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28年の時を超えて「グラディウスIII」の処理落ちを修正したところ攻略不可能レベルに難度が爆上がり


1990年にスーパーファミコン向けに発売されたコナミのシューティングゲーム「グラディウスIII」は、処理能力の問題でゲームのフレームレートに遅延が生じる「処理落ち」を起こしてしまいやすいことで知られています。海外のROMハッカーであるVitor Vilela氏が、スーパーファミコンのカセットに搭載される特殊チップ「SA-1」をPC上でエミュレートするツールを開発し、スーパーファミコン版グラディウスIIIの処理落ちしてしまう仕様をエミュレーター上で解決したと話題になっています。

I have finally polished it and a now I consider the Gradius III - SA-1 version STABLE! Download sources and patch here: https://t.co/yNcIFniCdi

Video below is the infamous bubble stage that is extremely slow in the original game. Can you now beat it without lag? ???????????? pic.twitter.com/UaA6ZxYztz

— Vitor Vilela (@HackerVilela)


28 years later, hacker fixes rampant slowdown on SNES‘ Gradius III | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2019/05/28-years-later-hacker-fixes-rampant-slowdown-on-snes-gradius-iii/


グラディウスIII -伝説から神話へ-」は、1989年12月にコナミからアーケード向けにリリースされた横スクロール型シューティングゲームです。当時発行されていたゲーム雑誌「ゲーメスト」で集められたアイデアが採用されたこともあり、その難度は歴代シリーズの中でもトップクラス。また、理不尽な当たり判定や復活パターンの厳しさ、ボーナスも含めて10面以上のステージ構成というとにかく長いゲーム内容などから、アーケード版のグラディウスIIIは賛否両論の作品ですが、一部のファンからは根強い人気があり、リリースから30年近く経ってもなお攻略を続けるプレイヤーが存在します。


アーケード版のリリースから1年後、コナミ初のスーパーファミコン向けソフトとして移植された「グラディウスIII」が発売されました。パッケージには「完全移植」をうたっていたものの、実際はアーケード版から一部ステージやボスが削除され、難度も大幅に低下。それによって遊びやすくなるはずが、AC版でも頻繁に生じた処理落ちがさらに増えたことにより遊びにくさはそのままになってしまったことで知られています。

Vilela氏は、スーパーファミコンの一部ソフトカセットに搭載されていた特殊チップ「SA-1」をPC上でエミュレートするROMパッチ「SA-1 Root」を開発。パッチを当ててエミュレーターでプレイすることによって、処理落ちを改善した状態でグラディウスIIIをプレイすることに成功しました。

SA-1はスーパーファミコン専用カセットに搭載された特殊チップの1つで、65c816をベースにした「RF5A123」という16ビットCPUを搭載しています。本体のCPU単体のクロック周波数が3.58MHzであるのに対し、SA-1は10.74MHz。さらにより高度なグラフィック処理や演算の高速化、並列処理によって、ゲームの処理性能が劇的に向上するという効果がありました。なお、SA-1は「スーパーマリオRPG」や「星のカービィ スーパーデラックス」「ミニ四駆シャイニングスコーピオン レッツ&ゴー!!」など、スーパーファミコン後期のソフト34本に搭載されているそうです。

by Yaca2671

「スターフォックス」などに搭載されているスーパーFXチップと異なり、SA-1はスーパーファミコンのCPUと同じアーキテクチャを持っているので、ベースシステムに書かれたコードの移植を比較的簡単に行うことができます。だからといってすべてのゲームROMに対して即座にSA-1のエミュレーションを適用できるわけではなく、Viela氏は調査と逆アセンブリ、コード解析、メモリの再マッピング、コード編集に3カ月も費やすことで、ようやくSA-1をパッチ化することに成功したそうです。

そこで、スーパーファミコン版グラディウスIIIにこのSA-1 Rootを適用したところ、ゲーム速度が元の2~3倍早くなったそうで、画面いっぱいに細かいスプライトが表示されてもフレームレートは滑らかなまま維持されたとのこと。実際に通常のROMと、SA-1 Rootを適用したROMで比較したところが以下のムービーです。オープニングのデモ映像が表示されるまでにかかる時間は圧倒的に短くなり、敵や地形の出現タイミングから処理落ちが改善されてスムーズなゲーミングが再現されていることがよくわかります。

Gradius III (SNES) - Original x SA-1 Comparison - YouTube


ステージ2では、大小さまざまな色とりどりの泡が大量に画面上に出現するため、特に処理落ちがひどくなります。以下のムービーでは、通常のROMとSA-1 Rootを適用したROMでステージ2をプレイして比較する様子を見ることができます。SA-1 Rootを適用した方は、ミサイルとリップルレーザーとオプション4つをつけた状態で跳ね返る泡を打ちまくっても、特にフレームレートに遅延を感じません。

speed comparison gradius 3 snes regular (left) with speed sa-1 patch by vitor vilela (right) - YouTube


このパッチの登場によってスーパーファミコン版グラディウスIIIも遊びやすくなったのかと思いきや、「アーケード版から意図的な処理落ちを想定されていたであろう場面も処理落ちを解消されてしまったことで難度も劇的に上がり、人間のプレイだと攻略不可能になってしまった部分もあるかもしれない」とViela氏。しかし一方で、「人間の能力を過小評価してはいけません」と、人間の将来性に期待を寄せていました。

なお、SA-1 RootはGitHubで公開されています。

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in 動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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