シューティングゲームの宴「シュー大祭2022」大振り返り。計18社のお披露目を、秘話をまじえてお届け 

 

シューティングゲームを「移植・復刻」「新作」という形でユーザーに送り届けているメーカーが一堂に会し、最新情報やゲームプレイを交える配信イベント「シュー大祭2022」が、4月2日(土)と3日(日)の2日間、シティコネクションとゲーセンミカド(INH)の合同で開催された。シティコネクション、ケイブ、BEEP、サクセス、exA-Arcadia、G-MODE、グランゼーラ、MOSSのほか、移植の雄であるハムスターとエムツー、そしてプラチナゲームズやセガトイズといった大手メーカーも参加し、前回よりもさらにパワーアップした内容となった。 
 

 
・1日目 

 
・2日目 

 
前回のシュー大祭について、シティコネクションの代表取締役・吉川延宏氏は「決して万全の状態ではない状況下で他メーカーさんをお招きした場合、なにかあった際の責任が取れなかったため、まずは身内に近いメンバーで一回やってみよう」というコンセプトで開催されたとコメント。第二回を催す際は準備と時間をかけて各社の協力を仰ぎたいと語っていたが、今回はみごとに総勢18社(タイトル)の招致に成功している。その理由についてこのように述べた。 
 

 
吉川氏: 
前回(第一回)は一回目というより0.5回目ぐらいの気持ちでした。ただ、セガトイズの跡部さんが『アストロシティミニV』の収録タイトル誘致を積極的にされていたので、自分も負けずにいろんな会社さんを呼ぶぞと触発された部分はありました。去年から企画して進めようと思っていたのですが、技術面、気持ちの問題、タイミングといった課題や悩みを自分たちのなかで解消できたので、やるならここだなと。 
 

 
また、ゲーセンミカドの店長・イケダミノロック氏は「この一年でセガトイズの跡部さんやプラチナゲームズの神谷さん、ブシロードさんと知り合いになることができたので、巻き込む仲間を増やせられた運の良さもあったと思う」と述べた。主催側も充実感をにじませるイベントだったようだ。 

ここからは、各社の発表を紹介していこう。まずシティコネクションからは、同社でプランナーを務めるちゃんたけ氏と、ゼロディブ・フクシマ・ファクトリーによるシューティングゲーム専門の新チーム「TAKE×OFF(テイクオフ)」の発足と、昨年にリリースした『デススマイルズ I・II』に続くケイブタイトルの移植として『赤い刀』を年内にリリースすることを発表した。メインメニューには、画面のHD化やステージの追加などの手が加えられたアッパーバージョンの『絶・赤い刀』と『赤い刀 真』のロゴも並んでいたが、収録されるモードや追加要素はこれから随時お知らせするという。 
 

▲開発中の画面公開のみに留まった『赤い刀』。『デススマイルズ I・II』では『ゴシックは魔法乙女』のキャラクターが使用できるDLCが展開されたことから、本作でもどのような仕様追加があるのか楽しみだ

 
また、『コットン ガーディアンフォース サターントリビュート』に次ぐ「Sトリビュート」シリーズとして、かつてセガサターンに移植されたタイトー作品を積極的に展開することを発表。第一弾として『レイヤーセクション&ギャラクティックアタック Sトリビュート』を4月28日にリリースするとともに、翌0時にはNintendo SwitchとPlayStation 4向けの体験版が配信されるなど、サプライズが相次いだ。以後、同シリーズでは『メタルブラック』や『エレベーターアクション リターンズ』のほか、『パズルボブル 2X&3』『クレオパトラフォーチュン』なども予定しているという。コーナー内にはタイトーサウンドチーム「ZUNTATA」の”ばびー”こと石川勝久氏が登場し、F2ボード(YM2610)やF3ボード(OTIS+ESP)など、歴代のタイトーアーケード基板で使われたサウンドチップに関するトークを繰り広げた。 
 

▲単なる復刻ではなく、巻き戻しやスローモードといった機能をはじめ、拡張連射設定や難易度上昇設定など、かゆいところに手が届く充実のオプションが組み込まれるのはありがたい仕様だ 

 

