキル対応のカメラモードには注意点も?
アリスギア撮影部に向けたアドバイス


4Gamer:
 バトル中,カメラモードの新要素として「SPスキル中の撮影」が可能になりました。カメラモードに関しては過去にも多くの要素が追加されてきましたが,今回はどのような判断で実装に至ったのでしょう。

バトルプランナーH:
 実のところ「気付けばプログラマー主導で実装することになっていた」ので,なんとも言えない部分です(笑)。
 こちらは新機能のなかでも,社内的には特筆して実験的な内容でした。開発内でも賛否が分かれていましたし。

4Gamer:
 といいますと?

バトルプランナーH:
 SP演出って,キャラクターモデルを特定のカメラ視点以外から見ることを想定して作っていないんですよ。ですから,その,要するに「見えちゃいけないところ」が見えちゃうという難点が……。

牟田氏:
 映画撮影などでもそうですが,カメラの画角内の構図は完璧に作り込んでも,映らない部分はそうじゃないですよね。SP演出もそれに近いものがあって,カメラの角度が変わると3Dモデルの歪みが見えてしまったり,単純に変なポーズになってしまったりするんです。
 一応,別の角度になってもある程度は見栄えがいいようにと調整してきましたが,じっくりと凝視されると崩れて見えたりもして。そういう舞台裏が見えてしまうと興ざめさせるので,僕ら的にはもろ手を挙げて「ぜひ使ってください!」とは言いにくい機能でして(笑)。

4Gamer:
 なるほど(笑)。

画像集#004のサムネイル/「アリスギア」4周年インタビュー。エニグマは毎月2桁リリースを目指すなど,アナザー制作の裏話や今後の展望を聞いた

バトルプランナーH:
 もちろん,誰にも知られずに実装されたわけではないので,機能の発表時点で,モーション班には「今後はすべて見られることが確定したので,過去のSPもチェックしといて……」という話はしましたが。

牟田氏:
 以降,モーション班も新規SPを作るとき「(本来は見えない角度の)こっちからも見られるんだよなぁ……」と渋い顔してます(笑)。

4Gamer:
 当面は,使用者側も配慮のまなざしが必要ですね……(笑)。

牟田氏:
 実は,ゲーム内にもそういう旨の注釈を記載しているんです。文章がだいぶ遠回りですが,あれは本音でざっくり訳すと「おかしく映っちゃう角度もあるけど勘弁してね……!」というニュアンスをお伝えしたかったんです。「なんでSP演出が撮影できないんだ!」とはずっと言われ続けてきたことでしたが,裏にはこういった事情があり,開発の労力的に実装されることもないと踏んでいたんですけどね。
 まぁ,実装してしまったものは仕方ないので,僕らも手を抜かないようがんばりますが,機能を使う際は“裏が見えてしまうかも”ということをご了承いただければと。

4Gamer:
 実際,SP演出をうまく撮影して公開している人は多いですよね。

リードバトルプランナー:
 ありがたいことに,めちゃくちゃスゴいスクショを撮ってくれる方々もいて,そういった作品が見られたのは素直にうれしいです。

牟田氏:
 なんのかんの言いましたが,結果として実装してよかったですよね。

4Gamer:
 開発目線から,SP撮影のアドバイスはありますか。

バトルプランナーS:
 SPスキルのなかには,ギアスキルの発動を重ねるとカメラ映えするものがあります。例えば,2周年のタイミングに登場した「君影 唯」ちゃんはスキルを使うとギアが展開状態になるのですが,展開中にSPを発動するとトップスの攻撃とSPの攻撃がいい感じに組み合わさります。
 とてもかっこいいのでぜひ撮影してみてください!

リードバトルプランナー:
 すでにやっている人もいますが,サポートを呼べば2キャラクターを画面に納められるので,工夫すればいい画になりそうです。

バトルプランナーI
 そうそう,SPのタイプによって(サポートを)呼んだときの着地点が変わる場合もあるんですよ。位置的にはそこまで大きく変わらないんですが,瞬間を切り取るスクショだとけっこう影響が出てくるはずです。
 そういう仕様面を確認してみるのもいいかもしれません。

バトルプランナーT:
 そのうえで,どういった形にせよ撮ってくれる方々の「これカワイイ! カッコイイ」を押し出したものが一番だと思います。
 ぜひこの機能を活用して,最高の瞬間を切り取ってください!

