2020年12月にセガトイズより発売された“アストロシティミニ”。一世を風靡したアーケード汎用筐体“アストロシティ”をミニサイズにし、本体または外部出力で、収録ゲーム全37本が遊べるミニ筐体だ。

 その後継バージョンとなる“アストロシティミニ V”が、高田馬場・池袋に店舗を構えるゲームセンター“ゲーセン ミカド”のYouTubeチャンネル“ミカドYouTubeチャンネル”にて発表された。

 本記事では発表された“アストロシティミニ V”について、セガトイズのキーマンとなるおふたりと、今回開発協力として参加する、ゲーセン ミカドの経営者兼店長・池田 稔氏に、その経緯や開発コンセプトなどをお聞きした。

 “アストロシティミニ V”2022年夏発売予定で、価格は19580円[税込]。今回タテ画面を採用しているのが特徴で、以下の22本のゲームを収録予定だ。

“アストロシティミニ V”インタビュー。シューティングゲームファンの夢が詰まった、夢のミニ筐体登場! ゲーセン ミカドも関わる実現の経緯とは?
アストロシティミニ V ※開発中のものです。

■収録タイトルリスト

  1. ・『ムーンクレスタ』(ハムスター)
  2. ・『ZAXXON』(セガ)
  3. ・『テラクレスタ』(ハムスター)
  4. ・『コスモポリス ギャリバン』(ハムスター)
  5. ・『アクションファイター』(セガ)
  6. ・『TATSUJIN』(TATSUJIN)
  7. ・『レッスルウォー』(セガ)
  8. ・『鮫!鮫!鮫!』(TATSUJIN)
  9. ・『雷電』(セイブ開発)
  10. ・『アウトゾーン』(TATSUJIN)
  11. ・『ソニックウイングス』(ハムスター)
  12. ・『達人王』(TATSUJIN)
  13. ・『ドギューン!!』(TATSUJIN)
  14. ・『デザートブレイカー』(セガ)
  15. ・『BATSUGUN』(TATSUJIN)
  16. ・『V.V(ヴイ・ファイヴ)』(TATSUJIN)
  17. ・『戦国エース』(シティコネクション)
  18. ・『疾風魔法大作戦』(エイティング)
  19. ・『ガンバード』(シティコネクション)
  20. ・『ストライカーズ1945』(シティコネクション)
  21. ・『アームドポリス バトライダー』(エイティング)
  22. ・『バトルクレイド アンリミテッドバージョン』(エイティング)

※メーカー名は現メーカーのものです。

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“アストロシティミニ V”インタビュー。シューティングゲームファンの夢が詰まった、夢のミニ筐体登場! ゲーセン ミカドも関わる実現の経緯とは?

青地優一氏(あおち ゆういち)

セガトイズ所属。“アストロシティミニ”、“アストロシティミニ V”プロデューサー。全体的な統括を担当している。(文中は 青地)

跡部裕彦氏(あとべ ひろひこ)

セガトイズ所属。“アストロシティミニ”、“アストロシティミニ V”プロジェクトディレクター。企画や仕様などの構成を担当している。(文中は 跡部)

池田 稔氏(いけだ みのる)

INH代表取締役。ゲーセン ミカドの経営者兼店長。“アストロシティミニ”の一部プロモーションと、“アストロシティミニ V”より開発協力を担当。(文中は 池田)

“アストロシティミニ”から“V”へ

――“アストロシティミニ”が発売されてから、約1年が経過しました。売上やユーザーからの反応はいかがでしたでしょうか。

青地発売してから世界中の人たちに評価していただきまして、我々としてもかなり高評価を得ることができた手ごたえを感じています。タイトル選定や、いままで移植されていなかったタイトルが遊べること。また、内部プログラムはエミュレーションによって、ゲーム基板そのまま遊べるような形を採用しました。スケジュール的にも難しい部分もありましたが、なんとか乗り越えて発売できて、よかったです。

跡部“アストロシティミニ”には、僕は途中から参加しました。そのとき、新型コロナウィルスが世界的に蔓延し始めたころで、世界中が「どうなってしまうのだろう?」と、混乱していた時期でした。プロデューサーとしてもどうしていいのか分からないような状況だったところ、青地に誘われ“アストロシティミニ”チームに入ったわけですが、蓋を開けてみたら本当に大変な状況になっていて(苦笑)。

 そこから、セガトイズの中にも“セガ魂”を持つスタッフを少しずつ増やしながら、なんとか制作していきました。“アストロシティミニ”は、セガ設立60周年記念プロジェクトという大きな冠を背負っていたので、プレッシャーもありましたね。

――池田さんは、“アストロシティミニ”を見たとき、どう感じたのでしょうか?

