ホリが放つHOTAS系本格フライトスティック「HORI HOTAS Flight Control System & Mount for PC」インプレッション

スロットルでのラダー操作が本製品の武器

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ホリからHOTASに対応する本格的なフライトスティック&スロットルレバーをセットにした「HORI HOTAS Flight Control System & Mount for PC」(以下、HFCS)が発売された。価格は5万4980円(税込)。

この製品は、パイロットがスティックやスロットルレバーから手を離すことなく、兵器や機体の制御を行えるように考案された操作装置Hands On Throttle And Stick(HOTAS)の思想で設計されたフライトスティックだ。また、『War Thunder』との公式コラボレーションで生まれたことも大きな特徴で、ホリに加えてDMM GAMESとGaijin Entertainmentが製作段階から連携しているという。

今回、ホリより「HORI HOTAS Flight Control System & Mount for PC」をお借りすることができたので、本製品のインプレッションをお届けする。

クランプも付属するコストパフォーマンスの高いフルセットデバイス

HFCSは以下の3つで構成されている。

  • コントロールスティック(ジョイスティック)
  • スロットル
  • 上記をデスクに固定するためのクランプ

HFCSは5万円を超える高額商品なのだが、クランプを標準装備したHOTAS系フライトスティックという点を考慮するとコストパフォーマンスはかなり高い。クランプの接続部分は、高さの違う4カ所が用意されているので、そのときどきのプレイスタイルに合わせて設置する高さを調整できる。たとえば普通の旅客機であれば高さを揃えて左右に配置したり、スティックのみ体の正面にセッティングすることで戦闘機スタイルで利用したりもできる。

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スティック&スロットル以外にも、大量のスイッチ類を装備しているのも本製品の特徴。
テーブル類に固定するためのクランプが標準で付属するのはなかなか珍しい。<br />
テーブル類に固定するためのクランプが標準で付属するのはなかなか珍しい。

公式サイトでは、専用ソフトの「HORI Device Manager」を配信しており、ファームウェアのアップデートや、アナログ入力の感度調整、マッピングの変更などが行える。スティック側、スロットル側ともにモードスイッチを搭載しているので、操作する機体やゲームに合わせて感度やマッピングの設定を切り替えることができる。

今回テストプレイを行ったのは『War Thunder』で、ゲーム内のプリセットにて基本的なアサインセットアップを自動で行うことができた。公式サイトでは、アップデート後のマッピング表がPDFで公開されているので、プレイする際の参考にしよう。

ファームウェアのアップデートもホリの専用アプリで簡単に行える。<br />
ファームウェアのアップデートもホリの専用アプリで簡単に行える。

豊富な入力系統を装備したフライトスティック

コントロールスティックは、2段階入力が可能なトリガーに加え、4方向のハットスイッチ(方向キー)を3つ装備しており、スティック側の入力系統は充実している。武装の撃ち分けやモード切替など、基本的な兵器や機体制御で大きく困ることはなさそうだ。

スティック側だけで19種類のボタンマッピングを設定できる。<br />
スティック側だけで19種類のボタンマッピングを設定できる。

スティックを倒す際の動きは軽く標準的に感じるが、ニュートラル位置に戻す際の反発が若干強めに感じる。力を入れづらい左右の切り返しで若干スティックがバタつきやすいが、ある程度制御はでき、許容範囲だ。テーブルに置いての操作だと土台が少し動きやすいが、これはスティック全体の重量が大きさの割りに軽量なのと、土台の手前が細いV字型であることに起因している。

土台は軽いV字なので若干不安定だが、大きくばたつくことはない。そのため、テーブルの上に置いての操作でもゲームプレイへの悪影響を感じることはなかった。<br />
土台は軽いV字なので若干不安定だが、大きくばたつくことはない。そのため、テーブルの上に置いての操作でもゲームプレイへの悪影響を感じることはなかった。

この不安定になりやすいV字型の形状には意味がある。クランプ固定時にスティックを戦闘機ポジションに配置した際に、足を自然に肩幅に広げて座った状態でも邪魔にならない絶妙なデザインで扱いやすいのだ。これは、本製品の個性といえるデザイン上の配慮だろう。軽量設計なのも、クランプへの負荷を考慮すると致し方ないところだ。ほかにも土台の裏には、シミュレーターシートに固定するためのネジ穴が用意されているので、超本格派のユーザーの期待にも応える。

