トライアングル・サービスの意欲作が、Xbox 360に登場
ゲームセンターで好評稼働中の『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』が、このほどXbox 360に移植、2014年3月27日に発売されることが決定した。ここではそれを記念して、開発したトライアングル・サービス代表取締役の藤野俊昭さんに、アーケードゲームを古くから愛するライター、石井ぜんじがお話をうかがった。
<『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!』>
アクション、シューティング、アクションパズルといった異なるジャンルのゲームを収録したタイトルで、2012年9月より全国のゲームセンターで稼働中。今回、Xbox 360で発売されることが決定した。
誰にも楽しめるゲームがゲーセンに欲しかった
石井ぜんじ(以下、石井) 最初に『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』がXbox 360に移植されるまでの経緯についてお聞かせください。
藤野俊昭氏(以下、藤野) この作品がアーケードで発売される前に作ったのが『シューティングラブ。2007』で、その中には“エクスジール”と“シューティング技能検定”が入っていました。とくに“シューティング技能検定”は評判がかなりよくて、これを超えるゲームを自分が作るのはかなり難しいな、と思っていました。「つぎはどうしたものかな?」と悩んでいたわけです。また、昔と比べるとゲームセンターは変わってきていて、ゆるい感じで遊べるものが減ってきました。そこでもう少し、たまたまゲームセンターに来た人でも遊べるようなものがあってもいいんじゃないかと思いました。
そこで考えたのが、本作に収録されている“アクション技能検定”です。“シューティング技能検定”は、ふだんシューティングゲームをやらないような人も遊んでくれていたので、アクション要素を入れて“アクション技能検定”をやったらどうかと。
石井 確かに、最近はゲームセンターに行っても、プレイするゲームは最初から決まっていて、ふと目に留まったから遊んでみる、ということがあまりないですよね。カードを使う形式のゲームが多くなってきてから、それは顕著だと思います。ちょっとした息抜きができないし、新たな発見が少ない。
藤野 いまのゲームセンターは、ひとりが100回やるようなゲームばかりですからね。こちらとしては、100人が1回ずつ気軽にできるゲームにしようと。それなら、インカム的にもいっしょじゃないですか。いままでのアーケードゲームは、3分や5分で終わって、何度もトライするという形でしたが、技能検定の形式はまったく新しいスタイルです。コンティニューをなくして、最後にゲーマー年齢が出る。わかりやすくしてあります。
石井 “シューティング技能検定”と“アクション技能検定”のようなミニゲーム形式は、家庭用のゲームに向いていると思うんですよ。家で遊ぶときには、長時間集中を強いるようなタイプはなかなかやりづらいですから。
藤野 アーケードのように、お金を入れてプレイするのとは違いますからね。“シューティング技能検定”は家庭用でも評判がよかったので、そういうところはあるかもしれません。
<収録モード(1)/“アクション技能検定”>
本作に含まれる作品のひとつで、トライアングル・サービスの作品の中でも評価の高い“シューティング技能検定”のアクション版。ゲームの腕前をゲーマー年齢として測定できる。失敗しても楽しい、対戦が楽しい、というのがこの作品のテーマとなっている。
“ゲーマー年齢”とスコアを考える
石井 “シューティング技能検定”で採用した“ゲーマー年齢”というシステムは、わかりやすくていいと思います。僕はゲームにスコアは必要だと思いますが、スコアがただあるだけだと楽しさの共有はされにくい。たとえば、昔からあったアーケードゲームのハイスコアも、ハイスコアを集計するとか、イベントをやるなどして、初めて楽しめるものだと思います。
藤野 スコアに関しては、“シューティング技能検定”を作っていて、いろいろと悩みましたね。“ゲーマー年齢”というものを採用してから、スコアはないほうがいいのではないかとも思いました。しかし、ずっとシューティングを作ってきたから、スコアをなくすかどうか踏ん切りはつかなかった。スコアがなければないで、何か物足りない気がしてしまうんです。