池田いちユーザーとして、すぐに「いいね!」と思いました。ゲームセンターのゲーム筐体には、たくさんの種類があります。ミカドに来ていただければわかると思いますが、稼動している筐体はほとんどセガ製です。というのも、僕はセガ原理主義なところがありまして(笑)。アストロシティ、ブラストシティなど、その系統じゃないとゲームを遊ばせたくないといいますか。いちばん遊びやすいですし、イスの高さもちょうどいい。また、業務的なメンテナンス性の高さもあって、いちばん好きな筐体です。それがミニサイズで楽しめるのは、もううれしい限りですよね。

 セガのアーケードゲームは『アフターバーナー』や『アウトラン』ですとか、大型筐体のタイトルが人気じゃないですか。基本はビデオゲームが収録される、というところで、セガさんの中でもマニアックなタイトルもあって、ラインアップに驚きましたね。

跡部ありがとうございます。ビデオゲームを収録することには、とてもこだわりました。やはりセガ設立60周年記念商品ですから、AM1研、AM2研などの系譜に触れないわけにはいきません。

――とくに“アストロシティミニ”の開発で苦労された点はありましたか?

跡部ゲームの開発は、基本的には分業するものです。たとえばプランナー、グラフィック、プログラムなどなど……。おもちゃの開発は、じつはイラストを描く、パッケージやロゴデザイン、さらには在庫管理や企画申請などなど、だいたいひとりで担当するんですよ。“アストロシティミニ”は約40本のソフトが入る中、デザイン、外部会社とのやり取り、プロモーションなどなど多岐に渡る仕事をひとりでやるのは、さすがに無理です。ですので、“アストロシティミニ”では分業制になりました。

――では今回、その後継となる“アストロシティミニ V”が発表となりました。アストロシティ筐体のタテ画面バージョンとなっていますが、どのような経緯から新バージョンを発売することになったのでしょうか?

青地「ニューアストロシティミニや、ブラストシティミニじゃないの?」と思う人もいるかと思います。どんなおもちゃでもそうなんですが、“アストロシティミニ”を企画した段階でも、もちろん発売後の展開も構想しています。なので、ヒットすれば「ニューアストロシティミニが発売できたらいいよね」みたいな話はするわけです。ただ、実際開発に取り組んでみたところ、あまりにも“アストロシティミニ”の開発が困難で、本当に形になるかどうかすら分からない中、製作が進みました。なんとか完成し、世界中の方々から好評を得ることができました。おかげで、会社としても「じゃあシリーズ化しましょう」と。GOサインをもらいまして。そして今回、“アストロシティミニ V”につなげられました。

跡部そこから今回の“アストロシティミニ V”の形ではなく、ほかの筐体のバージョンを発売するなど、さまざまな案はもちろんありました。ただ、“アストロシティミニ”では、やり残したことがあります。“アストロシティミニ”はセガ設立60周年記念プロジェクトでしたから、グループ会社の看板を背負って、セガ全体を推すような商品の側面がありました。ですが、ミカドさんと接点ができたときに、やはりお客さんの目線から考えると、“熱狂的にゲームにのめり込んだ原体験”という部分は、あまりお届けできなかったと思うんです。

 90年代当時を振り返ると、もう本当に“熱狂的”でした。対戦格闘ゲーム、シューティングゲームがほとんどを占め、本当に手に汗握るような対人戦、またはスコアアタックに打ち込んだ、あの熱です。「あの体験をお客さんといっしょに味わいたい」と考えると、いきなり新筐体のミニバージョンにいくのではなく、もう1度アストロシティでいくべきだと判断しました。そして今回は縦画面を採用し、さらに縦スクロール型シューティングをメインに据えたバージョンとして企画したのです。

――ですが、セガの縦スクロール型シューティングはさほど多くなく、『ソニックブーム』や『スクランブルスピリッツ』も前回収録されてしまっていますよね。

跡部そうなんですよね。セガのタイトルには縦スクロール型シューティングが少ないので、企画段階から外部会社とタッグを組んでやることを決めました。そこはミカドさんのおかげもあり、さまざまな会社さんに協力していただくことができましたね。

 また、各会社さんが、やはりゲームセンターを愛していらっしゃって。ちょうど企画中にセガのゲームセンターを運営していたセガ エンタテインメントが売却され、セガがゲームセンター運営事業から撤退する中で、我々としてもさびしい思いもありました。その気持ちに皆さんが賛同してくださったのも、実現できた大きなポイントでした。

――ではなぜ、シューティングに絞ってテーマを決めたのでしょうか?

