【PCゲーム極☆道】第116回『Soundfall』 音楽にのって攻撃する『Crypt of the NecroDancer』とボダランを合体させたようなツインスティックシューター

PC版なら楽曲読み込みもサポート!

【PCゲーム極☆道】第116回『Soundfall』 音楽にのって攻撃する『Crypt of the NecroDancer』とボダランを合体させたようなツインスティックシューター
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もはやマルチプラットフォームは当たり前のものです。数年前はハードの間にラインナップの差がありましたが、今となっては逆に専売タイトルの方が珍しいくらいです。どのハードであっても名作に触れられる。大変ありがたい時代です。

ですが、PCゲームを紹介すると謳うこのコラムにとってこの流れは逆風です。「PCゲームの世界を紹介します」と毎度宣言しているものの、実は家庭用機やスマートフォンでリリースされているゲームも少なくありません。看板に偽りあり。PCゲームならではがなくなりつつあるヤバい状況です。

ですが、「それでもやはりPCゲームにしかできないこともある!」ということで、みなさんのまだ知らないかもしれないPCゲームの世界を紹介する「PCゲーム極☆道(きわめみち)」。今回はPC版にだけ追加機能が実装されている『Soundfall』を紹介します。

『Soundfall』は、アメリカはノースカロライナ州・ローリーに拠点を置くゲーム開発スタジオDrastic Gamesが開発したゲームで、2022年5月11日にリリースされました。この開発は小規模なスタジオのようですが、元Epic Gamesのスタッフが独立して起こした会社だそうで、まさにエリートチーム。本作がこのスタジオのデビュー作となり、2018年夏に開発を発表しているので少なくとも4年は開発に時間をかけています。彼らのチャレンジが実るのか? 気になるところですね。

 

才能あるミュージシャンのメロディはオーディションの日にアルバイトの休みを取ることができず、バイトをクビにはなれないとチャンスを手放そうとしていた。彼女は諦めと疲れを抱え自室の席につく。だがそのとき、不思議なことが起こる。彼女は音楽の生まれる異世界「シンフォニア」へと召喚されたのだ。彼女と仲間たちの冒険の旅が始まる。

こんな出だしで始まる『Soundfall』は見下ろし視点の全方位シューティング、いわゆるツインスティックシューターです。異世界に召喚されたメロディは銃を手に取り、この異世界をむしばむ化け物と戦うこととなります。

 

ただ、当然音楽の生まれる地であるシンフォニアでの戦いは普通ではありません。このゲームはゲーム中に流れる(ゲームの設定上は世界から音楽が生まれ、流れ出てきている)BGMのリズムに合わせて行動すると、恩恵が受けられるシステムになっています。ショットは攻撃力が2倍になり、ダッシュは無敵状態が付与されます。ステージ途中に現れるスイッチやジャンプポイントはそもそもリズムに乗って行動しないと起動しません。そう、このゲームはあの名作『Crypt of the NecroDancer』のフォロワー作品なんです。

さらにこのゲームにはトレジャーハンティング要素があり、敵のドロップやステージ中に配置された宝箱、ステージクリア報酬で装備アイテムが手に入ります。装備品にはさまざまなバフ効果がランダムで付与され、これらを集めて身に着けることでよりキャラクターを強くすることができるわけです。先に紹介したメロディ以外にも4人の操作キャラクターがおり、彼らは別々の固有スキルを持っているのでこれを活かす装備を集めていくことが重要となります。

そして当然、このゲームはオンラインマルチプレイにも対応しており、4人までのお友だちとパーティを組んでゲームを遊ぶことができます。「ボーダーランズ」シリーズに始まるルートシューターの要素も取り入れており、いろんなゲームのいいところをガッチリ組み合わせたゲームです。

 

もっとも各キャラクターのスキルツリーがあるわけではないので幅広いビルドが楽しめるディアブロライクというわけではありません。が、シューティングとして見ればガラリとプレイ感が変わるところがすばらしい。

というのも、この手のリズムに合わせ行動するゲームはリズムに乗ることをどうあれ強制されるわけですが、このゲームではマシンガンタイプの武器の場合ショットボタンを長押しすると4拍分まで続けて連射をすることができるんですね。武器によっては毎拍行動する必要がないわけです。

