ケイブのシューティングゲーム2本の最新情報をお届け

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▲ケイブの浅田誠プロデューサー

 ケイブから発売予定の、Xbox 360用シューティングゲーム『怒首領蜂最大往生』の発売が2013年5月30日に決まった。今回もケイブ・浅田誠プロデューサーへのインタビューを敢行。開発の大詰めを迎えている『最大往生』と、『ケイブシューティングコレクション』(Amazon専売:3月下旬から4月上旬発売予定)について話を聞いた。

『怒首領蜂最大往生』の新モードが、新世代のシューティング像を示唆!?

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▲『怒首領蜂最大往生』通常版パッケージ

――『最大往生』の現在の開発進捗はいかがでしょうか?
浅田 5~6割といったところです。先ほど進捗をちょうど確認したのですが、処理落ちの再現がうまくいっているようで、もうすぐ(処理落ち関連は)終わりそうだということでした。時間のかかる部分だったので、ほっとひと安心です。
――順調そうで何よりです。今回は“桜夜(さや)”が主人公の新モードの写真が公開されました。ゲーム画面の両サイドで、オペレーターとやり取りがあるんですね。
浅田 これまでのシューティングとは見栄えが違う画面になったと思います。ケイブのシューティングのストーリーは、最初と最後に少しあるくらいで、そのあいだのドラマ性が薄かったんです。「ゲーム中にもしっかりしたストーリーがあっていい」と思い立ったところから始まって、シナリオをまかせたスタッフがキャラクターデザインの凪良さんと直接やり取りをして、各場面に合わせた絵を発注しています。いまはまだ顔グラフィックしか入っていませんが、今後はもっと派手に演出をつけていきます。

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▲3人のプレイヤーキャラクター全員分を含むセリフ量の3~4倍が収録されているという、桜夜専用の“360モード”。賑やかなプレイが楽しめそうだ。

――ゲーム中は、しゃべりっぱなしですか? セリフの量もかなり多そうですね。
浅田 ほぼしゃべりっぱなしに近いです。アーケード版では、全員を合わせて130ほどのセリフがありました。今回は“桜夜”のモードだけで450くらいのセリフがあります。“桜夜”のほかにも、オペレーターと“陽菜(ひな)”というキャラクターがいて、その3人だけの会話になりますが、ひとりあたりの量もかなり多くなっています。収録も終わって、声優の皆さんにはすごくいい演技をしていただけました。私も満足しています。
――デモの挿入などでゲームの進行が止まったりすることはないんですよね。
浅田 はい、そこはストレスがないようにしています。シューティングをプレイするに当たって、ストーリーがゲームの進行を邪魔してしまうのは絶対に避けたいことですから。リザルト画面などを除いて、基本はシームレスです。会話はゲーム中に勝手に進んで行くのですが、会話内容にもいくつかのバリエーションを持たせるつもりでいます。ストーリーの大筋は崩さない範囲で、遊ぶたびに新鮮さを感じてもらえるようなものにしたいですね。そういったところも含めて、今回のこのモードは、我々の考える新しいシューティングのありかたのテスト的な意味を持たせたものになります。
――ケイブとしては新たなシューティング像を模索したテストケースでもあるということですね。
浅田 そうですね。そもそもこういう作りにしようと思ったきっかけは、『デススマイルズ』までさかのぼります。私がケイブに入って、Xbox 360のラインを立ち上げて、最初に携わった『デススマイルズ』は大成功だったと思っています。最初に目標として設定された数字は10000本でしたが、最終的には国内で40000本、プラチナコレクションを入れると50000本、世界では20万本以上出ていますから。
――海外でそんなに出ていたとは驚きです!
浅田 世界観のウケが意外によくて、とくにヨーロッパでの人気が高かったんです。ただ、2作目の『虫姫さまふたり』以降はまたマニア向けのものに戻ってしまった感があります。これはずっと自分自身の課題として残っていて、ユーザー層を広げるためにやりたいと思って、温めてきたことがあったんです。今回、人員的な問題と期間的な問題をクリアーできて、何とか実現できる運びとなりました。前回も軽くお話した累計のスコアアタック、そのほかにはショップやミッションといったところになります。
――それぞれについて詳しくうかがっていきたいと思います。まず“累計スコアアタック”というのは、前回お話の出たチームイベントですよね。
浅田 そうです。プレイヤーをグループ分けして、期間内の総合スコアを競ってもらいます。マイクロソフトさんにもかなり手伝ってもらっていて、じつは前回のインタビューの時点ですでに作り始めていました。当初は県別のチーム戦を考えていましたが、人数が偏りそうなので、現在では5つか6つのブロックにランダムで振り分ける形で考えています。
――開催期間はどのくらいになりそうですか?
浅田 未定ですが、1~2週間くらいですかね。優勝チームには限定のゲーマーアイコンなど、そこでしか手に入らないものを賞品として贈ることになると思います。
――定期的に開催していくのですか。
浅田 できればやりたいですね。累計スコアですから、どんな方でも気軽に参加してもらえます。もともとシューティングは腕の差が出やすいゲームなので、そこを緩和するための施策になります。あ、できればケイブチームも作りたいですね(笑)。ケイブチームは人数が少ない代わりにスコアを10倍くらいにして、でもケイブチームに勝ったチーム全員に何かプレゼントを贈りたいです。
――盛り上がりそうですね(笑)。つぎに“ショップ”ですが、ここでは何が購入できるのですか?
浅田 FPSなどでは、1回クリアーすると、無敵モードや弾数無限モードが開放されたりします。シューティングであれば、たとえば自機の当たり判定をものすごく小さくするとか、逆に大きくするとか、ハイパーをガンガン撃てるといった、遊びかたの幅を広げるコンテンツを作りたいですね。それから、ケイブのゲームでは、じつはいままでほとんど入れていなかったイラストギャラリーも考えています。もちろん、ショップと言ってもリアルに課金するわけではなく、ゲーム中で手に入るコインで購入する形になります。
――なるほど。3つ目の“ミッション”はどういうものでしょうか?
浅田 コインを稼ぐ手段でもあり、くり返して遊ぶことで自然にうまくなれるフィーチャーを目指しています。達成条件を設定して、目的を持ってプレイしてもらうことで、スコア稼ぎの勉強ができるとか。いまはうまいプレイヤーに処理落ちの調整をやってもらっているんですが、つぎに稼ぎかたをどうミッションに絡めていくかを相談しようと思っています。
――いろいろと盛りだくさんですね。
浅田 ゲームモードだけを見ると、“桜夜”が使える360モード、高解像度のアーケードモード、あとはノービスモードの3種類しかないんですが、総合的には間違いなく相当な量があります。いままでのケイブシューティングで、いちばんボリュームがあるかもしれません。