▲『レイヤーセクション』に関連し、『レイフォース』のエクステンド音はサウンドボードのエラー音が由来となったことを話した石川氏(写真右)。自社の配信番組「ZUNTATA NIGHT」と言い間違えてしまうほど、濃密でマニアックな内容を視聴者に届けていた 

 
シティコネクション内のゲーム音楽レーベルであるクラリスディスクは、シューティングに関するサウンドトラックの発売をアナウンス。1点目は、第一報から9年の時を経て、ついに発売が決まった『ニチブツ シューティングサウンドボックス』だ。デジタル録音技術による音質向上、アーケードと家庭用タイトルを合わせた計18タイトルの音源が収録されるが、まだまだ他にも隠し玉が用意されているという。 

こちらのコーナーに登場したのは、ゲーム音楽・ゲーム史研究家のhally氏と、ニチブツサウンドを語らせたら右に出る者はいない、なるお氏のふたり。ニチブツに所属していたサウンドコンポーザー・吉田健志氏へのインタビュー公開と、手がけられたサウンドの年表をスライド形式で紹介した。インタビューの全貌はサウンドボックス付属の冊子で読むことができるという。なお、発売日は6月29日に決定しているが、限定生産となっているため、確実に入手したいという人は、直販サイトのクラリスショップをはじめとする各店舗で予約してほしい。 
 

▲ボックスが出ることへの心境や、ご自身が一番気に入っているサウンドといったインタビューを、吉田氏のモノマネで答えていくなるお氏(写真右)。hally氏(写真左)は「吉田氏のサウンドにハマってしまったら、もっと聴きたいという気持ちになる」と話した 

 
2点目は、サクセスが展開している『コットンロックンロール』(PlayStation 4/Nintendo Switch/アーケード)の作曲を担当した荒川憲一氏と、効果音を作成した鶴窪和志氏が登場。オリジナル楽曲とアレンジを収録したCD2枚組の『コットンロックンロール コンプリートサウンドトラック』を4月27日に発売すると発表した。アレンジコンポーザーには川田宏行氏、ヨナオケイシ氏、佐藤豪氏、TECHNOuchi氏(feat.林沙希氏)、はがね氏といった豪華な面々が参加しており、シューティングゲームファンならば押さえておきたい。また、ゲーム自体のお知らせとして、全国のゲームセンターで稼働している『ALL.Net P-ras MULTI バージョン3』版ではステージとキャラクターを追加されるアップデートが施されることと、今秋にはSteam版での配信が決定したことも発表された。 
 

▲憧れや尊敬、そして『コットンロックンロール』への調和を重視し、荒川氏(写真右から2番目)がアレンジを依頼したというエピソードを、BGMの先行試聴と交えてたっぷりと語った

 
『コットン』シリーズの関連として『コットンリブート!』(PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam)を発売しているBEEPからは、プロデューサーのRF丸山氏と、当作にアレンジコンポーザーとして参加した松本大輔氏が登場し、制作当時のエピソードトークが行われた。また、X68000 XVIの実機を会場に持ち込み、同社で販売中の同人ソフト『BLUE WINGS』と『BLUE KNIGHTS』を紹介するとともに、BEEPゲーム制作室からのお知らせとして、『コットンリブート!』に続く第二弾タイトルを展開することを発表した。ヒントとして明かされたのは、セガのシステム基板・NAOMIでリリースされていたシューティングタイトルとのことで、あれやこれやと思索しながら続報に期待したい。 
 

▲いまもなおレトロPCが盛り上がっていることとともに、新しいゲームも取り揃えることで、新旧双方の間口を広げていきたいと話すRF丸山氏(写真左) 

 
50分という出演枠をいっぱいいっぱいに使い切ったのは、全世界に展開しているアーケードゲーム基板・exA-Arcadia(エクサ-アルカディア)だ。現在、販売・稼働中の『怒首領蜂最大往生 EXAレーベル』からは、入力遅延の減少(基板の2フレームから1フレームを実現)、ORIGINALモードの処理落ち改善、サウンド調整やロード時間の減少といったアップデートが無料で行われることを発表。続いて、前回のシュー大祭で初披露した『P-47 ACES改』では、ゲームバランスの再調整、敵と一部ステージ道中の追加、さらにオリジナル版『P-47 ACES』の開発中にオミットされてしまったハイパーシステム(※自機のショットが一定時間、強化される)を復活することが明らかとなった。このコーナーには、かつてNMKに所属し、オリジナル版のサウンドを手がけた並木学氏が登場し、全曲のアレンジを担当するアナウンスと併せ、ステージ6のアレンジ曲が先行披露された。気になるリリース時期について、プロデューサーのジェームズ氏は「今年中にはリリースしたい」と述べた。 
 

