『Tempest 2000』、『サイヴァリア』、『ケツイ』が甦る――2018年春季、シューティングゲーム新作・移植発表総まとめ

家でもアーケードでもシューティング

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください

昨年の春、奇才・Jeff Minter率いるLlamasoftはPS4とPCにて3Dスクロールシューティング『Polybius』を発表したが、今年の6月にはJeffが1994年に手がけたAtari Jaguar用ソフト『Tempest 2000』を4K対応の高解像度にリファインした『Tempest 4000』としてPS4、Xbox One、PC向けにリリースされるという。

万華鏡のように煌びやかでありつつギラギラとしたドラッギーな画面描写と、ジャングルやレイヴなどのテクノサウンドをゲームと融合させることを得意とするJeffが生み出した『Tempest 2000』は、本家AtariがPlayStationにて『Tempest X3』とタイトルを変えてリリースされたほか、作り手であるJeffもNUONで『Tempest 3000』を、2014年にはPS Vitaにて『TxK』を手がけている。特に『TxK』はAtariから著作権侵害の警告を受けたことで、家庭用ハードとPCでの展開予定が流れてしまった経緯があるだけに、『Tempest 4000』として正式にリリースされることは素直にうれしい限りだ。

一方、日本国内では『ストライカーズ1945』シリーズで知られる彩京のIPを移植するゼロディブは、4月5日にNintendo Switchに『ドラゴンブレイズ for Nintendo Switch』をアーケードアーカイブス、アケアカNEOGEOを展開するハムスターはSNKの『ゴーストパイロット』を4月26日にNintendo Switch、PS4、Xbox Oneで配信するなど、突如発表される移植の数々にはいつも喜ばせてもらっている。

先日Switch版が発表となった『斑鳩』

なかでも、オーケストラを基調としたBGM、和風とスチームパンクが融合した世界観、パズルゲームを解くかのようなパターン構築力が求められるトレジャーの名作『斑鳩』が5月30日にNintendo Switchでリリースされるという発表には多くのファンが驚いたことだろう。これまでにドリームキャスト、ゲームキューブ、Xbox 360、Steamに移植されており、今回のSwitch版を含めると、じつに3世代に渡って親しまれることになる。特にJoy-Conの共有による2P同時プレイやテーブルモードでの縦画面表示など、Nintendo Switchというハードが持つコンセプトに合わせているのもうれしい。

このように、ハードの進化やスタッフのアイディアが詰め込まれたことにより、ただ単に「旧作の移植」と括ることはできず、リメイクでありながらも、リアルタイムで遊んだことのあるプレイヤーと若年層のプレイヤーの双方を分け隔てることなく「新作」としての体験を提供している。本記事ではまず2社から3作品をピックアップし、現在までにリリースを発表している各タイトルをご紹介しよう。

『サイヴァリア デルタ』

 

自機を敵弾にかすらせることでパワーアップと一瞬の無敵時間を得られる「BUZZシステム」を採用し、弾幕を避けるだけではなく「攻め」のプレイへと転じさせたアーケード用STG『サイヴァリア ミディアムユニット(以下、ミディアムユニット)』と、マイナーチェンジ版『サイヴァリア リビジョン(以下、リビジョン)』の2作をリメイクし、『サイヴァリア デルタ』としてリリースすることを発表したのは、昨年11月30日に『ゲーム天国 CruisinMix』を制作したシティコネクションだ。

Nintendo SwitchとPS4に向けて今年の8月30日にリリース予定で、ダウンロード配信のほか、パッケージ版では通常版と限定生産版の2種類を用意している。かつてはPS2にて『サイヴァリア コンプリートエディション』(2002年)と「SuperLite 2000 シューティング」シリーズ(2003年)が発売されていたが、今回は15年の時を経て「弾幕の挑戦状」が我々の手元にふたたび届けられることになる。

 

『サイヴァリア デルタ』は初代の「ミディアムユニット」と、マイナーチェンジ版「リビジョン」の2作を高解像度化しただけではなく、ボスの体力やレベルアップ後の残り無敵時間といったステータスをサイドバーに表示する新要素も追加。BUZZ中のミス軽減や、ボス戦におけるスコア稼ぎのパターン構築にも役立ちそうだ。

 

「ミディアムユニット」の自機で「リビジョン」のステージを遊べるといったクロスオーバー要素も追加されている。新機体も追加DLCも発売日に同時配信されるという。続編の『サイヴァリア2』や、かつてiOS/Androidにてサービス提供されていた『サイヴァリア・リアセンブル』にて登場した機体群がふたたび登場にすることにも期待したい。

「サイヴァリア」といえば、ピンと張りつめたピアノサウンドを主体とするトランスや性急なドラムンベース、攻撃的なアシッドハウスなどのテクノサウンドも魅力のひとつだ。『サイヴァリア デルタ』においては、本シリーズの楽曲を多く手掛けたWASi303氏による新曲も収録されるという。そのほかにも、DLCにて入手可能な「新機体にまつわる曲」を豪華コンポーザー陣がアレンジしたバージョンも追加を予定しているとのことで、これからの続報を見逃さないようにチェックしよう。

『ケツイ~絆地獄たち~(仮)』

PS4とXbox Oneにて「M2ShotTriggers」を展開するM2は、ケイブのアーケードシューティングゲーム『ケツイ~絆地獄たち~』をシリーズ第4弾としてリリースすることを昨年5月に発表している。なお、今回の移植に際し、タイトルの末尾には「(仮題)」が付けられている。

