【PCゲーム極☆道】第123回『Arcade Paradise』 作り込まれたアケゲーをやりこんで店を繁盛させる、異色のゲーセン経営ゲーム

コインランドリーでのお小遣い稼ぎもあるよ

【PCゲーム極☆道】第123回『Arcade Paradise』 作り込まれたアケゲーをやりこんで店を繁盛させる、異色のゲーセン経営ゲーム
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誰しも一度は抱く夢。それは自分の好きなことを仕事にすることです。ゲーマーならば、「ゲームでお金を稼いでみたい!」と言ったところでしょうか? まあ、ゲームライターの身からするとそれはそれで厳しいと思ってしまうんですけどね。とにかく、好きを仕事にしたいと思うのはまっとうな欲求です。しかも、それが若者ならばなおさらです。

ということで、まだあなたの知らないかもしれないPCゲームの世界を紹介する「PCゲーム極☆道(きわめみち)」。今回は親へ反抗し自分の好きへとひた走る『Arcade Paradise』を紹介します。

『Arcade Paradise』はイングランドのニューカッスル・アポン・タインに拠点を置くインディーディベロッパーのNosebleed Interactiveが開発したゲームで、2022年8月11日に発売されました。この開発チームはいわゆる下請けの開発協力企業で、これまでにも数々のゲームに参加してきました。さらにテレビ放送といった別分野でも活躍されているようです。技術力を感じる経歴ですね。当然自社オリジナル作品にも力を入れており、『Arcade Paradise』は同チームの3作目の作品となります。実力も実績もあるチームが贈る期待の新作といったところでしょう。ちなみにありがたいことに日本語化も実装されています。ただ、コンシューマ版は日本国内ではPS版Xbox版が配信されています。

 

さて、このゲームはいわゆるジョブシミュレータ―です。プレイヤーはゲームセンターを経営し、お金を稼いでいきます。舞台は現代から少し前の90年代初頭、ゲームセンター文化が大きく燃え上がった時代です。プレイヤーはさまざまなアーケードマシンを自分の店へと設置し、自分だけの夢の城を作り出すことができます。

 

しかもゲームセンターに設置する35種類のアーケードマシンはすべて実際に遊ぶことが可能なんです! 過去の偉大な名作のパロディやオリジナルのレトロ風ミニゲームなどなど、かなりしっかりと作りこんでいます。レトロゲームのパロディミニゲームはほかのゲームでもよく見ますが、まさかいきなり「ミスタード〇ラー」パロディゲームが登場したのには驚きました。プレイ感も「ミス〇ードリラー」まんまです。かなり凝ったゲームまで登場することがわかっていただけるでしょう。

 

さらに、スコアアタックが存在するすべてのゲームにオンラインリーダーボードも実装されており、ゲーセン経営の傍ら世界のプレイヤーとスコアを競うこともできます。さらにさらに、ものによってはローカルマルチプレイ(4人まで遊べるゲームもある)に対応しているものまであります。ジョブシミュレーター、経営ゲームの一要素とはとても考えられない異常な作りこみです。

 

ただ、ここで終わらないのがこのゲームのヤバイところです。

このゲームの主人公アシュリーは、頑固で古い考えの父親にウンザリしている若者の女の子です。定職もなくふらふらしている彼女をよしとしない父親は、彼女に自身の持つ事業のひとつのコインランドリーでの勤務を申しつけます。自分の好きなことを仕事にしたいと悩むアシュリーにとって、コインランドリー勤務は辛い仕事になる……はずでした。

このコインランドリーの奥の小さな物置には、なんと前任の姉がお客の待ち時間にと用意したいくつかのアーケードマシンが設置されていたのです。しかも、このアーケードマシンはどうやら敷地の大部分を占めるコインランドリーに比肩するほど稼いでいる……。

アシュリーは、コインランドリーをゲームセンターに改造するプランを思いつきます。父の古臭いビジネスと常識をぶち壊してやる!

 

……ゲーセンゲームを作ろうとして、なんで実家のコインランドリーが出てくるの???