石井 何か結果が知りたい、査定されたい。そういう欲求が満たされればいいんじゃないでしょうか。“ゲーマー年齢”は査定結果がわかりやすい。スコアのいいところは、細かい部分がわかるというところですね。
藤野 最近はカードを使うゲームが増えてきましたが、あのシステムはいいですね。全国何位とか簡単に出ますから。
石井 僕らが昔雑誌でアーケードのハイスコアを集計していたころは、それがありませんでしたからね。現在はオンラインで細かく集計できるのだから、いろいろやってほしいです。キャラ別の集計とか。ハイスコアの弱点は、1位の人しか目立たないところだと思うんですよ。オリンピックで金メダル取ったらそれはすごいけど、県で1位でも、それはそれで十分すごいじゃないですか。
藤野 今後スコアランキングをするなら、地方大会、県大会、市大会というようにわけてランキングができればな、とは思っています。全体総合ではとても届かないけど、今週のランキングでは俺が勝ったみたいな。そういうものが欲しいですね。
<収録モード(2)/“シューティング技能検定”>
アーケードで発売された『シューティングラブ。2007』に収録され、幅広いプレイヤーに好評を得た“ゲーマー年齢”を測定できるシューティングゲーム。本作ではさらに4人対戦、横画面に対応したパワーアップ版となっている。
友だちとワイワイ遊んだ懐かしい楽しさを甦らせたい
石井 本作は、ほとんどのゲームが多人数で対戦できるようになっています。そのあたりはどのような考えからなのでしょうか。
藤野 これまでシューティングゲームを作ってきたので、対戦というものはあまり考えていませんでした。しかし、以前ゲームセンターでイベントをやったときに、そのイベント用にシューティングゲームを対戦でプレイできるようにアレンジしたんですよ。それをゲーセンの筺体に入れて、2台同時に動かして対戦形式でやってもらいました。そうしたら、見ていてとてもおもしろくて、「なぜ、こういう対戦できるものを最初から作らなかったのか」と思ったんです(笑)。
そこで対戦に特化したシューティングとして作ったのが『COMBATZEAL(コンバットジール)』になります。これは4人で同時に対戦ができます。『ペンゴ』も大勢でやったほうが確実におもしろいです。
石井 1対1よりも、もっと多人数で遊んだほうが気楽に楽しめますよね。カオスになってわけがわからなくなりますけど。
藤野 1対1の格闘ゲームだと、どうしても殺伐としてしまうんですよ。うまい人とやると、すぐ負けて終わる。あとは見ているだけ。それじゃ寂しいじゃないですか。
もっと気軽に、みんなで楽しめる対戦がしたいですよね。ファミコンの時代に、友だちの家に遊びに行ったときにワイワイ遊んだあの感じ。10年くらい前から、ゲームセンターもそういうものが減ってきていて、だから欲しかった、というのはありましたね。
石井 シューティングや対戦格闘ゲーム、ヒットした作品はシビアなゲーム性のものが多い。でも同じ時期のゲームセンターには、別のタイプのゲームもあって、だからこそ救われていたというところがあります。ゲームセンターには、ヒットした大作の模倣じゃないものも欲しいところです。
藤野 会社としても、そういう方向を目指さないといけないですね。ほかの会社と同じようなものを作っていては勝ち目がないというか、玉砕するわけですよ。トライアングル・サービスは僕ひとりでやっているので。独自性を打ち出していかなくてはいけないですから。
石井 そうはいっても、誰も見てくれない作品では仕方がないし、そこは難しいですね。
藤野 なぜいままでそこになかったのか。それが不思議なくらい、と思えるようなものを作っていきたいです。
<収録モード(3)/『COMBATZEAL(コンバットジール)』>
マルチ画面の対戦シューティングゲーム。プレイヤーの人数分ゲーム画面が表示され、スコアで勝負をする。かつてゲーム漫画にあったゲーム対決シーンを手軽に体験できる、ありそうでなかった対戦シューティングゲームに仕上がっている。
なぜ、いま『ペンゴ!』なのか
石井 本作にはリメイクされた『ペンゴ』が収録されていますが、その昔『ペンゴ』はプレイされていたんですか?
藤野 小学校のころ、駄菓子屋に置いてあったのでやっていました。でも敵の動きが速くて難しかったです。
石井 僕も当時ゲームセンターで『ペンゴ』をやっていました。懐かしいですね。どのような経緯で、『ペンゴ』をリメイクしようと思ったのでしょうか?