跡部“アストロシティミニ”は60周年記念なので、歴史を振り返るようなテーマでタイトルを選びました。“アストロシティミニ V”はファンの熱量をいっしょに味わうというところで、先ほども言ったように90年代は対戦格闘ゲームとシューティングゲームが熱かった時代です。対戦格闘ゲームを望む声が大きいのは想定しています。ですが“まずはシューティングゲームはいかがですか?”と提案したくて、縦スクロール型シューティングをメインにさせていただきました。

――“まずは”ということは……。気が早いですが、今後は対戦格闘ゲームをフィーチャーしたミニ筐体を予定されているのでしょうか?

跡部その可能性もあります。もしかしたらつぎは別のミニ筐体になるかもしれませんし、全く違うテーマのものになるかもしれません。

――ちなみに商品名の“V”の由来や意味はありますか?

跡部最初の企画書から決まっていました。縦画面なので、“V”は“バーティカル(縦)”です。そして“ビクトリー(勝利)”であり、こじつけではありますが熱狂的にさせたいところで“ボルケニック(火山)”と、3つの“V”で付けたんです。

青地上層部からも様々な意見が上がったのですが、最後は「好きにしていい」と許可が下りました。

“アストロシティミニ V”インタビュー。シューティングゲームファンの夢が詰まった、夢のミニ筐体登場! ゲーセン ミカドも関わる実現の経緯とは?

ミカド魂をアストロシティミニ Vに注入!

――今回、ゲーセン ミカドさんが開発協力に関わっています。“アストロシティミニ”でも、ミカドさんが宣伝放送をするなど、プロモーション協力をしていましたよね。

跡部はい。“アストロシティミニ”では開発をしながらも、プロモーションも同時に考えていく必要がありました。最低限のことはこなす中、どうしても自分たちでは良いプロモーションができなくて。どううまく宣伝しようか考えていたときに、とあるスタッフと僕で「これはもうミカドさんにお願いするしかない!」と企画を立てたんですね。ただ、セガトイズはおもちゃの会社ですから、ミカドさんの名前は知っててもよく分からない人も多くて。どれだけすごいゲームセンターなのか熱弁し、「だったら跡部を信じる!」と予算を引っ張ってきました。

 そこからミカドさんにお話をもっていったら、すぐに快諾してくださって。もうすぐに応援配信を企画してくれて、プロモーションに協力していただいたのが経緯ですね。そこの接点から、“アストロシティミニ V”には、企画段階から参加していただいています。

池田そういったオファーが来たこと自体がうれしかったですし、やるからには少しでも売り上げに貢献したいなと。また、“アストロシティミニ”が売れることで、またゲームセンターで遊んでみたいと思う人も出てくると思いましたから、できる限りのことをやらせていただきました。

――では今回、なぜミカドさんに開発協力をお願いすることにしたのでしょうか?

青地我々セガトイズはおもちゃの会社ですから、やはりどうしても力不足なところがあるなと感じまして。これはもうゲーセン ミカドの池田さんに相談するしかないなと。つねにゲームを作り続けているわけではないので、どうしても得意なところと、不得意な部分があります。そこがうまく合致するのではないかと思って、協力していただきました。

――なるほど。ミカドさんは、具体的にはどのような部分で開発協力として関わっているのでしょうか。

池田まずは、収録するタイトルの基板を、データ解析のためにお貸ししました。また、ミカドで稼動しているコントロールパネルのボタン配置をリスト化し、それに準じたボタン配置を提案しました。あとは、一部メーカーさんとのやり取りですね。また、タイトル選定の相談もしました。

――タイトル選定は、どのように相談していったのでしょうか?

