書籍「任天堂コンプリートガイド -コンピューターゲーム編-」を紹介。ケーブル類や非売品まで網羅する資料的価値の高い一冊
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著者の山崎 功氏はこれまでにも,ゲーム機の歴史を辿る「家庭用ゲーム機コンプリートガイド」や,玩具メーカーとしての任天堂にフォーカスした「任天堂コンプリートガイド -玩具編-」といった書籍を上梓している。これらと同様に,本書も実物の写真を中心にした作りだ。
本書を読んで感じるのが「写真の持つ説得力」である。箱や本体を一目見ただけで,ゲーム機を買った時の思い出が甦ってくるのだ。
例えば筆者の場合,スーパーファミコンの箱を見ると,大阪の電気街・日本橋の夜が思い出される。何か目当てがあるわけでもなく,ふらりと立ち寄った店先で,格闘ゲーム「らんま1/2 町内激闘篇」のデモが流れていた。大ブームを巻き起こした「ストリートファイターII」は移植されておらず,スーパーファミコンで格闘ゲームができるのは大きな驚きで,筆者はその場でカートリッジを買って帰ったものだった。
後日,友人に「らんまの格闘ゲームがスーパーファミコンで出てるんや! 結構,出来がええんや!」と報告すると,彼は「格闘ゲームが家で遊べるんやったら,スーパーファミコンを買わんといかんな!」と決断し,地元の家電量販店に向かって購入。大切に持ち帰ってそのまま対戦を楽しんだものだった。
呼び起こされる思い出は人によってさまざまだろうが,そういった意味では,受け手のゲーム愛が深いほどに楽しめる本と言えるかもしれない。
思い出話が長くなってしまったが,本書で特に貴重なのが,ケーブルやACアダプタといった周辺機器,そして限定版の本体や非売品のソフトまで写真つきで掲載されているところだ。
ゲームボーイアドバンスSPやニンテンドーDSのさまざまなカラーバリエーションや,「ニンテンドーゲームキューブ 阪神タイガース2003年優勝記念モデル」(ユニフォームの縦縞をあしらったゲームキューブ)などの本体はもちろんのこと,雑誌の景品として30名にプレゼントされた「どうぶつの森 ファミコンデータ アイスクライマー」(NINTENDO64用ソフト「どうぶつの森」内のファミコンで「アイスクライマー」を遊べるようにするメモリーパック),小売店に配布された「月刊任天堂店舗デモ」といったレアものまでを網羅しており,資料としての価値は非常に高い。
ハードウェアに比べると,ソフトは写真が小さく,解説も短めだが,前述した“写真の説得力”は大きいと感じられた。また「ポケモンGO」からポケモンに入門した人にとっては,歴史を遡るという意味において,ポケモンセンター限定モデルのゲームボーイアドバンスSPや,「ポケモンスナップ」「ポケモンスタジアム」といったソフト,そしてポケモン専用ハード「ポケモンミニ」は興味深く思えるのではないだろうか。
任天堂のハードウェアとソフトに思い入れの深い人はもちろんだが,ライトゲーマーや,当時を知らない若い世代が読んでも,楽しめる一冊ではないかと思う。
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