クランプへは引っかけるような形で接続する。<br />
クランプへは引っかけるような形で接続する。
クランプの剛性はかなり高いので、気持ちよく使用できる。むしろ机側が安定するか設置前に気をつけておきたい。<br />
クランプの剛性はかなり高いので、気持ちよく使用できる。むしろ机側が安定するか設置前に気をつけておきたい。

グリップ部分は肌触りのいいラバー素材を使用している。肌触りがよく手汗が多い筆者でも長時間気持ちよく扱えたが、さらさらしすぎているのでグリップ感が若干犠牲になっているように感じた。それを補うようにハンドレストアタッチメントが付属している。アタッチメントは比較的分厚いので、手を軽くハンドレストに添えながら各ボタンやハットスイッチにアクセスできるようになる。ボタン類が多い影響で、スティックは中指と薬指で握ることになるのだが、アタッチメントを使うと接点が増えることになるのでスティックのコントロール性も良くなった。

付属のアタッチメントは1種類。標準的な大きさの手の方なら、基本的に使うことをオススメする。<br />
付属のアタッチメントは1種類。標準的な大きさの手の方なら、基本的に使うことをオススメする。

本製品の場合、ラダー操作(ヨー/機首を左右に振る操作)はスロットル側で行うのがメインになると思うが、スティックをひねる標準的なラダー操作についても見ておく。ラダー操作の回転軸はやや固めだが、その固さが繊細なラダー操作を助けてくれるので、個人的にはその使い心地にかなり好印象をもった。とはいえ、中指と薬指だけではグリップ不足で滑りやすいので、スティックをひねる際はしっかりと握る必要がある。

ラダー操作がとても便利なスロットル

スロットルは、回転式ではなく前後にスライドさせる構造で、2つのエンジンを個別に操作できるデュアルスロットルタイプだ。ふたつのスロットルは連結ピンで固定されており、ピンを引き出すことで個別にスロットル操作が可能になる。土台の左サイドにはスロットルの重さを調整するダイヤルを装備するが、もっとも軽い設定が個人的には扱いやすかった。

スロットルは水平に動かすタイプ。スイッチがかなり豊富なので、システム全体でスイッチ不足で困ることは少なそうだ。<br />
スロットルは水平に動かすタイプ。スイッチがかなり豊富なので、システム全体でスイッチ不足で困ることは少なそうだ。

最大の特徴はラダー操作を想定して搭載された、アナログ入力のラダー軸だ。ここのラダー軸の操作がかなりよくて、一度触るとスティックをひねるラダー操作に戻れなくなる。筆者は、初めてラダーペダルでラダーを操作したとき、自然に機体を動かせるようになるのに苦労した経験がある。どれだけ踏み込めばどれだけ動くのか、そういった力加減を体で覚えていく必要があったからだ。だがこのラダー軸は、使い始めた瞬間からイメージ通りの機体コントロールが可能だった。

スロットルは左右別々に動かすことができる。スロットルの裏側にはレバーが付いていて、アナログ入力でラダー操作が可能。<br />
スロットルは左右別々に動かすことができる。スロットルの裏側にはレバーが付いていて、アナログ入力でラダー操作が可能。

たとえば機体を大きくロールさせて旋回している際に、ちょと機首を上げて高度を維持したいという場合にも、ピタッとイメージ通りの角度に微調整できる。機体に大きなダメージを負ってまっすぐに飛べなくなったときにも、ラダー側で補いながら、無理なくまっすぐに飛行できる。個人的にはこのラダー軸だけで本製品の購入を検討する価値を感じた。

スロットルのトップパネルには、上下入力が可能なトグルスイッチを11個搭載。自動で中央のニュートラルに戻るタイプだ。機体の補助的な操作やゲームシステムのショートカットの割り当てがメインで、たとえばランディングギアの操作や、複数ある視点変更のショートカット、マップの表示などが割り当てられている。

HORI HOTAS Flight Control System & Mount for PC

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『War Thunder』を使ってプレイテスト

今回の動作テストを行った『War Thunder』は、20世紀初頭から現代戦まで2000種類以上の航空機・地上車両・艦艇で戦う、基本プレイ無料のマルチコンバットオンラインゲームだ。本作をプレイするのは今回が初めてだが、基本はフライトシミュレーターなので特別変わった部分はない。