▲当時よりも経験値があるぶん、「究極のNMKサウンド」という形でアレンジして残したかったという並木氏(写真中央) 

 
そのほか、並木氏や塩田信之氏がコンポーザーとして参加した、漫画家・イラストレーターRIKI氏による『アストロ忍者マンEXA』、ボスが60体(色違いも含む)も登場する超大作の『カンブリア・ソードAC』、音楽ゲームの要素を取り入れた『ノイズ アーク⌖コーダ』を今年度内に稼働予定であることを発表。また、開発が決定した弾幕系ジャンルの新作として、横シューティングの『ジャムジャムジェリー エクサレント』と、縦シューティングの『シノルビー ピンクレーベル』などを一挙に発表。コーナー終了後の取材コメントにて、エリック氏は「業務用新作タイトルが減少していますが、これからも世界中のゲームセンターを応援していきます」と力強く宣言した。
 

▲「東方Project」シリーズ初のアーケード向け公認の二次創作となった『東方電幻景』の続報として、「第十九回博麗神社例大祭」にプレイアブルで出展することをアナウンスされた 

 
並木氏は7月28日(木)に発売が決まったセガトイズの『アストロシティミニV』コーナーにも登場した。収録タイトルの『アームドポリスバトライダー』を移植するにあたり、新しい形で届けたいという趣向により、ボス戦の2曲を新しく手がけたことを公表。原曲のテンポやメロディは大きく変えず、ハードロックが大好きなギタリストと、音大卒で知識のある気難しい女性キーボーディストがバンドの中に飛び込んだというコンセプトであることを語った。実機のデモプレイとともに新曲の先行試聴も行われたので、アーカイブでぜひともチェックしてほしい。そのほか、メニュー画面の初公開や、残機数や難易度を変更できるDIPスイッチ設定、かんたんセーブ・ロード機能の説明に加え、ミカドのイケダ氏による『戦国エース』のデモプレイも披露された。 
 

▲開発当時はグラフィックデザイナーたちとパンクやハードコアのライブでモッシュ(※観客同士の押し合い)を経験し、そのノリをサウンドで表現していたという『アームドポリスバトライダー』。荒削りな部分を活かしつつ、新しいエネルギーとしてバンドのメンバーを増やした想定での新アレンジは必聴

 

▲『ガンバード』『ストライカーズ1945』と併せ、本機に収録される彩京のデビュー作となった『戦国エース』。連射の速度(秒速30連)やボタン設定などは、ゲームセンターで稼働しているものに準拠するという

 

▲同じくゲーセンミカドがプロモーションを行っている、モスの『雷電IV×MIKADO remix』は、昨年発売されたNintendo Switch版に続き、今年の2月にはPlayStation5・4でも展開。BGMのアレンジに注力している一作として、イケダ氏とWASi303氏によるライブを披露

 
ケイブはシュー大祭を記念したオンラインショップを期間限定(3月30日〜4月10日)でオープン。『ケツイ〜絆地獄たち〜』に得点アイテムとして登場する倍率チップと、『怒首領蜂大復活』に登場するゴットヴィーン・ロンゲーナ大佐が大きくプリントされた「ふかふかクッション」や、業務用基板に付属されるインストラクションカードと取扱説明書をプリントした「枕カバー」などを販売。また、4月1日で配信7周年を迎えたスマートフォン用アプリ『ゴシックは魔法乙女』のゲーム内イベント告知とともに、カレン役の声優・田中音緒さんと、シティコネクション所属・ちゃんたけ氏によるスコアタバトルを開催。前回のシュー大祭ではちゃんたけ氏が圧勝し「声優泣かせ」の異名を持つこととなったが、今回の勝負では田中音緒さんがリベンジを果たし、YouTubeのチャット欄も大いに沸かせていた。 
 

