音楽を通じて“再び立ち上がる力”を届けたい。「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」インタビュー

2020年にシリーズ25周年を迎えた『エースコンバット』シリーズは、2021年に周年企画の再始動を決めました。今回は、企画の一環となるコンサート「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」について、ブランドディレクターの河野一聡さん、作曲家の小林啓樹さん、サウンドディレクターの渡辺量さんにお話を聞きました!

You can read this article in English (published October 8, 2021)

1995年の発売以来、フライトシューティングとして歴史を重ねてきた『エースコンバット』シリーズ。2020年にはシリーズ25周年を迎え、有料ダウンロードコンテンツの配信や、公式YouTubeチャンネルへの動画の投稿、アパレルメーカーと組んだオリジナルウェアの販売など、さまざまな企画が行われました。

2021年には25周年の再始動が宣言され、企画の一環としてシリーズ楽曲をオーケストラコンサートでお届けする「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」が2021年8月7日(土)に開催されます。今回は楽曲制作の裏話や、開催予定のコンサートの魅力について、制作陣にお話を伺いました!

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河野一聡

バンダイナムコエンターテインメント
第2IP事業ディビジョン 第3プロダクション ゼネラルマネージャー
『エースコンバット』シリーズ ブランドディレクター

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小林啓樹

作曲家
『エースコンバット7』メインコンポーザー

元バンダイナムコエンターテインメント所属で、『エースコンバット』シリーズには『エースコンバット04 シャッタードスカイ』から参加し、多くの楽曲を手がける。2014年からフリーの作曲・編曲家として活動。

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渡辺量

バンダイナムコスタジオ
技術スタジオ 制作部 サウンドユニット2 ディレクター
『エースコンバット』シリーズ サウンドディレクター

『エースコンバット7』の名曲『Daredevil』は、最終納期直前の10日間で生まれた

左から渡辺さん、小林さん、河野さん

――『エースコンバット』シリーズは2021年4月末に、公式Twitter25周年企画の再始動を宣言しました。周年企画を延長することになった経緯について教えてください。

河野:延長を決めた理由は新型コロナウイルス感染症の拡大ですね。昨年は人が集まるイベントの開催が難しく、僕たちがやりたかった催しができなかった。きっとファンの皆さんもリアルな場に集まりたかったと思うんです。その期待に応えられなかったことがすごく悔しくて。

2021年に状況がどれだけ改善したか判断が難しいところではありますが、ファンの方々やスタッフの安全に気を使いながら、計画を延長してやれることはやってみようと。そういった心持ちで、25周年の再始動が決まりました。

――シリーズ25周年企画の先陣を切るのが、8月7日(土)に大田区民ホール・アプリコで行われる「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」です。今回はコンサートのことはもちろん、『エースコンバット』の音楽制作の舞台裏についても、たっぷりと聞かせてください。

河野:それでいうと、コンサートの準備は小林くんと量くんが精力的に動いてくれていて。

小林:ありがたいことに指揮やアレンジ、オーケストラの編成まで、何から何までやらせていただいていて、頭がいっぱいいっぱいの状態です。

河野:ちゃんと進んでるの?(※河野さんは小林さんの元上司)

小林:それがまだ終わっていなくて(笑)。今苦労しているのは、『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(以下、『7』)の楽曲『Daredevil(デアデビル)』のアレンジです。今週中にやらないと間に合わないのに、思い入れが強すぎて方向性が定まらず……。

河野:言い訳が多いな!

一同:(笑)。

小林:すみません! 全力で作っている最中です。

渡辺:『Daredevil』は紆余曲折を経て生まれた楽曲なので、小林さんのお気持ちも分かります。これはもともと開発プランになかった楽曲で、開発終盤のデータ締め10日前に作曲を依頼したものでした。河野さんが突如「演出が足りない」と言い出して。

開発チームも限界まで追い込まれていたんですが、河野さんが「もっとこのミッションを盛り上げたい」と。このミッションは『7』のストーリー中に何度も対峙するボスとの決戦で、シナリオ上も大切なシーンでしたが「嘘でしょ……」と思いました(笑)。それで急遽、小林さんに作曲をお願いすることになり……。

河野:あの時二人はどういう会話してたの?