なんとこのゲームにはコインランドリーを経営しながらゲームセンター経営を行っていくという、まさかの家業要素があるんです!

しかもコインランドリー側のお仕事もしっかりと作られています。お客の洗濯を代行して洗濯機に入れ、洗濯が終わったら乾燥機に入れ、全部終わったら棚へと戻しておくとチップがもらえるという通常業務に加え、毎日の清掃業務やトイレ詰まりの修理などのランダムイベントが用意されています。細々とした作業を忙しくさせられるプレイは、まさしくジョブシミュレーターです。

 

洗濯代行にはすばやくできたかどうかでランク判定があり、報酬に差が出ます。さらにはなぜか掃除やトイレ詰まりを直すだけでも収入が入ってきます。ポイ捨てガムをひっぺがすだけで30ドルぐらいもらえるのがおいしすぎるので、掃除しない手はありません。また、これら業務をしっかりと行っていくことで店舗の評判が高まり、来客数を増やすことができます。来客数は当然ゲームセンターの収益にも関係してきます。最初はあくせくとコインランドリーで働き、資金と評判を手に入れましょう。

 

しかし、できることならこんな古臭くて先細りが見えているコインランドリーは早々にぶち壊したい。

実はゲーム内で来店しているお客は見た目だけの飾りで、店の評判によってゲーム内での1時間ごとの収入が計算され、それが自動的にコインランドリーの券売機に貯まっていくというシステムになっています。これはアーケードマシンも同様です。店の評判とマシンの評判、そして設定された1プレイの価格と難易度によって計算された収入が時間が経つごとにマシンに貯まっていきます。

ここでハッと気づく方も多いでしょう。そう、コインランドリー側の収入は券売機と洗濯代行の2種のみですが、ゲームセンターはアーケードマシンそれぞれ個別に収入が貯まる仕様なので、アーケードマシンを入荷すればするごとに収入源が増えていきます。このゲームにはランニングコストの概念はありませんから、完全に買い得。まさしくアーケードマシンはドル箱です。

 

ゲームセンターが軌道に乗ったら、洗濯代行なんて煩わしい業務はやめてゲームセンターに集中しましょう。ここでおもしろいのがアーケードゲームが実際にプレイできるという要素が、収入にかかわっているところです。というのも、アーケードマシンにはそれぞれ実績が設定されており、これをクリアするとなんとそのマシンの収益にバフがかかります。かなりファンタジーですが、プレイヤーのゲーム理解度が上がったということなのでしょう。さらには、プレイヤーがたくさん遊んでいるアーケードはお客の目に留まり、マシンの評判が高まるというおまけ付きです。

おわかりですね。このゲームは自分の作ったゲームセンターでプレイヤーが遊べば遊ぶほど収入が伸びる仕組みになっているんです! 自分の好きなことを日がな一日楽しんでいるのが、自分の仕事なんだ! そんな全人類の夢を実現してしまったゲームが『Arcade Paradise』というわけです。そんな夢みたいな仕事は現実ではあり得ませんが、ゲームでならあり得てしまう。好き勝手遊びまくり一城の主を満喫しましょう。

 

アーケードマシンが実際に遊べるというのはただのオマケではなく、ゲームのコアにしてしまった。経営ゲームとしてみればファンタジー要素強めですが、なかなかおもしろいシステムのゲームです。これを実現するためにアーケードマシンをめちゃくちゃ作り込んでいるのもすごい。本当にびっくりする作り込みなので、本当にプレイしてほしいゲームです。マジで今年いちばん驚きました。

まだ筆者のワタシもコインランドリーを全面ゲームセンターに作り替えるところまで遊べていませんが、アシュリーの「好きなことで食っていく」という野望を描くストーリーもなかなかおもしろく、先が気になります。父親に黙って店をゲームセンターにどんどんと改装し、儲けを出して後から強引に納得させてやろうという向こう見ずな計画も若さにあふれていて、夢にまい進するさまを楽しめます。アシュリーの夢のゆくえをみなさんも見届けましょう。

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