▲開始早々「(タップを)間違えた!」と発言し、田中音緒さん(写真右から2番目)への煽り行為を疑われたちゃんたけ氏(写真右)。試合終了後には「負けました」と素直に敗北宣言し、配信のチャット欄を賑わせた 

 

▲フィーチャーフォンで配信されていたゲームアプリをNintendo Switch上で復刻しているG-MODEアーカイブス+のコーナーでは、ケイブの『弾幕検定死験-ケツイ編-』の開発に携わっていた松本氏(写真左)と松島氏(写真中央)が登場し、グラフィック、プログラム、サウンドにて限られた容量を取り合っていた制作秘話を明かした 

 
ケイブのタイトルをNintendo Switchに移植(開発)・発売しているLive Wireのコーナーでは、『エスプガルーダII』『虫姫さま』に続いて、2021年11月25日に配信した『怒首領蜂大復活』をメインに紹介。本作は、『怒首領蜂大復活』『怒首領蜂大復活 ブラックレーベル』の2タイトルが同時収録されており、配信ではアレンジを含んだ8つのゲームモード、ゲームシステムから見る本作の魅力、そして移植度のこだわりを語った。 
 

▲アーケード基板とNintendo Switch版を比較したプレイ動画も披露。ステージ道中の敵機出現タイミングや、中型機を撃破した際の処理落ち、エレメントドーター(ボス)の弾幕パターンなどはまさに瓜二つで、移植度の高さをアピールした

 
コーナー内では、シューティングゲームそのものをプレイしたことがない小学生が実際にプレイした動画を再生し、本タイトルが初心者のみならず子どもにも十分に楽しめるゲームであることをアピールした。この動画は、時間の都合で公開しきれなかった部分も盛り込んだ完全版がLive Wireの公式YouTubeチャンネルにもアップロードされている。また、シュー大祭での初発表として、「超伝説級のシューティング」の移植・開発が決定したことが明かされた。気になるタイトルについては今年の夏~秋までにお知らせしたいとのことで、続報が届くのを楽しみにしたい。 
 

▲ケイブ以外のメーカーであるという情報以外は伏せられていた「伝説級のタイトル」。タイトルやメーカーもさることながら、縦・横どちらであるのかも気になるところだ 

 
2022年内にコンシューマー版のリリースを予定していることも話題になった、ピラミッドの3Dシューティングゲーム『アリス・ギア・アイギス』(PC/スマートフォン)からは、メインストーリーの浸蝕編6章を今年のゴールデンウィーク中に公開を予定していることが開発ディレクターの柏木准一氏とスクリプトディレクターの今村雄一氏から明かされた。また、シュー大祭特別企画の新モードとして用意された180秒アタックモードと、エイプリルフール用の企画として期間限定(4月1日〜11日)で遊ぶことができるミニゲーム『GALACTIC DESTRUCTION』のデモプレイをそれぞれ披露した。なお、『GALACTIC DESTRUCTION』の仕様・企画書については、『アリス・ギア・アイギス』の公式サイト内で公開されているので、気になる方はぜひ目を通してみてほしい。 
 

▲『ダライアスバースト』の3Dメイングラフィックを担当したスタッフがドットを打ったという、ミニゲームといえども本格的に作られている『GALACTIC DESTRUCTION』。柏木氏と今村氏による、白熱のスコア対決も繰り広げられた

 
次いでピラミッドの今村氏は、『小林さんちのメイドラゴン 炸裂!!ちょろゴンブレス』(PlayStation 4/Nintendo Switch)の実演プレイヤーにて出演し、スコアラー・木之本まい’んとしての本領を発揮。道中の激しい攻撃をかいくぐる様子に、スカーレット・オルセンとYA-121 TypeC型の声優を務めた美波わかなさんも「ちゃんと避けてる!」と驚いていた。ボス戦ではガチンコな攻略プレイを披露し、開発を担当したカミナリゲームスの星野氏も「アップデートで対策しようかな」と思わず言葉を漏らす一幕も。 
 