4Gamer:
 SP撮影はプログラマー主導で実験的に作られたとのことですが。
 なかには正式実装が難しかった要件もあったんでしょうか。

牟田氏:
 当初の要件にはない機能となると,正式実装には大幅な調整が必要になるものもあります。実験とはいえ,やはり正常な動作を確保できなければ判断のしようがないので,そこのハードルは高めですね。

リードバトルプランナー:
 フレームレート開放機能もちょっとした事件でしたよね。
 高フレームレートでの動作に対応していない箇所がたくさんあったせいで,高フレーム下では弾の飛びがおかしくなってしまうという。

牟田氏:
 アニメや映画で「1秒中に何コマの絵が入るか」が決まっているように,ゲームもフレーム(=画面に映る絵の時間単位)で制御しているので,想定していた固定レートからいきなり細分化されてしまうと,グラフィックス面にどうしても影響が出てしまうんですよね。

4Gamer:
 それでも,アリスギアは作って実装しちゃったと。

牟田氏:
 プログラマーに限らず,プレイヤーの皆さんになるべく良い体験をしてもらいたいという思いが強いチームだと思っています。
 そういう気持ちが現れていると思っていただけるとうれしいです


個性的なアナザーやSPはいかにして生まれた?
4周年を迎えてのそれぞれの思い出


4Gamer:
 4周年ということであらためて,皆さんが担当した仕事のなかで思い出深いものがあれば,ぜひとも語っていただきたいのですが。

牟田氏:
 僕はやっぱり「アナザー桃歌」です。うちのモーションデザイナーのなかに桃歌が大好きな人がいて,要件を提案した段階で,すでにアイデアがデザイナー側にあったんですよ。そのSPが「テーマ曲が流れて,アイドルになって歌って踊る」って内容だったんですが……。
 まず,当時からしてメモリがギッチギチだったのに,どうやって歌を入れるんだとプログラマーから怪訝な顔をされました。しかもノリノリで上がってきたモーションが「ずっと歌って踊ってる動き」。桃歌も担当者もこれはもう止まらない感じだったので,仕方ないからモーションからいろいろ逆算して考えるはめになり……あれはなかなか大変でした。

4Gamer:
 モーションデザイナーの熱意がそのまま形になったんですね。
 SP演出こそ企画側の提案かと思っていましたが,さすがピラミッド。

バトルプランナーH:
 こう,話してるうちに気付けば主導権がひっくり返るんですよ。
 むこうもアリスギアが大好きだから,延々とグイグイくるので。

牟田氏:
 話を聞いた次の瞬間,いきなり完成データが上がってくるんですよね。そうなるともう止めようがないです。しかも,その時点で良質で面白いから,作り直させるより熱意に任せたほうがいいだろうとなり。

4Gamer:
 すごいスピード感。ただ,実装までが大変そうですねえ。

牟田氏:
 ほんっと大変でしたよ! いわゆる“アイドルの指差し”みたいなモーションなんか,あれも指先にエフェクトをちゃんと合わせるために,1時間くらい画面とにらめっこして「あとは……ちょっと右かな……」とかブツブツ言いながら,とにかく調整したのを今でも覚えています。

バトルプランナーH:
 あのころは社内調整用のツールもなかったんですしね。モニターに実際のバトル画面を出力して,アクトレスを動かしてみて,調整箇所はゲームを落としてから調整用Excelデータを吐き出す,って工程が必要で。
 今でこそ,Unity上でリアルタイムにプレビューしながら調整できる環境になりましたが,当時の無茶振りはそれはもう手間でした。

牟田氏:
 だから納期に間に合わなくて,早朝出勤とかして,よりかわいく見えるようにハートとか合わせてたんですよ? 一つ一つ手作業で!

リードバトルプランナー:
 え,あれ合わせてたの牟田さんだったんですか。

牟田氏:
 そうですよ!

4Gamer:
 そのぶんハートがこもってますから……(笑)。

バトルプランナーT:
 そういえば,私も同じデザイナーさんから「四谷ゆみ」さんのアナザーギアを作るときに意見をもらって,とても感動したことがありました。

4Gamer:
 ほかにも事例が。

バトルプランナーT:
 ゆみさんのアナザーギアには「被撃時にカウンターが発動する」って能力があるんですが,そのときの発動モーションが「攻撃を受けたことに怒って弾を投げる」って演出なんです。
 その発想は当のデザイナーさんから出たもので「へえ,こういうのもありなんだ!」って驚かせてもらいました。

4Gamer:
 おそらくアナザー全般に言えることかと思いますが,性能面でもモーション面でもアクトレスの個性を前面に押し出しているので,踏み込んだアイデアって必要そうですもんね。Hさんはいかがでしょう。

バトルプランナーH:
 印象深いのは「籠目深沙希」のアナザーですね。彼女はステルス能力でステップ時に透明になるので,その処理がなかなか大変でした。

4Gamer:
 そちらは企画班が提案した演出ですか?