このゲームにはリズムに乗れないショットを繰り返すとリロードが発生してしまうというシステムがあるので、連射に頼るとリズムに乗れなかったときリロードが発生しやすいというデメリットもあります。こういうメリットとデメリットを考え、装備やキャラクターを選び戦い方を考えていくのが楽しい。このゲームにも当然属性があり、武器に付与された属性によって有利不利が発生します。しかもそれに加え、属性攻撃にはチェーン効果や爆発付与、ライフスティールなどの付随効果がついています。スキルツリーがない分、装備だけでガッツリプレイスタイルが変わるようにできているんです。

キャラクターもゲームの進捗によりアンロックされ、いつでも切り替えられる上にレベルも全キャラ共有なのでさまざまなプレイングを気軽に試すことができます。これがほんとうにいい。

 

さらに付け加えるならば、曲の種類の多さがさらにゲームをおもしろくしています。このゲームはロック、ポップス、ファンク、シンセポップ、現代音楽、スカ、プログレなどなど多様な楽曲が実装されています。音楽の生まれる世界というゲームの設定を感じることもできますし、なにより曲のBPMの差がめちゃくちゃデカいのがおもしろい。あるステージの曲ではハチャメチャな連打を求められますが、別のステージではゆったりとしたリズムを刻むことを求められる。リズムを刻むゲームだからこそ、この幅の広さがゲームに大きな変化を与えています。それにこれだけリズムに差があると、曲調によって有利に使える装備と使えない装備が出てくるわけです。さらに曲調によって登場する敵の属性が変化するようにもなっているので、曲調に合わせて装備を変更するという選択もあり得る。めちゃくちゃよくできたゲームです。楽曲のクオリティもすばらしく、曲のためだけに買ってもおつりがくるゲームでしょぅ。

 

しかし、これだけしっかりと作りこんだゲームですから、当然のごとく本作はマルチプラットフォーム展開がなされています。Steam/Epic GamesストアのPC版に加え、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X/Nintendo Switchと幅広いハードで楽しめます。世の中的にはサイコーですが、このコラムとしてはキツイものがあります。

ただ! このゲームにはありがたいことにPCゲームだけの機能が実装されています。それが音楽ファイル読み込み機能です。自分のPCに保存されている音楽ファイルをゲームに読み込ませると自動でステージを生成してくれる機能で、これを使えばお気に入りの曲でこのゲームを楽しむことができるんです!『Crypt of the Necrodancer』に「ボーダーランズ」、そしてさらに『Audiosurf』や『Beat Hazard』といったPCゲームで盛り上がった音楽読み込みゲームまでフォローしてくれているとは! 過去の偉大な名作のすばらしいポイントを受け継ぎ、昇華させている。本当にすばらしいゲームです。このコラム的にも神過ぎます。

 

著作権の関係から読み込み楽曲ステージでのオンラインマルチプレイはできない仕様となっていますが、こればかりは仕方がないでしょう。それを差し引いたとしても、リズムに合わせ得て戦うツインスティックシューター、装備品でガラリと変わるプレイスタイルとそれを集めるトレジャーハンティング、さらにはPC版だけではありますが(ここ重要)楽曲読み込み機能と非常に満足度の高いゲームです。

ストーリーモードもなかなかのボリュームで、メロディを中心に地球から召喚されたミュージシャンたちが守護者となり、音楽をむしばむ悪と戦うストーリーは王道で楽しく、ゲームをしっかり盛り上げてくれます。なによりキャラクターの個性が立っているのもいいですね。クラシック出身のチェリストと、電子音楽にどっぷりのDJがお互いの音楽をディスりあうところなど必見です。ところどころに挟まるアニメもなかなかのクオリティです。

ぜひ多くの方に触れてほしいゲームです。エリートたちが長い時間をかけて作り上げただけある丁寧な作りを感じる作品です。ありがたいことに日本語ローカライズも高いレベルで実装されていますから、ぜひ遊んでほしいと思います。そして、このゲームを遊んでみようと思ったあなた! 遊ぶならPC版がおすすめですよ!

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