池田跡部さんが最初に「何が入ったら皆さん喜ぶと思いますか?」と、夢のような候補リストをいただきまして。「いや絶対これ無理!(笑)」と思うタイトルもたくさんありましたが、でもまずは実現を目指そうじゃないかと。それを実現することこそ、僕たちの仕事だよね! という話を跡部さんとよくしていましたね。そこに原点や熱意も感じていました。

跡部現実を考えない、“夢リスト”を渡しましたね(笑)。それが作っていくうちにだんだんと現実になっていくのですが、やはり外れてしまうタイトルもあり。それを上層部に見せると「いやもっとすごいタイトルが収録できるはず!」と、元の現実的ではないリストに戻されて……。それをくり返していくうちに、いまの収録タイトルは相当すごいものになったと思います。

池田ええ、夢リストとほとんど変わってないと思います。最初に見たリストの時点から、「こんなものがあったらうれしいよな、喜ぶよな!」って思ったのは、商品開発における根本の考えかたですよね。それが具現化できたのは、いちゲームセンターファンとしてうれしいです。

跡部ありがとうございます。ミカドさんのおかげで、本当に実現できました。いまでも実感がないくらいのタイトルラインアップになりました。

青地ミカドさんとはもう逐一連絡して、現実化を目指しました。ただセガ以外のタイトルが多く、そのぶんやはり予算もかかります。プロデューサー目線からその夢を追いかけながらも、そこは跡部もうまくやってくれたと思います。

跡部最終的には僕たちがリヤカーで、手売りするくらいの気持ちでいましたから(笑)。池田さんに、そしてミカドさんに全国からゲーム好きが集まるのって、関わる人が全員ゲーム好きだからじゃないですか。だったら、僕も自分のゲーム好きを全面に押し出せばいいんだと思いまして。今回は“僕の考えた最強のアストロシティミニ V”みたいな発想で取り組みました(笑)。

――まさに、驚きのラインアップだと思います。シューティングファンからしてみれば、もう宝箱のような。具体的にはどのような方向でタイトルを決めたのでしょうか?

跡部今回収録されるタイトルのほかにも、名作縦スクロール型シューティングは、数多く存在しますよね。ライセンスをお持ちの会社が判明しなかったタイトル以外は、ほぼすべてに打診しました。どうしてもあの幻の名作を入れたいと考えて、権利がどこにあるのか調べ尽くしましたが、難しい壁にぶち当たったタイトルもありました。また、会社さんによっては、「我々としては別の方向性でタイトルを推していきたい」というケースもありましたね。もちろん、決してそれが悪いわけではありませんよ。僕たちも納得しています。

池田シューティングファンならおそらく「なんでアレが入ってないんだ!」って言うと思います。ですが、「いや、俺たちはもうとっくに打診したよ、探したよ!」って反論できますからね(笑)。

――たしかに。この候補を絞り切るのも、かなり大変そうに見えますね。

跡部“アストロシティミニ”は60周年がキーワードだったので、60周年記念トップ37という感じで押し出したので、それはそれで大変でしたが。今回は“V”をキーワードに、ミカドさんと厳選されたタイトルを推し出せるのかなと。ミカドさんとセガトイズで、1+1=200みたいな(笑)。

池田“テンコジ”(笑)。(※)

※テンコジ:プロレスラー、天山広吉選手と小島聡選手のタッグチーム名。小島選手の「オレたちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍!」という発言に由来するお話。

跡部なので、タイトル選びについてはそこまで苦労しなかったといいますか、そこに至るまでの過程のほうが大変だったかもしれません。また、企画にも鮮度があって、最初の発想ってすごい熱量を持っているんですよ。そこから会社を通し、予算を取って、実際に形にしていくうちに、どんどん鮮度が下がることもあるんです。アツアツのうちに食べてほしいですから、今後の展開も、より熱量が下がらないように伝えられたらなと思っています。

池田そうですね。決してふざけているワケではなく、どんどんバカになっていきたいといいますか。“アストロシティミニ V”の起爆剤になるようなことがしたいですね。

――プロレスの用語が出ましたが、プロレスゲーム『レッスルウォー』はほかのラインアップから見ても、かなり異質なタイトルに見えます。これは誰かの趣味で……みたいな?