▲パターンを詰めきれていない箇所もあったというが、お手本以上の見事なプレイに、チャット欄でも「参考になりました」「さすがです!」というコメントで盛り上がっていた 

 
ゲーム開発やレトロゲームのイベントを手がけるピクセルからは、シティコネクションの吉川氏とともに、代表取締役の佐々木英州氏が登場。シュー大祭への出展を誘われた経緯と、Nintendo Switchで配信している『ホーギーヒューwith(and)フレンズ』の告知を行った。また新作として、キャラクターデザインにShuzilow.HA氏、音楽には”kawagen”こと川元義徳氏、また、ゲストデザイナーとして山田章博氏と、往年の名作を手がけたスタッフが名を連ねるゲーム『アステリアの翼』のトレイラーを初公開し、2022年内に発売予定であることを明かした。加えて、横でも縦でもないシューティングゲーム『アンシェリアントリガー』に関する続報も年内にはお知らせしたいと発表した。 
 

▲壮大なBGMとともにアルテミスがペガサスに乗って天空を駆ける光景に、某タイトルの再来を彷彿とさせた『アステリアの翼』。ピクセルの公式YouTubeチャンネルで公開中だ。

 
次はグランゼーラが登場。前回のシュー大祭では、目玉タイトルとなっていた『R-TYPE FINAL 2』(PlayStation 4/Nintendo Switch/Xbox One/Xbox Series X・S/Steam/PC)。メジャーアップデート『R-TYPE FINAL 2』(Ver2.0.0)改め『R-TYPE FINAL 3』への準備が進行中であることともに、実装を予定している内容の一部を紹介した。1993年にリリースされた『海底大戦争』の自機であり、『R-TYPE TACTICS II』にも登場した「グランビアF」が新規プレイヤー機体として使用できることや、潜水艦の敵機が登場する水中ステージの追加など、シリーズのファンを大いに喜ばせる発表となった。そのほか、プラットフォームをまたいだ世界ランキングの対応や、コレクションした機体を鑑賞できる「R’s Museum」の機能拡張、さらに新モードとして、​​長尺ステージで最大6人のプレイヤーと最後の一機になるまで生き残りをかける「競技プレイ(仮称)」の実装など、これからも長く遊んでもらうようにアップデートを続けていくという。 
 

 

▲会場とYouTubeのチャット欄でも「おお!」と、どよめきが起きた新ロゴと、新規プレイヤー機体の「グランビアF」。上方・下方への機雷攻撃がどのような形で再現されるのか、非常に楽しみだ 

  
またプラチナゲームズの神谷英樹氏も登場。2020年のエイプリルフールネタとして動画を公開し、実際にプロジェクトが始動していたことでユーザーを驚かせた、プラチナゲームズのネオ-クラシック・アーケードシリーズ『ソルクレスタ』(PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam)。総監督の神谷英樹氏が『ビューティフルジョー』や『ベヨネッタ』などで得たシナリオ作りのノウハウをシューティングゲームに活かしたいという狙いもあり、ダウンロードコンテンツの「ドラマティックモード」ではほぼ全編にわたってキャラクターの掛け合いが発生して喋りまくるという分厚いストーリーになっている。 

『ソルクレスタ』のストーリー作りにあたっては、『テラクレスタ』での「マンドラー軍によって海底基地に追いやられた人類が地球奪回組織を結成した」といった設定を拾い上げたうえで、その前作にあたる『ムーンクレスタ』では月の奪回組織であり、その奪回に失敗したため、地球も奪われたのだと解釈。最終的に地球の奪回にも失敗した人類が、太陽を奪回するための戦いをドラマとして描くため、ストーリーを肉付けしながら、ゲーム自体の企画を練り上げた経緯を、神谷氏は語った。また、コマンドショットや特定の形に編隊を組むフォーメーション攻撃などのゲームシステムについて、思い浮かんだアイディアはゲームに組み込みつつも、プレイヤーにはそれらの使用を強要しないことにも気をつけたという。 
 

▲『テラクレスタ』を踏襲したステージ5「地球(テラ)」の敵キャラとして登場する恐竜にまつわるエピソードとして、神谷氏は当時「メカメカしい世界観に恐竜が出てきて、爆発したら骨だけが残るという演出に戸惑った」と笑いを交えながら話した 