『ケツイ』は、ボスラッシュをメインとした『ケツイ デスレーベル』(アリカ/ニンテンドー3DS)のほか、5pb (5pb.Games.)も『ケツイ~絆地獄たち~ EXTRA』をXbox 360とPS3に発売しているが、アーケード版との差異点に目を光らせるファンも多いだけに、移植度の高さや攻略の手助けとなる「M2ガジェット」にどういった手が加えられるのか、期待する声も大きい。

4月21日に秋葉原で行なわれたファンイベント「ケイブ祭り2018」のトークステージでは、2007年に開催された「ケイブ祭りだヨ!全員集合」や「Eスポーツスタジアム」の会場限定で稼動していた特別バージョン「IKD 2007 SPECIAL MODE」を収録と、かねてより要望が大きかったディスク版でのリリースを新情報として発表したが、配信日および発売日は現時点でも未定となっている。

 

気になるのは「(仮題)」と付けられているところだが、スタッフから頂戴したコメントには「IKD 2007 SPECIAL VERSION」の収録以外にもさらなる追加要素が秘められているという。開発への意気込みも含めて全文ご紹介しよう。

M2スタッフコメント:

かねてよりM2では「ケツイ」を移植したいと思っており、秘密裏に進行していました。「ケツイ」に対する想いがチーム内で燃え上がり「我々の手で究極の『ケツイ』を作りたい」という判断が出て現在に至ります。

M2ShotTriggersでは基板とPS4版とのフレームレートの差を動画で比較し、可能な限り同じスピードとなるように調整しております。ただ、「ケツイ」ではゲーム中に激しい弾幕が発生した際の処理落ちをハード構成の異なるPS4版でどのように再現していくかが課題となっており、「処理落ち加減」を最も熟知されている全国クラスプレイヤーをお呼びして「どの攻撃の処理落ちに違和感あったのか」をヒアリングして個別に調整するなど、アーケード版の再現に対する調整にかなり時間を割いておりました。

この調整にはひと通りめどが立っており、先日の「ケイブ祭り2018」でもディスク版の発表やIKD 2007 SPECIALモードとともにお披露目することができましたが、こちら第一の矢にすぎません。第二、第三の矢がございますので、これからもM2ShotTriggers、そして「ケツイ(仮)」をよろしくお願いいたします!

『もののけ忍法帖』

「ケツイ」に次いで気になるのは、4月1日に突如として公式TwitterにPVをアップした『もののけ忍法帖』なるシューティングゲームだ。

『スターフォース』や『スターソルジャー』の爽快感やシステムをオマージュしつつ、2Dドットグラフィックで彩られた和風の世界観とキュートなキャラクターデザインが目を引く内容ではあったものの、力の入ったエイプリルフールネタなのか否か、各メディアやTwitter上での反応は半信半疑となっていた。しかし、この日のために用意したジョークではなく、アーケード用のリリースに向けて開発進行中だという。こちらも担当ディレクターと広報の両名から頂戴したコメントをご紹介しよう。

ディレクター:

基板等の販売形態は目下検討中のため、現状ではお答えすることが難しい状態ですが、ゲームについては新モードの追加をはじめ、鋭意開発進行中です。エイプリルフールでの公開当時からゲームシステム、ウェポンの挙動など大きく変化した部分もありますので、発売までにはまたガラリとイメージが変わったものをお見せできるのではないかと思います。

広報:

海外版『Ninja Soldier』と国内版『もののけ忍法帖』で一部名称が異なるのは私が設定しました。海外レトロゲームあるあるの「全然違うじゃん!」的な要素を出してみたかったのです。犬の名前などにはレトロゲームマニアがクスッとする要素も入れているので、ぜひ一度見てみてください。

「新生SEGA AGES」ほかSwitchへ展開するタイトル

また、4月14日と15日の2日間、秋葉原で開催された「セガフェス2018」のトークステージでは、Nintendo Switchに向けて展開する「新生SEGA AGES」のラインナップのひとつに、テクノソフトが手がけたメガドライブ用の横スクロールSTG『サンダーフォースIV』を用意し、独自要素として「サンダーフォースIII」の自機「FIRE LEO-03 "STYX"」が使用できるアレンジモードを収録することを発表している。「SEGA AGES」といえば多数のプラットフォームでも展開されていたシリーズだけに、今後は『ファンタジーゾーン』や、関連シリーズとも呼べる「セガ 3D復刻プロジェクト3 FINAL STAGE」(ニンテンドー3DS)に収録されていた『サンダーフォースIII』の再登場に票を投じたい。

そのほか、アーケード新システム基板「exA-Arcadia」では『アカとブルー TYPE-R』といったメーカータイトルのほかにも『Super Hydorah AC』『INFINOS EXA』といったインディータイトルもラインアップとして名を連ねているが、Nintendo SwitchでもイギリスのaPriori Digitalは『アペリオン・サイバーストーム』を、オランダの2Awesome Studioは『ディメンションドライブ』をリリースするなど、活発な動きを見せている。

今年の3月末には任天堂のWiiショッピングチャンネルの終了スケジュールに伴うWiiポイントの追加が締め切られ、バーチャルコンソ―ルやWiiウェアで配信タイトルを買い納めに追われた人も少なくないだろう。「いつでも買える」と先延ばしにせず、次のタイトルへと繋げるためにも、情報を見逃さぬようにアンテナを張っていきたい。

※購入先へのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、そちらの購入先での販売や会員の成約などからの収益化を行う場合はあります。 詳しくはプライバシーポリシーを確認してください
In This Article
  • Platform / Topic
  • PS4
More Like This
コメント