跡部まさにその通りで、『レッスルウォー』は僕が絶対に入れたかったタイトルです。明確な理由がひとつありまして。これは僕の推測ですが、通常攻撃でハイキックを出せるプロレスゲームって、『レッスルウォー』が最初だと思うんです。『レッスルウォー』は当時、立ち技メインのUWFなどが流行ってたころに、その流れを受けて作られたゲームです。ですから、立ち技からいきなりハイキックで相手の顔面を蹴れるのが、あまりにも新鮮で。縦画面のプロレスゲームとして良く出来ているので、ぜひ遊んでみてほしいなと。

――シュート・レスリングスタイルのUWFが元なら、ある意味“シューティング”とも言えますね。初移植の『アームドポリス バトライダー』など、遊べる機会が比較的少ないタイトルも6本収録されているのもうれしい要素です。

跡部90年代はシューティングブームでもありましたが、対戦格闘ゲームが本当にすごくて、そもそもそのタイトルが稼動していない。または、対戦格闘ゲームを稼動させるためにシューティングの撤去が早かった、なんてタイトルも少なくありません。当時遊べなかった人も楽しめますし、お家で練習してからミカドさんに遊びにいくのもいいと思います。

池田小さいころだと、おこづかいなどからゲーム代を捻出しなきゃいけないので、遊びたくても遊べなかったタイトルもあるでしょう。大人になった今、“アストロシティミニ V”というひとつの形になって数々の名作が遊べるというのは、ある意味ひとつの夢の形だと思います。

――大人になったいまだからこそ、複数並べるのもいいですよね! 開発初期段階、とのことですが映像を見た限りでは、完成度の高い移植のように感じました。ファンの方々も気になると思いますが、実際のところ移植度はどうでしょうか?

跡部ご覧の通り、初期ではありますがほぼ全タイトル快適に遊べる状態です。ただ、ゲームセンターの基板というものは、そのゲームを快適に遊ぶためにチューニングし、それだけのために特化したものです。“アストロシティミニ V”は、数々のタイトルを遊べるように、おもちゃの中で半ば無理やり動かしています。

 そこからさらに“アストロシティミニ V”にHDMIケーブルですとか、何かしらをつなげたりしていくと、技術的にどうしても遅延や処理負荷などは発生してしまいます。そこは絶対にぶつかる壁なのですが、そこをいかに技術で乗り越えていくのか、快適に遊べるようにするのかを、現段階で取り組んでいる最中です。

――追加機能として、縦画面出力や“かんたんセーブ”が搭載されるとお聞きしています。

跡部はい。縦画面出力は、やはり縦スクロール型シューティングをメインに据えているからこそ、絶対必要だろうと。また、“かんたんセーブ”は、やり込んでいる人にとっては、必要のない機能かと思います。メニューを通さず、ワンボタンでセーブ&ロードができるショートカットキーですね。

 ただし、『アームドポリス バトライダー』はミカドさんのボタン配置だと、6ボタン全部埋まってしまっているんです。どうしようかと議論しているわけですが、現段階での最終仕様は“『アームドポリス バトライダー』だけかんたんセーブなし”です。もしかしたらほかのボタンで使えるようにするかもしれませんが、いまのところはミカドさんボタン配置を優先しています。

――すでに発売済みの“アストロシティミニ アーケードスティック”などの周辺機器は、そのまま使用できますか?

跡部ええ、そのまま使用できます。

――ほかに追加機能などはありますか?

跡部細かい要素ですが、ゲーム選択メニューで読めるテキストは、池田さんが執筆されています。やはり僕たちが書くとシンプルになってしまいますから、そこは池田さんのノリでおもしろく紹介していただいたほうが良いのかなと思い、お願いしています。

――では最後に、“アストロシティミニ V”に期待を寄せるゲームファンの方々へ、メッセージをお願いいたします。

青地“アストロシティミニ V”は、ものすごく熱いモノです。“アストロシティミニ V”と、そして期待されている方々の熱の冷めないうちに、ぜひお届けできればと思います。その気持ちを裏切らないように頑張りますので、よろしくお願いいたします。

跡部完成まで皆さんに喜んでもらえるよう、努力し続けます。いよいよ発表されましたが、今後もまだまだおもしろいことを考えていますので、発売までぜひご期待ください。

池田セガトイズさんが“こんなとち狂ったモノ”を出すなんて、スゴイですよね。有り得ないですよ。だって、ミニ筐体系でシューティングゲームがほとんどみたいな商品、おかしいです。しかも、数々の会社のゲームが、ひとつに収まること自体、夢みたいですよね。ゲームソフトで考えたら、絶対出せませんよ。目と耳を疑う光景です。関わっている以上、一生懸命監修含めて協力させていただきますので、どうか完成を楽しみにしていてください。

“アストロシティミニ V”インタビュー。シューティングゲームファンの夢が詰まった、夢のミニ筐体登場! ゲーセン ミカドも関わる実現の経緯とは?