 
アーケードアーカイブス』(PlayStation 4/Nintendo Switch/Xbox One)を展開するハムスターは、3月3日に配信されたナムコの名作シューティングゲーム『ドラゴンスピリット』を出展。自社の配信番組「アーケードアーカイバー」でもおなじみのTZW氏と、移植にあたってのテストプレイヤーとして招致されたIMO氏に加え、共通のスコアラー仲間であるECE-教祖氏とファラヲ佐々木氏が壇上に登場した。実際のプレイを通じて、プレイヤーキャラクター・ブルードラゴンの移動速度や当たり判定が異なるOLD・NEWバージョンの違いを説明しつつ、6面(氷河)の地中に埋もれている敵「ロックフェイス」の対処や、最終ステージ(魔宮)の壁抜け・槍抜けなど、攻略のポイントとテクニックを紹介した。 
 

▲アイテムの効果やステージ道中の立ち回り方など、IMO氏(写真左)のプレイを見ながら的確な解説を入れていくTZW氏(写真右)とECE-教祖氏(写真中央) 

 
エムツーは「M2STG生放送inシュー大祭」と題し、4月28日に発売される『飛翔鮫!鮫!鮫!』(PlayStation 4/Nintendo Switch)に関する情報をアナウンス。難易度や残機数などを自由に設定できるカスタムモードから、『鮫!鮫!鮫!』の常時MAXランク状態でのプレイをあえて選択し、1面からとんでもない速さで放たれる敵弾に視聴者を唖然とさせた。初回特典冊子『BEEP! サメフライング』で読むことのできる開発者インタビューや攻略記事、そして大川ぶくぶ氏によるスペシャル4コマをスライド形式で先行紹介。自身にそっくりな絵柄に、堀井氏も「調べていただいてありがとうございます!」と太鼓判を押していた。 

コーナーの後半では、エムツーのディレクター辛島氏とタイトーのプロデューサー・外山氏が登場し、3月31日に無料大型アップデートが配信された『GダライアスHD』(PlayStation 4/Nintendo Switch/Steam)の追加内容を改めてお知らせした。『GダライアスVer.2』(およびHDバージョン)と『~For Consumer』の追加収録、開始ゾーンや自機のパワーアップ状態をカスタマイズできるトレーニングモードの実装、秋葉原にあるゲームセンター・Heyをイメージした環境音をゲームプレイ中に再生できる設定など、無料とは思えないほどのボリュームをアピールした。 
 

▲M2STG生放送ではおなじみの正装で登場した、ブランド統括ディレクターの久保田氏(写真右)とディレクターの宮木氏(写真左)。堀井氏(写真中央)は「ゲームセンターのゲームを家庭に届けている我々が、ゲームセンターからこの放送をできる素晴らしさがある」とコメントした
 
▲『GダライアスHD』のSteam版では、1画面に収まりきらないほどの巨大さを誇る「クイーンフォスル」「ファイヤーフォスル」「G.T.」といったボスたちとワイド画面で戦えるエキシビションモードや、サブウーファーへの搭載などの独自要素が加えられ、目と耳でさらに楽しめるようになっている 

 
東亜プランに関連するタイトルとして、5月19日に発売される『スノーブラザーズ スペシャル』(Nintendo Switch)がハピネットから出展された。1990年に稼働した固定画面アクションゲーム『スノーブラザーズ』をリメイクしたもので、新たに30ものステージが追加されたほか、敵キャラクターを使うことができるモンスターチャレンジや、クリアまでの時間を競うタイムアタックモードなどが搭載されている。ゲーセンミカドでも『スノーブラザーズ』の実演配信を担当したゲストプレイヤーのファラオ佐々木氏は「オリジナル版のパターンをなぞりつつ、これはこれで新作として楽しめる」と評した。 
 

▲プレイヤーキャラクターのニックとトムに扮したハピネットの坂井氏(写真左)と正木氏(写真右)。終始ハイテンションでまくしたて、シュー大祭の視聴者と業界関係者に強烈なインパクトを残した

 
アーケード、家庭用、PC、スマホと全方向に対応し、シューティングゲームというジャンルが常に身近にあることを改めて認識できたシュー大祭2022。一大発表会になり得るのではないかと思えるほどの規模と布陣に、二度あることは三度あるもので、否が応でも来年の開催を期待してしまうところだ。イベント終演後に、松本氏、吉川氏、イケダ氏の3名に、今回の手応えや感想、そしてこれからの展望について伺った。 

