EastasiasoftによるNintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『プロジェクト・スターシップ・エックス』をお届け! レトロテイストでありながらも、随所に斬新な要素を織り交ぜたシューティングゲームだ。担当は、スワッグライターの戸塚伎一。BGMを担当したしのりゅー氏のファミ通.com版だけのコメントもお見逃しなく。

邪道だけどおもしろい

 インディーゲームの有力ジャンルというかモチーフになりやすい要素のひとつに“レトロゲームっぽさの再現”があります。どこまでそのジャンルをリスペクトできるか? がメインの作品はゲーム展開がお約束に満ち、そのうえでヘンに難しかったりするものです。本作もそんなタイプのシューティングゲームだろうと思っていたのですが、違いました。

 瞬間瞬間に対応するアドリブ力が要求されるローグライト要素は前作『Project Starship』譲り。ビジュアルは8~16ビットCPU 時代の家庭用ゲーム機のクオリティーを志向しつつも型に縛られないギミックが満載で、プレイごとに新たな刺激があります。大抵イライラのもとにしかならない移動負荷系のトラップも、ヒットストップ演出と自機の無敵時間が多めなハイテンポなゲーム進行の中ではアリに思えてくるから不思議です。

 邪道だけどおもしろい── インディーゲームの魅力や価値って、なんだかんだでそこに集約されるのではないかと思います。

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】

バックストーリーにはクトゥルフ神話!?

 禍々しい姿をした宇宙生物たちとの戦いを描く『Project Starship』シリーズ。その設定は20世紀に誕生・体系化されたホラー系創作神話“クトゥルフ神話”に準拠……というよりは、かなりラフにカリカチュアライズしたものとなっている。

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
武器性能よりも容姿が個性的な4人+αのパイロットの中からひとりを選択し、全5ステージに挑む。

登場キャラクター

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】

【Boost】ゲームテンポを加速する万能アクション

 本作のプレイフィールを特徴づけているのが“ブースト移動”。発動中は無敵状態でクールダウン時間も短いため、ついつい連発したくなる。通常は画面上方向への高速移動だが、アンカーで結ばれたポイントにはワープ移動できたり衝突判定が発生したりと、多彩なアクションが用意されている。

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
アンカーが連続する場面ではブーストのコンボも可能。このときの連続ヒットストップの痛快さはほかのシューティングゲームではなかなか味わえない。

【Rouguelite】1周してからが本番!? 充実のやり込み要素

 敵の出現テーブルや、登場するパワーアップアイテムの種類、マッドイベントが割り込むタイミングはプレイするごとに変化する。1周クリアー後には敵やマッドイベントのバリエーションだけでなく、ランダムセレクトされるステージの種類も追加されるぞ!

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
難易度はアイテムの〝引き運〟で大きく変わる。中にはスルー推奨のアイテムも!?
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
ステージ内のルートや行動の選択次第では、思わぬボス戦が発生することも……。
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
ブースト移動がジャンプに切り換わる、地上移動パート。任意で離脱することもできる。

【Effects】レトロスタイル+過剰なビジュアルが刺激的

 色数少なめの2Dグラフィックを基調としつつ、爆発エフェクトからパイロットの表情変化に至るまでインパクト最優先の作りに徹している本作。オールドファンにとっての“掟破り”の数々がかえって清々しい。

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
割り込み型のマッドイベントには見た目が派手なものが多い。慣れないうちは“インパクト負け”してしまうだろう。
『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
画面の激しい点滅が苦手な人向けに、ダーク表示モードも用意されている配慮も。

しのりゅー氏を直撃。設定や画面に負けないくらいのハイテンションな曲にすることを心がけた

 BGM 担当のしのりゅー氏は、ゲームやVTuberへの楽曲提供も精力的に行うサウンドクリエイター。レトロゲームのパロディーを含んだ氏のチップチューン・ナンバーは、単にファミコン風なだけでなく、ハイテンションなゲーム展開にじつにマッチしているのだ! ここではしのりゅー氏のショートインタビューをお届けしよう。

『プロジェクト・スターシップ・エックス』世界の定義から揺らぎ続ける意識変容型シューティング【とっておきインディー】
しのりゅー氏の楽曲に惚れ込んだ開発者が、直接アプローチしたとのこと。

しのりゅー氏

“Internet Chiptune Ma”として活動中のサウンドクリエイター。ライブやコンピレーションの企画、ゲームやVtuberへの楽曲提供などを精力的に行っている。

――本作のBGMを担当することになった経緯について教えてください。

しのりゅー数年前、開発の方から突然メールが来ました。YouTubeにアップしている曲を聴いて依頼してくれたようです。あまりにも唐突だったので最初は「ちょっと怪しいな」とも思ったのですが、開発者さんの過去のリリース作品を見て、おそらく大丈夫だと思い承諾しました。

――開発者とのやりとりはどのような形で行われたのでしょうか。

しのりゅーおもにメールで送られてきた設定やシチュエーション、参考イラストなどを元に制作しました。やり取りは基本的に英語で、最初のうちは機械翻訳を通して行っていたのですが、細かいニュアンスを知りたかったので、友人に翻訳をお願いしたりして進めていました。オーダーの中には「このゲームのこの曲っぽく」みたいなのもありました。ファミコンゲームに詳しい方だったら“元ネタ”に気づいた人もいるかもしれませんね。

――作曲の際にご自身で立てたテーマ・方針は?

しのりゅー自分の曲を聴いて依頼してくれたので、音源に関してはふだん通りのスタイルでいくことしました。ゲーム自体、設定も画面もとにかくテンションが高いので、それに負けないくらいのハイテンションな曲にすることを心がけました。またゲーム中にはさまざまな分野のパロディーネタがたくさん盛り込まれているので、それらを最大限にリスペクトして楽曲にも反映させています。

――インディ―ゲームのBGMを担当したことについて、何か特別な思いはあるのでしょうか。

しのりゅーもともと「ゲームの曲が作りたい」と思って音楽を始めたので、とても嬉しかったですね。少年時代からの夢がひとつ叶いました(笑)。作品全体のBGM担当、それもふだん作っているジャンル(チップチューン)で……ということでかなり自由にやらせてもらいましたが、プレイヤーの皆さんの反応を見る限り好評なようで何よりです。

――最後にゲームについてひとこと。

しのりゅー一般的なシューティングゲームとは違ってかなり異色です。ふつうのシューティングゲームに慣れてしまった方や、新たな刺激を求めるゲーマーの皆さんにはぜひプレイしていただきたいです。ついでに音楽も楽しんでいただければ幸いです!

プロジェクト・スターシップ・エックス

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC
  • メーカー:Eastasiasoft
  • 開発元:Panda Indie Studio
  • 配信日:プレイステーション4版とXbox One版は1月27日配信、Nintendo Switch版は1月28日配信 PC版は2020年6月19日配信
  • 価格:各910円[税抜](各1000円[税込] ※PC版は1364円[税抜](1500円[税込])
  • ジャンル:シューティング
  • CERO:12歳以上対象
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