「スターフォックス」への愛に満ちたローポリシューティング『Ex-Zodiac』プレビュー

初代『スターフォックス』と『スターフォックス64』のいいとこ取り

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初代『スターフォックス』のグラフィックが非常に好きだ。低解像度でテクスチャがほとんど貼られていない上、超ローポリで、オブジェクトの描画距離も非常に短い。だけど表現したいことはほとんど表現出来ていると感じるし、敵キャラクターやオブジェクトのモデルも豊富で、ステージごとの雰囲気やギミックも新鮮さを失わせない程度にバリエーションがある。当時のゲーム機の描画性能の低さ故に独特かつ魅力的にSFの世界観が描写されているゲームだ。

しかし、改めて今初代『スターフォックス』をプレイすると、フレームレートが異様に低いことに驚くし、なんだかんだ描画距離の短さは難易度的にも致命的に感じる。三人称視点時にレーザーのカーソルが表示されないのもつらく、とてもじゃないが快適にプレイできるゲームとは言い難いものだ。

初代『スターフォックス』の雰囲気やグラフィックは好きだが、今改めてやり込むには拙すぎるのは否めない。まさにそんなゲーマー達のために舞い降りたと言えるのがこの『Ex-Zodiac』だ。

本作を一言で表すなら、「現代的解釈で気持ちよくプレイできるようになった初代『スターフォックス』」。思い出の中の『スターフォックス』を再現してはいるが、あくまで現代のプレイヤーが親しみやすいようにリファインされたゲームになっている。

本作は早期アクセスタイトルであり、現状のステージ数は6ステージと少なめ。製品版までに12以上のステージと分岐ルート、シークレットエリアなどが実装される予定のようだ。

タイトル画面の時点でかなりキュンとなるゲームだ。

本作の主人公は「キュウ」という名の女性パイロットで、超銀河テロ組織「ゾディアック」に制圧された星々を開放するために戦っている。彼女は基本単身で任務を行っており、「スターフォックス」シリーズと違って味方機は居ないため、味方のHPをマネジメントするような要素はない。だが、シリーズの魅力でもある通信会話は本作にも取り入れられており、一緒に戦ってくれるわけではないものの通信経由でサポートしてくれるメカニックの「ミコ」と主人公との掛け合いはちょくちょく挟まってくる。また、ボス戦時にはゾディアック側のパイロットとの会話もある。


開発元曰く、本作の日本語ローカライズはまだ100%完了していないということだったが、少なくとも筆者がプレイした範囲では特に漏れなどは見当たらず、また翻訳の品質もかなり高い印象を受けた。

本作で操作する機体は複数の対象をロックオンしてホーミングミサイルを放つことができる。ロックオンをして高火力で一気に倒すべきか、それとも数で勝負できるレーザーを使うべきかというのを瞬時に判断しながらステージを進んでいくことになるので、操作感は初代『スターフォックス』というよりは『スターフォックス64』に近い。

ただし、『スターフォックス64』から導入された「オールレンジモード」(全方位に移動できるドッグファイトに近いパート)はなく、現状実装されているステージはすべて奥スクロールになっている。


ステージは、砂漠や雪、海に覆われた惑星、都会のハイウェイをバイクで突き進んでいくものなどバリエーションに富んでおり、ギミックや敵キャラクターも豊富。同じステージ内で雰囲気がガラッと変わる場面などもあり、ローポリでレトロな印象とは裏腹にゲームプレイ自体はかなりリッチな印象を受ける。

各ステージの最後にはボスが待ち受けているのだが、どのボスも似たものはなく、動きやデザインにもかなりのこだわりを感じる。ギミックもそれぞれ豊富であり、本作のボス戦はとても楽しく仕上がっている。今後製品版にかけてこのクオリティでボスがどんどん追加されていくのかと思うと非常に楽しみだ。


本作のビジュアルは、初代『スターフォックス』の影響を強く受けているのと同時に、当時のスーパーFXチップでは描画できないような表現も多用されている。意図的に低解像度化やメッシュタイプの透過処理などで当時のような粗さを再現しているものの、実際に描画されているものはPS1レベルのグラフィックといった印象。絶妙に思い出による補正がかかった初代『スターフォックス』という感じで、かなりナイスなグラフィックだ。

フレームレートも、当時『スターフォックス』は15FPS前後しか出ていなかったのに対して本作はデフォルトで最大の60FPSになっているため、ヌルヌルと操作でき非常に快適。ただし、オプションでフレームレートを最小の15FPSまで制限できるため、当時の感覚でプレイすることも可能。逆に低解像度化するフィルターをオプションで解除することもできる。

音楽に関しては『スターフォックス』を意識したものという感じはなく、ハイスピードなゲーム展開にマッチした疾走感のある楽曲が中心。ボス戦のBGMもかなりかっこよく、ボスの激しい攻撃と合わさって心地良い仕上がりだ。


各ステージには「DATA」なるアイテムが隠されており、取得するとそのステージのクリア後にボーナスステージに挑戦することができる。ボーナスステージはスペースハリアー風になっており、ステージの最後に待ち受けるボスを倒すことができればそのデータチップを入手することができるようだ。恐らく、今後のアップデートにてデータチップの取得数に応じたエンディングやステージの分岐があるのではないかと予想できる。

一度クリアしたボーナスステージはマップ画面からいつでも挑戦できる。

前述した通り、本作はまだ早期アクセスであり、ステージ数も少ないためボリュームはあまりない。ただ、一度クリアしたステージでも、データチップを入手するために再び挑戦することになるだろうし、特に本作はスコアアタックが結構楽しくできているのでリプレイ性は高い。

スコアはステージ中に登場する敵やオブジェクトを破壊することで入手できるが、連続でヒットすれば倍率でボーナスがかかる仕組みになっており、スコアが稼ぎやすい場所を発見するのも楽しみの一つだ。低被弾でのクリアや、ボス戦の撃破タイムもスコアにボーナスがかかり、最終的なスコアでランク付けも行われるので、スコアアタックにはかなりやりがいがある。

ステージ選択画面も『スターフォックス64』風。

初代『スターフォックス』の魅力溢れる3Dグラフィックと『スターフォックス64』のシステムを融合させ、レトロな雰囲気と質の高いゲームプレイを両立させた本作は、『スターフォックス零』以降新作が出ていないシリーズのファンの渇望を満たしてくれることはもちろんだが、純粋に3Dシューティングゲームとして幅広い層におすすめできるタイトルだと感じた。

ただし、早期アクセスとはいえまだボリュームが少ないことは否めないため、今後のアップデートを待ってから購入するのもアリかもしれない。もちろんトレーラーやスクリーンショットを見た瞬間に一目惚れしたという方は開発元をサポートする意味も込めて今購入するのも良いだろう。

『Ex-Zodiac』は早期アクセス版がSteamにて販売中だ。

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