渡辺:正式な依頼の前に、「河野さんが、曲が必要だと言ってまして」と根回しでお電話したんです。そのあと、二人でしばらく笑いました。人って予想外の出来事が起きた時に笑うじゃないですか。お互いに力なく「アハハハ……」と笑っていて、開発人生の中でもなかなか経験できない出来事でした。

小林:渡辺さんから電話をいただいた時に「『エースコンバット』らしいな」と思いましたね。(自身も)元スタッフですので、開発終盤はぬかるみの中で足掻くような泥仕合になることを知っていました。渡辺さんから話を聞いた時も「やるしかない」と(笑)。

渡辺:僕も「これは間に合うのだろうか……」と思いましたよ。もう締め切りまで10日もないのに、作曲から収録場所の手配、演奏者さんも集めなければいけません。文化祭の直前みたいなテンションでしたよね。

――ファンの皆さんから人気が高い『Daredevil』は、かなり急ピッチで制作された楽曲だったんですね。

小林:でしたねー。僕はいつも仕上がりが遅くて、開発サイドから「まだなのか!」と突かれることが常でしたが、この時は100倍の速度で仕上げました。

鳥肌が出るか涙が出るか、基準を満たすまでGOサインは出さなかった

渡辺:その後、無事に小林さんから譜面はいただきましたが、さらに紆余曲折がありまして。演出を一手に引き受けるナラティヴディレクターの糸見功輔さんが「この曲はインタラクティブミュージックで実装しよう」と言い出しました。これはゲームのストーリーや展開に合わせてシームレスに楽曲を流す手法で、すごく繊細な調整が必要です。

小林:インタラクティブミュージックを実装するなら、作曲はもちろん、編曲や収録にも緻密な計算が必要です。ストーリーの進行に合わせて盛り上がりを作ることができなければ心に響く音楽になりません。製品データを納めるまで残り10日もない状況でしたが、渡辺くんに真顔で「お願いします」と言われたら断りきれませんでした。

――前回のインタビューで小林さんは“一度は「完成だ」と思っても、本当にギリギリの段階まで、「こうしたらもっとよくなるはずだ」と、全員が理想を求めていくんです。一見ムダとも思えることまでやってクオリティを上げていくのが、『エースコンバット』の音楽なのかな”と話されていましたね。常に限界まで追い込んでいく姿勢が感じ取れるエピソードでした。

河野:なぜそんなに作り込んでいるかと言うと、僕は作品を世に出す基準を決めているんです。自分でプレイして鳥肌が立つか泣かないとOKを出さない、と決めています。ストーリーや音楽、ビジュアルも総合的に判断して基準を満たさなければGOサインを出しません。

渡辺:『エースコンバット』では各スタッフが「これがベストだ」というものを提出しますが、そこからさらに社内で「演出として機能するかどうか」が厳しい視点で評価されます。当然、曲順の入れ替えも発生しますし、楽曲をどう流すか、演出の調整が緻密に入るんです。

河野:僕は『エースコンバット』の評価の30%は音楽で決まると思っていますから。ビジュアル・シナリオ・ゲーム性があって、音楽が残り3割を占めている。

――たしかに作中では音楽が印象的なシーンが多いですね。開発者の皆さんは、特に印象深いシーンはありますか?

河野:覚えているのは『エースコンバット04 シャッタードスカイ(以下、『04』)』のラストミッションです。小林くんが、敵軍の巨大兵器「メガリス」に突入するシーンで「曲を変えたい」と言いはじめて。

当時、小林くんは入りたての新人だったのでまだ信頼関係がなかったんですよ。でも食い下がるから、「そんなに言うなら一回だけ挑戦してみろ。ダメだったらすぐに外すよ」と作曲を任せたんですね。

小林:僕はその時、NPCの無線が目立つように静かな楽曲を作りました。死力を尽くして戦った人は「走馬灯が見えた」と言うじゃないですか。目の前の出来事に没頭しながら、今起きていることをスローモーションのように捉えている。そんな状況をイメージしながら楽曲を作りました。

完成した楽曲をサーバーにアップして5分後だったと思います。河野さんから内線がかかってきて、「小林くん、あれは何!?」と。当初このシーンは、盛り上げるだけ盛り上げて完結する予定でした。河野さんの構想とは大きく外れた楽曲だったので、「ちょっと来い」と言われたのかな。廊下を通り河野さんのいる場所に歩いて行く時の緊張を今でも覚えています。

河野さんに「こういう意図があるんです」と説明したら「そんなに言うなら映像に合わせてから考える。今日は帰りなさい」と言われました。「結果が出るまで帰りたくないな」と思いながら聞いていたんですけど……。

明くる日、河野さんから「これで行きます」とメールをいただいた時は、すごく嬉しかったですね。

限界を超えて作り込まなければ、人間ドラマは描けない

小林:そのほかに苦労した楽曲で言えば、『エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー』(以下、『5』)の『The UNSUNG WAR(ジ・アンサング・ウォー)』があります。