前回は祭りのあとのような寂しさとともに「次はできるのかな」と松本氏は話していたが、今回はたしかな手応えと自信、期待が勝っているという。 
 

 
松本氏: 
前回のシュー大祭が終わったとき、「またやることができたらいいな」という手応えがあるかどうか微妙なところがあったんですが、今回は「楽しかった、次もやれそうだな」という気持ちのほうが勝ってますね。これだけ前向きになれたのは、多くの企業さんが協力してくださったおかげですし、TwitterやYouTubeのチャットの盛り上がりが自信につながりました。「移植が出る、新作が出る」という情報を知らない人に届けることができたのは、シューティングゲームファンのみなさまが応援してくださっているものだと思うので、いままでファンでいてくださって、遊んでくださった方々の存在なしにはあり得なかったですね。知られなかったら情報はゼロなので、知ってもらえただけでも本当にありがたいことです。イケダ店長の言葉をお借りすると「知らないゲームは新作」ですからね。
  

 
出展社が増えた分、ユーザーにとっては注目度の高いイベントになったが、メーカーにおいては単なる発表の場ではなく、同じ立場にいるからこそわかる悩みを吐き出す交流の場にもなっていたと吉川氏は話す。
  

 
吉川氏: 
シュー大祭の前段階として、ミカドさんや他社さんを交えたイベントが増えていったので、あれだけの会社さんが集まっても、控室で「はじめまして」とかしこまるより、「どうもお久しぶりです」「最近どうですか?」みたいなやりとりが多かったですね。この1、2年間でみなさん相当なフラストレーションが溜まっているようで、ここだったらその悩みや苦労を聞いて、なおかつ分かりあえる人がいっぱいいるわけですよ。本音を吐き出したら、なにかしら返ってくる場所になったので、コミュニケーションの場を作ることができたという意味でも、開催して良かったなと思います。同じタイミングでシューティングゲームを作られている会社さんが集まれば、また来年もやりたいですね。
  

 
「メーカーさんとのコラボやプロモーション活動の場としてミカドを成長させていきたい」と展望を語り、『雷電IV×MIKADO remix』『ソルクレスタ』『アストロシティミニV』と、プロモーション案件を着実に増やし、仲間を巻き込む輪をどんどんと大きくしているイケダ氏。次回も開催するという目標ができたことと、プロモーション活動での気づきを述べた。 
 

 
イケダ氏: 
いまのゲームセンターってどこも売上が悪くて、明日にでも会社ごとなくなっちゃうようなところがある状況で、ミカドではコラボや販促で対価を得る事業の実績作りをさせてもらったので、跡部さんや吉川くんには本当に頭が上がらないです。また同じような規模でやりたいし、それを目指して頑張るぞっていう目標ができたのは大事なことですよ。いつまでシューティングゲームとか言い続けるのかなって思う反面、いつまでも言っていたい自分もいるので。ニュースでもなんでもそうですけど、騒ぎがないと何があったのか気づかれないんですよね。その騒ぎの中でようやく「あぁ、シューティングゲームか」って気づいてもらえるきっかけに過ぎないので。かつて自分たちも『ライデンファイターズエイシズ』の販促でそういう経験をしていたので、ハピネットさんの頑張りを見て、あの頃を思い出させてもらいました(笑) 
 

 

 
垣根を超えたメーカー同士の交流による輪の広がりと、「純粋に楽しみたい」という思いで視聴したシューティングゲームファンの姿勢。メーカーとユーザーのどちらかが一方的にものを伝えるのではなく、コールアンドレスポンスで互いに盛り上げていくライブ感と人の温かみを「シュー大祭2022」では感じることができた。この2日間を通じ、シューティングゲームというジャンルが好きで良かったという思いを再確認できた人も、きっと少なくはないはずだろう。こうした喜びや驚きをふたたび与えてくれる楽しいお祭りが、来年も無事に開催されることを心待ちしたい。 

・シュー大祭2022 特設サイト 
https://shootersfes.com/


1989年生まれ。UNDERSELL ltd.所属。ビデオゲームとピンボールをこよなく愛するゲームライター。新旧問わない温故知新のゲーム精神をモットーに、時代によって変化していくゲームセンターの「いま」を見つめています。