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▲1プレイごとにコインが貯まり、ショップで変わったゲームオプションやギャラリー用のイラストを購入できるようだ。

――オープニングアニメもあるんですよね?
浅田 あります。コアなユーザーさんには「そんなのいらないから、そのお金を別のところに使ってよ」と言われることもありますが、確かにシューティングゲームにオープニングアニメが必要かと言われたら、なくてもいいものかもしれません。ただ、アニメがあれば、店頭で流してもらえたり、露出の機会が増えることが期待できます。その意味では、やっぱりアニメは強いし、全体的なシューティング層の底上げにつながるんじゃないかと考えています。
――そちらから入ってくる人もいるでしょうしね。
浅田 じつはキャラクターデザインの凪良さんには、コミケで非公式の設定資料集を出してもらっています。ブログにも書いたのですが、非公式と言いつつこちらではオーケーを出していて、実際にその資料集で『怒首領蜂最大往生』を知らない凪良さんのファンの方にも入ってきていただいています。弾幕シューティングというだけで構えられてしまうところもあるので、売れる売れない以前にちゃんとアピールできるかが課題ですね。
――そうなると、“桜夜”のモードは初心者向けの難易度になりますか?
浅田 おっしゃるとおり、このモードは初心者の方も気軽に遊べるように比較的簡単なものにします。ただ、エキスパート強化だけは別です。これはもう、ガチなシューター向けの本気モードになります(笑)。
――もともと2周目の代わりに作られたものですもんね(笑)。
浅田 何でもかんでも易しくするという考えかたで作ると、極論するとゲームではなくなってしまうとさえ思っています。だから、エキスパート強化だけは完全に別ものになっていますね。

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▲360モードは誰もが気軽に遊べる、抑え目の難易度になるという。気になる桜夜の攻撃については、まだ未定とのこと。

――パッケージが3種類あるんですね。
浅田 通常版と限定版に加えて、原曲のサントラがついた超限定版も作ります。『怒首領蜂最大往生/DODONPACHI MAXIMUM』のサントラを出したのですが、予約のみの受注販売だったんです。そのことを知らなかった方やあとで知った方もかなりいらっしゃって、不本意ながらネットで高額で取引される状況になってしまったんです。それが超限定版を作ろうと思ったきっかけでした。限定版にはいつもどおりにアレンジCDがついて、超限定版にはプラスして原曲CDがつきます。限定版からは設定資料集もつくんですが、超限定版は大きなA4サイズで、内容的にも開発者インタビューなども追加で充実したものにする予定です。

<TOPIC:3種類のパッケージ>
『怒首領蜂最大往生』には、3種類のパッケージが登場する。以下にその同梱物を紹介する。価格は未定だが、通常版と限定版は従来の価格に落ち着きそうとのことだ。
パッケージ/付属品
《限定版》/ベイシスケイプ 怒首領蜂最大往生 360版アレンジサントラCD、B6版 怒首領蜂最大往生設定資料集
《超限定版(仮)》/ベイシスケイプ 怒首領蜂最大往生 360版アレンジサントラCD、ベイシスケイプ 怒首領蜂最大往生 アーケード版サントラCD、A4版 怒首領蜂最大往生premium設定資料集 ほか

『ケイブシューティングコレクション』には、攻略DVDに加えて原曲CDも同梱!