河野:あったね。もともと2曲だったけど、鳥肌が立たなくて、1曲にくっつけてもらいました。

小林:指示が出たのは、作業がすべて終わったあとでしたね。トラックごとに音量や音質を調整して、ステレオ音声にまとめたあとの指示でした。一般的にはステレオにまとめたらできあがりなんですよ。なので、一瞬指示の意味が分からなくて。

河野さんは「ここのフレーズの〇〇にB曲を入れれば1曲にできるだろ?」と言うんです。この指示を聞いた時は、沸々と湧き上がるものを押さえ込むのに必死でした。分かりやすく言うと「アンガーマネジメント」ってやつですね(笑)。結果、お客さまが喜んでくれているからいいんですけど、一旦呼吸を整えたことが懐かしいです。

河野:今聞くとひどい話だけど、結果、お客さまが喜んでくれたから、僕のディレクションは正解だったと思っています(笑)。

小林:「でも……」と言いたくなりましたけどね(笑)。悔しいけどそのとおりです。

渡辺:ここまでの話で察してもらえたと思いますが、『エースコンバット』はお客さまに届けるまでの社内のハードルが異常に高いんです(笑)。

小林:だからこそシリーズが続いているんでしょうね。

僕は『エースコンバット』の開発現場から、「真剣にシーンを作り込まなければ、リアルな人間ドラマは再現できないこと」を学びました。ストーリーも演出も音楽も、最後の最後まで粘る。それはお客さまに喜んでもらうために絶対必要なことなんです。

ストーリーやビジュアルが心に響かなければ、流れている音楽は記憶に残りません。小さなこだわりの積み重ねが、コンサートの実現に繋がったのだと思います。

コンサートの編曲は小林さん自らが担当。自分の足跡を辿りながらアレンジした

――改めてここからはコンサートのお話を聞かせてください。『エースコンバット』シリーズは2019年7月に羽田空港内でコンサート「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY」を開催しています。前回からアップデートされた点を教えてください。

小林:前回は楽器の編成を絞って開催しましたが、今回の「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」では、前回より大きな会場での開催となりますので、フルオーケストラ編成で開催します。

演奏メンバーは『7』のスタジオレコーディングに集まっていただいた方々に再集結していただきました。実力者揃いで、クラシックに詳しい人が見たら「〇〇シンフォニーのあの人と、〇〇響のあの人が並んでる!」と驚いてもらえる、本当に腕利きの方々です。

さらにギタリストやドラマー、歌手の方々にも参加をお願いしていますので、とても豪華なメンバーになっています。

――今回は大田区民ホールが会場になっていますね。前回は空港のレセプションホールでしたが、会場が変わったことでどのような変化があるのでしょうか?

小林:前回と異なるのは「音の響き」です。コンサートホールでは音が天井や壁に反響して、演奏に余韻や広がりを与えてくれます。今回もよりしっかりとオーケストラの音をお届けできますので、表現したいものがはっきり伝えられると思います。

大田区のホールを選んだことにも意味がありまして。バンダイナムコエンターテインメントは大田区でものづくりをして成長した企業です。『エースコンバット』はナムコ(当時)が起こして育てたタイトルなので、池袋でも新宿でもなく、大田区でやることに意味がある。区民ホールを選んだのは聖地巡礼的な意味合いもあります。

――最高のメンバーと会場を用意しているのですね。今回は、編曲(曲にアレンジを施し、楽器の構成や演奏方法を決めていく作業)も小林さんが担当されています。10数年前に作った楽曲を再解釈して譜面に起こすので、感慨深いこともあったと思います。

小林:おっしゃるとおりで、自分の足跡を辿る感覚がありました。僕は大学時代に『エースコンバット2』に触れて、ゲーム業界で作曲家の道を歩みはじめました。初めて作品に参加した『04』の音楽は、今回のコンサートでも演奏させてもらいます。当時自身が作った楽曲や、一緒に仕事をさせてもらった方の曲を編曲していると非常に懐かしいですし、改めて自身のルーツを辿る機会になりました。

当時のデータはほとんど残っていないですし、残っていたとしても今のツールでは開けません。サウンドトラックを聞きながら「なんで僕はこんな手間のかかるアレンジをしたんだっけ、あぁそうだ、ここをこだわって作っていたからだ~(我ながら面倒くさいことを etc.)」と回想できた。そのうえで当時は加えていなかった木管楽器のパートを追加したり、金管楽器のパートを今の僕のやり方にアップデートしています。さらに、新たに作り起こしたところもあるんですよ。

生演奏に合わせて音を純粋に楽しんでいただけるよう、できる限りの力を注ぎ込んでいますので、楽しみにしていてください。

小林啓樹の音楽は、生演奏で完璧になる

――演奏の中で、ここはぜひ注目してほしいというポイントはありますか?