バトルプランナーH:
 はい。というか言い出したのは僕です(笑)。

4Gamer:
 なんと。その経緯はいかな流れで。

バトルプランナーH:
 僕はもともと,アナザーキャラではなくオリジナルキャラの制作をメインで行っていたのですが,深沙希がお気に入りキャラだったこともあり,深沙希アナザーの担当を任せてもらいました。
 そして物語本編で深沙希の姿が消えるシーンがあったので,その機能をバトル内でも表現したいと思ったんです。そこでプログラマーにいろいろ相談してみると,これまた難しいことが判明しまして。

4Gamer:
 どのような問題だったのでしょう。

バトルプランナーH:
 そもそも深沙希は強化時に残像がいっぱい出るんですが,その状態でさらに「本体も消す」という処理を実行するのが,開発側が当初想定していた処理の範囲を完全に超えていたんです。

牟田氏:
 例えるなら,キャラクターグラフィックスに対する“塗り絵(モデル表面の描画処理)”は1回しかできない想定でプログラムを組んでいたんです。だからSP発動時に残像が出ている時点で,その枠が埋まっているわけで。なのにHさんは「消えたい!」の一心でがんばって。

バトルプランナーH:
 言った張本人ですからね。「難しくてもやるからやらせて」の気持ちで完成させたい仕事でした。それが今でも一番印象に残っています。

バトルプランナーS:
 私の場合は,コロプラさんの「バトルガールハイスクール」コラボ第2弾で登場させた「煌上花音」が最も印象深いです。というのも私はピラミッドに入社する以前,もともとバトガの運営に携わっていたんです。
 コラボ第1弾のころは入社直後で,コラボキャラのイメージを固めるお手伝いにとどまりましたが,「次があるならぜひ担当したい」と言っていたのをくんでもらえて,第2弾では2人分の制作を任せてもらえました。

4Gamer:
 おお,この上ないくらいの適任じゃないですか。

バトルプランナーS:
 ただ,花音は原作で「射撃後に回避しつつ再射撃する」という能力がありましたが,アリスギアにはそういった仕組みが存在しなかったので,プログラマーに頼むと,ステップ射撃が実現できるように工夫してもらえました。もう片方のコラボキャラクター「国枝詩穂」も,原作に「攻撃の合間に画面長押しでチャージ攻撃」という機能があったので,それも導入してもらっています。当時は近接攻撃に”長押し”の概念がなかったので本当に感謝しています

牟田氏:
 存在しなかった処理を新しく付け加えるのって,これまた大変な作業なんです。ゲーム上ではサラッと表現していますが,かなりの手間がかかっているので,あらためて見てもらえるとうれしいです。

バトルプランナーS:
 それらのバランス調整も難しくて。アリスギアにおけるステップは,要するに「動作中無敵の回避アクション」なので,その間に攻撃を組み込むと強くなりすぎてしまう懸念がありました。
 そこでステップ回数に制限を設けたり,チャージ攻撃の発動に必要な長押し時間を調整したりして,ゲームへの影響も測っていきました。

4Gamer:
 新たなモーションやコンセプトはゲーム面に大きく影響しそうですしね。そういった面ではIさんが苦労されていそうですが?

バトルプランナーI
 私は最終的な数値を決めたり,パッシブスキルを組み上げたりして,アクトレスの最終DPSを決定するのが業務ですが,いろいろな人が好きに作ったものを「お前が性能を決めろ」と投げられるわけですから。彼らの無茶振りを最後に受け止める役目とも言えます(笑)。
 歌って踊る子の能力やスキル名,決めるの難しかったです……。

4Gamer:
 スキル名もIさんが決めているんですか。

バトルプランナーI
 私がまず仮名を用意して,それを世界観担当に提出して,オッケーならそのまま実装,より良い案があれば別名称が付けられます。
 今まで大変だったのを挙げると,アナザー紅花,アナザー真理です。とくに中華鍋を振るう技名なんて,ほんとどうしたもんかと……。