藤野 “アクション技能検定”でどういうゲームを作ろうか悩んでいたときに、迷路を駆け抜けるゲームというものを考えていました。そのときに『ペンゴ』を思い出して、『ペンゴ』がモニターに迷路を作っているところを眺めていたんです。それからゲームのイベントに参加することになって、何かイベント限定で遊べるゲームを作ろうと思いました。そのとき、たまたま目の前に『ペンゴ』があったわけです。「『ペンゴ』を多人数で対戦できるようにするなら、3日もあれば作れるぜ」と思って作ってみました。それがきっかけなんです。
イベント自体は評判がよかったのですが、そのイベントでは自分はあまりプレイできませんでした。そこで、あるとき打ち合わせに来ている相手に頼んで対戦してもらったら、すごく楽しく遊べたんですよ。「このゲームはヤバい、このまま出さないのはもったいない」と思いましたね。
セガさんとはお付き合いがあったので、さっそく担当の方に「このゲームを製品化していいですか?」と掛け合いに行きました。そうしたらおもしろさを認めていただいて、製品化することができたというわけです。
石井 いろいろよい意味で偶然が重なったというか、導きがあった気がしますね。
藤野 必要に迫られてというより、寄り道で作った作品です。
石井 元祖の『ペンゴ』と比べると、マップが横に広いのが特徴ですね。
藤野 最近はゲームセンターのモニターもみんな液晶になってきましたから、ワイド画面に対応したものを考えたいなと思っていました。この『ペンゴ』がワイドだったらインパクトあるだろう、と思ったわけです。
石井 他人数だと、横長のワイド画面のほうがプレイしやすそうですね。
藤野 僕には『ペンゴ』で親子対決をしてもらいたいという夢があるんですよ。1980年代に発売された『ペンゴ』をリアルタイムで知っている人は、もう小学生くらいのお子さんがいる場合が多いはずです。『ペンゴ』で全国親子対戦の大会とか、実現できればいい光景だと思うんですよ。これは自分だけでは無理な話なのですが、そんなことを実現できたらいいな、と思いますね。
<収録モード(4)/『ペンゴ!』>
セガから、1982年にゲームセンターに登場したアクションパズルの名作。本作では、オリジナルゲームのおもしろさをそのままに、人と遊ぶ要素を加えてパワーアップし、復刻した形になっている。ブロックを飛ばして“スノービー”やほかの“ペンゴ”を潰して倒すのが基本ルール。壁を揺らして“スノービー”を痺れさせたり、ダイアブロックを3つそろえれば逆転チャンスとなる。
これからトライアングル・サービスが目指すもの
石井 『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』はXbox 360へ移植されますが、この先はどのようなものを作っていきたいと思っていますか?
藤野 スポンサーはゲームにすごく詳しいわけではないから、わからないゲームにはお金を出せない。しかし、自分は独立して全部自分で決められる立場なので、ギリギリまで冒険はしたいなと。そうでないと独立した意味がありませんから。
ゲームセンターのゲームも、家庭用のゲームも両方作りたいですね。新世代のハードもやってみたいです。すでに新しい企画を持っていて、関係先にも好評をいただいています。シューティングなんですけど、「斬新ですね」と。
石井 新たなハードになると、いろいろ大変じゃないですか?
藤野 オンライン対応を考えているので、そうなるとサーバー関係のプログラムも組めないといけない。ひとつずつ自分で試していると、それだけで1ヵ月経ってしまいます。
石井 すでにそこまで動いていることに驚きました
藤野 小さい会社なので、特徴を出してどんどんやっていかないといけないので。大変ですが、全部自分でやってやろうと。やってやりますよ。
石井 それでは最後に、『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』を楽しみにしている全国のファンにひとことお願いします。
藤野 このゲームは、友だちどうしで遊ぶと白熱すること間違いなしです。ぜひ家に友だちを呼んで遊んでみてください。また、限定版にはオリジナルサウンドトラックが同梱されています。ゲームセンター仲間の縁で、アーケードの歴代シューティングゲーム作曲者に作っていただいた本作の楽曲を収録していますので、こちらもよろしくお願いします。
<限定版情報~オリジナルサウンドトラック同梱>
トライアングル・サービスの歴代シューティングはもちろん、『雷電』(セイブ開発)シリーズ、『サイヴァリア』(サクセス)シリーズ、『エスプガルーダ』(ケイブ)シリーズ、コンパイル/マイルストーン製シューティングなど、シューティングファンになじみ深い6名の作曲家陣。60曲以上に及ぶ、収録4作すべての楽曲を収録。CD容量の限界に迫るボリュームでお届けする。
★参加作曲家
Naoto氏(『シューティングラブ。』シリーズ、『トライジール』ほか)
林康氏(元コンパイル・現クロン)
WASi303氏(『サイヴァリア』シリーズ、『ザンファイン』ほか)
佐藤豪氏(『雷電』シリーズ)
switchworks氏(『エスプガルーダ』)
Wiz.氏(チップチューンの魔術師プロのアマチュア)
ゲーセンラブ。 ~プラス ペンゴ!~
メーカー | トライアングル・サービス |
---|---|
対応機種 | X360Xbox 360 |
発売日 | 2014年3月27日発売予定 |
価格 | 6800円[税抜](7140円[税込])/限定版:8800円[税抜](9240円[税込]) |
ジャンル | アクション/シューティング/アクションパズル |
備考 | アーケードスティック対応 |