渡辺:ぜひ音の抑揚に注目していただきたいです! 僕は『7』で小林さんの収録に立ち合わせてもらったんですが、やはり生演奏が一番だと感じました。

小林さんの楽曲は、爆発力と表現すれば良いのでしょうか――抑えるところは抑えて、重要なところで一気に盛り上げます。それが生演奏では音量の大小がはっきり分かれてダイナミックに聴こえます。ゲームに収録する際には家庭用のオーディオ機器で再現できるよう、音をフラットに調整しなければいけないので、楽曲の迫力を十全に伝えることができていません。

小林:ゲームではあえて音の細部を消してしまうんです。これは仕方のないことで、抑揚をそのまま流すと、音量が大きい箇所で音割れを起こし、小さな音が聞こえなくなってしまいます。

その点、コンサートホールでは音量の抑揚をそのままお届けできます。楽曲で訴えたかったことをはっきりと、存分に表現できるのです。このコンサートだからこそ、生演奏だからこそ味わっていただける、本物の音楽体験をお届けすべく準備を進めています。

――今回は、小林さん自ら指揮者も担当されるそうですね。

河野:ツバメみたいな燕尾服着るんでしょ(笑)?

小林:着ないです。着ませんよ(笑)。

渡辺:『7』の収録の際には、自ら指揮棒を振られていましたね。

小林:収録の時は、基本的にいつも振っています。頭の中には「この楽曲はこう演奏してほしい」とイメージがあるので、そのイメージを演奏者さんに伝えるために指揮しています。

楽譜にすべてのイメージを込めようとすると書ききれない量になってしまうんですよ。仮に抑揚や音色をすべて書き込んだとしても読んでくれないでしょうし、演奏者さんが咀嚼するまですごく時間がかかってしまう。だから直接、自らの表情や動きで表現した方が手っ取り早いんですよね。

河野:今回はすごく力が入っているよね。小林くんが選んだ楽団で、小林くんがアレンジして、小林くんが指揮する。『エースコンバット』のコンサートとして、本物中の本物ですよね。

小林:なので何かおかしなことがあれば、全部僕が悪いことになります。……ならないように頑張ります(笑)。

河野:信じてますよ。本物中の本物を聴ける機会ってなかなかないから、よく実現してくれたよね。

見どころとして思い出したんだけど、演奏者さんの表情にも注目してほしいですね。いつも「小林くんの曲、バイオリンの人が大変そうだなー」思ってるんですよ。ずっとキュッキュ動いていて、なかなか休めない。

小林:今回ももれなく大変な譜面に仕上がっています。演奏が忙しすぎて僕の指揮を見てくれないかもしれません(笑)。

河野:そういう真剣な表情や姿が見られるのも、会場ならではの醍醐味だよね。

今回は演奏で勝負、あえて映像は流しません

――ここからは音楽以外の側面について聞かせてください。ゲーム関連のコンサートではプレイ動画を流す演出が入りますよね。今回のコンサートではどのような演出が入るのでしょうか?

小林:ビジュアルや動画について、今回はあえてやらないことに決めました。生演奏を楽しんでもらいたいし、音で訴えかけることを最大化したいと思ったからです。

他のゲームや映画のコンサートをいくつも見ましたが、映像があれば「追体験」という面ではすごかったんです。作中のドラマを再現して、物語をなぞっていけた。将来的には同様のエンタメを『エースコンバット』でもやれたらとは思っていますが、今回は楽曲を楽しんでもらうことに振り切ります。

というのも、映像をかけると、どうしても目がそっちに向いてしまうんですよね。目の前でオーケストラがいて素晴らしい演奏しているのに、です。音楽からは集中力を削がれてしまう。

河野:そうそう。映像をかけると、音がBGMになっちゃうんですよ。

小林:そうなんです。すばらしい演奏をしているのに、音が主役にならない。僕はお客さまに音楽に集中してほしいんです。だから音だけで勝負することにしました。

――そのほかには、トークコーナーも注目したいポイントです。開発の舞台裏を聞けるファン待望のイベントですが、どのようなが聞けるのでしょうか?