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――ここからは、『ケイブシューティングコレクション』についてうかがいます。まず、発売日はいつごろになりそうですか。
浅田 3月下旬から4月上旬になりそうです。攻略DVDに加え、各タイトルの原曲CDを付けることになりました。
――これだけの規模のパックを出そうとされた経緯を教えてください?
浅田 10本ものゲームをセットにした商品というのは、ケイブとしてはもちろん初めてです。そのきっかけは『怒首領蜂最大往生』を発表した翌月ぐらいに、マイクロソフトさんから「集大成としてまとめたものを出しませんか?」というご提案をいただいて、話が進み始めました。内容についてもこの半年で3~4回は変わっていますね。最初は10本のパッケージをそのまま入れるだけだったのですが、せっかくの記念タイトルなのにちょっと味気ない。そこでまずは、絶版の攻略DVDを復刻させようとなりました。また、たとえば説明書ひとつ取ってもバラバラだとかさばるので、一冊にまとめたりしています。
――DLCも全部入っているとのことですが?
浅田 マーケットプレースで販売したテーマやアイコン、あとはファミ通Xboxさんにコードをつけた『むちむちポーク!&ピンクスゥイーツ』の限定テーマ、初回限定版の特典なんかも含めて、全部入っていますね。フタを開けてみたら40個近くあって、「こんなに出してたのか」と改めてびっくりしました(笑)。
――てっきり『虫姫さまふたり』のブラックレーベルですとか、ゲームの別バージョンだけかと思っていましたが、掛け値なしに全部入りなんですね!
浅田 全タイトルの全コンテンツを網羅しています。思えば、Xbox 360ではいろんなことをやらせてもらいました。うちがゲームを作ってきた4年間が凝縮されています。
――そういえば、『ぐわんげ』は唯一Xbox LIVE アーケードのタイトルですね。これもディスクに収録されるのですか?
浅田 そうしたかったんですが、事情があってダウンロードコードになりました。そのほかのテーマやアイコンなど、タイトルに紐づいたコンテンツはすべてディスクに入れています。ゲームディスクのほかに、DLCのインストールディスクが1枚つく形になっています。
――もう完成間近でしょうか。
浅田 あとはプレスして、発売日を告知するだけですね。気になる方は早めにご予約をお願いします。『デススマイルズ』から『虫姫さま』まで、全作品にプロデューサーとして関わったので、こういうセットを出せる機会に恵まれたことはすごくありがたいし、感慨深いです。
――ある意味、浅田さんの歴史が詰まったセットですよね。
浅田 ここまで形が出来るとやはりうれしいですね。じつはいままでのソフトはデバッグでさんざんやり倒したので、あまり持って帰りたくなかったんですが(笑)、これはもらって帰りたいです。

<TOPIC:付属CD&DVDタイトル>
『ケイブシューティングコレクション』に同梱されるゲーム、攻略DVD、サントラCDのタイトル内訳は以下の通り。
《ゲームタイトル》
デススマイルズ/虫姫さまふたりver1.5/エスプガルーダII ブラックレーベル/デススマイルズIIX/怒首領蜂大復活ver1.5/怒首領蜂大復活ブラックレーベル/むちむちポーク!&ピンクスゥイーツ/赤い刀 真/虫姫さま/ぐわんげ (Xbox LIVE アーケード)
《攻略DVDタイトル》
エスプガルーダII/虫姫さまふたり/デススマイルズ/怒首領蜂大復活/虫姫さまふたりブラックレーベル×デススマイルズメガブラックレーベル/怒首領蜂大復活ブラックレーベル/赤い刀 真
《サントラCDタイトル》
デススマイルズ/デススマイルズIIX ミュージックコンテンツパック/虫姫さま/虫姫さまふたり/怒首領蜂大復活/怒首領蜂大復活 ブラックレーベル/むちむちポーク!/ピンクスゥイーツ/エスプガルーダII ブラックレーベル/赤い刀

ついに現行機では最後に?

――ここに来てXbox 360向けに2本続けて発売されるわけですが、さすがにこれで最後になりそうですか。
浅田 そうですね。仮に今回発表した2本がいくら売れようとも、さらに続けてXbox 360で何か出す、という流れに持っていくのは難しいと思います。
――では最後に恒例となりますが、ファンの方々にメッセージをお願いします。
浅田 ケイブタイトルのユーザーさんに向けると、池田(恒基さん ※ケイブのアーケード版開発統括)や市村(※ケイブのプログラマー)と組んで作るタイトルとしても、最後になると思います。仕上げるのはプレッシャーもありますし、作業的にも大変だなと思う反面、ちょっと寂しくもあります。とにかく、後悔しないように精一杯やって、シューティングの楽しさを示したいと思います。楽しみにしていてください!

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怒首領蜂最大往生
メーカー ケイブ
対応機種 X360Xbox 360
発売日 2013年5月30日発売予定
価格 未定
ジャンル シューティング
備考 限定版、超限定版も同時発売予定