操作体系は『Microsoft Flight Simulator』と同じなので、スティックの入力に対する機体の反応の感覚さえつかめば思い通りに機体が反応してくれる。スティックの動きに対する機体の反応は素直で扱いやすく、すぐにコツをつかむことができた。

慣れてくると、扱う機体によってはもっと敏感に反応してほしいとか、もっとマイルドに反応してほしいとか感じるようになる。そういったときのために、ホリの設定アプリで各モードにスティックのトーンカーブ(感度)を調整しておくのもいい。MODE1は低感度、MODE2は通常、MODE3は高感度と設定するのが基本だろう。プレイ中にモードを切り替えてもスティックの認識が途切れることはないので、劇的な変化があるわけではないものの、機体にあわせて感度を微調整できる。初めてフライトシミュレーターをスティックでプレイする方は、まずは低めの感度が扱いやすいと思う。

本作は、旧式の戦闘機が中心なのでその戦い方も機銃や機関砲を使うのがメインになる。そうしたドッグファイトだと、高い精度でターゲットを追尾する必要がある。針の穴を通すような微細な動き自体はスティックでコントロールできるのだが、そこから自身の思い描く動きを実際にトレースしていくのが難しい。こればっかりは練習が必要で、今回のインプレッションでは少々時間が足りず扱いきれなかった。ただ、微細なコントロール自体はできるので、練習でイメージ通りに地上の対空兵器へピンポイント攻撃が当たったときは爽快だった。

シミュレーター系タイトルを始めてプレイする際は、ジェット戦闘機で離陸したあとに、飛行の風圧でランディングギアを破壊してしまうのはデフォルトだと思う。<br />
シミュレーター系タイトルを始めてプレイする際は、ジェット戦闘機で離陸したあとに、飛行の風圧でランディングギアを破壊してしまうのはあるあるだと思う。

一方で、比較的近代的な戦闘機は、レーダーでロックオンすればミサイルが追尾してくれるのでかなり楽。機体のクイックなロール(機体の横回転)や急上昇など、ほぼイメージ通りに動いてくれた。

初心者にも触ってほしい本格フライトスティック&スロットル

本製品は特にパネルスイッチの種類が豊富なデバイスだ。制御できる項目が多いので最初は面食らってしまうかもしれないが、複雑な機体制御とゲーム固有のUIのショートカットも含めて楽に制御できるようになる。

『War Thunder』では、操縦する航空機に搭載されていない機能のボタンを押すと「逆噴射装置は搭載されていません」などとメッセージが表示される。そのため遊びながらでも、HFCSの機能や『War Thunder』でやれることを理解しやすい。そのため、初心者こそHFCSのようなデバイスを使ったほうがいいように思う。

そして映画『トップガン』や、アニメ「マクロス」シリーズなどを見ると、真似をしてアクロバティックに飛びたくなる。しかし、戦闘機はクルマのように、スティックを右に倒せば右に曲がるわけではない難しさがある。HFCSを使いこなして、達人の域に達するにはとても時間がかかるだろう。しかし、HFCSを使うとやれることがぐっと増えるので、それらをひとつひとつ覚えていくだけでも楽しいものとなっている。

熟練者であれば、間違いなく本製品は武器となるはずだ。使い込めばもっとこういったレイアウトだったらいいのになという部分が出てくる可能性もあるが、それはあらゆるデバイスに言えること。本製品はラダー操作が武器なので、製品選びのポイントにしやすいと思う。

スロットルは左右別々に動かすことができる。スロットルの裏側にはレバーが付いていて、アナログ入力でラダー操作が可能。<br />
スロットルは左右別々に動かすことができる。スロットルの裏側にはレバーが付いていて、アナログ入力でラダー操作が可能。

HFCSを使うのであれば、やはりコラボレーション先でもある『War Thunder』をプレイするのがベストだろう。ただ、『War Thunder』の個性なのだが、独特の難しさがあるゲームでもあるので、そのことに留意する必要がある。とはいえ豊富なスイッチ類は、『Microsoft Flight Simulator』のようなフライトシミュレーター全般でも、複雑な機体制御に役立ってくれる。スティックやスロットルなど全体的に扱いやすく仕上がっているので、初心者や熟練者問わず、フライトシミュレーターが好きな方全般にオススメしたくなるデバイスだった。

HORI HOTAS Flight Control System & Mount for PC

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