河野:トークは僕やプロデューサー、ディレクターを集めて、世界観の話されていない部分や、当時の裏話を話す予定です。

実を言うと、純粋に音楽を楽しんでもらいたいから、トークコーナーが邪魔だと思うんです。お客さまが楽曲の余韻に浸っているのに、僕らが「どうもー!」と出てくるのはどうなんだろうと。でも「絶対ニーズがありますから!」と押し切られちゃいました。とはいえ、楽しみなこともあって、何が起こるか分からないコーナーですね。

小林:登壇者が何をしゃべるかわからないので、少し怖いですね。『エースコンバット』の開発者は職人気質を地で行くような人たちで、普段は表に立ちません。なので、声が小さい、話が逸れる、スイッチが入ればどこまでも話してしまう(笑)。良くも悪くも、普段インタビューに出てこないような話が出てくると思います。もしかしたら、「これはマズい」と途中で音声が止まるかもしれません(笑)。

――ライブならではのコンテンツになりそうですね。コンサートでは公演グッズも注目される要素です。今回はどのようなグッズを用意しているのでしょうか?

渡辺:河野さん監修のグッズを用意しましたが、(コロナウイルス)感染症拡大防止対策で、当日販売できるかどうかはまだ決まっていません。

河野:当日まで分からないんだよね。でも、ファンの皆さんが喜んでくれるものを考えました。

ネタバレしてしまうと、劇中のセリフをあしらったジャケットを作ったんです。Twitterで「シリーズでもっとも有名なセリフを教えてください」と質問したら、国内外からたくさんの回答が集まりました。「やっぱりこのセリフ一番有名なんだ!」と思った言葉をあしらっていますので、きっと喜んでもらえると思います。

『エースコンバット』は劣勢を覆す物語。コンサートで心を奮い立たせて欲しい

――最後に、コンサートを楽しみにされている方へ、メッセージをいただけますか?

河野:まず、コロナウイルス感染症拡大防止対策はしっかりと行っています。入場時の検温やアルコール消毒の徹底など、安全第一で対策を行なっていますので、安心して聴きに来てください。

そのうえで、ぜひ会場に来て、「本物」の『エースコンバット』の音楽を聴いて欲しい。小林くんが楽曲に込めた想いや、生演奏の音の迫力は会場でしか味わえません。僕自身、前回のコンサートでは涙目になってしまったんですよ。なかなか音楽で泣ける機会はありません。きっと貴重な体験になると思います。

渡辺:「音楽で泣ける」というのは本当で、サウンドディレクターとして収録に同席した時は、鳥肌が立ち、涙腺が緩む時がありました。そのたびに、この感動をファンの皆さまにお届けできないだろうかと思っていましたが、満を辞してお届けできることになりました。ぜひ会場で、生演奏を味わって欲しいです。

小林:『エースコンバット』の物語は、どのシリーズも劣勢状態から始まります。登場人物は、追い込まれても諦めずに立ち上がり、自分たちの目指す未来に全力で向かっていく。その姿に共感し、感動いただけたからこそ、ここまで支持されるシリーズたり得たと思うのです。

リアルなこの世界においても、生きていれば劣勢に立たされる瞬間もあります。挫折したり妥協したりすることもあるでしょう。しかし、それでも諦めずに再び立ち上がり、自らの課題に向かって、泥臭くもがいて全力を尽そうとする。普段から頑張りたいと思っている人ほど、『エースコンバット』のストーリーと自分を重ねることができ、心に響いてきたのではないでしょうか。

今回のコンサートでは、『エースコンバット』の音楽、すなわち「苦境から立ち上がる物語を彩る音楽」を演奏します。言うまでもなく、今まさに僕らは新型コロナウイルス感染症の拡大で苦境に立たされています。だからこそ、エースコンバット』の音楽を聴いて心を奮い立たせて欲しい。

「ここから立ち上がってやるぞ」「ここからもう一度盛り上げていくぞ」、そんな力をコンサートで受け取っていただけたら、これほどうれしいことはありません。会場で皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

【編集後記】
前回の「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY」では、ファンの皆さまから「もっと規模の大きいホールで、フルオーケストラ編成で開催してほしい」とたくさんの要望が届いたそうです。今回はその声に応え、バージョンアップが実現しました。作曲者の小林さんが編成からアレンジ、指揮までこなす機会はそうそうないと思います。『エースコンバット』25周年記念の企画の一つである本公演がどのようになるのか、今から当日が楽しみですね。

取材・文/鈴木 雅矩
1986年生まれのライター。ファミコン時代からゲームを遊び、今も毎日欠かさずコントローラーを握っている。

こだわりが詰まった25周年記念コンサート
「ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 25TH ANNIVERSARY」
公式サイトはこちら

※緊急事態宣言対象期間外に十分な感染対策を講じた上で、取材を行っています。