4Gamer:
 言われてみれば,他人の案をパッと出されて,最適な名前を付けろというのは難しそうですね。同様に,数値面はいかがでしょう。

バトルプランナーI
 最終的なDPSは,ゲーム全体のバランスやキャラクター性能を総合的に加味して「適正値」と定めるんですが,その数値を知った各担当者が「俺の子はこんなに弱くない!」って,怒鳴ってくるんです(笑)。

リードバトルプランナー:
 大関小結さんについては私も口出しさせてもらいましたよ。プロトの動きを見て愕然としました。「俺の大関さんがこんな弱いわけない!」って。重装だから足が遅いのは仕方ないんだけど,そのうえでどうにかハンマーを叩き込む大関さんをみんな見たいんだから,もっとステップ性能を強化するべきだろう! とか,そもそも大関さんは――。

バトルプランナーI
 そう,これ。ちょうどこんな感じですよ!

4Gamer:
 苦労が見て取れた気がします(笑)。それではリードバトルプランナーさんが担当しているエネミー部分での思い出はいかがでしょう。

リードバトルプランナー:
 個人的には,過去の高難度コンテンツに登場した“Adv.シリーズ”に思い入れがあります。ザコ敵って基本はやられ役で,プレイヤーさんに気持ちよく倒してもらうのが最大の使命なので,いろいろなプレイに対して「気持ちいいリアクション」で返答すべく組み立ててきました。
 ですが,Adv.シリーズは高難度コンテンツ限定の敵とあり,明確な正解をバシッと決めて「これ以外の解答は許さん!」をやったんです。

4Gamer:
 アクションゲームのエンドコンテンツらしく(笑)。

リードバトルプランナー:
 そのぶん「正解を発見して実行できればカッコよくキマる設計」これを実現できました。今でも作ってよかったと思っています。
 ……まぁその,社内の人間にテストプレイしてもらったときは,けっこうな舌打ちをされてましたけど(笑)。

4Gamer:
 今が円満ならなによりです……(笑)。
 それでは話の締めに,アリスギアはファクター,エニグマ,おでかけモードなどを携え,今後はどのような方向に進むのでしょうか。

牟田氏:
 2周年や3周年のころはバトルというより,キャラクターに焦点を当てる施策が多かったです。対して4周年では,エニグマなどを皮切りに,さらにバトル面を掘り下げていければと考えています。

4Gamer:
 現状を始点に,さらにもっとバトル部分を掘り下げると?

牟田氏:
 そうです。具体的な内容はまだお話しできませんが,これを機にバトル関係の新しいコンテンツをお届けしていきたいです。

4Gamer:
 答えられる範囲で構いませんが,プレイヤーからの意見・要望への返答として,言っておきたいコメントはありますか。

バトルプランナーH:
 かれこれずっと言われ続けていた「トレーニングモードの多機能化」については,これから手を入れていきたいと思っています。
 とはいえ,最近のゲーム界隈のトレモ事情に合わせると要件がメチャクチャ上がってしまうので,期待しつつお待ちくださいとまでに。

バトルプランナーT:
 撮影モードについても「好きな写真を選ばせてほしい」というご意見をよく受けます。現状は点数が高いものが自動で選ばれるので,やっぱり「こっちの写真がよかったのに」となることも少なくないようで。
 ここは個人的にも気になっていたので担当に確認をとったところ「ゆくゆくは好きな写真を選べるようにする」か「評価基準の見直しを行う」などして,より使いやすくするつもりではあるようです。

リードバトルプランナー:
 私はエニグマを出せたので,より強くなったキャラクターをさらに魅力的に輝かせる場所を用意したいですね。現時点でも考えてはいるのですが,ただ難しくするよりは,なにか工夫が必要だなと悩んでいます。

牟田氏:
 長い間運営していくなかで,エニグマのような新しいコンテンツを足していくことも大切ですが,アリスギアはやはりキャラクターを大切にしてもらっている部分があるので,リリースして時間が経ったキャラクターなどの細かなテコ入れを地道にやっていきたいです。

4Gamer:
 では最後に,牟田さんよりファンへの一言をいただけますか。

牟田氏:
 僕はアリスギアは維持していくゲームではなく,常に作り続けていくゲームだと思っています。プレイヤーの皆さんには,いろいろな面でお待たせしてしまっていることも多々あるかと思いますが,2022年もまだまだ新展開を予定していますので,今後ともぜひご期待ください。

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