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任天堂が1980年代に発売した光線銃ゲーム「ダックハント」のブラウン管画面をスローモーション撮影してわかる驚きの仕組みとは?


任天堂が1984年に発売したファミコン用ゲーム「ダックハント」は、海外では「ZAPPER」とも呼ばれる光線銃を使用して、テレビ画面の中で飛ぶカモを撃つというゲームです。そんなダックハントを当時使われていたブラウン管でプレイし、スローモーションで撮影するとどう見えるのかをYouTubeチャンネルのThe Slow Mo Guysが解説しています。

How the Nintendo Zapper worked in Slow Motion - The Slow Mo Guys - YouTube


The Slow Mo Guysのメンバーであるギャブ氏が登場。背後にあるブラウン管テレビには「ダックハント」のホーム画面が映っており、右手には光線銃を持っています。


日本などで発売されたオリジナルの光線銃は灰色でしたが、海外向けに発売されたニンテンドー・エンターテインメント・システム(NES)用の光線銃はオレンジ色になっています。


光線銃はコードでゲーム機とつながっています。


テレビ画面に光線銃を向けてトリガーを引くと、ホーム画面からゲーム画面へと切り替わりました。


テレビ画面には上から下に向かって動く黒い帯のようなものが映っていますが、これはゲーム画面をカメラで撮影しているから見えるものであり、肉眼では見えません。


画面上のカモに照準を合わせてトリガーを引くと、カモを撃ち落とすことが可能。


落ちてきたカモを仲間のイヌが捕まえてくれます。カモの数が増えたり難易度が変わったりする中で、持ち弾を切らさないようにしつつハイスコアを目指すというゲームです。


肉眼でも注意深く見ると、トリガーを引いた瞬間には画面が暗くなり、照準が合った場所に白い四角が表示されていることがわかります。これがダックハントというゲームの重要な仕組みだとのこと。


そもそもブラウン管テレビは、「電子ビームを蛍光体に発射して表示する」という仕組みで、ものすごい速度で走査線と呼ばれる光の線を画面上に走らせることでフレームを表示しています。実際に1万FPS(1秒間に1万フレーム)のハイスピードカメラでブラウン管テレビを撮影すると、このように画面上部から下部へ光の線が1本ずつ表示されていることが確認できます。


人間の目には光の残像が残るため、こうした表示方法でも普通の映像として認識できるというわけです。


さらに1秒間のフレーム数を増やして8万2000FPSで撮影するとこんな感じ。走査線が左から右へと動いていることがわかります。


175万FPSまでスローにすると、フレームの左から右までおよそ1秒で移動します。走査線の速度は時速2万4500マイル(およそ時速3万9500km)だそうで、だいたい1時間で地球を一周できるとのこと。


重要なのは、どの時点でもブラウン管テレビにはフレーム全体が描画されておらず、滑らかな映像として認識できるのは視覚的な効果によるものだという点です。


この仕組みにより、カモを画面上のアニメーションとして動かさなくても、毎回異なる場所に描画することで動いているように見せられるとのこと。


続いて、光線銃のトリガーを引いた時の挙動についてチェックしていきます。


光線銃の銃口には光センサーがあり、これで照準の合った場所を認識しています。


トリガーを引いた信号がゲーム機に伝えられると、ブラウン管テレビには完全に黒いフレームが送信されます。


そして次のフレームで、カモがいた場所に白い四角が表示されます。この白い四角に光線銃の照準が合っていたかどうかで、カモを撃った判定になるか、それとも弾が外れた判定になるかが決まるというわけです。


カモを撃ったかどうかの判定が完了すると、その後のフレームではそれまでと異なった画面が表示されます。最初に更新されるのはスコア部分の表示だけであり、撃たれたカモの姿が描画されるのはもっと後だとのこと。


スコアが変わった次のフレームで、撃たれたカモの姿が映りました。


ギャブ氏によると、撃たれた後の4フレームでカモの姿が消失していたそうですが、人間の目ではカモが消えたことは認識できないそうです。


等速でプレイしている様子を見ても、やはりカモが消えていることは認識できません。


また、カモが2羽現れるモードになると、白い四角は同じフレーム内で2カ所に現れるのではなく、黒い画面を挟んでそれぞれが2回に分けて表示されます。これは、カモを撃ったかどうかを判定するために光線銃が単に白い場所を向くだけではなく、「黒い場所に照準が合った1フレーム後に白い場所に照準が合うこと」が必要なためです。これにより、ただ白い壁や電球に光線銃を向けただけでカモを撃ったと判定されるのを防いでいるとのこと。


この仕組みはカモを撃つ時だけでなく、ホーム画面からメニューを選択する際にも利用されています。


ギャブ氏は、「正直に言って、これは非常に優れたエンジニアリングの作品だと思います。周辺機器とケーブルは、40年前に存在していたほぼすべてのテレビと互換性がありました」とコメントしました。


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in ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by log1h_ik

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